ノウハウ 生産性向上のタスク管理とは?プロジェクト・時間管理との違いやツール例も紹介
更新日:2024年10月17日
投稿日:2024年08月27日
生産性向上のタスク管理とは?プロジェクト・時間管理との違いやツール例も紹介
生産性の向上は企業にとって重要な課題であり、実現するための手法は多岐にわたります。
今回はどんな企業でも生産性向上に有効な、「タスク管理」のやり方やメリットなどについて詳しく解説します。
失敗例もご紹介していますので、これからタスク管理の最適化に取り組みたい方、タスク管理がうまくできずお困りの方はぜひ参考にしてみてください。
ビジネスにおける「生産性」とは
生産性とは、「投入した労働力や資本などに対してどれだけの成果を上げられたか」を指す言葉です。
ビジネスにおいては労働者1人あたり、または1時間あたりにどれだけの成果を生産できるかを数値で示すことが多いです。
少ない労働力で大きな成果を得られるような状態なら、「生産性が高い」といえます。
日本では、他の先進国よりも生産性が低いことが問題視されています。
年々進む人口減少・少子高齢化による労働力不足、DX推進の遅れなどが生産性低下の主な原因です。
生産性が低いままだと、働き手が確保できなくなり企業成長が阻まれる恐れがあります。
また、アウトプットの面でも海外企業に劣り、ビジネスがグローバル化する現代において競争力を高めることも難しくなります。
そのため、日本企業は生産性向上に向けて積極的に取り組む必要があります。
生産性向上にはチーム単位での業務効率化が重要
生産性を向上させるには、業務効率化を実現して自社の資源(ヒト・カネ・モノ)を最大限に活かせるようにすることが重要です。
業務効率化を成功させるため、従業員個人だけでなくチーム単位での取り組みも必要になります。
チームで業務効率化に取り組む方法は複数ありますが、その中でもまず実施を検討すべきものが「タスク管理」です。
チームの業務フローを可視化して進捗状況を管理したり、各メンバーの作業の優先順位を明らかにすることで、チーム全体で効率的に業務を遂行できるようになります。
タスク管理とは
タスク管理とは、個人やチームが抱えるタスク・プロジェクトを細分化して、優先度を考慮しながら管理することを指します。
実行すべきタスクを確実に・効率的に遂行するためのマネジメントスキルとして、その必要性に注目が集まっています。
詳細は後述しますが、例えばチームで実施するプロジェクトにおけるタスク管理では、タスクの内容や優先順位、担当者などを決めてスケジュールを調整します。
そのうえでプロジェクトに着手し、定期的に進捗を確認しつつ、遅れがある場合はその原因を明らかにして改善して完遂を目指すというものです。
タスク管理とプロジェクト管理の違い
タスク管理と混同されがちなものとして、プロジェクト管理があります。
プロジェクト管理とは、目標に向けた取り組みが計画通りに遂行されているかどうかを管理することを指します。
タスクとプロジェクトの違いは、単位としての大きさです。
タスクは「〇時までに資料を作成する」など個人がすぐに着手できる、ごく小さな作業や課題です。
一方でプロジェクトは、目標達成に向けて必要なタスクが集まったもの(計画)を指します。
タスク管理はメンバー自身の裁量で行えますが、プロジェクト管理は各メンバーのタスク管理を通して、全体の進捗を把握・管理することになります。
個々の作業を管理するかプロジェクト全体の進捗を管理するか、というのがタスク管理・プロジェクト管理の違いであり、チームの仕事にはどちらも欠かせません。
タスク管理と時間管理の違い
時間管理とは、1日の中での時間の使い方を計画し、その計画通りに仕事を進められるようにすることです。
作業内容を分析のうえ優先順位をつけ、各作業に着手する時間・期限を設定して取り組みます。
時間管理には、タスクの洗い出しと着手するタイミングを管理する「タスク管理」が含まれています。
また、予定やタスクの時間をスケジュールにまとめる「スケジュール管理」、自分に与えられた1日の時間リソースの使い方を検討する「時間リソース管理」もあります。
