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ノウハウ 内部統制の強化には承認プロセスの見直しが必要?システムの効果など解説

投稿日:2024年11月21日

内部統制の強化には承認プロセスの見直しが必要?システムの効果など解説

内部統制の強化には承認プロセスの見直しが必要?システムの効果など解説

適切な業務遂行や不正の防止には内部統制の強化が欠かせませんが、具体的に何を・どのように強化すべきなのかに悩む方も多いことでしょう。

内部統制の強化で見直したいポイントとしては、「承認プロセス」が挙げられます。

現状のプロセスにムリ・ムダがあると適切な承認がなされずに業務が進んでしまい、事業活動の健全性に影響が及ぶおそれがあるからです。

 

そこで今回は、内部統制の強化に向けた承認プロセスの見直し方、承認プロセスの見直しに役立つシステムなどを解説します。


内部統制とは

内部統制とは、企業が事業活動を健全かつ効率的に行うための仕組みであり、従業員すべてが遵守すべきルールでもあります。

 

見積書や契約書などの書類で複数の担当者から承認を得る仕組み(ワークフロー)を整備している企業は多いことでしょう。

これも内部統制の一環であり、業務上のミスや不正のリスクを抑えて「コンプライアンス遵守」や「業務効率化」などにつながります。

 

詳細は後述しますが、内部統制は会社法や金融商品取引法といった法律で定義づけられています。

法律上で定義された内部統制を構築していない企業は、事業目標の達成において大きく不利になるだけでなく、ペナルティが課せられる可能性もあるため注意が必要です。

内部統制の重要性・目的

企業はなぜ内部統制を構築するのでしょうか。

その理由としては、以下3つの重要な目的が挙げられます。

業務を効率的に運用するため

自社が事業目標を達成し、企業成長を果たすには業務の目的達成率や生産性を向上させて、時間・人員・資金といった限りある経営資源を合理的に使う必要があります。

 

内部統制を適切に構築すれば、事業目標を達成するまでの道程や資産の分配が明らかになります。

これにより業務プロセスの評価と改善が容易になり、さらなる業務効率化へつなげることが可能です。

財務報告の信頼性を確保するため

財務報告は、企業の信頼性を左右する重要なものです。

正確な報告は社内外からの信用につながる一方で、虚偽申告や粉飾決算があれば投資家や金融機関に対し多大な迷惑がかかり、自社の信用は失墜します。

そのため、内部統制として改ざんを防止しながら財務報告の正確性を保つための仕組み作りが必要です。

法令を順守しながら事業活動をするため

企業の信頼性に大きく影響する要素としては、コンプライアンスもあります。

特に近年企業のコンプライアンス違反に対する目が厳しい傾向にあり、少しのミスが自社の社会的信頼を大きく損なう事態となりかねません。

 

法令や社会的マナーを加味した社内ルールを整備・最適化して内部統制を強化し、安心して事業活動を推進できるように取り組む必要があります。

上場準備のため

上場準備という点においても、内部統制の構築は必要です。

「企業のコーポレートガバナンスおよび退部管理体制の有効性」も上場審査の基準であり、適切な内部統制の有無も審査されます。

 

また、上場企業には内部統制報告制度(通称:J-SOX法)にて内部統制報告書の提出が義務付けられています。

内部統制報告制度は、金融商品取引法に基づいて2008年度から適用された制度です。

内部統制の有効性を評価した報告書を作成し、公認会計士に監査を受けることと定めています。

会社法における内部統制

会社が事業を運営するうえで遵守すべき法律の1つに、会社法があります。

会社法では一定の条件を満たす会社に対して内部統制を義務づけており、対象の会社にもかかわらず内部統制を怠っている場合は、違反とみなされます。

 

なお、内部統制の定義については会社法第362条4項6号にて、以下の通り明記されています。

 

“取締役の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制その他株式会社の業務並びに当該株式会社及びその子会社から成る企業集団の業務の適正を確保するために必要なものとして法務省令で定める体制の整備”

