ノウハウ 業務効率化のためのIT化とは?例やツールの選び方など解説
更新日:2024年10月17日
投稿日:2024年09月24日
業務効率化のためのIT化とは?例やツールの選び方など解説
業務効率化を目指すなら、対象の業務に合ったツールを導入して「IT化」を進めることをおすすめします。
しかし業務効率化に役立つITツールは数多く存在し、自社に合ったものはどれなのか、どのように活用すれば良いのか分からない方もいることでしょう。
今回は業務効率化につながるIT化の活用方法や進め方、自社に合ったITツールの選び方などについて解説しますので、参考にしてみてください。
IT化とは
IT化とは、情報技術(IT)を導入して業務やサービスなどの効率を改善させる取り組みです。
近年はチャットツール・会計システム・電子契約システムなど、様々なツールが登場しています。
このようなツールを導入し、従来はアナログで行っていた業務をデジタルで行えるようにします。
IT化は、「DX(デジタルトランスフォーメーション)」と混同されることもあります。
DXはデジタル技術を活用し、ビジネスモデルに変革をもたらすという目的のもと取り組むものです。そのため、IT化はDXを進めるための手段のひとつといえます。
IT化の主な目的は「業務効率化」
IT化の主な目的は、アナログ作業からの脱却による業務効率化です。
デジタル技術で作業を自動化したり、無駄な工程を省いたりすることで、業務にかかる時間・労力を短縮しつつ正確性も担保できます。
IT化で業務効率化に成功すれば、人件費などのコストを最小限に抑えつつ大きな成果を生み出せる「生産性の向上」にもつながります。
また、従業員の業務負担も削減できるため労働環境の改善につながり、従業員満足度の向上や人材流出の改善という副次的なメリットも得られます。
ITを活用した業務効率化の例
ITによる業務効率化の例としては、以下のようなケースがあります。
・オンライン上で業務に関わる連絡や情報共有を行う ・同一のシステムで従業員の情報を一元管理し、給与計算などの作業を省略する ・紙の契約書から電子契約書に移行し、作成や管理にかかるコストをカットする ・システム上で工場の稼働状況や生産状況をタイムリーに把握する ・クラウド上で会議資料や書類を共有する |
デジタル技術は、職種・業種を問わずあらゆる領域に取り入れられます。
効率化したい業務に合わせてツールを選び、上手く活用すれば業務効率化につなげることが可能です。
企業がIT化を進めるメリット
企業がIT化を進めることで、以下のようなメリットを得られます。
業務の自動化で負担を軽減できる
IT化を進める最大のメリットは、従来は手作業で行っていた業務を自動化できることです。
例えばデータ入力、メール作成・送信、従業員に共有する資料や書類のコピー・回覧、売上の集計作業などは、単純作業とはいえ膨大な量になれば負担も相応に増大します。
ITツールなら、これらの単純作業や定型的な作業を自動化することが可能です。
従来は数時間かかっていた業務を数分で完了できる場合もあり、大幅な時間短縮と業務負担の軽減につながります。
結果として従業員は重要な業務に集中しやすくなり、生産性が向上します。
適切な情報の管理と共有ができる
IT化により情報をデジタルデータとして保管できるため、紛失のリスクや社内共有の際のわずらわしさも解消できます。
情報の管理や共有を紙ベースで行うと、回覧のために書類をコピーする・直接手渡しする・ファイリングで保管するという作業が発生します。
情報のボリュームや共有する範囲によっては、膨大な時間と手間がかかります。
また、書類を適切にファイリングしなければあとから確認する際に探しにくくなるだけでなく、持ち出しによる紛失や情報漏洩のリスクにも注意が必要です。
IT化を進めれば、簡単な操作だけで多人数へ情報を共有することができます。
情報は自社サーバーやクラウド上に保存できるため保管に社内のスペースを取らず、アクセス制限やパスワードで第三者への情報漏洩も防止しやすいです。
DX推進に有効
