ノウハウ 業務プロセス改善の目的とメリット。業務プロセスを見直すには?
投稿日:2024年10月17日
業務プロセス改善の目的とメリット。業務プロセスを見直すには?
業務プロセスの見直しを行うことで無駄を排除し、業務効率化を実現できます。しかし、その改善を効率的に進めるためには、明確な手順とポイントを抑えることが重要です。
本記事では、業務プロセス改善の具体的な手順や重要性、進めるメリットを紹介し、さらによくある課題とその対策、改善効率を上げるためのツールやシステムについてもまとめます。
業務プロセス改善とは
業務プロセスとは、業務目標達成のためにルールや手順に従って進める業務の流れのことです。
業務プロセスの改善は、業務効率化やコスト削減に向けて既存のプロセスを見直し、新たに作業の手順や工程を構築することです。業務を完了させるまでのムリ・ムラ・ムダをなくし、リソースを有効活用するために実施されるものでもあります。
組織の課題や取り巻く環境変化に応じて定期的な見直しが求められます。
重要視される背景
業務プロセスの改善は、企業の成長と共に複雑化しやすい業務プロセスをシンプルにするために重要視されます。
事業拡大によって業務範囲が広がり、タスクが増え業務工程が増加すると業務プロセスは複雑になりやすいです。複雑な業務フローの中には、無駄な工程や重複した作業が含まれることがあります。
業務の無駄をなくす手段として、業務プロセスの見直しは有効です。
増員したくても人材が集まらない企業は少なくありません。限られた人員でスピーディーに業務を進めるには、無駄をなくして業務効率化を図ることが求められます。
業務プロセスの改善で工程がシンプルになれば、効率的に業務を進めやすくなります。
業務プロセス改善の手順
- プロセスの可視化
- 問題の特定と改善策の策定
- PDCAサイクルの活用
- 適切なIT技術導入と効率化
プロセスの可視化
業務工程の見える化によって、業務プロセスの問題を突き止められます。
契約業務の場合を例にとると、下記のように整理します。
- 契約書作成
- 内容確認
- 修正版の作成
- 承認
- 合意締結
各工程の具体的な作業内容と手順、担当者についても把握できるように詳細を調査していきます。
問題の特定と改善策の策定
業務プロセスの見える化で、プロセスに潜む問題が浮き彫りになります。
先の契約業務の例で言うと、下記のような課題が考えられます。
- 承認フローをよく誤り、差し戻しが月間XX回発生している
- 交渉に時間がかかる
- 審査に時間がかかる など
課題の特定には業務担当者へのヒアリングもおすすめします。ヒアリングは業務に携わらない人が担当できると理想的です。直属の上司だと課題に感じていることや進め方の不満を伝えにくく、問題が見えにくいためです。
課題を洗い出したら、解決して実現したいことを念頭に置きながら改善策を考えます。
例えば「負担を軽減しながら重要業務にかける時間を増やしたい」場合、マニュアルがあれば進められる書類作成やデータ入力については外注するなどの案が出そうです。
PDCAサイクルの活用
施策が一度で上手くいくとは限りません。そこで、実施後は改善が見られたか、新たな課題は見つかったかなどを振り返ることが大切です。
施策の効果が見られない、また、新たな改善策が必要と思われたら、問題を特定して対策を立案・実行し、新しい施策について分析するという流れを繰り返します。
適切なIT技術導入と効率化
ITツールは業務プロセス改善に用いられることが多いです。自動化できる工程の自動化をサポートするため、ヒューマンエラーを減らしながら効率化を図れるためです。
例えば「契約書の作成から締結までの効率化を図りたい」「チェック業務のヒューマンエラーを減らしながら効率アップしたい」ために、一元管理と自動化のできるツールを導入するなどです。
業務プロセスの現状分析
業務プロセスの現状分析は、業務改善の基盤を築くために欠かせない重要なステップです。この分析を通じて、現在の業務フローやプロセスを詳細に把握し、問題点や改善の余地を明確にすることが求められます。
現状把握と分析手法
業務プロセスを図式化、各ステップや関連するタスク、担当者、情報の流れを明確にします。これにより、全体の業務フローが把握しやすくなり、どの部分がボトルネックになっているかを特定できるようになります。
次に、業務に関連する定量的データを収集します。作業時間やエラー発生率、コストなどのデータを集めることで、業務のパフォーマンスを客観的に評価し、効率的なプロセスの特定が可能になります。このデータをもとに、業務上の課題を特定することができます。
業界内の競合他社やベストプラクティスと自社の業務プロセスを比較することも有用です。競合他社がどのように業務を運営しているかを知ることで、自社の改善点や新しいアイデアを得ることができ、分析をさらに深めることができます。
現状分析を進めるにあたっては、まず目的を明確にすることが大切です。何を改善したいのかを具体的に設定し、その目的に応じて分析の範囲や手法を決定します。データ収集と整理を行い、定量データと定性データを組み合わせて評価します。この段階で、収集したデータを基に業務プロセスを評価し、具体的な課題を特定します。
その後、現状分析の結果をまとめたレポートを作成し、分析結果や特定した課題、改善の必要性を示します。このレポートを関係者と共有し、意見交換を行うことで、理解と協力を得ることができ、今後の改善活動がスムーズに進むようになります。
優先順位の検討方法
全ての課題を同時に解決することは大変です。そこで、改善に取り組む優先順位に基づいて進めることをおすすめします。
