ノウハウ 売買契約書とは?種類や項目について解説
更新日:2024年10月17日
投稿日:2021年08月30日
売買契約書とは?種類や項目について解説
売買契約書は、多くの人が最もポピュラーな契約書の一つとしてイメージしているかもしれません。しかし、実際に売買契約書を作成しようとすると、どのような種類の契約なのかや、どのような内容を記載すべきかがわからないこともあるでしょう。
この記事では、売買契約書の種類や記載すべき内容、そして売買契約書の作成に必要な収入印紙について解説します。
売買契約書とは
売買契約書とは、売主が買主に商品・サービスを譲渡する際に、取引の条件やルールを記載した書面です。売買契約自体は契約書がなくとも口頭で成立しますが、企業同士の取引の場合、トラブル防止のために売買契約書を作成するのが一般的です。
売買契約書の種類
一口に「売買契約書」と言っても、売買の対象によって契約書の種類も異なります。代表的な売買契約書としては、以下のものが挙げられます。
不動産売買契約書(土地売買契約書、建物売買契約書)
売買基本契約書(継続的取引)
物品売買契約書
株式譲渡契約書
単発の契約の場合には物品売買契約書のみを取り交わすケースもありますが、継続的な取引が見込まれる場合、売買基本契約書を取り交わした上で、取引の都度物品売買契約書を取り交わすことが多いです。
売買契約書の記載事項
上で見たように売買契約書にも種類が存在するため、種類に合わせた条項を盛り込むことが必要です。
種類ごとにどのような条項を盛り込めば良いか、代表的な例をご紹介します。
不動産売買契約書
売買物件の表示
売買の対象となる物件は明確に特定しましょう。一般的には、不動産の所在や地番、面積などを登記記録に基づいて記載します。別紙に図面を添付し、網掛けなどで場所を特定することもあります。
売買代金の額/支払日
金額と支払日を定めます。
手付金
手付金を支払う場合、その手付金が解約手付・証約手付・違約手付のいずれであるのかを明確にしましょう。解約手付である場合には、いつまでなら手付解除が可能かも定めておきましょう。
土地の実測・土地代金の精算
土地の売買を行う場合、土地の実際の面積と登記簿上の面積が異なる数値となる可能性があります。そこで、土地の実測を行うか否か定めておきましょう。
仮に面積値に相違があった場合には不足分・超過分を精算しなければなりません。その際にどのように精算を行うか(一般的には1㎡あたりの価格を元に精算を行います。)定めておきましょう。
所有権の移転と引渡し
所有権の移転時期と引渡しの日を規定しましょう。一般的には、代金の支払いと同時に書類や鍵が交付され、所有権の移転と引渡しが同時に行われます。
付帯設備等の引継
住宅の場合、エアコンや庭石など付帯設備が存在することがあります。このような付帯設備を買主が取得するのか、それとも売主が撤去するのか定めておきましょう。また付帯設備に故障などの不備がないかも確認しておきましょう。付帯設備は設備表などで一覧化しておくのが一般的です。
公租公課等の精算
固定資産税や都市計画税などの公租公課をどちらが負担すべきか定めましょう。一般的には引渡し日を基準に、日割りで分担します。
引渡し前の物件の危険負担
引渡し前に天災などで、売主買主双方に帰責事由なく売買対象物が滅失・毀損した場合のことを定めておきましょう。修繕に過大な費用がかかる場合には、契約を解除できることとするのが一般的です。
契約違反による解除・違約金
売主・買主に契約への違反があった場合、催告をした上で契約が解除できます。念のため、こうした場合に備えて違約金を設定することもあります。
反社会的勢力の排除
不動産関係団体の取組により策定された、反社会勢力排除のためのモデル条項が盛り込まれているか確認しましょう。
ローン特約
不動産売買契約では、多くの買主は金融機関からの融資(ローン)により代金を支払うことが一般的です。仮に融資を得られなかった場合に、買主が契約を無条件解除することができるとするのがローン特約です。
契約不適合責任
売買の対象となった物件に、契約に適合しない瑕疵があった場合には、売主が担保責任を負うことがあります。売主が責任を負うか否か、負うとして期間は物件の引渡し後いつまでなのか定めておきましょう。
物品売買契約書
定義
売買の当事者などの定義を明確にしましょう。
目的物
売買の対象となる目的物を特定しましょう。
引き渡し
目的物の引渡し時期・方法を定めましょう。売主が持っていくのか・買主が取りに行くのかや、運送する場合の運送料をどちらが負担するのかについても決めておきましょう。
代金の支払い
代金の額と支払い時期・方法を定めましょう。
遅延損害金
代金が期限までに支払われなかった場合に発生する遅延損害金について、利率を定めておきましょう。
所有権の移転時期
所有権の移転時期について定めましょう。引渡し時か、代金の支払い時とするのが一般的です。
検査
買主が引渡しを受けた商品を検査する方法や、検査の期間について定めましょう。
契約不適合責任
引渡しを受けた物品が契約の内容で定めたものに、品質や内容、数量で適合しなかった場合には、買主が責任を負います。不適合があった場合にどのように対処するかや、買主が責任を負う期間について定めましょう。
品質保証
売買の対象物の品質が重要な場合には、対象物が備えているべき品質について定めましょう。
解除
売主・買主に契約への違反があった場合、催告をした上で契約が解除できます。念のため、こうした場合に備えて違約金を設定することもあります。
協議事項
契約書に書かれていないことは、協議によって解決する旨を定め流のが一般的です。
合意管轄
トラブルが発生し裁判となった際に、どの地域の裁判所で審理をするか定めておきましょう。
売買契約書に貼るべき印紙の額
売買契約書にも、収入印紙を貼らなければならないものが存在します。具体的にいくら貼らなければならないかは、契約書の種類と、契約の金額によって定まります。
不動産売買契約書
不動産売買契約書は1号文書に該当します。契約金額ごとに必要な印紙の額は以下の表をご覧ください。
参照元:国税庁「No.7140 印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで」
売買基本契約書
継続的な取引の基本となる契約書、すなわち売買基本契約書は7号文書に該当します。7号文書の場合、必要な印紙の額は4000円です。
▶関連記事:収入印紙とは?収入印紙が必要・不必要な契約書や条件・理由を紹介!
売買契約に関する業務を効率化する電子契約
売買契約の締結には、契約書の作成、出来上がった契約書の送付・返送、ファイリングなど煩雑な業務がつきまといます。これらの煩雑な業務を効率化するのが、電子契約のサービスです。
契約書の作成はテンプレートやクラウド上に保存された過去の契約書を参照しながら進められ、スムーズに作成することができます。また電子契約を用いるとオンラインで契約を締結することができるため、契約書の送付や返送にかかっていた時間が一挙に削減されます。さらに、印刷・郵送代が不要になるだけでなく、電子契約であれば紙の契約書の場合に必要な印紙も不要になります。
▶関連記事:なぜ電子契約では印紙が不要なのか?理由と根拠を分かりやすく解説