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ノウハウ DX推進のカギとなる「見える化」とは?具体例や課題も解説

投稿日:2024年09月24日

DX推進のカギとなる「見える化」とは?具体例や課題も解説

DX推進のカギとなる「見える化」とは?具体例や課題も解説

 

国内企業におけるDX推進の重要性に注目が集まっており、どのような形でDXを進めるかは企業によって変わります。

しかし、DXを推進するうえで「見える化」がカギとなる点はいずれの企業にも共通しています。

 

そこで今回は、DX推進に必要な「見える化」とは何か?可視化とは何が違うのか?など解説すると共に、ツールを使った見える化の具体例もご紹介します。

 

 

国内企業において重要性が高まっているDXとは?

DXとは「デジタルトランスフォーメーション」の略で、本来はIT技術を社会に浸透させてより豊かな生活を実現することを指します。

ビジネスにおいてはIT技術を業務に取り入れて、業務効率化・生産性向上・新たなビジネスモデルの創出・企業風土の変革をもたらすことをDXと称するのが一般的です。

 

2018年に経済産業省が公表した「DXレポート」では、国内企業がレガシーシステムを保有したままDXを実現できなかった場合、2025年以降に莫大な経済的損失が生じるリスクがあると警鐘を鳴らしています。

グローバル化・デジタル化が進む現在の市場で後れを取らないためにも、国内企業のDX推進は急務とされています。

DXに必要な「見える化」という取り組み

DX推進に必要な取り組みのひとつに、「見える化」があります。

まずは見える化がどんな取り組みなのかについて、以下より詳しく解説します。

「見える化」の定義

見える化とは、トヨタ自動車を発端として製造業で広く使われてきた言葉です。

当初は「誰でも一見して生産の実態が分かるような現場にすること」という意味で使われていましたが、のちに製造業に限らず様々な分野に用いられるようになりました。

 

近年は、ビジネスにおいて「必要な情報を常に見ることができるようにすること」を見える化と呼ぶケースが一般的です。

「見える化」と「可視化」の違い

見える化と混同されがちな言葉としては、「可視化」があります。

可視化とは目に見えないデータを、グラフやチャートなどを活用して目に見えるようにすることです。

 

可視化は漠然としたイメージや具現化されていない状況を、「見ようとする意思を持った人が」見えるようにするというニュアンスが強いです。

一方で見える化は見えにくい情報に対し「人の意思にかかわらず見えるようにして、その情報を業務の関係者間での共通認識として、適切な行動につなげていく状態を構築すること」を指します。

 

つまり可視化は単に見えにくい情報を見えるようにするだけなのに対し、見える化は情報が見えたうえで組織体質や業務の改善につなげていく取り組みまでを包括した概念ということです。

 

とはいえ、見える化は厳密に定義づけられている言葉ではないため、可視化と同義として使われるケースもあります。

DXで見える化に取り組むメリット

DX推進に際して見える化に取り組むことで、以下のようなメリットが得られます。

迅速な意思決定を可能にする

見える化に取り組むと、重要なデータを視覚的な情報にできるため、容易に自社の現状を把握できます。

自社の活動の中で問題点になり得る要素の早期発見にもつながり、迅速な対処の策定と実行ができるようになります。

また、データをもとに問題点の原因を的確に特定できるため、再発防止策の策定と実行についてもスムーズな実施が可能です。

業務効率化につながる

複雑な業務の見える化に取り組めば、従来は見えなかった非効率な工程やボトルネックを把握しやすくなります。

これにより適切な業務改善を行いやすくなるため、業務効率の向上にも期待できます。

 

また、業務プロセスを誰でも把握できるようになるため、属人化の解消にもつながります。

データ活用に役立つ

見える化を通じて視覚的に把握できるようになったデータは、経営にも役立てられます。

具体的には可視化されたデータをデジタルツールで蓄積したりAIに学習させたりして、今後の予測や傾向を的確に掴み、効果的な経営戦略を立てられるようになります。

データ活用とは?

ビジネスにおけるデータ活用とは、文字通りデータを業務改善や事業の発展につなげる取り組みのことです。

 

事業活動を続けるうえで活用できるデータは、社内・社外に非常に多く存在します。

車内なら売上データや顧客データ、外部なら政府や地方公共団体から提供されるオープンデータやSNSデータなどです。

その中から自社の目的に合ったものを集約して、自社の活動に反映させます。

 

先述したように、DXとはデジタル技術で新たなビジネスモデルの創出につなげる取り組みでもあります。

そのためにはレガシーシステムからの脱却だけでなく、消費者のニーズに合わせた価値の提供も必要です。

消費者のニーズを掴むにはデータ活用が避けて通れないため、DX推進と見える化によるデータ活用はセットであると考えて良いでしょう。

ツールを使った見える化の具体例

ただ「見える化」という言葉を見ただけでは、具体的にどのように取り組むべきかイメージしにくいものです。

DX推進のための見える化に取り組むなら、デジタルツールを活用することをおすすめします。

 

以下より、デジタルツールを活用した見える化の取り組み方の例をご紹介しますので、参考にしてみてください。

データのダッシュボード化

ダッシュボードとは、企業の業績やマーケティングなどに関わるデータを表やグラフで示すツールです。

自社の経営状況やマーケティングを分析する際は様々なデータを参考にする必要がありますが、参考データが多ければそれを読み解くだけでも時間がかかってしまいます。

 

ダッシュボードは様々なデータをひとつの画面で分かりやすく図示できるため、自社の現状を直感的に把握して経営判断を素早く実行できます。

 

