ノウハウ 生産性向上とは?企業が行うべき8つの対策やおすすツール、ソリューションを解説
更新日:2024年10月31日
投稿日:2020年10月30日
生産性向上とは?企業が行うべき8つの対策やおすすツール、ソリューションを解説
「生産性向上」とは、業務の実施方法を改善し働く人の手間や時間を削減し、利益向上を目指す取り組みのことです。
近年、労働者不足や国際競争の激化などを背景に、今まで以上に企業に対して生産性向上が求められています。自社の競争力を高めるために、DX(デジタルトランスフォーメーション)の活用も視野に入れながら生産性アップに取り組む企業も多いでしょう。
本記事では、生産性とは何かについて触れながら、なぜ今、生産性向上が求められているのか、どのような対策を行えば効果が見込めるか、具体的なソリューションまでわかりやすく解説します。さらに生産性向上を促進するために役立つツールやサービスについてもご紹介します。
▶︎【こちらの記事もおすすめ】デジタルトランスフォーメーションとは?DX推進に向けた法律改正も
生産性の定義とは
生産性とは、労働・設備・原材料などの投資に対して作り出される産出物の比率を指します。すべての要素を鑑みた生産量を計算式で示した場合、「生産量(生産額または付加価値額)÷合成投入量(労働者+資本+原材料等)」となります。わかりやすく言い換えると、どれくらい人的、物的なリソースを有効利用しているかの度合いを算出したものが生産性です。
よく聞く言葉に「労働生産性」があります。これは労働者ひとりあたりが、どれくらい生産したかを示す指標です。日本生産性本部が2019年に発表した結果では、先進7カ国(アメリカ、フランス、ドイツ、イギリス、カナダ、イタリア、日本)の中で、日本は最下位でした。これは他国と比較して日本がリソースを有効利用しきれていないことを表し、同時にまだ生産性を向上できる余地があることを示しています。
生産性の種類
生産性は、何を成果に位置付けるかによって「物的生産性」と「付加価値生産性」に大別できます。なお、ここでの付加価値とは財務会計で用いられる用語で、企業が生み出した価値を指します。売上高から原材費や修繕費、人件費などのコストを差し引いた金額です。
物的生産性とは、生産物の個数や量を単位として測定する生産性のことです。製造・生産量を労働量や資本量で割ることで算出でき、工場の生産効率などを計る指標として用いられます。一方、付加価値生産性とは生産物を金額ベースで見た数値(付加価値)を単位として測定する生産性のことです。GDPベースの生産性は付加価値生産性に該当します。
生産性を向上させるためには、前提として自社の生産性を定量的に把握することが必要になります。
生産性向上と業務効率化の違い
生産性向上とよく似た概念の言葉に「業務効率化」があります。生産性向上が投資に対して、現在よりも生産量を増加させるのに対して、業務効率化は、生産における業務にかかる時間や費用の負担を最小限に抑えることを指します。
業務効率化を行えば、少ない投資で生産量が増えることになり、結果的に生産性が向上します。そのため業務効率化は生産性向上の手段の1つと捉えられます。
生産性向上が必要な理由
企業に生産性向上が必要とされる主な理由として、労働人口の減少と国際競争の激化が挙げられます。ここではさらに詳しく掘り下げていきます。
労働人口の減少
まず、労働人口の減少による人手不足が挙げられます。国立社会保障・人口問題研究所の「出生中位(死亡中位)推計(平成29年推計)」によると、2017年に7,578万人だった生産年齢人口(15~64歳)が、2030年には6,875万人、2060年には4,793万人にまで減少すると予測しており、労働力不足をどう補うかが社会的な課題となっています。
参照:出生中位(死亡中位)推計(平成29年推計
日本全体における働き手の減少は、農業、製造業、サービス業などあらゆる業界で労働力の確保が難しくなることを意味しています。労働力を確保できずに倒産する人手不足倒産も急増しています。解決策として、外国人労働者の受け入れなども進められていますが、それらと同じように1人あたりの生産性向上が求められています。
国際競争の激化