引用:会社法 | e-Gov 法令検索 

 

大本の会社だけでなく、子会社や関連会社にもコンプライアンスを遵守しながらの業務遂行が可能な体制の整備が必要です。

内部統制の観点で見直すべき承認プロセスのポイント

内部統制の強化に向けて業務上の承認プロセスを見直すにあたって、確認すべきポイントは以下の4つです。

証跡の保持の可否

事業における証跡とは、業務プロセスにおいて社内で行われた処理・従業員の行動などに、不正がないかどうかを証明する痕跡を指します。

証跡が残るための仕組みは、業務上の不正・トラブルの防止、そして万が一発生した際に迅速に対応するために重要です。

承認・否認・差し戻しをいつ誰が実行したのか、その都度記録する必要があります。

改ざんの防止策

紙の書類・電子データのどちらにおいても、改ざんのリスクを避けるためにタイムリーに証跡が残るような仕組みづくりが必要です。

トラブルが発生した際、トラブルの元になった人物が隠ぺいのために証跡を改ざんする恐れがあります。

 

また、承認管理の徹底も怠らないようにしましょう。

承認管理が不十分だと、承認権限を持つ担当者になりすまして不当な承認・否認が実行されるリスクを伴うからです。

追跡の可否

残された証跡を必要なタイミングですぐに引き出せるようにすることも大切です。

電子データとしての証跡なら、検索機能を活用してすぐに引き出せます。

しかし紙ベースの承認プロセスなら、ただファイリングするだけでなく効率的に探し出すための工夫が求められます。

データ消失リスクの回避策

過去に実行された申請処理やその証跡を記録できても、消失してしまえば意味がありません。

紙ベースの証跡管理なら書類の保管場所を工夫する、電子データの管理ならバックアップを取るといった対策が必要です。

内部統制強化にはワークフローシステムが有効

内部統制強化につながる承認プロセスの最適化には、ワークフローシステムの活用がおすすめです。

 

ワークフローシステムとは、業務上の決裁や書類(稟議書や契約書など)の申請・承認のフローをデジタル化できるシステムです。

システムに申請ごとの承認の流れを設定のうえ書類を作成・提出すれば、あとは設定した流れに沿って申請手続きが進みます。

 

承認プロセスの大半をシステム上で実行でき、アクションの度に自動的に記録が残るため、内部統制に関わる様々なメリットが得られます。

 

また、簡単に書類を作成できるテンプレート機能や外部システムとの連携機能を備えたシステムもあり、さらなる業務効率化にもつながります。

ワークフローシステムが内部統制にもたらす効果

ワークフローシステムを導入することで、内部統制において以下のような効果に期待できます。

効率的な承認ルート設定

ワークフローシステムを活用する場合は事前にデジタル化する申請の種別を選択し、それぞれの申請に合った承認ルートをシステムに設定しておく必要があります。

その工程を機に現状の明確化と問題点の洗い出しができるため、自ずと承認ルートの効率化につながります。

 

また、会社として事前にチェックしたルートの上で自動的に承認が進むため、業務の一貫性が保たれてコンプライアンス違反のリスクも抑えられます。

一貫性をもって業務が進められることで、管理職や経営者も自社の内部統制を監視しやすくなる点もメリットです。

操作履歴の確実な記録

紙ベースの承認プロセスだと、いつ・誰が・どのように承認の処理を実行したのかという記録が明確に残りません。

人の記憶に頼った方法で管理せざるを得ないため、正確な情報を残せない可能性がある他、記録の改ざんも容易です。

 

ワークフローシステムなら、承認などの処理が実行された時点で自動的に情報が記録されます。

記録された情報は一般のユーザーではアクセスできない場所に保管されるため、改ざんや消去される心配もありません。

各ユーザーはIDとパスワードを使ってログインしなければ操作できず、誰かになりすまして承認が行われるリスクも回避できます。

柔軟な承認プロセス対応

申請の種類によっては複数の担当者による合議で認否を決めたり、特定の条件で承認ルートの一部をスキップしたりと、直線的なプロセスにはならないケースもあることでしょう。

