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ノウハウ 電子化は業務効率化に有効?デジタル化との違いを例と併せて解説

更新日:2024年10月31日

投稿日:2024年10月24日

電子化は業務効率化に有効?デジタル化との違いを例と併せて解説

電子化は業務効率化に有効?デジタル化との違いを例と併せて解説

業務効率化やテレワークの導入などに伴い、従来は人の手で行っていた作業を「電子化」することの重要性に注目が集まっています。

 

とはいえ、具体的に電子化とは何か?電子化と併せて語られることが多いデジタル化とは違うのか?などの疑問が浮かび、どのように行動へ移すべきか悩む方も多いはずです。

 

そこで今回は電子化とデジタル化の違いをはじめ、企業が電子化を進めるメリット・デメリットや導入の流れなどを詳しく解説します。

 

 

電子化とは

電子化とは紙の書類を電子データに変換することで、「ペーパーレス化」とも呼ばれています。

近年は新幹線・映画・コンサートなどのチケットをQRコードにする、確定申告書類をe-taxで提出するなど、あらゆる分野で電子化が進んでいます。

 

電子化は紙ベースの運用にはないメリットが数多くあるため、今後も電子化のさらなる推進が見込まれます。

電子化の必要性

現状として、デジタル技術の進化に伴い国内企業は電子化の推進が求められています。

なぜ企業が電子化を求められているのか、その背景には以下のような理由が挙げられます。

 

・DX推進の足掛かりとして必要

・働き方改革の推進

・少子高齢化による労働人口の減少の対策

 

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、デジタル技術を活用して自社の業務やビジネスモデルに変革をもたらす取り組みです。

国際競争力が低迷している日本の企業が競争優位性を確保するため、DX推進はきわめて重要といえます。

DX推進は非常に大掛かりで難しい取り組みというイメージがありますが、既存業務で用いる書類の電子化もDXの一環です。

 

加えて、多様な働き方に対応する働き方改革や少子高齢化への対策といった事情も踏まえると、今後も企業活動を継続するために電子化の推進は避けて通れません。

電子化とデジタル化の違い

電子化と混同されがちな言葉として、「デジタル化」があります。

 

デジタル化とは、アナログデータを電子データに変換することです。

電子化のように紙媒体を電子データにするのではなく、アナログな方法で管理されているデータを電子上で活用できるようにします。

 

つまりデジタル化は、ただ紙媒体を電子データに変える電子化よりも先のステージを見据えた取り組みということです。

そのデジタル化を進めるにあたって必要な過程に、電子化が含まれていると認識して良いでしょう。

 

以下より、電子化とデジタル化それぞれの具体例をご紹介します。

電子化の例

企業における電子化とは、企業活動を続けるうえで発生する様々な書類を電子データに変換することです。

スキャナ保存やスマホによる撮影などで、紙から電子データに変換します。

 

電子化の対象となるケースが多い書類としては、以下の通りです。

 

・会議の資料や提案書

・納品書や請求書

・稟議書や社内文書

・取引先の名刺

・取引先から届いた契約書

・国税関係の書類

 

なお、納品書・請求書・契約書・国税関係の書類など、企業に保存が義務付けられている書類の電子保存に関しては、「電子帳簿保存法」や「e-文書法」で要件が定められています。

定められた要件に則った方法で保存できるように、電子化の方法を検討する必要があります。

デジタル化の例

デジタル化は、業務で発生するデータの管理や活用を、該当業務に合ったシステムで行うことです。

業務におけるデジタル化の具体例としては、以下のようなものがあります。

 

・電子契約システムで契約締結から契約書管理まで管理する

・ワークフローシステムで稟議書や申請書を効率的に作成・回覧・承認する

・MAツールで顧客情報を管理して営業戦略に活用する

・チャットツールでコミュニケーションの迅速化と情報共有の円滑化につなげる

企業が電子化に取り組むメリット

企業が電子化を進めることで、以下のようなメリットが得られます。

業務プロセスを効率化できる

例えば稟議書や申請書の場合は各承認者へ手渡しで回覧しなければならず、承認者の不在などで決裁までに時間がかかるうえに、進捗を把握しにくいというケースはよく見られます。