インターネットの普及でグローバルなビジネス展開が当たり前になったことも、生産性向上が求められる要因の1つです。グローバル化によって日本から海外へ販路を広げやすくなったと同時に、海外企業にとっても日本でビジネスを行いやすい環境になっています。
日本は海外と比較して、IT利活用の遅れや効率化への対策の遅れなどから先進国のなかでも生産性が低い状況です。さらに人件費や税制面でも海外企業のほうが有利なことから、国内企業はグローバルで戦えるような国際競争力の強化、すなわち生産性の向上が求められています。
生産性向上のために企業が行うべき対策
労働者不足、国際競争の激化といった理由により、多くの企業が生産性向上に取り組んでいます。生産性向上のために企業が行うべき対策として、おさえてほしい8つの取り組みについて詳しく解説します。
1.業務の「可視化」
生産性向上のために、必ず取り組みたいのが業務の「可視化(見える化)」です。アンケートやヒアリング、マニュアル整備などを行い業務の流れや成果・コスト等の情報を可視化することで、3つの効果が期待できます。
1つ目は、情報を共有することによる社員の意識向上です。例えば製造現場で、原材料や人件費、営業利益などプロセスごとのコストを可視化したり、計画数と生産数をリアルタイムで表示したりすることで、社員のコスト意識を高め目標に到達しやすくなります。
2つ目は、情報ロスをなくすことによる業務の効率化です。トヨタ自動車が開発した生産管理手法に「かんばん方式」があります。これは自動車部品が入った箱に作業指示書(かんばん)を付けておき、後工程の担当者が外したかんばんを見て必要な部品だけを生産するものです。これは必要な部品を必要なタイミングで、必要な量だけ作る目的で行う手法ですが、工程を可視化することにもつながります。必要な部品の情報が一目でわかるようになっているため、担当者がわざわざ情報を伝える必要がなく、伝達ミスも防止できます。これによりムダをなくし効率的な生産ができます。
3つ目は、課題の洗い出しです。可視化した業務フローを分析することで、どの部分がボトルネックになっているのか、または無駄・重複といった改善余地があるプロセスなのかを把握できます。業務には「前任者がこの方法で行っていたから現在も同じ方法で作業している」など、根拠がなく、何年も前から改善せずに同じ方法をしているプロセスが隠れていることもあります。ここで見つかった課題をもとに、省力化に向けた取り組みや必要なツール選定などを行います。
2.業務のムダをなくす
業務のムダとは、複数の担当者が別々で行っているプロセスや、不要な承認、手戻りが多い工程、時間のロスにつながる手続きなどです。ムダを続けることは、経営資源の無駄遣いにつながるだけでなく、不要な業務負担から社員のモチベーション低下を引き起こします。業務のムダをなくすことで業務効率化、時間削減などの効果が期待できます。
前述した業務の可視化を行った後、ムダと思われるプロセスを洗い出します。そしてバラバラに行っている作業を標準化してマニュアルを作成する、定型業務を自動化する、同じ内容の作業はまとめる、不要な作業をなくす、などを行います。
例えば、業務の可視化を進める中で、Excelで管理している備品注文表で入力ミスによる修正が頻発していることが明らかになったとします(課題発見)。担当者にヒアリングしたところ、商品コードの入力ミスが原因で発注担当者が依頼主まで確認する手間がかかっているとのことでした(原因の特定)。
そこでExcelの入力セルに入力規則を設定して桁漏れを防ぐようにした上、提出前に再度商品コードを確認するよう促すメッセージを表示したところ(改善)、入力ミスが減り、発注担当者のムダな作業(確認作業と修正)が減少しました。小さな改善であっても長期的に見ると効果は少なくありません。
業務のムダを発見するためには、ある程度経験が必要です。1人で行うと見落としがちな部分もあるため、できればプロジェクトチームを組んで改善にあたるとよいでしょう。課題に対してツールは利用できないか、顧客満足に影響しない業務は廃止・削減できないかなど、複数名でアイディアを出し合うことも有用です。発生頻度が多いプロセスや関わる担当者数が多い作業など、影響度が高いプロセスを優先して改善していくと効果が出やすくなります。
3.労働環境の改善