また、組織異動に伴い承認権限を持つメンバーや承認ルートの変更が必要になる可能性も考えられます。

 

このように複雑な承認プロセスの監視や、組織が変化するたびに承認プロセスを見直す作業は管理者に負担がかかります。

 

ワークフローシステムなら複雑なプロセスでも設定したルートから外れることなく承認が進むうえに、簡単な操作で承認ルートの再設定ができます。

状況に合わせて柔軟かつスピーディに対応できる点も、ワークフローシステムの強みです。

スムーズな監査対応が可能

監査が行われる際、過去に承認された書類が必要になることがあります。

紙の書類だと、膨大なファイルの中から1ページずつめくって探す必要があるため、監査対応の準備に手間がかかります。

 

ワークフローシステムなら、申請日や申請者などの情報で絞込検索が可能です。

必要な情報を即時用意できるため、監査対応がスムーズになるだけでなく、統制活動の効率化にもつながります。

ワークフローシステム導入の手順

ワークフローシステムには様々なメリットがありますが、いきなり導入すると現場の混乱を招き、思うように活用されなかったり業務効率が低下したりする恐れがあります。

導入を円滑に進めるためには、事前準備の段階から着実にステップを踏んで進めることが大切です。

 

以下より、ワークフローシステムの導入で押さえておきたい3つのステップを解説します。

承認プロセスの現状と課題を把握する

現状として、どの書類がどのような承認プロセスで決裁されているのかを把握しましょう。

ワークフローシステムによって対応している申請の種類が異なる場合もあるため、自社に合ったシステムを選ぶうえでは現状の把握が必須です。

申請の種類が多い場合は、優先度の高いものからシステムへの落とし込みを目指し、社内に浸透してきたところで別の申請もシステムに落とし込むと円滑に進みます。

システム導入に向けて体制を整備する

ワークフローシステムの導入後に適用する、承認プロセスを整備しましょう。

現状の問題点を踏まえて、効率的に承認が進むプロセスとなるように改善します。

 

また、この段階でシステムを活用する部署や利用者、必要な機能も明確にしておきましょう。

システムは多機能なものほど高額であるため、本当に必要な範囲を絞り込んでおくと無駄な導入コストが発生しません。

導入するシステムを選定する

ワークフローシステムの選定では、以下4つのポイントに注目すると自社に合ったものを見つけやすくなります。

 

・操作性

・申請フォーマットのカスタマイズ性

・外部システムとの連携

・セキュリティ対策

 

どんなに便利なワークフローシステムでも、操作性が悪いと従業員が活用できない恐れがあります。

 

また、すでにExcelなどで申請フォーマットを作成しているなら、そのままシステムでも活用できる機能が備わったものを選ぶと現場に馴染みやすいです。

フォーマットを刷新するなら、作成の手間を省けるテンプレートの内容にも注目しましょう。

 

ワークフローシステムでは個人情報や監査に必要な情報を扱うため、セキュリティ面のレベルも重要です。

不正アクセスによる情報漏洩に対し、どのようなセキュリティ対策を講じているのか確認しましょう。

内部統制の強化なら承認プロセスの見直しを!システム活用で業務効率も向上へ

企業にとって内部統制の強化は重要な取り組みであり、怠ると自社の信用が大きく損なわれる可能性もあります。

内部統制を強化する方法は様々ですが、まずはまずは既存の承認プロセスの見直しを始めてみてはいかがでしょうか。

 

特に紙ベースの承認プロセスは業務の一貫性を保ちにくくなる他、監査対応の準備に手間がかかる、記録の改ざんや正確性における懸念点も否めません。

承認プロセスをデジタル化できるシステムなら、申請から決裁までの効率化や監査対応の迅速化に期待できます。

自社の業務で扱う書類に対応したシステムを導入し、内部統制の強化を目指しましょう。