ノウハウ 費用対効果はなぜ必要?9つの指標の算出方法と業務改善策
更新日:2024年10月17日
投稿日:2024年08月27日
費用対効果はなぜ必要?9つの指標の算出方法と業務改善策
業務効率化や生産性向上を目指すにあたり、費用対効果は深く関わる用語です。特に、事業の状態や経営状況を客観視して、リソースをどのように配分し、どの施策に投資すべきかを判断する際、費用対効果が必要になります。
本記事では、費用対効果の基本的な考え方と9つの指標の計算方法を解説します。業務効率化に向けて取り組みたいことも紹介しているので、業務改善のためにやるべきことが見えてくるはずです。
費用対効果とは何か?
費やしたコストに対して得られた効果(リターン)を意味するビジネス用語です。
かけた費用より利益を出していれば費用対効果は高く、利益が少なければ費用対効果が低いと言えます。
広告宣伝費やツールの導入費・利用料金だけではなく、人件費や費やした時間がもたらしたものも、費用対効果を導き出せます。
コストパフォーマンスとの違い
費用対効果と似た言葉に「コストパフォーマンス」があります。
コストパフォーマンスは、費やした金額で得られた効果(パフォーマンス)のことです。
費用対効果もコストパフォーマンスも、使った金額に対してどの程度の効果を得られたのか表す言葉である点は共通しますが、誰から見た効果なのかが異なります。
費用対効果は企業側、コストパフォーマンスは消費者側という違いです。
なぜ費用対効果が必要なのか
費用対効果(コストパフォーマンス)は、ビジネスやプロジェクトの成功にとって重要視されます。
なぜなら、リソースの最適化を図ることで限られた予算や資源を最大限に活用し、最小のコストで最大の効果を得ることができるからです。
また、費用対効果を評価することで、どのプロジェクトが最適かを判断し、マネージャーが意思決定を行うための客観的な判断基準とすることができます。
経営判断の指標となる
費用対効果は数値で表します。故に、改善策に取り組む前後や、異なる商品・サービスごとに効果を比較できます。
客観的な数値は、投資を続けて良いのか、今後どのような施策に取り組むと良いのか判断する材料となります。
事業の状態を評価する
費用対効果によって、事業がどの程度成果を上げているかを確認することができます。事業を進める上では、必ず経費がかかります。一見売上が高い事業であっても、経費がかさむために純利益が他の事業に比べて少ないという実情が浮き彫りになることがあります。このように、費用対効果の分析を通じて、事業の実際の収益性や効率性を把握することができるのです。
また、費用対効果の高い事業が明確になることで、リソースの最適配分や今後の戦略立案において有益な参考情報を得ることができます。具体的には、どの事業が最も効率的に利益を上げているかを理解し、成功事例を基に戦略を見直したり、改善策を講じたりする際に役立てることができます。
費用対効果の算出方法
ROIやROASなど9つの費用対効果と計算方法を解説します。
ROI(投資に対する利益)
利益÷投資金額×100 |
Return On Investmentの頭文字をとった用語です。投下資本利益率や投資利益率とも訳されます。アールオーアイやロイと読みます。
数値が大きいほど費用対効果が高く、利益率も高いということです。
何らかのシステム導入をする際の評価にも、システム導入費を投資金額に変換し、利益を削減できた経費に変換、削減できた時間は関わる人員の時給換算でかけて費用換算することで算出することができます。
このほかにも多くは経営やマーケティング部門がよく使用する計算式ですが、複数の算出指標があります。
ROAS(広告出費に対する売上額)
広告による売上÷広告費用×100 |
Return On Advertising Spendの頭文字をとった用語で、ロアスと読みます。
広告を用いたマーケティングの効果を見ることができます。
ROIは利益、ROASは売上に関する数値です。故に、ROASだけでは利益が出ているか分かりませんが、広告が売上にどの程度貢献しているかが分かります。
長期的な広告運用の予測に役立つ数値と言えます。
CPA(Cost Per Acquisition)
広告費÷コンバージョン数 |
顧客獲得単価という意味です。
コンバージョンとは、顧客の会員登録や購入といったアクションを指します。
数値が低いほど広告が上手く機能していると判断できます。
CPR(Cost Per Response)
広告費÷レスポンス数 |
レスポンス獲得単価のことで、顧客からの反応1件あたりの単価を表します。
問い合わせ、無料サンプルの請求や無料体験の申し込みなどをレスポンスと見なします。
CPAとCPRは一見似ていますが、CPAは顧客が購買行動に至った数、CPRは購買につながるだろう行動の数から広告の効果を見るという違いがあります。