企業の生産性向上を実現するためには、社員のモチベーション向上は非常に大切です。リモートワークやフレックスタイム制といった働き方の種類を増やす制度の導入や、評価基準を公開し公正さを示す評価制度、給与や各種手当といった待遇改善、コミュニケーション活性化など、働きやすい環境を整えることで社員の労働意欲が向上し、生産性向上につながります。社員が自分の仕事にやりがいを感じ、働き方に満足してもらえるような体制づくりが求められます。
逆に有給が取得しにくい環境や長時間労働などはモチベーション低下につながり、生産性が減少する要因になるので注意が必要です。
4.人材配置
適材適所という言葉があるように、社員が自分の強みを最大限に生かし、企業にとって最大の効果を得られるような人材配置の最適化を行うことが生産性向上につながります。
そのためには社員一人ひとりの特性を把握することが求められます。リーダーがヒアリングを行った上で、特性に合わせた役割分担を行うのもよいでしょう。一人ひとりの生産性が向上すると、ひいては組織全体の生産性も向上します。
人材配置を誤り、社員と職務のミスマッチが起こるとモチベーション低下、ストレス増加につながる危険があります。優秀な人材が流出してしまわないためにも適正な人材配置が必要です。
5.システム・ツールの導入
生産性の向上には、適切なシステム・ツールを導入することも必要です。今まで人が行っていた作業の効率化・自動化することが生産性を上げるのに大きく貢献します。
2017年ごろから導入が進みはじめたRPA(Robotic Process Automation)が代表例です。これは定型的な業務をロボットと呼ばれるプログラムが肩代わりすることで、社員の作業負担を減らし生産性向上を実現します。交通費精算や基幹システムへのデータ転記作業などをRPA化することで人手不足の解消、労働力確保に繋がります。
また、今まで紙で管理していた注文情報をOCRでデジタルデータ化する、地方のクライアント先へ訪問して行っていた定例会議をビデオ会議ツール導入により遠隔で実施し出張を削減する、といったことも生産性向上に貢献します。
そのほか、AIやクラウドサービス、チャットボットなど、生産性向上に貢献するシステム・ツールが多く存在します。特に効率化しやすい定型的な業務、マニュアル化できる業務は、ツールによる自動化を検討するとよいでしょう。
6.アウトソーシング
生産性向上の推進にあたっては、直接売り上げに影響しない間接部門の業務などをアウトソースするのも手です。コスト増加と思われがちですが、アウトソーシングによってコスト削減になる場合も多くあります。担当者の業務引き継ぎや指導が不要になるほか、社員の負担軽減につながります。
最近ではBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)と呼ばれる、業務プロセスを一括して専門業者にアウトソーシングする企業も増加しています。コールセンター、経理、広報、ヘルプデスクなどコア業務ではないものを自社で行わないことで、限られた人的資源をコア業務に注力することができるようになります。専門企業に委託することで、自社で行うよりも専門的で質が高いサービスを受けることができる点がメリットです。
少人数のスタートアップでは、請求書作成や広報などBPOを活用する企業が目立ちます。少数精鋭でコア業務に取り組むためにはアウトソーシング、BPOは有効な選択肢でしょう。
7.助成金・補助金の活用
助成金・補助金の活用についても積極的に活用することをおすすめします。新型設備やITツールの導入など、生産性を高めるためには投資も必要です。申請する手間はかかりますが、対象であれば国や地方公共団体の助成金や補助金を利用できます。
例えばIT導入補助金(サービス等生産性向上IT導入支援事業)は、中小企業、小規模事業者等がソフトウェア、クラウド利用費等に使える補助金で、費用の半分、最大で450万円の補助があります。導入できるツールの種類も多く、請求業務効率化システム、販売管理システムなど生産性向上に役立つツールも多数あります。
そのほか、以下のような補助金があります。自社で申請可能かどうか確認してみてください。
【人材開発支援助成金】
