ノウハウ CLM(契約ライフサイクルマネジメント)とは?システムや概念を徹底解説
更新日:2024年10月31日
投稿日:2021年09月10日
CLM(契約ライフサイクルマネジメント)とは?システムや概念を徹底解説
ビジネスやテクノロジーの変化により、契約に潜むリスクや義務、商談の機会などを包括的に把握する必要性があること、企業が規制遵守の向上と、契約の作成・交渉・締結にかかる時間の短縮を求めることから、グローバル市場だけではなく日本国内でも導入が進むCLM(契約ライフサイクルマネジメント)。
契約業務のどのような課題を解決できるソリューションなのか、その概要について、また、契約書管理システムとの違い、具体的なソリューションについて徹底解説します。
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CLM(契約ライフサイクルマネジメント)とは?
CLM(契約ライフサイクルマネジメント)とは、締結前(契約書作成・審査等)、締結、締結後(期限管理・ステータス管理等)にまたがって行われる契約オペレーション全体の最適化のためのテクノロジーです。
CLM導入の4つのメリット
CLMを導入することで「契約プロセス構築」と、「契約管理の仕組み化」が可能になり、業務効率化とリスクマネジメント強化を実現できます。
一元管理の実現
紙と電子データの書類、どちらの形式でも同じシステム上で一元管理をすることが可能です。2023年末現在、デジタル化せず紙ハンコで契約を行っている企業が6.4%存在することから自社が電子締結を導入した場合でも相手先都合で一定数は紙の契約書が発生します。
このことから、紙締結、電子締結両方を管理できることは管理方法を分散させず効率化を図るために不可欠です。
必要な情報を必要な時に素早く取り出せる検索性があり、契約書の内容、経緯が蓄積され、それらが1つのシステムで把握ができるところは、他リーガルテックにないCLM独自の特性です。
調査参照:ニューノーマル時代の契約業務に関する調査
業務効率化
契約書の作成、審査、承認、締結、管理まで一つのシステム内で行うことができ、それぞれの情報が経緯を手作業で転記する、メッセージをさかのぼる、管理台帳を作成しExcelを使い手作業で更新するといった非効率から脱却することができます。
また、契約プロセス全体のデータが蓄積されることにより、契約の発生から満了まで契約に関わる一連の情報が蓄積されるため、即座に必要な情報を収集することが可能となります。契約ステータスの可視化や更新期限管理が自動化できるなど契約業務の効率化に繋がります。
リスクマネジメント
全社の契約の契約情報やステータスの可視化により、ミスや管理不備を抑制できることで、不利益・損失を未然に防ぐことが可能です。
また、契約の背景や経緯、証跡もCLM上に蓄積が可能なため、トラブル発生時の情報収集も即座に行うことができます。
セキュリティ強化
閲覧、承認が可能な範囲を限定できるため、M&Aに関する契約書や雇用契約など全員に見られてはいけない書類のセキュリティを強化することができます。
変更、ログイン、作業者などの情報が残るため万が一の場合にも原因特定、究明が可能です。
一般的に定義される「リーガルテック」との違い
CLMは、一般的に定義されている法律もしくは法務サービスの利便性を向上させるために開発されたITを活用した製品、サービスという意味の「リーガルテック」には留まらない、企業全体が関与する契約に関わる課題を解決するテクノロジーです。
日本の調査会社である株式会社矢野経済研究所によれば、リーガルテックは、法律サービスの利便性を向上させるために開発されたITを活用した製品やサービスをさすといわれています。契約関連のサービスがリーガルテックと位置づけられることが多いのは、「契約=法務(リーガル)」という先入観があることが背景にあるのかも知れません。
参照:矢野経済研究所:リーガルテック市場に関する調査を実施(2019年)
しかし、実際には、企業が締結する契約が全て法務の審査を経る例は稀で、むしろ大多数の契約が法務と関係のないところで締結されていると言っても過言ではありません。CLMは、法務部門が関与する契約はもちろん、関与しない契約も含めた企業の全ての契約が対象となります。
契約書管理システムとの違い
CLMとは、契約のライフサイクルの全てのステージに関する「業務プロセス」をマネジメントするものであり、契約書管理システムとは異なります。
<CLMがカバーする契約プロセス>
・契約書作成(契約の発生)
・契約の審査
・契約の交渉
・契約の稟議・承認
・契約の締結
・契約の管理
・契約の更新
契約書管理システムは、契約締結後の業務のうち、契約書の管理に特化したシステムです。そのため、契約書の電子ファイルを保管できたり、契約管理台帳の自動作成が可能といった価値を提供するものです。
一方、CLMは、締結済み契約書の管理はもちろん、契約締結前から契約締結も含めた情報や業務プロセス全てを対象とするテクノロジーです。そのため、管理する情報や情報入力に関する考え方も異なります。
