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ノウハウ 業務棚卸3つのメリット。手順・活用方法と棚卸の効率化に使えるシステムはどれ?

更新日:2024年10月17日

投稿日:2024年09月24日

業務棚卸3つのメリット。手順・活用方法と棚卸の効率化に使えるシステムはどれ?

業務棚卸3つのメリット。手順・活用方法と棚卸の効率化に使えるシステムはどれ?

業務効率の悪い原因を見つけ出すことができ、働き方改革やDXに対応しやすくなる業務棚卸、どのように進めれば良いのか、手順と共に活用できる方法、システムやフレームワークを紹介します。

 

業務棚卸は通常業務と並行して進めることになるため、効率的に進めたいものです。棚卸の効率化のポイントも紹介しています。


業務棚卸とは

業務棚卸とは、社内にある全ての業務を洗い出して整理し、業務プロセスなどを見える化することです。業務改善を目的に行われることが多くあります。

 

方法として、従業員1人あたりや部署全体など、多角的に洗い出します。業務の洗い出しを行うことで、業務内容や進め方、コストやかかる時間などが見えてきます。

 

業務を分析することで、進めるに際してのムリ・ムダ・ムラに気づけます。業務改善を妨げる課題が分かり、解決策の立案と実施に活かせます。

業務棚卸の実施背景と重要性

業務棚卸を実施する背景には、大きく分けると新しい働き方の広がりや働き方改革、DXの推進が影響しています。

 

新型コロナ感染症の流行をきっかけに、リモートワークをはじめとした新しい働き方が広がりました。

リモートワークが広がった当初は、進捗状況の把握が難しいという課題を感じやすい企業が多く、個々の従業員の業務内容や範囲を見える化し管理体制を整備することが求められました。そこで、業務の棚卸が必要になったということです。

 

また、従業員のワークライフバランスのために時短勤務を導入するには、短時間でこれまでと変わらない、そして多くの成果を出せるようにすることが大切です。業務棚卸は、効率アップに向けた課題を明らかにし、改善策に活かすことができます。

 

さらに、国が推進する働き方改革によって、企業は長時間労働の是正に取り組まなければならなくなりました。

業務の棚卸は、長時間労働の原因を可視化することにもつながります。

 

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、IT技術を活用して新しい価値を生み出すことです。

業務の棚卸によって、自動化やデジタル化に取り組むプロセスを可視化できます。業務棚卸は、デジタル化による業務効率化、ひいてはDX推進につながります。

業務棚卸を行うメリット

業務棚卸のメリットは、リソースを有効活用する際の参考にできる他、属人化の解消などにつながることです。

 

詳しくどのようなメリットがあるのか具体的にご紹介いたします。

業務改善の課題が分かる

業務棚卸によって、時間がかかっている、作業内容が重複しているなど、業務フローの無駄に気づくことができ、業務フローの変更や割り当ての見直し、マニュアル、ツールやアウトソーシングの活用など、業務改善に向けてやるべきことが明確になります。

 

また、チーム全体はもちろん、個人の作業時間も把握できます。承認を得るまでに時間がかかる、付随業務に時間を取られているなど具体的なプロセス上の弱点も見えてきます。

業務の効率化を妨げる要因を細かく分析することで、残業時間の適正化も実現しやすくなるはずです。

リソースを有効活用できる

業務棚卸は、業務量に対して人員が足りている・不足しているかもあぶりだすことができます。従業員の適性を見極めた業務分担、人材採用計画などに活かせます。

属人化の解消

専門性の求められる業務でないにもかかわらず、特定の人しか進められない業務がある属人化にも気づけます。

属人化は、業務のブラックボックス化の原因です。属人化している場合、担当者の退職により業務継続のリスクにつながります。

 

定型化できる業務についてはマニュアルを用意し、手順に沿って進められるようにするなどの対策に取り組みやすくなります。

業務棚卸を業務改善で活用する方法

業務棚卸は、業務フローや既存のツールを見直すきっかけとなります。業務プロセスの改善やシステムの入れ替えで、ビジネスを取り巻く最新状況にマッチしやすくなり、新しいビジネスチャンスの獲得と組織の継続的な成長につながります。