また、多くのダッシュボードはリアルタイムでデータを図に反映する機能も搭載されているため、その都度入力し直さなくても常に最新のデータを参考に分析できます。

業務プロセスの可視化と管理

日常的に行っている業務だと改善意識が低くなり、現状のプロセスに問題が隠れていても発見が遅れるケースは多いです。

「いつもやっていることだから問題ない」という思い込みでさらなる生産性向上の機会を逃している可能性があるため、慣れている業務でも一度プロセスを可視化してみることをおすすめします。

業務プロセスを可視化すれば、その全容を客観的に捉えられるようになり、見落としていた問題点が把握できるようになります。

 

業務プロセスの可視化に特化したツールなら、業務フロー図の作成・プロセスの監視・業務改善の効果予測など、効率的なプロセスの可視化・管理をサポートしてくれる機能が搭載されています。

データの予測分析

過去のデータや最新のデータから見えた、一定のパターンや傾向を導き出して経営に関わる今後を予測するにもツールが使えます。

データの予測分析に使われるツールとしては、AIアルゴリズムを用いてデータから自動的にパターンを学習する「機械学習ツール」、特定の業界や用途に特化した「専門特化型ツール」などの種類があります。

 

例えば小売業界では、デジタルツールで自社のオンラインショップにおけるユーザー行動データや個人情報をもとに需要を見える化し、より効果的なマーケティング施策を立案するという活用方法が可能です。

業務改善成果の測定

業務改善は実施するだけでなく、その後の成果測定と改善点の把握も必要です。

先述した業務プロセス可視化ツールの他、プロジェクト管理ツールも業務改善成果の測定に役立ちます。

 

プロジェクト管理ツールでは、プロジェクトの工数・タスクの流れ・完了までの時間などが可視化されることが多いです。

これを参考に、改善前と改善後の効率性の変化を把握して効率よくタイムマネジメントを行えます。

見える化における課題と対策

DXの推進を見据えた見える化へ取り組むにあたって、いくつかの課題に直面する場合があります。

ここでは、見える化においてよくある課題と対策について解説します。

断片化したデータの統合

見える化という取り組みの中でデータを可視化しても、それが異なるデータソースに散在していれば、個別にアクセスのうえ閲覧・分析しなければならず効率が悪くなります。

また、散在するデータを整理するための工数もかかり、余計なコストが発生することも懸念点です。

 

この課題を解決するには、異なるデータソースに散在する数々のデータを集約・一元管理できる総合プラットフォームの活用が有効です。

クラウドベースの統合ツールやERPシステムにより可視性を向上させて、データ探索の時間を短縮させると効率的に見える化を進められます。

スタッフのスキル問題

DXの推進には、従業員それぞれにIT技術を活用するためのリテラシーが求められます。

見える化などに用いるデジタルツールを操作するスキル、経営戦略のためにデータを活用する知識などが、ITリテラシーです。

 

しかしこれまでIT技術の活用に積極的ではなかった企業の場合、従業員のスキル不足によりデジタルツールの導入が進まないことがあります。

また、IT人材育成のノウハウが蓄積されておらず、従業員にITリテラシーを身につけさせることすら困難な状況に陥る可能性も考えられます。

 

社内でITリテラシー教育が可能であれば十分な教育プログラムを提供して従業員のスキル向上を図り、必要に応じてITに特化した人材の新規採用や外部の専門家による教育も検討しましょう。

従業員の抵抗感

DXを進めるとなった際、社内から「新しいツールを使いこなせるか不安」「費用も時間もかかって無駄になるのではないか」「日常の業務と平行するのは無理がないのか」といった反対意見が生じるケースも多いです。

 

従業員の抵抗感を軽減させてDXを進めるためには、まずDXを推進することの重要性や現状維持のリスクを説明して理解を得る必要があります。

また、社内では積極的にDX推進に対する意見を求め、その内容に応じて成功事例を共有するのも有効です。

DXで見える化を進めるポイント

DX推進のための見える化には様々な手法がありますが、基本的には以下のような流れで進めます。

 

1 組織全体の目標を定める

2 業務プロセスを洗い出す

3 業務可視化データを作成して現状を評価する

4 可視化したデータをもとに改善方法やDX化の方針を検討する

 

いきなり見える化へ取り組むのではなく、まずは自社にはどのような成果が必要なのかを理解し、それを元に目標を設定することが大切です。

そのうえで目標達成へ影響を与える指標を定め、その指標を定量化しましょう。

定量的な指標を設定しておくことで、見える化の実行後に成果を客観的に測定しやすくなります。

 

業務プロセスの洗い出しについては、現場のヒアリングやプロセスマイニングといった手法があります。

プロセスマイニングとは業務の工程で利用されるシステムやツールに残ったログを取得し、業務のパターンを可視化することです。

 

業務の洗い出しを通して取得したデータをもとに現状を把握し、課題を分析していきましょう。

 

また、課題の改善策を実行したら定期的に指標を評価し、必要に応じてDX戦略の調整も行うと、より効率的に目標達成を目指せます。

DX推進には見える化が必要不可欠!ツールも活用して効率的にデータを把握しよう

見える化とはただ情報を見えるようにするだけでなく、それをもとに経営や業務の改善へつなげていくことを指します。

国内企業における急務とされているDXは、見える化なくして推進は叶いません。

見える化の取り組み方は様々ですが、より効率的に実施するならデジタルツールの活用がおすすめです。

ダッシュボード・業務プロセス可視化ツール・プロジェクト管理ツールなど、適切なツールの力を借りながらデータを使いこなして自社の目標達成を目指しましょう。