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ノウハウ 法務案件管理はリーガルテックで効率化できる?効果的な運用方法も解説

投稿日:2024年10月24日

法務案件管理はリーガルテックで効率化できる?効果的な運用方法も解説

法務案件管理はリーガルテックで効率化できる?効果的な運用方法も解説

法務案件管理は、企業にとって法的リスク対策を講じるうえで重要な業務です。

その一方で複雑化や業務量の増大といった課題に直面しやすく、適切な管理が難しくなり法的リスクが高まる恐れもあります。

 

そこでおすすめな手段が、「リーガルテック」の活用です。

今回は法務案件管理におけるリーガルテックの役割や、リーガルテックの導入に役立つ情報を分かりやすくお伝えします。

 

 

案件管理とは

案件管理とは、一般的に取引先や営業進捗の情報を可視化したうえで、記録・管理することを指します。

 

主に営業部門における案件の進捗を記録・管理する業務に用いられる言葉ですが、法務でも「案件管理」は発生します。

法務における案件管理の必要性

法務における案件管理とは、主に以下のような案件に関する情報を管理する業務です。

 

・契約書案の作成依頼

・法律に関する相談

・契約相手から提示された契約書の確認・修正案の作成

 

法務では、上記の依頼を日々メール・チャットツール・口頭などで受けることが多いです。

そのため過去に誰が依頼した・どんな案件が・どこまで進んでいるかを明確に確認できなと、対応する中で必要な情報をすぐに引き出せず、法務プロセスの遅滞を招く恐れがあります。

 

また、情報の煩雑化により過去の類似案件の対応を参照することも難しくなり、法務サポートの一貫性が損なわれる点にも注意が必要です。

 

そのような事態を防ぐためにも、法務に寄せられた様々な依頼の内容や進捗状況といった情報を一元管理することが大切です。

法務で案件管理に関して抱えがちな課題

企業が成長するほど法的リスクも大きくなり、効率的な法務プロセスの確立が難しくなります。

これに伴い法務が直面する案件管理の課題も増えていくため、あらかじめ法務の案件管理で起こり得る課題を理解し、改善策を定めておくことが大切です。

 

法務の案件管理において特に多くみられる課題としては、以下のようなケースが挙げられます。

案件が複雑化する

法務の契約書レビューは、ただ法知識に沿って内容を確認し、修正すれば良いという単純な業務ではありません。

 

まずはどのような観点で契約書をレビューすべきか定めるために情報を収集し、論点を整理します。

具体的には自分や他の法務担当者が取り扱った過去の案件の中に、当該案件と類似したものはないかを確認、類似したものがなければ判例や専門家による見解が示された外部資料などをリサーチするといった作業です。

 

また、必要に応じて顧問弁護士へのチェック依頼も行います。

 

これだけの工程が含まれる契約書レビューでは、必要な情報を効率的に引き出すための情報基盤が重要です。

 

しかし案件管理の手法を最適化していないと、必要な情報が散らばって収集に時間がかかり、対応が遅れたり契約書の中に含まれたミス・リスクを見逃したりする恐れがあります。

法務部門の規模拡大に伴う人手不足

取り扱う案件の数が増えて複雑化すると、法務部門が被る業務負担も相応に増大します。

また、法的サポートの整合性を取るために過去案件の情報を引き出せる環境を整えるには、法務部門の規模拡大を伴います。

 

法務部門の規模が拡大すれば当然ながら必要な人員の数は増えますが、法務に相応しいスキルを持つ人員の確保は難易度が高いです。

人員確保に苦戦している間も既存の担当者には大きな業務負担とストレスが蓄積され、退職に至り人手不足がさらに深刻化するケースも考えられます。

ナレッジの蓄積と活用ができていない

近年は新型コロナウイルスの流行や「働き方改革」の影響を受け、国内企業でテレワークの普及が拡大しています。

 

2020年にBUSINESS LAWYERSが行った「法務担当者のリモートワークに関するアンケート」によると、アンケート対象となった企業・団体の法務パーソンのうち、86%が「在宅勤務を実施している」と回答しました。

法務部門とテレワークの相性は良く、他の部署に比べて導入しやすいことを裏付ける結果となりました。

 