つまりタスク管理は、時間管理を適切に行ううえで必要な要素のひとつということです。
生産性向上のためのタスク管理における基本的手法
効果的なタスク管理を実現するには、着実にステップを踏んで進める必要があります。
以下より、生産性向上のために行うタスク管理の基本的なやり方や手法について解説します。
すべてのタスクを洗い出す
まずは個々でやるべきタスクを細かく洗い出すことを心がけましょう。
同じ業務の中にも期日や内容が異なる作業が複数含まれている場合が多く、それらも細かく洗い出さないと、後でタスク管理に支障が出てしまいます。
例えば「事務処理」なら書類作成やデータ入力、「ミーティングの準備」なら会議室の予約・メンバーへの周知といったように、細分化しましょう。
また、タスクごとに着手する時間や期日、具体的な内容も整理しておけば、メンバー間での情報交換が容易となりコミュニケーションが円滑化されます。
「重要度」と「緊急度」を軸にタスクの優先順位をつける
タスクを細かく洗い出すことは重要ですが、いっぺんに管理するとなれば煩雑なだけでなく、かえって効率の低下を招きます。
そのため各タスクに優先順位をつけ、分類することが大切です。
タスクの優先順位をつけるにあたっておすすめな方法が、「アイゼンハワーマトリクス」に基づく評価です。
「重要度(プロジェクトや事業の成否に関わる度合い)」と「緊急度(迅速な対応が必要かどうか)」という2つの軸をもとに、タスクを分けていきます。
重要度・緊急度のどちらも高いタスクは最優先に、重要度が高く緊急度は低いタスクはその次に、次いで重要度は低いが緊急度の高いタスクに…といったように優先順位をつけましょう。
重要度も緊急度も低いタスクは、削除すれば業務の効率化につながる可能性もあります。
メンバーやリーダーと相談のうえ、調整の余地がないか検討しましょう。
各タスクに含まれる作業・担当者・期日を決める
各タスクに含まれる作業の分解もしておく必要があります。
例えば書類作成なら「契約書作成」「請求書作成」といったように、具体的な作業内容を明確にしておきましょう。
次にそれぞれの担当者を決めて、誰がどの業務を担うかを明確にします。
その際、むやみにマルチタスクを強いるようなことは避けましょう。
何らかのタスクに着手してから別のタスクに移ると、元のタスクの内容や業務を進める感覚を思い出すのに時間を要し、全体の作業効率が低下する恐れがあります。
状況に応じてマルチタスクの必要性を判断し、最適な形にタスクを割り振りましょう。
担当者まで決めたら、タスクの優先順位に合わせて期日を設定します。
タスク完了に必要な時間と労力も加味して、計画的にスケジュールを決めましょう。
万が一のトラブルの可能性も考えて、できるだけ余裕のあるスケジュールを組み立てることが大切です。
ToDoリストを作成する
タスクに関わる情報は、ToDoリストにまとめておきましょう。
ToDoリストを作成することで、誰が・何を・いつまでにやるかがひと目で分かるため、進捗状況が確認しやすくなる他、作業の抜け漏れ防止にもつながります。
なお、ToDoリストは紙よりもデジタルツールやアプリを使って作成するのがおすすめです。
紙では必要な情報を見つけるのに時間がかかるだけでなく、編集しにくい・紛失しやすいというデメリットもあります。
タスクの実行と定期的な進捗確認をする
作成したToDoリストを元に、タスクを実行します。
チームでは、作業に関する意思決定や進行などについて、個々に判断をゆだねすぎてもミスやトラブルにつながる恐れがあります。
リーダーはある程度の支持を出しながら、定期的に進捗を確認しましょう。
進捗確認の際、「スケジュールに遅れはないか」「タスク漏れはないか」の2点については必ずチェックしましょう。
スケジュールの遅れについてはその原因を特定し、解消に向けて効果的な改善策を考えます。
チームのタスク管理のメリット
チームで適切なタスク管理を実施することで、以下のようなメリットを得られます。
仕事の優先順位をつけやすくなる
タスク管理に取り組むことでタスクに必要な作業内容を整理する機会が生まれ、優先順位を見直しやすくなります。