厚生労働省による助成金で、労働者のキャリア形成を促進するため、職務に関連した専門的な知識・技能を修得する目的のセミナー等を受講させる事業主に対して支援する制度です。認定を受けたコースを受講すると経費の最大45%、生産性の向上が認められる場合は最大60%が助成されます。
【業務改善助成金】
厚生労働省による助成金で、中小企業、小規模事業者の生産性向上を支援し、事業場内最低賃金の引上げを目的とした支援制度です。生産性向上のために機械やPOSシステム等の設備を導入して事業場内最低賃金を一定額以上引き上げた場合には、費用の最大4/5、生産性の要件を満たした場合には9/10が助成されます。
【働き方改革推進支援助成金(テレワークコース)】※2020年分の新規受付は終了
厚生労働省による助成金で、テレワークに取り組む中小企業事業主に対して費用の一部を助成するものです。目標を達成した場合、費用の最大3/4が助成されます。
8.個人のスキルアップ
組織の生産性を向上させるためには、社員一人ひとりの生産性を高めるのも効果的です。個人のスキル習熟度が上がれば、同じ時間でも出来る作業量は増加します。例えばExcelで関数やVBAを取得すれば今まで毎月同じ様式の集計とレポート作成を1時間かけて行っていたのを、プログラム作成によって毎月20分に削減することも可能です。
スキルアップを支援する制度として社内勉強会などの学習機会を定期的に提供するほか、専門資格取得に対して手当を出すなどインセンティブを与えるのも良い方法です。スキルアップできる環境づくりを整えることで、社員のモチベーションアップにも繋がります。
生産性向上でやってはいけない3つの取り組み
反対に、企業が生産性向上に取り組む際に、改善すべきポイントについてもご紹介します。
1.長時間労働・残業
長時間労働や残業は生産性を低下させる要因の1つです。労働時間が増加しても生産量が増えるわけではなく、むしろ時間とコストだけが増加して生産量は変わらないことがままあります。1時間当たりの労働生産性は「生産量÷労働者数×労働時間」で表すことができるため、労働時間の増加は生産性の低下に直結します。
前項で取り上げた労働環境改善という点でも、長時間労働・残業は社員の負担増や離職につながるため、社員の心身の健康を守る上でも避けるようにしなければなりません。
2.マルチタスク
マルチタスクとは、複数のシステムを同時並行して実行するコンピューターのことを指します。そこから転じて、複数の作業を同時に並行して行う働き方を指すようになりました。
一度に複数のことができるので効率的のように思われがちですが、マルチタスクは生産性を下げる要因と考えられています。1つの作業に集中しにくいため、逆に効率が落ちてしまうためです。また、同時にさまざまな業務をするため「仕事が進んでいる」という感覚に陥りやすいのも難点です。生産性向上を意識するのであれば、できるだけ複数の業務を担当するマルチタスク化させない人材配置を心がけるのが良いでしょう。
3.個人の生産性を意識しすぎる
前項で個人の生産性を向上すると組織全体の生産性向上につながることを説明しました。しかし個人の生産性にばかり意識を向けると組織よりも自分を優先してしまい、逆に全体の生産性が低下する恐れがあることに注意が必要です。
それらを避けるためには、業務の見える化によって組織内の目標やチーム内のタスク配分などを情報共有することが効果的です。全体のバランスを見ながら自分の仕事を行えるようにすることで、自分だけが良ければいい、という考えを防ぎます。管理者が上手にマネジメントして社員間で連携させることで、より良い成果が得られやすくなります。
生産性向上に役立つツール
企業の生産性を向上するためには、各種ツールを上手に活用するとより効果的です。ツールの提供形態は自社でサーバーを構築するオンプレミス型と、インターネット上で利用するクラウド型に分かれます。導入時のハードルの低さや他システムとの連携の容易さなどから最近はクラウド型が主流となっています。ここでは7つのツールについてご紹介します。
グループウェア