その一方で、テレワークの導入に伴い「ナレッジの共有ができない」という課題が浮き彫りになるケースも珍しくありません。

案件対応の記録などの情報を集約する場がないため、法的な判断に遅れが生じたり、法務知見が属人化したりといった弊害が生じます。

リーガルテックによる法務案件管理の課題の改善策

法務案件管理の課題の改善策としては、「リーガルテック」の活用が有効です。

 

ここでは、リーガルテックの詳細や法務案件管理における役割について解説します。

リーガルテックとは

リーガルテックとは「法律((Legal)」と「技術(Technology)」を組み合わせた言葉で、主に法務の効率を向上するためのITシステムなどを指します。

 

具体例としては、以下のようなシステムがリーガルテックと呼ばれます。

 

・電子契約システム

・文書管理システム

・契約書レビューシステム

・リーガルサーチサービス など

 

以下の記事では、リーガルテックに分類される各システムの機能・メリット・デメリットの他、契約書レビューの活用時に知っておきたい、法律との関連性なども詳しく解説しています。

こちらも併せてご覧ください。

 

リーガルテックとは?国内の市場規模や種類ごとのサービスなど解説

法務の案件管理におけるリーガルテックの役割

法務案件管理においてリーガルテックは、以下のような機能で効率的な管理をサポートしてくれます。

 

・案件をシステム上で一覧化する

・類似案件や契約書情報を自動でレコメンドする

・法務相談の経緯や回答を記録・管理する

・同システム内で社内外でのやり取りを集約する

・契約書のレビューや契約締結  など

 

多くの企業では、法務の案件管理をExcelやスプレッド―シートで手入力するという方法を用いています。

これらは低コストかつ多くの従業員になじみがある反面、管理項目が増えると容量が増大して使いにくくなる点がデメリットです。

また、Excelの場合は複数人で同時に作業することが難しく、複数の担当者が関わっている案件の場合はそれぞれがリアルタイムに情報を更新できないという弊害も生じます。

 

リーガルテックなら法務相談から契約書審査依頼まで、あらゆる案件を一元的に管理することが可能です。

同じシステムに案件関連の情報がすべて集約されるため、案件管理の複雑化やナレッジの属人化といった問題の解消につながります。

 

また、サービスによっては連携機能により、他のサービスの情報が自動的に転記されるため、入力ミスの回避や業務負担の軽減といった効果も期待できます。

リーガルテック導入に際して立ちはだかるハードル

リーガルテックは法務案件管理の課題解決に有効な一方で、導入に際して考慮すべきポイントがいくつかあります。

特に、以下3つのポイントを考慮のうえリーガルテックの導入を検討しましょう。

既存システムとの相性

よくある失敗例として、便利なシステムを導入しても既存業務の環境との整合性がないために現場になじめず、思うように活用されないというケースがあります。

新しいシステムの導入について情報システム部門と十分に情報共有ができず、既存システムとの相性やセキュリティ面などのハードルを理解しないままシステムを導入してしまった際にありがちなケースです。

 

また、法務案件管理に利用されるリーガルテックの場合、他のリーガルテックだけでなくコミュニケーションツールやワークフローシステムとバッティングして、棲み分けが曖昧になってしまうこともあります。

現場からの反発

法務案件管理に活用するシステムの導入は、法務部門だけでなくほとんど全社規模に影響を与えます。

そのためシステム導入に伴う業務フローの変更について、法務担当者からは納得を得られても、関係する他部門から反発が生じるケースがあります。

 

特に多い反対意見としては、「新しいシステムを使いこなせるか不安」「長く続けてきた業務フローを変えられたくない」などです。

 

ただ法務部門内だけの使い勝手を考えてシステムを導入すると、上記のような反発が起こりやすくなります。

セキュリティ面の懸念

数々の機密情報を扱う法務案件管理の作業をデジタル化するにあたって特に懸念すべき点が、セキュリティリスクです。

具体的にはシステムの脆弱性・バグを狙った不正アクセス、ネットワークを通じた不正アクセス、内部の人間によるデータの持ち出しといったリスクがあります。

 