また、契約書の場合は作成したら先方へ郵送するか対面して手渡しで内容を確認してもらう必要があるため、確認に至るまでのタイムロスはどうしても発生します。

 

上記のような社内での回覧や社外とのやり取りが必要な書類を電子化すれば、メールやチャットツールなどを使えば一斉に複数の担当者へ共有することが可能です。

 

さらにワークフローシステムなどで承認フローそのものをデジタル化すれば、決済までの時間短縮につながるだけでなく進捗状況もリアルタイムで把握できます。

コスト削減につながる

紙の書類を作成するにあたって、用紙代・印刷代・郵送代といったコストを伴う他、書類によっては印紙代も発生します。

1つ1つの金額は小さくとも、毎日のように様々な案件ごとに書類を作成するとなれば、トータルコストは決して安い金額に収まりません。

 

また、保管する書類の量が増えれば保管に必要なスペースを設けたり、キャビネットやファイルなどを揃えるためのコストもかかります。

 

書類を電子化すれば、すべての書類を自社のサーバーやクラウドサービス上に保存・共有できるため、コスト削減につながります。

検索性が向上する

業務で使用する書類を紙で管理するとなれば、後で必要な書類を探す際に膨大なファイルの中から1枚ずつページをめくって確認する必要があります。

書類を探す作業で時間を消費して業務効率の低下を招くうえに、書類の数が増えるほど紛失や破損のリスクが高まるため、その対策も講じなくてはなません。

 

書類を電子化のうえ共有サーバーやクラウドストレージに取り込めば、検索機能で必要な書類を誰でも即時確認できます。

テレワークに対応できるようになる

業務に必要な書類をオフィスの外へ持ち出せないため、テレワークを導入しようにも思うように進まないという課題の解決にも、電子化は有効です。

書類を電子化し、クラウドサービスでで閲覧・共有・管理できるようにすれば、自宅などオフィス以外の場所でも従来と同じように業務の遂行が可能です。

電子化の際に注意したいデメリット

電子化には多数のメリットがある一方で、以下のデメリットが発生する可能性も念頭に置いて対応を進める必要があります。

書類によっては法律に則った方法での電子化が必要

企業が取り扱う書類の中には、法律で一定期間の保存が義務付けられているものがあります。

先述したように、保存義務がある書類を電子保存する際は「e-文書法」や「電子帳簿保存法」で定められた要件を確認しましょう。

 

例えばe-文書法では、対象書類の電子保存に関して以下の4つの要件を満たすことと定められています。

 

・見読性

・完全性

・機密性

・検索性

 

また、電子帳簿保存法では会計帳簿や国税関係書類の電子保存に関して、以下2つの要件が定められています。

 

・真実性の確保

・可視性の確保

 

各法律の要件を満たさずに書類を電子保存すると、青色申告が承認されない・会社法に基づく過料を科せられるといったペナルティを伴うため、注意が必要です。

システム導入のためにコストがかかる

電子化を進めると書類作成や郵送に伴うコストは削減されますが、まとまった初期費用がかかります。

導入時に必要な費用としては、新しいシステムの導入費用・システムの運用保守費用・スキャナーやサーバーなどの機器の購入費用などがあります。

 

電子化の推進に伴うコストと運用の継続により削減できるコストを照らし合わせ、費用対効果を意識しながらシステムを選ばなくてはなりません。

既存の業務フローに見直しが必要

紙の書類ありきで回っていた業務で電子化を進めるとなれば、多少なりとも既存の業務フローの変更が必要です。

とはいえ、長年同じフローで業務を行っていた従業員にとっては、新体制に対して抵抗感や不安を覚える可能性もあります。

 

従業員に対するフォローも考慮しながら電子化を進めないと、従業員のモチベーションが低下したりシステムが有効活用されなかったりといった結果に陥ることが見込まれます。

システム障害のリスクを伴う

電子保存した書類は、サーバーやクラウドサービスが正常に稼働していなければ閲覧できません。

システム障害やハードウェアの不具合などが生じると、保存しているデータの確認や共有などができなくなり、業務が進まなくなります。

最悪の場合、トラブルの影響を受けてデータが消失するリスクもあります。

 