これまでは「何となく」で進めていたタスクの数々も、作業の優先順位を適正化すれば、重要なタスクを中心としたペース配分が可能になることでしょう。
時間を無駄にせずタスクをこなしつつ業務完了へ進められることから、生産性の向上に期待できます。
作業の抜け漏れや遅延を防止できる
タスク管理として必要なタスクとそれに含まれる作業のすべてをリスト化すれば、進捗状況も正確に確認できるようになります。
リストを見れば誰が・どこまでのタスクを完了しているのか、現在どのタスクに着手しているのかがひと目でわかります。
そのため作業の抜け漏れを防ぎやすくなるだけでなく、万が一抜け漏れや遅延が発生しても、以降のタスクとスケジュールを参照して適切な対応をスムーズに講じることが可能です。
必要なタスクがリストで可視化されることで、「いつまで業務が続くのか」「このペースで作業を進めると締切に間に合わないのではないか」といった心理的プレッシャーも軽減できます。
業務の属人化を防止できる
タスク管理によりメンバー全員の進捗状況を可視化できるため、メンバー間でのコミュニケーションを促進できます。
コミュニケーションを通じて業務のやり方や手順、知見を共有する機会が生まれ、業務の属人化防止にもつながります。
これによりメンバー同士で進捗状況を確認しつつ、遅延があればサポートするという体制も構築できるようになります。
結果としてチームワークが向上し、従来よりもプロジェクトがスムーズに進むようになり、生産性も向上します。
タスク管理でよくある失敗例
タスク管理においてよくある失敗例として、チームのメンバーとリーダーの間に、タスクに対する認識の齟齬が生じることが挙げられます。
適切なタスク管理ができずメンバーとリーダーの認識がズレてしまっている状態としては、以下のようなケースがあります。
・リーダーにとっては重要度が高いタスクでも、メンバーはその重要性が理解できていない ・メンバーは臨機応変にタスクを進めているが、リーダーは前回と同じやり方・ペースでタスクが完了すると思っている ・タスクの役割分担が曖昧でプロジェクトの進行に遅延が生じる ・「タスク完了」の定義が曖昧で、リーダーに完了を報告しても毎回突き返されてしまう |
タスク管理は、単にタスクの内容・担当者・期日を決めてリストに当てはめ、メンバーにそれを指示すれば良い訳ではありません。
実行の前に、タスクの目的・進め方・担当者が着手する範囲・完了の定義などについて、メンバーと認識の擦り合わせをしておくことが大切です。
生産性向上のためのタスク管理ならITツールの導入がおすすめ!
チーム・個人のタスクを完全に把握しながら、メンバーと足並みをそろえて業務に取り組むことは難しいように思えるものです。
そんな悩みを抱えている場合は、タスク管理に特化したツールの活用をおすすめします。
タスク管理に特化したツールには、以下のように効率的なタスク管理をサポートする機能が搭載されています。
・ToDoリスト作成機能 ・プロジェクトごとのタスク管理機能 ・タスクに対するコメント機能 ・ドキュメントや画像などのファイル添付機能 ・タスクの検索機能 |
タスク管理は重要な取り組みとはいえ、時間をかけすぎると本来の業務へ費やせる時間が減ってしまいます。
ツールなら簡単な情報入力だけで簡単にToDoリストを作成でき、リアルタイムでの情報共有や進捗確認が可能なため、多くの時間をかけずとも質の高いタスク管理を実現できます。
タスク管理は企業の生産性向上に必要な取り組み!ツールを上手く活用しよう
生産性向上に向けた取り組み方は様々ですが、まず実施を検討したいことがタスク管理の適正化です。
適切なタスク管理にチーム全体で取り組むことで、限られたリソースを最大まで活かしながら業務を遂行できるようになります。
また、タスク管理を機に既存の業務フローのムダな部分を見つけたり、チーム内でのコミュニケーションが円滑化したりといったメリットも生まれます。
タスクや業務の進捗を確認するにあたって、対象業務に合ったITツールの活用がおすすめです。
タスク管理用ツールも良いですが、契約書や稟議書など部門間での回覧が発生する書類に関わる業務なら、リアルタイムで承認状況を把握できるツールの活用も効果的です。