具体的には、改善にかかる日数と工数、見込まれる効果を基に優先度を考えます。
KPIも設定しておくと振り返りの参考になります。
KPIとはKey Performance Indicatorの略で「重要業績評価指標」という意味です。取り組みの目的が明確になり、統一した基準でプロセスを評価できます。
業務プロセス改善の課題と解決方法
よくある課題例と対策を知ると、自社の取り組みの参考になります。
業務プロセス改善にはPDCAサイクルが欠かせないことは既に紹介していますが、どのように施策の立案・実行と改善を繰り返せば良いのか補足します。
よくある課題例と対策
- どのように評価・効果測定すれば良いか分からない
- 従業員の協力を得られない
上記は業務プロセス改善に取り組む際に挙げられることの多い課題です。この課題にはどのように対処すれば良いのでしょうか。
どのように評価・効果測定すれば良いか分からない
評価の基準や施策前後で何の変化を見るか定まっていないと、改善策が上手くいっているか否か判断できません。
業務プロセスのどこを見て、何をもって改善したと見なすか事前に設定しておくことが必要です。
目標があいまいなために改善できているか分からないケースもあります。
何を目標に業務改善を目指すのか具体的でないと、何を工夫すべきか分かりません。結果、取り組みの効果があるのか、施策を見直すべきかの判断を難しくします。
業務効率アップ、ペーパーレスの促進など、目標は具体的に設定しましょう。
協力を得られない
中には従来の慣れたプロセスを変えることを望まない人もいるかもしれません。
業務プロセス改善に取り組む理由やメリットを知らないことが、プロセスの変更に非協力的になる原因のひとつです。
業務プロセスを改善すべき理由や改善すると良いことを周知し、納得してもらう活動を行いましょう。
PDCAの取り入れ方
業務プロセス改善には試行錯誤が付き物です。目標設定などの際には以下を意識するとPDCAに沿った取り組みとなります。
- 現状把握と具体的な目標設定:Plan(計画)
- 計画に基づく具体的な改善策の実施:Do(実行)
- 実施した施策の評価と効果測定:Check(確認)
- 評価結果に基づいて目標や改善策を再設定し、次のPDCAサイクルに反映:Act(改善)
業務プロセスの見直しのメリット
- 業務効率化と生産性向上
- リスクマネジメントと法令遵守
- DXと業務プロセスの進化
業務効率化と生産性向上
業務プロセスの見える化で無駄な工程に気づけます。ツールを使って自動化した方が良い工程などを洗い出すこともできます。
無駄な工程をなくしたりツールを活用したりすると、完了までにかかる時間が短縮されます。業務効率が上がったということです。
業務に費やす時間を減らしてもこれまでと同じかそれ以上の成果を出せれば、生産性も高まった状態と言えます。
リスクマネジメントと法令遵守
業務プロセスの見直しは、業務上のリスクの発見にもつながります。
例えば属人化している業務があれば、業務を担う方が不在の時には進行の遅れや対応ができないなどが生じることが分かります。
契約書を修正せずに締結して自社に不利な条文が含まれていたり、法改正に対応せずに法令違反の内容となっていたりすると、損害賠償請求や信用問題などに関わります。
文書の不備やリーガルチェックをツールと人の目のダブルチェック体制とすることで、従業員の負担を軽減しながら法令を守るプロセスが実現します。
DXと業務プロセスの進化
経済産業省の資料を読むと、DXはビジネスモデルの変革も求めていると分かります。
DX推進の一環としてデジタルツールを活用する場合、既存のプロセスやツールではDXの目標を達成できないとなれば、ツールの入れ替えと、システム変更に伴うプロセスの変更も実施することになるはずです。
DXがきっかけで、より最適な業務プロセス構築を期待できます。
DXはデジタルツールによって自社の課題を解決するだけにとどまらず、デジタルツールを利活用して新しい価値を生み出すことを目的としています。
従来の業務プロセスが効率化されると、データ分析の時間を設けやすくなるでしょう。データの収集と分析を自動で行うツールも利用すれば、顧客のニーズをスムーズにとらえやすく、新商品・サービスのヒントとなります。
改善効率を上げるポイント
業務可視化ツールやクラウドサービスの活用で、業務改善の取り組みをスムーズに進められるでしょう。
業務可視化ツールの活用
業務プロセスや進捗を視覚的に把握できるシステムによって、時間のかかる工程や属人化している業務をすぐに把握しやすいです。
例えば業務の流れを管理するワークフローシステムは、業務可視化に使えるツールのひとつです。
クラウドサービスの活用
業務改善としてペーパーレスの促進やリモートワーク導入で場所を問わず業務を進められる体制の整備などに取り組んだら、クラウドサービスが欠かせません。
データの一元管理、スムーズな情報共有、データを同時に閲覧できることなどは、業務改善をスピーディーに進めます。のみならず、改善策の効果を高めるサポートをすることも期待できます。
まとめ
業務プロセス改善は、業務の効率化や生産性向上だけではなく、リスクマネジメントと法令順守、DXへの対応などに不可欠です。
プロセスの可視化によって現状を正しく把握し、適切な改善策を講じることが、業務改善の第一歩です。
現在の業務プロセスに課題を感じているなら、見直しが必要と思われます。業務改善の課題例と対策、効率的に改善を進めるポイントも参考にしながら、改善に取り組んでみてください。