先述したように、IT化はDX推進に有効な取り組みでもあります。
IT化を進めれば、単純作業や定型的な作業に多くの時間を費やす必要はなくなります。
そのため重要な業務に集中できる他、現状の業務をより良くするためにはどうすべきか思案する余裕も生まれます。
結果、社内全体の意識改革につながり、新たな価値を想像することも容易となるでしょう。
これまでデジタル技術の活用に消極的だった企業の場合、いきなり「DXを進めるべき」と聞いても何から着手すべきか悩んでしまいがちです。
まずは身近な業務にITツールを取り入れていき、少しずつ効率化の対象範囲を広げていけばDX推進の基盤を固めることができます。
IT化を進めるうえで注意したいデメリット
IT化は複数のメリットがある反面、注意すべきデメリットもあります。
環境の構築にコストがかかる
IT化を進めるには、ITツール以外にも新しい機材の導入が必要になる場合もあります。
業務に活用されるITツールは大きく分けて「オンプレミス型システム」と「クラウド型システム」の2種類がありますが、オンプレミス型は仕様を細かくカスタマイズできる反面、開発コストが高くなりがちです。
そのため、初期費用はよりかさむことでしょう。
IT化を試みる場合は、低コストで簡単に導入できるクラウド型システムがおすすめです。
また、IT化はすぐさま費用に見合う効果が現れるとは限りません。
初期費用・ランニングコスト・IT化により削減が見込めるコストなどを加味して、長期的な視点で費用対効果を見極めて準備を進めることも大切です。
ITに特化した人材の確保が必要
近年は手軽に導入できるシステムが増えているとはいえ、完全に無知な状態でIT化を進めることはできません。
ITツールを効果的に活用する方法やセキュリティ対策を理解し、プロジェクトに反映させるためには専門知識と経験を持つIT人材が必要になります。
また、ITツール導入後に社内へシステムの使い方を教育する担当者も必要です。
社内にIT人材がいればその人材を中心とした部門を設立する、IT人材がいなければ新たに雇用するかアウトソーシングするといった対応を検討しましょう。
業務効率化にはITツールの導入がマスト
業務効率化を実現するには、ITツールの導入が欠かせないといっても過言ではありません。
しかし目的に応じて選ぶべきITツールは異なるため、まずは業務効率化に役立つITツールの種類を理解しておく必要があります。
業務効率化に有効なITツールの主な種類と活用方法は、以下の通りです。
ツール | 活用方法 |
チャットツール | オンライン上で個別にメッセージを送る、グループチャットで部署やプロジェクトメンバーごとにやり取りする など |
電子契約システム | 契約書の作成・締結・管理をシステム上で行いペーパーレス化を進める など |
プロジェクト管理ツール | プロジェクトのタスク・スケジュールをシステム上で管理して全体の状況を把握し、スムーズな進行につなげる など |
RPA | 自動でExcelから抽出した情報を業務システムに転記する、定期的に自動でWEB検索して競合製品の価格データを収集する など |
営業支援システム(SFA) | 見込み顧客への営業から成約までのプロセスを管理する、案件ごとに商談の進捗を可視化する など |
会計システム | システム上で決算書や帳簿などを作成してペーパーレス化を進める、銀行やクレジットカードと連携して入出金の記録を取り込む など |
ファイル共有サービス | 複数人で情報を共有しながら作業する、データのバックアップに利用する など |
業務効率化に有効なITツールと活用方法
AI技術を搭載した新しいITツールも
上述したITツール以外にも、AI技術で業務効率化が可能なツールも登場しています。
業務効率化におけるAIの活用方法としては、以下のようなものがあります。
・会議の音声ファイルをアップロードして自動で文字起こしする ・顧客データを分析して定型的なメールの文章を生成する ・契約書の内容のチェックやリスクの洗い出し |