電子化の導入を進めるなら、万が一のトラブルに備えてバックアップを取ったり、十分な運用・保守体制を検討したりすることも重要です。

セキュリティリスクを伴う

システム障害だけでなく、情報漏洩・不正アクセスといったセキュリティリスクにも注意が必要です。

電子化した書類の保存場所の脆弱性を狙ったサイバー攻撃により、経営に関わる書類や契約書、顧客情報など機密情報が含まれたデータが漏出・改ざんされる可能性があります。

また、外部とデータをやり取りする際、送信先を誤るなどのヒューマンエラーも情報漏洩の原因となりがちです。

 

電子化の推進に伴い、データの保存先となるサーバーのセキュリティ対策を強化する、セキュリティレベルの高いシステムを選ぶなどの対策を取りましょう。

自社に電子化を導入する5つのステップ

上述したデメリット・リスクを避けて電子化を推進するなら、以下のステップに沿った進め方がおすすめです。

電子化の目的を明確にする

やみくもに紙の書類を電子化しても、「効率的に電子化が進まない」「業務改善につながらない」という新たな壁に直面し、電子化のメリットも十分に得られません。

電子化はあくまで業務改善やデジタル化・DX推進の足掛かりとなる「手段」であり、「目的」ではありません。

 

まずは自社が抱えている現状の課題を洗い出し、電子化を通じて達成したい目標・目的を定める必要があります。

電子化する書類を決める

目的と併せて、電子化の対象となる書類を決めましょう。

ただし一度にすべての書類の電子化を進めようとせず、必要最低限の範囲から着手することをおすすめします。

電子化の範囲を広げると、その後の業務効率も大幅に向上する可能性はありますが、電子化の完遂に至るまで多くの時間・コスト・労力を費やすからです。

 

また、電子保存が法的に認められていない文書もあるため、電子化の対象は正しく選別する必要があります。

電子化したデータの保管方法を決める

電子化したデータの保管場所としては、自社サーバーや外部の事業者が提供しているクラウドサービスなどがあります。

 

自社サーバーは自社の業務に最適な形にカスタマイズできる他、社内ネットワークを介してデータを扱うため、セキュリティの高さにも期待できます。

ただし運用にコストがかかる点、リモートワークの実施が難しい点はデメリットです。

 

クラウドサービスは自社での運用・保守が不要かつ、低コストで導入できるというメリットがあります。

デメリットとしては、セキュリティレベルの高さは提供事業者側の意識によって変わる点です。

 

電子化の目的に合わせて、運用しやすい保管場所を選びましょう。

運用ルールを策定する

運用ルールの策定で決めておきたい内容は、以下の通りです。

 

・ファイル名と形式

・ファイルごとの保存先(ストレージやフォルダなど)

・アクセス権限

・データの廃棄ルール

・データの解像度やカラー

 

特に、データの解像度・カラーやアクセス権限などはe-文書法の要件に関わるポイントです。

電子化の対象書類に関わる法律で定められた要件を確認しながら、正しく保管できる運用ルールを検討しましょう。

電子化の方法を決める・実行

運用ルールを策定したうえで、書類を電子化する方法を決定します。

 

最もスタンダードかつ手軽に実行できる方法はコピー機によるスキャンですが、書類のボリュームが多いとすべてを電子化するまでに時間がかかります。

従業員だけでは対応しきれない場合は、アウトソーシングの利用も検討しましょう。

 

電子化の方法が決定したらいよいよ実行となりますが、従業員のITリテラシーが低いまま実行するとシステムを活用できない他、故意的またはヒューマンエラーによる情報漏洩が発生するリスクを伴います。

電子化の前に、システムの利用方法や情報の取扱いに対する意識を身につけてもらうための研修も実施しましょう。

DX推進が求められている今こそ電子化対応を!自社に合った電子化システムで業務効率化へ

電子化とは、紙の書類をスキャナ保存などで電子データに変換することです。

業務効率化・DX推進に必要な、デジタル化を進めるうえで行う過程の1つともいえます。

他にもコスト削減や検索性の向上といったメリットがありますが、法律で要件が定められている場合がある点や、初期コストがかかる点などには注意が必要です。

本記事で解説したステップも参考に電子化を進め、ある程度運用を続けたらデジタル化によるDX推進も視野に入れましょう。

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