顧客や取引先も関わる機密情報が漏えいすれば相手に多大な迷惑をかけるだけでなく、自社の信用も失墜して今後の企業活動に大きな悪影響がもたらされます。

導入するリーガルテック選定時のポイント

リーガルテックの導入に失敗しないために知っておきたい、選定時に重要な3つのポイントを解説します。

利用目的に合った機能の有無

先述したように、一口にリーガルテックと言っても多種多様なシステムがあります。

システムによって備わっている機能や活用に適した領域は異なるため、自社が求める機能の有無は必ず確認しておきましょう。

これは、既存のシステムと機能性が重複してしまう事態を防ぐためにも押さえておくべきポイントです。

既存システムとの連携の可否

現在使用しているシステムとの連携に対応しているかどうかも、確認すべきポイントです。

特に契約関連の業務は一連の営業活動の中で発生するため、一連の業務フローを考慮しながら、営業部門も関わるシステムとの連携を前提に導入を検討しましょう。

 

リーガルテックは多くの場合無料トライアル期間を利用できるため、試しに現場へ取り入れて使用感を確認してみるのもおすすめです。

セキュリティ対策

法務案件管理においては、セキュリティレベルの高いリーガルテックを選ぶべきです。

システムによって採用されているセキュリティ対策は異なりますが、一般的には以下のような機能が搭載されています。

 

・ISMS 認証 (ISO27001)

・通信経路の暗号化

・第三者脆弱性診断の実施

・IP制限

・MFA (多要素認証)

・ファイアウォールによる不正アクセス対策 など

 

上記のようなセキュリティ対策を多層的に備えている、定期的にセキュリティアップデートを適用しているといったシステムなら、セキュリティレベルが高いといえます。

リーガルテックの効果的な運用方法

システム選びだけでなく、運用方法にも法務案件管理の課題解決の可否を左右するポイントがあります。

事前準備から導入後まで、以下のポイントを意識しながら進めて行きましょう。

事前に導入の目的を明確にする

リーガルテックで法務案件管理を効率化するには、まず自社が抱えている課題やリーガルテックを活用する目的を明確化する必要があります。

目的が曖昧なままシステムを導入しても、課題がないにのみアプローチする形となり、課題の根本的な解決には至らないからです。

 

自社が解決したい課題に加え、導入後の効果はどれだけ見込めるのか、費用対効果はあるのかといったポイントも加味しながら計画を立てていきましょう。

他社の導入事例を参考にする

初めてリーガルテックを導入する場合、具体的にどのような効果が見込めるのかが分からない方もいることでしょう。

その際に役立つものが、他社の導入事例です。

 

自社と似た企業規模、業務フローにリーガルテックを導入した他社の事例を見ることで、導入後のイメージがより鮮明となります。

リーガルテックの提供事業者は導入事例を公開していることが多いため、サービス情報のチェックと併せて見てみると良いでしょう。

まずはスモールスタート

当初は自社に合っていると思って導入したシステムも、実際に使ってみると「使い勝手が悪い」「既存システムとの連携がうまくいかない」といった欠点が見つかるケースもあります。

 

そのリスクを考慮し、いきなり大規模な範囲で運用を試みるのは避け、スモールスタートする方が賢明です。

万が一導入後に問題が発生しても、規模が小さければスムーズに原因を特定でき、他のサービスへの乗り換えも容易にできます。

フォローアップを継続する

システムは導入したら終わりではなく、定期的な効果測定も必要です。

現場からのフィードバックを積極的に集め、問題点・改善点があれば運用方法の修正を行います。

これにより、システムが持つ効果を最大限に引き出せるようになります。

 

また、自社の成長や社会情勢の変化などに合わせて、法改正・新しい法律への対応やユーザーの使いやすさを追求したアップデートも継続しましょう。

 

法務案件管理の課題解決にはリーガルテックの活用を!

法務案件管理は企業にとって極めて重要な業務である一方で、企業が成長するほど複雑化しやすく、多くの課題が立ちはだかります。

そのため、法務案件管理を適切に・効率的に行えるリーガルテックを活用しましょう。

リーガルテックに含まれるシステムは様々ですが、まずは自社の現状を把握して目的を明確化し、現場との相性やセキュリティなども考慮しながら選びましょう。