一方、CLMは、締結済み契約書の管理はもちろん、契約締結前から契約締結も含めた情報や業務プロセス全てを対象とするテクノロジーです。そのため、管理する情報や情報入力に関する考え方も異なります。
契約業務のフロー
リーガルテック、契約書管理システムとの違いが分かったところで、自社にはどのシステムを導入すればよいのか検討するため一般的な契約業務フローをまずたどっていきましょう。
商談成立・契約書の作成
営業活動の成果として相手先企業と営業担当者の間の商談が成立すると商品やサービスの受け渡しを行うため契約を行います。
契約書を作成する元の情報は商談情報や見積情報から条件を抽出し書面に反映していきます。契約書の作成者は営業担当者の場合もあれば法務担当者の場合もあり、金額、発生頻度によって担当者を分けるケースもあります。また、頻度の少ない契約の種類では作成の前に法務へ相談を行うこともあります。
相手先から契約書を受領する場合はこの工程を踏まず次の審査へ進みます。
契約書の審査
契約書の作成が完了すると、社内で審査を行い作成した契約書に法的な誤りがないか自社にとって不利な内容になっていないかなどの審査を行います。契約書を作成した営業担当者から、審査を行う法務担当者へ審査の依頼を送り業務が引き渡されていきます。
AIレビューのツールを用い、文章体裁や最新の条文の参照などといった効率化を図る企業もあります。
契約内容の交渉・調整
社内の審査が完了すると、相手先企業へ契約書のドラフトを送付し内容の調整を行います。相手先とのやり取りは、営業担当者からメールやチャットで行うのが一般的です。交渉の中で相手先企業より修正の依頼が入る場合もあり、修正を行うにあたり書類のバージョン(版)が変わっていきます。
相手先と契約内容の合意が取れると、承認へ進んでいきます。
稟議/承認
締結の前にこの契約で締結へ進めても構わないか、権限者へ承認を通します。承認を行える権限者は契約書の金額、類型などにより定められている場合があり正しい申請者へ承認を得る必要があります。
契約の締結 紙・電子
承認フローをすべて通過すると、相手先と契約の締結を行える状態になります。
紙契約書の場合は、承認を通過した最新の契約書を印刷し製本、場合よって印紙を貼付し相手先へ送付します。電子締結の場合はURLを相手先に共有し締結を依頼します。
契約書の管理・期限管理
締結が完了すると、紙契約書は返送用契約書を保管し台帳に記入、法に定められた期間の間倉庫で保管を行います。電子締結の場合、システムに締結済みの契約書がそのまま格納されます。相手先の電子締結システムで指定があった場合はデータを保存するなどして保管します。
保管と合わせて、契約の終了日、更新申請の期限、更新の日付等を管理台帳に記入し漏れの内容に備えます。契約書の保管、期限管理は法務部で一貫して行っているケースもあれば、部署ごとに台帳をつくり個別で管理している企業もあります。
契約業務の課題
契約業務を行っていると各段階で非効率、ヒヤリハットの種があったりと課題が存在します。
契約書の作成に時間がかかる
頻度が少ない契約や契約書作成に馴れていない方の場合、作成方法が分からなかったり、時間がかかったりと非効率です。テンプレートが設けられている場合はそれに沿ってという形になりますが、やり方が正しいのか判断ができなかったりと作成ヘの課題を感じる営業担当者は多いです。
ビジネスの根幹にかかわる契約書ですので、法務部に作成方法を聞くなどして解決を図ります。しかし、質問する方や回数が多ければ多いほどやり取りが増え、受ける側は質問対応だけで一日が終了してしまい非効率です。
審査に時間がかかる
誰が今仕事をボールを持っているのか把握しづらいと自分に残ったタスクがあるのか誰かにタスクがあるのか分かりません。結果、審査完了に時間がかかり最終的なビジネスの開始が遅れるといったトラブルになることもあります。
案件ごとのステータスが管理できずどのくらいの量がどこで滞留しているのかが分からないと効率が悪化します。
最新のバージョン(版)がどれか分からない
交渉を進め、契約書に修正が入ると版が変わっていきます審査、承認、締結では最新の版を見る必要があります。しかし、やり取りが分散したり版情報の記入ミスや漏れが起き、前の版で審査を行っていた、相手先に修正前の版を交渉段階で展開していたといった事故が発生します。
最新の版で進められているのか相手先への送付前に2つの書類を見比べて目視でチェックしたりといった地道な作業が行われている企業もあるようです。
契約書の所在が分からない
契約書の保管手順が浸透しておらず忙しいあまりデスクの中に契約書を入れたままにしていて紛失したり、台帳への記載もれで契約の存在を忘れてしまったり、規定された場所に収納することを忘れていて社内で紛失したりとヒヤリハットが少なからず発生しています。
後々、契約に関して訴訟が起きた場合には契約書の紛失は不利になる要因になり得ます。
契約更新が漏れる
管理台帳に記録漏れをしていたり、通知など思い出すためのキーがないと更新を見逃してしまう場合があります。
更新しなければならない契約を更新漏れしてまき直しになったり、ビジネスチャンスを逃す、更新しないでも良い契約を自動更新してしまい余計な経費が掛かるなどがあります。
なぜCLMが必要なのか?