グループウェアとは、ビジネスを円滑に進めることを目的として提供される情報共有やコミュニケーション、スケジュール管理といった機能を搭載したソフトウェア群のことです。サイボウズ Office(サイボウズ)、Google Workspace(旧称G Suite)(Google)、Microsoft365(Microsoft)などがよく知られています。
主な機能は、掲示板、スケジュール共有、ファイル共有、設備・備品管理、Webメールなどです。グループウェアを導入することで、リアルタイムでの情報共有やデータの一元管理ができるようになり、業務がより円滑に進められます。
時間管理ツール
時間管理ツールとは、プロセスにかかる時間を計測してタスクごとの作業時間を可視化するツールです。タイムトラッキングツールとも呼びます。
管理者側では、プロジェクトごと、社員ごとに集計してグラフ化できるため、どれくらいの作業時間がかかったのかが把握しやすくなります。社員側では、毎日タスクにかかる時間を管理することで、時間を意識しながら作業できるようになるほか、比較ができるためムダな時間の見直しにもなります。
さらに集中力アップ効果のほか、タスク単位で時間を計測する習慣をつけることでマルチタスク抑制効果も期待できます。TimeCrowd(タイムクラウド)、Toggl(TogglOÜ)などが良く知られています。
タスク管理ツール
タスク管理ツールとは、プロジェクトを円滑に実施する目的で導入されるツールです。誰がどの作業(タスク)を担当しているか、内容、進捗状況、納期などを管理・可視化します。前述の時間管理ツールがタスクごとの時間を管理するのに対して、タスク管理ツールはプロジェクト内のタスクを管理します。社員の作業進捗状況が一元管理できるほか、チーム間での作業内容共有にもなります。Asana(Asana)、Trello(Atlassian)などが良く知られています。
タスク管理だけでなく、プロジェクト管理機能や分析機能を備えたツールもあるので自社のニーズに合わせて適したツールを選定するとよいでしょう。
コミュニケーションツール
コミュニケーションツールとは、相互の意思を伝え、情報共有を行えるツールを指します。ビジネスチャットが代表例で、テレワークをきっかけに導入したという企業も少なくありません。Slack(Slack Technologies)、Chatwork(Chatwork)などが良く知られています。
リアルタイムでやりとりができ、チーム間でメッセージを共有できるのが特徴です。多くのサービスがビジネス向けに暗号化、ログ管理、権限管理などの機能を備えているので、自宅やサテライトオフィスなどでもセキュリティに配慮してコミュニケーションが行えるのが特徴です。社内コミュニケーションが活性化すれば、業務上の伝達ミスを防ぐことができ、社内全体の生産性の向上につながります。
ビデオ会議ツール
ビデオ会議ツールとは、PCやスマホ経由でインターネットに接続することで遠隔地にいる相手と動画や音声で通話できるツールです。Web会議ツールとも呼ばれます。2020年に入り、新型コロナウイルスの影響による外出制限や企業のテレワーク推進により導入が激増。2019年末には40%あまりだった利用者が、2020年4月末には60%以上に急上昇しました。
(参照:https://www.m2ri.jp/release/detail.html?id=420)
インターネット環境があればどこでも利用できるのがメリットです。Zoom(Zoom)、Microsoft Teams(Microsoft)、Meet(Google)などが良く知られています。
ビデオ会議ツールを活用することで会議の移動時間や日程調整のムダを省くことができ、業務効率化に役立ちます。また見込み顧客獲得のためのウェビナーツールとして活用する企業も増えており、営業ツールとしての役割も果たしています。
営業支援システム
営業支援システムとは、営業の効率化を目的としたデータ管理・分析ツールです。英語ではSales Force Automationで、略してSFAとも呼ばれます。主に顧客管理、見積・請求書作成支援などのほか、データ分析した結果をもとに、営業活動の改善や報告書作成の自動化などを行います。Salesforce(salesforce.com)、eセールスマネージャー(ソフトブレーン)などが良く知られています。
