ノウハウ 電子契約法をわかりやすく解説|押さえるべき2つのポイントとは
更新日:2024年10月17日
投稿日:2020年06月17日
電子契約法をわかりやすく解説|押さえるべき2つのポイントとは
ネットショッピングが当たり前になった昨今、カタログショッピングなどに代表される、郵便などで契約を結ぶことを前提とした「隔地者間の契約」のルールでは不都合が出てきたために、新たに「電子契約法」が定められました。
「電子契約法」とは、「電子消費者契約法」とも呼ばれる、電子商取引などにおける消費者の救済措置を定めた法律です。
とはいえ、言葉を聞いただけでは、どんな法律なのかわからない方が大半かと思います。
▶︎▶︎【無料ダウンロード】電子契約システム導入に向けて検討をしている方におすすめ電子契約システム比較ガイド
この記事では、改めて電子契約法について確認し、押さえておくべきポイントをご紹介いたします。
電子契約の導入で契約業務をスムーズに!
最適な契約管理を実現
契約にまつわる承認フローや相談などのプロセス構築と、関連情報や契約情報をクラウドシステムで管理することで、「契約業務のコストダウン」と、「契約にまつわる漏れやミスの削減」「検索時間の短縮」を実現。
・契約を電子化したい
・承認決裁や捺印・製本作業にかかるコストを削減したい
・過去の契約書の検索のためのタイムロスを無くしたい といった契約業務の課題に対して、ContractSがお答えします。
3分でわかる!ContractS CLM
資料を無料ダウンロード
そもそも電子契約法とは?
電子契約法はの正式名称は「電子消費者契約及び電子承諾通知に関する民法の特例に関する法律」といいます。
どのような内容なのか、改めて確認しましょう。
電子契約法の概要
電子契約法は、「電子消費者契約における錯誤無効制度の特例」ならびに「電子商取引における契約の成立時期の明確化(発信主義から到達主義に変換)」を定めた法律です。
近年増え続けている、インターネットを介したショッピング中に起きた操作ミスの救済や、契約締結とされるタイミングはいつなのかの定義づけをした法律で、2001年12月25日に施行されました。
電子契約法の全文は、以下よりご確認いただけます。
とはいえ、法律に関する文章は難しくてわかりにくいため、次の章ではここだけは絶対におさえておくべき! というポイントを2つご紹介します。
押さえるべき2つのポイント
電子契約法の押さえておくべき2つのポイントを確認しましょう。
ポイント1|消費者の操作ミスの救済
インターネットショッピングや、専用端末での利用申し込みなど、いわゆるBtoC(事業者・消費者間)の電子契約において、消費者側の操作ミスから、本来意図していなかった商品の注文やサービス利用申し込みを行なってしまう場合があります。
例えば、ネット通販ショップを利用時に、1点だけの申し込みをしたつもりが、操作ミスから11点の申し込みをしてしまったというケースなどが想定されます。
この場合、消費者は「錯誤」について定められた民法第95条を活用し、ショップ側に契約の無効を主張することが考えられます。(契約の錯誤無効の主張)
しかしこの規定だけでは、事業者側から「消費者側の操作ミスは重大な過失にあたるため、契約は有効に成立している」と主張されてしまいます。(錯誤無効が「重大な過失」にあたるとの反論)
電子契約法が施行されたことによるメリット
民法では「重大な過失」があったかどうかをめぐって、事業者と消費者間でトラブルに発展する可能性が否定できませんでしたが、電子契約法が施行されたことにより、消費者の操作ミスが救済されることになりました。
具体的な例としては、ネット通販の注文過程において、「注文内容確認画面」など商品名や個数、合計金額などが明記された申し込み内容を消費者が最終確認できる画面を用意するなどの措置を事業者側がとっていなかった場合、消費者側の操作ミスによる誤った申し込みは無効となります。
また別の例として、動画の再生ボタンを押した途端に入会完了画面が表示され、「動画の再生ボタンを押したことによって利用規約に同意したこととみなします」というような注釈があったサイトから金銭を請求されたとします。
この場合も、事業者側が利用規約や契約内容を事前にわかるように提示していなければ、契約は無効とし、利用者は金銭を支払う義務を負わないと考えることができます。