シンプルな契約書管理システムや電子契約サービスでは、一部の部門の一部の業務の効率化が実現される一方、契約全体のオペレーションを見渡したときは新たな非効率が生まれ、全体最適に反する結果になります。
そのため、企業の契約オペレーション全体を対象に、デジタル技術の活用を前提とした業務変革を行い、全体最適を追求して戦略的優位を確立するためのテクノロジーとして、CLMが登場しました。
電子契約システムでは本質的な契約に関する課題を解決できない
例えば、締結業務の効率化を目指して電子契約システムを導入したものの、全ての契約書を電子契約にすることができないため、電子契約と紙の契約書の二重管理が発生します。
そのため、契約締結に関わる製本や郵送対応といった業務については、効率化することができますが、紙で締結した契約書や、他社のシステムを使って締結した電子契約などは、同じシステム内で閲覧することができず、結果、スプレッドシートなどで契約情報を管理する必要があり、契約管理については、最適化をすることができません。
CLMの導入プロセス
CLMを導入するまでに下記のような検討を経ます。
1、課題の洗い出し、理想の契約状態の可視化
会社や部署、取り扱う契約の種類によって課題の大小は様々です、どんな課題があるのかさらいましょう。
2、CLMツールの比較、検討
1で洗い出した課題が解決できるツールを絞りましょう。どんなフローを作ればよいか答えが出ない場合は相談をしてみるのも良いです。
3、トライアル
無料でトライアルを提案する会社もあれば実施していないところもあります。
4、社内への説明
利用促進のために社内への説明会を行うなど関係部署の理解を仰ぎます。そこで出た部署別の課題をすり合わせしてより良いフローの改善、解決方法を探ります。
5、CLMツールの導入
契約業務を最適化するCLMツール「ContractS CLM」
ContractS CLMは、あらゆる契約業務をワンプラットフォームで最適化し契約ライフサイクル管理(Contract Lifecycle Management=CLM)を実現するソリューションです。
CLMを導入することで、「契約プロセス構築」と、「契約管理の仕組み化」が可能になり業務効率化と生産性向上を実現できます。
【こんな企業にオススメ】
・紙の契約書も電子の契約書も検索性高く管理をしたい
・契約書の待ち時間や製本作業など時間がかかる契約業務を最適化したい
・属人化している契約業務を可視化して部内で管理をしたい
実際にContractS CLMを導入し、契約業務最適化に成功した事例をご紹介します。
事例:契約業務のやり取りや情報を手間なく一元管理。「ContractS CLM」で法務業務のDXを実現! モルフォ様
画像処理×AIの技術で実社会の課題解決を行い、様々な分野に貢献をしている株式会社モルフォ様。
月平均30件前後、繁忙期になると40~50件ほど発生する契約の確認について、メールでのやりとりでは工夫しても抜け漏れが起こりやすく、さらに一人で複数案件を一元管理するのが難しいと判断、法務業務の課題解決のため、契約管理システム導入を本格的に検討され、全契約の作成から管理までを1つのシステムで一元管理することを目指しました。
「バラバラに管理されている契約情報を契約作成から管理まで一元化し可視化したい」「契約情報のやりとりを手間なく自動で残したい」という管理部の希望と、クラウドシステムを希望する企業の方針と、双方にマッチしたのが「ContractS CLM」を導入され、契約プロセスの可視化、契約業務オペレーションの最適化を実現されました。
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