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ノウハウ 契約書の捺印ルールとは?印鑑の種類や位置の基本を押さえよう

更新日:2024年10月17日

投稿日:2021年07月21日

契約書の捺印ルールとは?印鑑の種類や位置の基本を押さえよう

契約書の捺印ルールとは?印鑑の種類や位置の基本を押さえよう

ビジネスシーンで、印鑑を押した契約書を取り交わす場面は頻繁にあります。しかし、契約書に印鑑を押す際のルールについては、よく知らない人も多いのではないでしょうか?

本記事では、契約書の捺印ルールについて説明します。印鑑の種類や押し方についても理解しておきましょう。

 

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契約書に印鑑はなぜ必要?

取引に使われる契約書や覚書には当たり前のように印鑑を押しているので、押印の意味をあまり深く考える機会は少ないでしょう。まずは印鑑とはなにか、押印にはどんな意味があるのかを説明します。

判子・印鑑とは?

「印鑑」とは、そもそもどんなものかを確認しておきましょう。「判子」ということも多いですが、印鑑と判子は厳密には同じではありません。

 

印鑑は朱肉を使って紙に写し出された印影のことです。これに対し、判子は文字が彫られた物体そのものをいいます。なお、判子の正式名称は「印章」です。

実印と認印の違い

印鑑には実印と認印があります。実印とは登録してある印鑑のことです。実印については、公的な機関から印鑑証明書を発行してもらえます。個人の実印は市区町村役場に、法人の実印は法務局に登録し、それぞれから印鑑証明書の交付を受けられます。

 

実印以外の印鑑は、基本的には認印です。最近では、認印は100円ショップで購入できるような安価な印鑑や、シャチハタなどを指すことが多くなっています。

実印を押す場面

不動産の売買など重要な取引の際には、契約書に実印を押したうえで印鑑証明書を添付します。相続の際の遺産分割協議書にも、相続人の実印と印鑑証明書が必要です。

認印を押す場面

認印は、印鑑を押す書面の内容の承認や確認のために押すものです。宅配便を受け取ったとき、回覧板を閲覧したときなどには認印を押します。

銀行印とは?

銀行に届出を行った印鑑は、銀行印と呼ばれることがあります。銀行印は認印として使っているものと同じものでもかまいません。ただし、シャチハタのようなスタンプ式の印鑑は銀行印には使えませんので注意しましょう。

契約書に押印する決まりはない

実は、契約書などの書類に必ず印鑑を押さなければならないという決まりはありません。契約について原則的なルールを定めているのは民法です。しかし、民法のどこにも契約書に押印が必要とは書いてありません。

 

契約は原則として、当事者の申込みや承諾の意思表示が合致すれば成立します。つまり、契約書がなくても契約自体は有効です。そのため、当然押印も必須要件ではありません。

契約書作成が義務付けられている契約もある

契約は契約書がなくても成立するのが原則です。しかし、例外的に契約書がないと契約が成立しない場合もあります。たとえば、民法446条2項では「保証契約は、書面でしなければ、その効力を生じない」と定められています。

 

また、契約書が契約の成立要件ではないけれど、法律上契約書の作成が義務付けられているものもあります(例 更新のない建物賃貸借契約、農地の賃貸借契約など)。

 

ただし、契約書作成が義務付けられている場合でも、押印が必須というわけではありません。やはり押印は、契約の必須要件ではないのです。

押印があれば証拠力が上がる

押印は法律上の義務ではないのに、なぜ契約書には押印する慣習があるのでしょうか?その大きな理由は、契約書に押印すれば文書の証明力が上がるからです。

押印に関する民事訴訟法のルール

民事訴訟法228条4項では、「私文書は、本人又はその代理人の署名又は押印があるときは、真正に成立したものと推定する」と規定されています。契約書に押印があれば、文書の真正性を担保でき、裁判で証拠として認められやすくなるのです。

契約したことの証拠を残すことは重要

会社では重要な取引をする機会が多くあります。書面がなければ言った、言わないのトラブルになる可能性もあるでしょう。また、契約書があっても押印がなければ、書面の偽造も簡単にできてしまいます。