このように、電子契約法が施行されたことによって、消費者側の望まない契約を回避することができるようになったのです。
逆に、注文内容確認画面や利用規約画面を経由して申し込みを行なえば、消費者側が最終確認を怠っていて数量等に入力ミスがあった場合でも、消費者の意思の有無を実質的に確認していると裁判所が判断した場合には正式な申し込みとして契約が有効に成立するため、消費者側もしっかりと確認を行なう必要があります。
事前に留意しておくべき点
電子契約法は、何かしらトラブルがあった際の民事的な解決を目的としています。
全ての案件に対して杓子定規的な解釈がされるわけではなく、個々の案件に応じて裁判所が判断することになるため、過去の判例とは異なる解釈がされることもあることは、事前に頭に入れておくとよいでしょう。
ポイント2|契約の成立時期の転換
通常の契約の成立タイミングは、「申し込み」の意思を発信した瞬間です。ネットショッピングを例に挙げた場合、消費者が申し込み内容の最終確認画面を経由して「注文する」というボタンを押して通知が発信されたタイミングで、売買契約が成立することになります。
このとき、ボタンを押したあとに通信障害等のエラーによって申込者に通知が届かなくても、契約が成立したことになってしまいます。
これに対して、電子契約法では、事業者側が内容を確認し、申込者である消費者に注文承諾の通知が届いた時点、例えばメールであれば、メールサーバーにメール情報が記録され消費者が確認しうる状態になった時点で成立することになりました。
つまり、消費者がメールを開封したタイミングではなく、メールが受信ボックスに届いて開封可能な状態になった時が契約成立タイミングとなります。
電子契約法が施行されたことによるメリット
契約の成立タイミングが明確に定義されたことで、ウェブサイトやメールに記載されたURLをクリックしたことで契約したとみなされる「ワンクリック詐欺」など、利用者が意図していない、または同意していない一方的な契約から利用者が守られることになります。
事前に留意しておくべき点
この契約成立時期の転換については、BtoC(事業者と消費者)の例として挙げておりますが、個人間での取引でも同様となります。
万が一被害にあったときはどうする?
インターネットの普及により、ショッピングも会員登録やチケット等の申し込みも、パソコンやスマホから手軽に行なえるようになりました。
しかし、手軽だからこそのうっかりミスや確認漏れ、または悪意ある詐欺サイトなどを100%防ぐことができないのが現状です。
電子契約法が施行されたことにより、意図しない契約を避けられるようになったものの、万が一詐欺等の被害に遭った時はどうしたら良いのでしょうか?
消費生活センターに相談する
消費者庁が運営している消費生活センターでは、商品やサービスなど消費生活全般の相談を、専門の相談員が受け付けてくれます。
まずは、日本各地にある消費生活相談窓口を案内してくれる「消費者ホットライン(電話番号:188)」に電話をかけてみることをおすすめします。
弁護士に相談する
弁護士に相談というと、料金が高いのではと腰がひけてしまう方も多いかもしれませんが、初回は所定の時間内なら無料相談を受け付けている弁護士事務所も数多く存在しています。
また、国によって設立された日本司法支援センター(通称:法テラス)では、お問い合わせフォームや利用料無料のサポートダイヤルを設置しています。
全国各地に事務所もあるため、面接での相談も可能です。
警察に相談する
明らかな詐欺や、悪質な取り立てなどの被害を受けた場合は、お近くの警察署や、サイバー警察(サイバーポリス)による各都道府県のサイバー犯罪相談窓口に相談しましょう。
まとめ
電子契約法が施行されたことにより、ネットショッピング等で起こりうる、利用者のうっかりミス等による意図しない契約が救済されることとなりました。
また、契約成立のタイミングも、利用者からの申し込み依頼のあと、事業者側が申し込みを受領したことを確認したメール等を発信したタイミングではなく、利用者側に到達したタイミングへと変わりました。
電子契約法によって、従来よりもネットショッピング等を安心して利用できるようになりました。
どんな契約を誰といつ行ない、どんな内容であるかをしっかりと把握しておくことは、消費者としての生活はもとより、社会においては企業間での取引でも重要です。