営業支援システムの導入により営業活動が可視化されるのが最大のメリットで、顧客データや営業の進捗など営業状況が共有できます。またシステムを活用することにより、今まで人が行っていた日報やレポート作成の手間が削減するほか、出先からでもデータを入力できるようになるため訪問先から直帰できるようになり営業担当者の労働時間削減にもつながります。さらに分析機能によって効率的に売上拡大、新規顧客獲得などの効果が期待できます。
電子契約システム
電子契約システムとは、従来、紙で交わしていた契約書をインターネット経由でデジタル化したものです。電子契約システムは、クラウドサイン(弁護士ドットコム)、ContractS CLM(ContractS)などがあります。
テレワーク推進に伴い、紙での契約書のやりとりや押印などを電子契約システムに置き換えようという動きが浸透しました。電子契約システムを導入することで、クラウド上での契約書データ一元管理ができるメリットのほか、契約期間締結の短縮化、ペーパーレス実現による契約書の郵送やファイリングが不要になるといった業務効率化が期待できます。
電子契約システムのひとつ、ContractS CLMは、契約書を電子化するだけでなく、契約の進捗や履歴をメンバー間で「タスク」として共有できるので業務の見える化が実現可能です。また、承認フロー構築といったワークフロー機能も担うことができるのも特徴です。
前項で紹介したような各種ツールを自社で導入する際に、導入の失敗やトラブルの発生を防ぐにはどのような点に気を付ければよいのでしょうか。ここでは、ツールを選定する上で確認しておきたい3つのポイントを説明します。
自社のニーズに合っているか
1つ目は、自社の課題に合わせてツールを選定することです。当たり前のことのようですが、意外と自社の課題を把握できていないままツールを導入してしまうことがあります。知名度やイメージでツールを導入してしまうと、期待した効果が得られなくなるので注意が必要です。
まず自社の業務フローを可視化して現状や課題を把握した後で、その課題解決につながる機能を備えたツールを選定するようにします。例えば、自社の課題が「社内で業務連絡ミスが頻発する、部門間の情報共有がうまくいかない」ことであれば、リアルタイムで情報共有ができるコミュニケーションツールを導入するのが適切です。さらに自社のニーズに合わせて役職ごとに閲覧権限を設定できるなど、必要な機能を備えたツールを選定すると良いでしょう。
特に、業務上でボトルネックとなっている部分を解消できるツールを導入できると、一気に生産性が向上できる可能性があります。
使いやすいツールか
2つ目は、社員にとって使いやすいツールを選ぶことです。どんなに高機能なツールでも、使いこなせずに放置されてしまったり、逆にトラブルになってしまったりするケースもあります。またマニュアルや研修などの回数がかさみ、コストが増えてしまう可能性もあります。トライアルなどで社員が試用した意見を集めるなど、慎重にツール選定を行うことが重要です。
さらに、ツール導入後も操作知識を持った部門やスタッフが、不慣れな社員をサポートするような体制づくりも講じるようにしなければなりません。
スモールテストができるか
3つ目は、本導入前にテスト運用ができるツールを選ぶことです。多くのツールでは、無料使用期間を設定しており、その期間を利用して使い勝手や満足度を確認することができます。実際に使ってみないと分からない部分もあるため、まずトライアル期間を利用してから、導入を決定しましょう。
今回ご紹介した3点のほかに、他ツールとの連携や拡張性についても確認しておくと安心です。また全てのツールに共通することですが、データを一元管理できるようになることで、データ分析ができるようになるというメリットも生まれます。それをふまえてツールを導入する際には、独自データでなくCSVなど汎用性が高いデータで出力できるかなどについても確認しておくと良いでしょう。
まとめ
変化に柔軟に対応し、生き残るためにも企業にとって生産性向上は最重要の課題です。組織の在り方や業務の進め方を変えながら、積極的にシステム・ツールを導入して効率化、自動化を推進することで、生産性を向上できるだけでなく、より今の時代にマッチし競争力を持った企業へと変革することができるでしょう。