 

業務の棚卸は定期的に行うことがポイントです。業務改善に取り組むことで新たな課題が見つかる可能性があるためです。

 

業務改善の進め方については後ほど解説しますが、業務棚卸の結果を具体的にどのように業務改善で活用すると良いのでしょうか。契約業務を例に活用方法を紹介します。

契約業務とは

契約業務とは、企業が個人や法人と取引する際に必要となる手続きのことで、大まかに下記のプロセスを踏んで行われます。

 

  1. 契約書の作成
  2. 内容確認
  3. 承認
  4. 契約締結
  5. 文書の保管と更新

棚卸で見つかる契約業務の課題と改善方法

  • 押印をもらう、郵送と印刷など、契約書の作成や承認の完了までに発生する作業が多い。押印など他の人の確認・承認を得ないと先に進めないものについては、待機時間も生じる。
  • 書類の不備の有無のチェックは、書類をひとつひとつ確認しなければならず非効率。見落としのリスクが懸念される。
  • 最新版に変更が反映されているか確認するのに手間がかかる。バージョン管理が適切でないために最新版が分からない。 など

 

このような場合は、電子契約、契約管理システムなどリーガルテックの組み合わせで業務改善が可能です。

 

システムに備わるバージョン管理機能、締結機能、ステータス表示機能などにより作業自体を効率化することで課題の解決につながります。

 

例えば、契約管理システムや電子契約システムでは、契約の進捗をシステムで確認できるため、待機時間の削減も期待できます。契約書の電子化に伴い電子契約も導入すれば、押印も必要ありません。

不備や更新時期はシステムが通知するおかげで、内容確認や更新期限の管理が効率化されます。作成・編集した時系列が分かるようにシステムに反映されるため、最新版もすぐに分かります。

業務棚卸の手順

業務棚卸は一般的に下記の手順で進めます。

 

  1. 目的と実施範囲の決定
  2. 業務内容の調査と洗い出し
  3. 棚卸表の作成
  4. 業務棚卸の実施
  5. 棚卸した業務の整理
  6. 業務改善の実施
  7. 効果検証と改善

目的と実施範囲の決定

まず、業務棚卸で何を実現したいのかを明確にします。例えば業務効率化・生産性向上、属人化をなくすことなどを掲げます。目的があることで業務棚卸で見つかった課題の何に優先的に対策を行うか判断基準とすることができます。

 

複数の課題が見つかるケースは多く、全てを一度に解消するのは大変です。全ての業務で一度に棚卸を実施すればなおさらです。業務改善の優先度の高い業務から取りかかるなど、少しずつ始めることをおすすめします。

業務内容の調査と洗い出し

次に、統一した手順で棚卸できるよう、業務内容などをまとめるフォーマットを用意します。

関係各所にヒアリングをしながら以下確認事項を埋めていきます。

 

  • 作業内容
  • 発生頻度
  • 完成にかかる時間やコスト
  • 難易度 

棚卸表の作成

フォーマットにまとめた情報を参考に、業務内容をリスト化して棚卸表にします。

個人で進められる業務、他の部署との協力が不可欠な業務で分類するなど、特徴を踏まえて一覧にすることで、関連性の高い業務の業務改善を一体で進めやすいです。

業務棚卸の実施

リストをもとに、業務ごとの工程やタスクを実務担当者が洗い出します。

業務棚卸は通常業務と並行して進めることになります。棚卸が必要な理由を周知した上で、従業員に協力してもらえるスケジュールで実施する配慮が求められます。

棚卸した業務の整理

フォーマットや業務棚卸表の業務フローやタスクに抜け漏れはないか担当者に確認します。ヒアリングによってフォーマットなどに反映されていない業務上の課題も見えることがあり、業務改善の参考になります。

業務改善の実施

棚卸で明らかになった課題を解消し、棚卸で実現したいことに向けて改善策に取り組みます。

全てを一括で実施すると、現場が混乱するおそれがあります。優先度の高いものや、すぐに実施できそうなものから徐々に始めましょう。

効果検証と改善

業務改善によって目的とは外れた他の課題に気づくこともあります。取り組みで当初の課題は解消したか、新しい問題は生じていないか、新たな課題にどのように対処するかを振り返り、取り組み続けることが大切です。