 

裁判の証拠とする以前に契約書に印鑑を押すことで、安心して取引ができるという大きなメリットもあります。もちろん、万一の場合には裁判にも備えられますから、契約書に押印することには大きな意味があるのです。

仕事で使う印鑑の種類とは

契約書に押す印鑑は、重要であることがわかりました。ところで、会社で取引の際に使う印鑑にはいくつかの種類があります。印鑑の種類についても知っておきましょう。

会社で使われる印鑑は主に3種類

会社などの法人では、目的に応じて印鑑を使い分けます。会社で主に使われている印鑑は、代表者印、銀行印、角印の3種類です。

代表者印(実印)

会社で最も重要な印鑑が代表者印です。丸型で、二重丸の外側に会社名、内側に「代表取締役印」「代表取締役之印」の文字が彫られているものが一般的です。代表者印は会社設立時に法務局に届出が必要で、届出後には印鑑証明書の交付が受けられます。つまり、代表者印が会社の実印です。

 

代表者印を押すことで書面の証拠力が高まります。契約書には、代表者印を押すのが最も安心です。

銀行印

会社名義の銀行口座を開設するときや、手形・小切手取引をするときには、銀行印を使います。銀行印は代表者印よりもやや小さめですが、代表者印と同様の丸型で、内側には「銀行之印」と彫ってあります。

角印(社印)

会社の認印として、日常的な商取引に使うのが各印です。各印は社印とも呼ばれます。見積書、請求書、領収証などへの押印は、角印を使って行います。

個人事業主が仕事で使う印鑑は?

個人事業主の場合には、法人のように印鑑を必ず登録しなければならない制度はありません。事業専用の印鑑を用意せず、個人の印鑑での対応もできます。

屋号印を使うことも可能

個人名とは別の屋号を使っている場合、個人名の印鑑を使うと取引先は混乱します。屋号を使っている個人事業主なら、会社の印鑑と同様の屋号印を作るのが一般的です。見積書や請求書には、屋号印を押した方がよいでしょう。

重要な取引では個人の実印が必要

個人事業主が不動産売買などの重要な取引を行うときには、個人の実印で対応します。個人事業主の場合、金融機関から融資を受ける際にも個人の実印や印鑑証明書が必要です。

職種によっては職印を登録する制度がある

弁護士、公認会計士、税理士、司法書士、行政書士などの士業では、職印と呼ばれる資格印を登録する仕組みがあります。職印の登録制度がある職種の場合、職務上作成する書類には職印を押します。印鑑証明書が必要な場合には、所属団体から職印証明書の交付が受けられます。

契約書での印鑑の押し方や位置にルールはある?

会社の印鑑には3種類あり、契約書には代表者印が最適であることを説明しました。契約書への押印には商慣習上のルールがあります。印鑑の押し方や押す位置についても知っておきましょう。

契約印

契約書に必ず押すのが契約印です。契約書の署名欄の代表者名の後ろに、名前の一部に重ねるようにして押します。契約印を押すことで、契約したことの証明になります。

契印

契約書が複数枚にわたるとき、ページの見開き部分に押すのが契印です。契約書のページが差し替えられることを防ぐ役割があります。

割印

原本と控えなど、同じ契約書を2部以上作るときに必要となるのが割印です。割印するときには、契約書をずらして重ねた上で、それぞれにまたがるように押します。割印には契約書の改ざんを防ぐ役割があります。

訂正印

契約書の文面を訂正するための押印です。契約書の訂正部分に二重線を引き、その線の上に訂正印を押して、その近くの空白部分に正しい文言を記載します。訂正印は契約書印と同じものを使います。

捨印

訂正印を使わなくても契約書の文面を訂正できるよう、空白部分にあらかじめ押印しておくものです。訂正が発生した場合には、訂正印の場合と同じ要領で訂正を行い、捨印の近くに「〇字削除、〇字加入」などと記載します。

 

捨印は訂正の便宜のために慣習的に押すものですが、捨印があれば契約書を勝手に書き替えられてしまうリスクがあります。捨印するかどうかは慎重に判断しましょう。

 