AI搭載のツールは膨大なデータを学習し、単純作業だけでなく専門知識が必要な作業の自動化も可能です。
とはいえ、学習元のデータの中には不確実な情報も含まれている可能性があるため、あくまで人の手による作業の負担を軽減するための支えとして活用することが望ましいです。
業務効率化のためのITツール導入の進め方
業務効率化を成功させるためには、ただITツールを導入すれば良いというわけではありません。
準備の段階から、着実に必要なステップを踏んで進める必要があります。
ITツールによる業務効率化を進めるにあたって押さえたい重要なステップは、以下の通りです。
1 自社の現状を把握して課題を明確に定める 2 効率化したい業務の範囲を定める 3 課題の解決に適したITツールを選ぶ 4 トライアル利用・導入するITツールの決定 5 社内への教育・マニュアル作成 6 ITツールを導入する |
最初から広範囲の業務の効率化を図ることは難しいため、優先的に対応すべき課題を検討のうえ、その解決に役立つITツールを導入しましょう。
自社に適したITツールの選び方
ITツールを選定するプロセスでは、自社に最適なものを選ぼうにも選択肢が多いあまり、スムーズに決められないという悩みも付きものです。
数あるITツールの中から自社に合ったものを効率的に見つけるため、以下のポイントを押さえて選ぶことをおすすめします。
・操作性がシンプルかどうか ・セキュリティ対策の詳細 |
扱いが難しいITツールでは業務効率化の効果が思うように発揮されないだけでなく、現場にも浸透しにくいため導入が無駄になってしまいます。
製品情報を見ただけでは操作性が判断できない場合は、トライアルを利用して現場に取り入れてみて、従業員から意見を聞いてみるのも良いでしょう。
情報共有が可能なITツールを導入したい場合は、不正アクセスや情報漏洩を防止するセキュリティ対策の充実度も要チェックです。
ITで業務効率化に取り組む際の注意点と対策
ITツールによる業務効率化の成果をより高めるには、以下3つのポイントへの対策が重要になります。
自社の課題を正確に把握する
ITツールの導入を進める前に、自社の現状の分析と課題の明確化は欠かせないプロセスです。
「社内の情報共有がスムーズにできず業務に遅れが生じている」「契約のすべてを紙で管理しているため業務が煩雑化している」など、社内の現状を俯瞰的に見て課題を探しましょう。
課題を見つけたら、その原因と解決方法も明確にすることで、効果的なITツールを探す際の指標になります。
業務フロー変更時のリスクに備える
新しいITツールを導入すれば、業務フローの変更も必須になります。
大幅に業務フローを変更するとなれば、対象業務の担当者は業務フローを覚え直すことになり、スムーズに業務を遂行できるようになるまで時間がかかります。
ITツールの導入直後に業務効率を低下させないためには、導入前のマニュアル作成や研修が重要です。
また、できるだけ既存のフローと似たようなやり方で業務を遂行できるようなツールを選ぶと現場にもなじみやすくなります。
社員のITリテラシー向上にも取り組む
ITリテラシーとは、ITの操作を正しく理解し、適切な扱い方を判断する能力のことです。
自社に合ったITツールを見つけることができても、現場が使いこなせなければ業務効率化の効果は得られないため、従業員のITリテラシー向上も欠かせません。
従業員に配慮して操作性がシンプルなITツールを選ぶことも大切ですが、今後さらにITツール活用の幅を広げるなら、ITリテラシー向上に向けた社内教育の実施も検討しましょう。
業務効率化に有効なITツールの導入でDX推進の足掛かりに
業務効率化には、様々な作業の省力化・自動化ができるシステムの導入が必要です。
チャットツール・会計システム・電子契約システムなどのITツールを取り入れることで、業務負担の軽減に加えDX推進にもつなげられます。
ITツールを導入する際は、自社の業務における課題・原因・解決方法の3つを軸に目標を設定し、その目標や従業員のITリテラシーの程度やセキュリティ対策なども加味して最適なものを選びましょう。