CPA同様、数値が低いほど広告戦略が上手く行っているということです。広告によって見込み客を取り込めている証拠です。
LTV(Life Time Value)
複数の計算方法がありますが、以下の計算式が用いられることが多いです。
平均顧客単価×収益率×購買頻度×継続期間 |
顧客獲得のためのコストを加味するなら、下記のように計算します。
平均顧客単価×収益率×購買頻度×継続期間-(新規顧客獲得コスト+既存顧客維持コスト) |
顧客生涯価値という意味です。
1人の顧客が自社を利用してから契約終了まで、どれくらいの利益がもたらされたか知ることができます。
一度の利用で終わるより継続的に利用してもらう方が数値が高いです。
サブスクリプションなど継続的な利用を想定するビジネスモデルで用いられ、長期利用に至る顧客の分析、顧客の獲得と維持にかかるコストの算出などの参考になります。
その他の費用対効果の指標
- CPO
- CPC、CPM
- CPL など
CPO=広告費÷注文件数 |
Cost Per Orderの頭文字をとった用語で、注文獲得単価という意味です。
1件の注文を得るのにかかった費用を表します。
数値が低いほど効率よく注文されていると言えます。
CPC=広告費÷クリック数 |
CPM=広告費÷インプレッション数×1,000 |
CPCはCost Per Clickの頭文字をとった用語で、クリック単価を意味します。
Web広告を1クリックする度にかかる費用を表します。
数値が低いほど広告の費用対効果が高いと判断します。
CPMはCost Per Mileの頭文字をとった用語で、インプレッション単価という意味です。
Web広告が1,000回表示されるごとにかかる費用のことです。
インプレッションとは、広告が表示された回数を表します。
CPCは広告がどれほど表示されてもクリックされなければ費用が発生しないのに対し、CPMはクリック率に関係なく広告が表示された回数しか費用が発生しないという違いがあります。
広告費に対して表示回数が少なければ数値は大きく、多ければ数値は小さくなります。同じ広告費をかけても表示回数が多い方が、効果が高いと判断されます。
CPL=広告費÷リード数 |
Cost Per Leadの頭文字をとった用語で、リード獲得単価という意味です。
1社、または1人の見込み客を獲得するのにかかるコストを表します。リードとは見込み客のことです。
CPLが低いほど少ない広告費で多くの見込み客を獲得したことになるので、費用対効果が高いと判断します。
業務効率化の重要性
費用対効果の改善と業務効率化は切り離せません。
業務効率化の目的に、業務のムリ・ムダ・ムラをなくすことが挙げられます。
例えば、ツールの導入などで長時間労働を是正すれば、残業代を削減できます。また、重要な業務に注力できるようになり、従業員にムリさせずに重要なミッションを任せられます。
業務効率化は、時間や人的コストを抑えながら高いパフォーマンスに導きます。費用対効果の向上への貢献を期待できるということです。
業務効率化で労働時間が減ったり、限られた人材でも仕事の質を維持・向上できることは、生産性向上にもつながります。
効率化のための具体的な方法
人員配置を工夫する、ツールやシステムやアウトソーシングの活用が業務効率化に有効です。
人材の適材適所の配置
個々の従業員が自身に向いている業務を任せられることで、仕事のスピードも質も期待できます。反対に不向きな業務だと、効率低下やミスが起こりやすくなることが危惧されます。
やりがいのある仕事はモチベーションを保てます。自分の得意を活かせる仕事ができないことを理由に離職されることもあると予想できるでしょう。
従業員の適性や希望を加味した配置は、人材採用や育成にかけたコストが無駄になることも避けられます。
ツールやシステムの導入
業務効率化に役立つツールは数多くあります。例えば、紙の書類の電子化をサポートするものもあれば、コミュニケーションを円滑にするチャットツールもあります。
導入や利用にかかる費用を無駄にしないよう、効率化に向けた自社の課題を洗い出し、解決につながるだろうツールやシステム選定が重要です。
アウトソーシングの活用
アウトソーシングには外注費がかかります。ですが、従業員の負担を軽減しながらタスクをこなせるようにするためには、アウトソーシングは有効な手段となり得ます。
外注で従業員の時間にゆとりが生まれれば、事業やプロジェクトの核となる業務に集中できます。注力すべき業務が限られることで、重要な仕事を効率的に進められるようになるでしょう。
まとめ
費用対効果を理解して数値を適切に活用することは、正しい経営判断や事業評価へ導きます。業務効率化の取り組みが、費用対効果の改善と生産性向上にもつながります。
本記事では9つの指標の計算方法を紹介しました。知りたい数値の算出方法を使いながら、業務効率化をサポートする方法も取り入れつつ、業務改善にお役立てください。