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止印

契約書のページの末尾に余白ができた場合に、書き足しを防ぐために押印するものです。止印を使わず、「以下余白」と書いておいてもかまいません。

消印

契約書に貼った収入印紙を使用済みにするために印鑑を押すことを消印といいます。収入印紙の模様部分を消すように、文書との境目に印鑑を押します。消印は印紙税法により義務付けられているもので、契約書の効力や証拠力には影響がありません。

 

消印は当事者全員でする必要はなく、誰か一人がすればOKです。契約印とは別の印鑑を使ってもかまいませんし、署名により消すこともできます。契約者に限らず、代理人や従業員が消印を行ってもかまいません。

契約書で印鑑を捺印するときの5つの注意点

印鑑の種類や押し方について理解していただけたでしょうか?ここでは、契約書に印鑑を捺印するときの注意点を解説します。

代表者印を使う

契約書は取引した証拠となるものです。契約書への押印は、トラブル予防のために代表者印を使いましょう。

印鑑は鮮明に押す

印鑑が不鮮明であれば、契約書の証拠力も下がってしまいます。印鑑の外枠もきちんと写し出されるよう、力を入れて押しましょう。

作成後の訂正はできるだけ避ける

契約書作成後でも、訂正印を使えば間違いを訂正できます。しかし、作成後の訂正はトラブルになることがあります。内容を間違えた場合には、できるだけ契約書自体を作成し直すようにしましょう。

印鑑証明書は事前に取得

重要な契約書に押印する場合、代表者印を押すだけでなく、印鑑証明書も添付することがあります。会社の印鑑証明書は、印鑑カードを提示して法務局で取得します。ギリギリになって慌てないように早めに取得しておきましょう。

収入印紙には消印を忘れない

契約書が印紙税法の課税文書に該当する場合には、印紙税を納めるために収入印紙を貼付する必要があります。税務調査などの際に消印を忘れていることがわかったら、収入印紙の金額と同額の過怠税が課されてしまいます。無駄な税金を払うことのないよう注意しておきましょう。

電子契約の導入も検討しよう!

契約を締結するとき、紙に印刷した契約書を交わす以外に、電子契約をする方法があります。電子契約とは、インターネットを通じて契約書データに電子署名を付したものを交換し、契約を結ぶ方法です。

電子契約なら押印の手間が省ける

紙の契約書を作成したら、印鑑を押さなければなりません。印鑑には種類があり、押す位置も重要になってきます。押印は、非効率的な煩わしい作業と感じることも多いでしょう。

押印の手間を省き契約手続きを効率的に行うために、電子契約の導入が有効です。電子契約では印鑑の代わりに電子署名を用いますが、電子署名では押印のような手間はかかりません。

電子署名を付した文書データには証拠力がある

電子署名の定義や効力について規定されているのは、電子署名法という法律です。電子署名法には、電子署名が付された文書データは真正に成立したものと推定される旨の規定があります(第3条)。

電子署名を付しての電子契約は、印鑑を押した契約書を取り交わすことと同じです。トラブルが起こって裁判になった場合にも、電子契約が証拠として使えます。

電子契約を導入すれば収入印紙も不要

契約書を紙に印刷すると、課税文書となって収入印紙が必要になることがあります。電子契約の場合、印紙税は非課税とされているため収入印紙は不要です。電子契約を導入すれば、印紙代も節約できます。

▶電子契約なら印紙が不要?わけを解説します

電子契約で印影を設定することも可能

電子契約を締結する場合、紙の契約書を交わす場合と違って印影はありません。電子署名は暗号化技術を使うものなので、目に見える印影は必要ないのです。しかし、電子契約にも印影があった方が見た目には安心感があります。電子契約システムの中には印影を設定できるものもあるので、こうしたシステムを選ぶと使いやすいでしょう。

まとめ

取引先と契約書を交わすときには、印鑑の選び方や押し方を間違えないようにしましょう。印鑑にはどのような種類があるのかを知っておき、押し方の基本を覚えておくことが大切です。

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