棚卸効率化のためのチェックポイント

効率的に進めるには、業務棚卸の目的が共有されていること、作業を進めるルールが用意されていることを確かめてから着手すると良いです。

業務棚卸の目的を共有する

業務棚卸は実務と並行して行われるものです。実施する理由が分からないと、ただタスクが増やされたように捉えられることがあります。

棚卸で改善したいことを周知し、協力する方にとって意味があると考えられるように働きかけましょう。

 

また、棚卸の進捗や改善策の成果も共有することで、継続して協力を得られやすいです。表への記入やヒアリングなどの協力が反映されていると実感できるためです。同時に、現場の声も改善策に取り入れやすくなります。

作業のルールを決める

いつまでにどのような形で進めれば良いのか分かると、業務棚卸のためのスケジュール調整をしやすいです。また、やり方が分かればスムーズに取りかかりやすいです。

 

作業のルールが分かることで、業務内容の調査と洗い出しについて回答にバラツキを生じさせず共通の形式で回答することも期待でき、内容確認もスピーディーにできることが予想されます。

業務棚卸に役立つフレームワーク

業務棚卸には以下のフレームワークが活用できます。それぞれ簡単にご紹介いたします。

 

  • ECRS(イクルス)
  • BPMN(ビジネスプロセスモデリング)
  • バリューチェーン分析
  • ロジックツリー

ECRS(イクルス)

業務の無駄を排除することで効率化を図るためのフレームワークです。Eliminate(排除)Combine(結合)Rearrange(順序変更)Simplify(単純化)の4つの要素で構成されます。

 

  • Eliminate(排除):不要な業務や重複している作業・プロセスを取り除くこと
  • Combine(結合):業務やプロセスを一つにまとめること
  • Rearrange(順序変更): 作業の順番やフローの見直し
  • Simplify(単純化):複雑な業務やプロセスをシンプルにすること

BPMN(ビジネスプロセスモデリング)

Business Process Modeling Notationの頭文字をとった言葉で、業務フローを視覚的に理解できるよう、フローチャートで表すことです。

円滑なプロセスを阻害する要因を見つけやすく、業務改善に必要なことが分かりやすいです。

バリューチェーン分析

原材料の調達から生産、消費者の購入の過程で、どこにどのくらいの付加価値が生み出されているか評価するフレームワークです。

 

製造や販売などを主活動、技術開発や人事管理などを支援活動とし、各工程の付加価値を生む要素や付加価値の低い活動を特定します。

自社の強み・弱み、改善に取り組む優先度が明らかになります。

ロジックツリー

業務上の問題をツリー状に書き出し、階層化しながら整理していくことで問題の原因と解決策を特定する手法です。

複雑化した問題でも細かく分けることで、原因が見えやすくなります。問題解決の優先順位もつけやすいです。

業務棚卸に活用できるシステム

業務プロセスの可視化、データの収集と分析など業務棚卸のためには、ロジカルな思考が求められます。思考をスムーズに進めるため、ツールを活用することもできます。

 

どのような種類のツールが存在するのかご紹介します。

プロセスマッピングツール

Microsoft VisioやMiroなど、業務プロセスを視覚的に整理するツールです。

データ収集・分析ツール

Excelやスプレッドシートなどを指します。業務棚卸に必要な情報を入力して整理・集計・分析できます。

業務管理ツール

TrelloやAsanaなど、業務の進捗状況を把握し、タスクをリアルタイムに管理できるツールです。

コミュニケーション・コラボレーションツール

Slack、Chatwork、Zoom、Microsoft Teamsなどのことです。円滑なコミュニケーションやスピーディーな情報共有をサポートします。

業務棚卸中にもコミュニケーションツールとして活用すれば、スムーズに作業を進められるでしょう。

まとめ

業務棚卸は、業務改善の課題を把握できるなど、業務効率化のための重要な作業です。

業務の可視化と効率化に取り組むことで、組織全体の生産性向上につながります。

 

棚卸を通じて明らかになった課題を改善策に反映し、無理なく働けて生産性の高い職場環境を保ち続けましょう。