ノウハウ 契約書格納を適切にしたい!マニュアル/ルールに沿った運用で業務統制を確立する方法
更新日:2024年10月31日
投稿日:2024年07月30日
契約書格納を適切にしたい!マニュアル/ルールに沿った運用で業務統制を確立する方法
感染症の流行や働き方改革の後押しもあり、電子契約システムを導入する企業が増加しています。電子契約には紙の契約書と比較した際に物理的な保管場所が必要ない事や、収入印紙が不要なことなど様々なメリットがあります。
他方で、電子契約システムを導入しても新たな困りごとが発生しているというケースは少なくありません。そこで、本記事では契約書の格納先について正しく統制を効かせる方法や困りごとの解決方法について解説します。
契約書電子化後の課題
電子契約書を導入し契約書を電子化するシステムの活用を始めても、それがゴールではありません。電子契約書を導入した後も、実務的には様々な課題が発生します。
ここでは、契約書電子化後の課題について解説します。
情報が一元管理できていない
電子契約書のサービスは様々なものがリリースされており、電子契約書で締結する場合には、互いに同じサービスを利用して締結する必要があります。
そのため、相手方によって異なるシステムを利用せざるを得ない状況になることは少なくありません。その結果、締結後の契約書について複数のシステムや手法を利用せざるを得なくなり、管理が煩雑になるケースが見られます。
また、電子契約書での締結には、相手方も電子契約書を利用することに同意する必要があります。そのため、相手方に電子契約書での締結を拒否された場合には、紙での契約書で締結するしかなく、その結果、電子契約書と紙の契約書の2種類が混在し、管理が複雑になることがあります。
このように、電子契約書や契約書電子化システムを導入した場合でも、情報の一元管理ができず、結果的に管理が煩雑になるという課題が発生しやすいです。
システム間で業務が分断され非効率
電子契約システムと契約書管理システムを導入する際に、システム導入の検討が不十分な結果、システムの互換性がなく、電子契約システムと契約書管理システムが連携していないという事態も考えられます。
このようなケースでは、システム間で業務が分断されてしまい、別々にシステムを運用する必要が生じたり、二重入力をしなければならないといった問題が発生します。しかし、これでは非常に効率が悪く、業務の効率化のために導入した意味がなくなってしまいます。
システム導入前の紙のデータを処理出来ていない
電子契約システムの導入前には、どこの会社も紙で契約を締結しています。そのため、会社の規模にもよりますが、膨大な数の紙の契約書が存在する会社は少なくありません。
契約書を電子化し管理するにあたっては、こうした紙の契約書も電子化し、システムに取り込む必要がありますが、数が膨大なため作業が進まないというケースは多くの会社で見られます。
また、契約書の管理部門が電子契約の主管部門と契約書の保管部門とで別になっている場合には、システム導入前の紙のデータの処理がさらに進みにくくなります。
このように、システム導入前の紙の契約書についてはどのように取り扱うのかを契約書管理システムや電子契約システムを導入する前に決めておく必要があります。そうしないと、結局紙の契約書と電子の契約書が混在した状態で契約書の管理・保管を行うことになり、契約書へアクセスする際にまず電子なのか紙なのかを確認するといった余計な作業が入ってしまい、業務が非効率になる恐れがあります。
人的リソースが限られている場合は、外部サービスを利用するなどの対策も検討することをおすすめします。
システムが上手く活用できていない
電子契約システムや契約書管理システムといったサービスは、一定の課題を解決するためのツールです。そのため、システムの導入にあたっては自社の課題を検討し、抽出したうえで、そうした課題を解決するために適切なシステムを選定する必要があります。
こうした作業を行わずにシステムを導入してしまうと、課題とシステムの機能がアンマッチとなり、せっかく導入したシステムがうまく活用できない状態になりかねません。
システムの導入前には必ず自社の課題を抽出し、どのような課題を解決するためにシステムの導入を行うのかを課題設定し、その課題を解決するのに適したシステムを導入するようにしましょう。
また、この他にもシステムの操作が複雑であるために、社内にシステムが浸透せず、システムがうまく活用できないというケースも考えられます。こうしたケースに陥らないようにするためには、あらかじめトライアル期間などを設けてシステムの操作感を確認しておくと良いでしょう。
格納先がルール通りに運用されない状態とは
電子契約システム等を導入したにもかかわらず契約書の格納先がルール通りに運用されない状態とはどのような状態なのでしょうか。ここでは、契約書の格納先がルール通りに運用されない状態について解説します。
紙締結の場合、電子データ化する手間がかかり契約管理システムの利用が進まない
紙で契約を締結した場合、電子データ化する手間がかかるため、契約管理システムの利用が進まないことがあります。
まず考えられるのは、紙の契約書で締結することになってしまった場合、電子データ化するためには一定の手間がかかります。そのため、その手間が敬遠され、契約書管理システムに格納されないという事態に陥ることがあります。
こうしたケースでは、契約書管理システムを導入するまでの契約書についても紙のまま放置されている可能性が高く、膨大な数の契約書が紙のまま放置されてしまうことが少なくありません。
しかし、このようではシステムの導入費用を負担して契約書管理システムを導入した意味がなくなってしまいます。
保管場所が人的なミスにより別の場所に保管されてしまう
紙の契約書を保管する場合、物理的な保管場所が必要となりますが、この保管場所がヒューマンエラーにより、本来保管すべき場所と異なる場所に保管されてしまうケースも考えられます。
しかし、こうした事態が生じてしまうと、後から契約書の内容を確認しようとした際に、契約書管理台帳などに記載されている管理場所と異なる場所にあるため、契約書が見つからなくなることがあります。
そのため、実質的には契約書原本を紛失したのと同じ状態になってしまいます。このような事態に陥ると、締結した契約書の内容が確認できず、トラブルが起きた際に契約書の内容を確認して対応することができなくなってしまいます。
しかし、これでは契約書を適切に保管・管理できているとは言えず、原本を保管する意味がなくなってしまいます。
解決方法
では、こうした契約書の格納先に関する問題はどうすれば解決できるでしょうか。ここでは契約書の格納先に関する問題の解決方法について解説します。
マニュアル作成
まず考えられるのは、システムが社内で浸透していないため、利用率が低く、契約書管理システムが利用されていないという可能性です。こうした問題を解決するためには、マニュアルを作成し、利用しやすい環境を整えることが考えられます。
また、契約書業務に関するフローの複雑さからヒューマンエラーが発生している可能性もあります。このような事態に対応するためにも、マニュアルの作成は有効です。
複数の担当者でチェックを行う
人的リソースが不足している場合、契約書のデータ化が進まないことがあります。このようなケースでは、担当者一人に任せるのではなく、複数人で契約書のデータ化や管理を行う方法が有効です。
また、ヒューマンエラーによる格納場所の間違いについても、複数の担当者で複数回チェックを行うことで、ミスの可能性を減らすことができます。
紙の契約書をそのままにしたり、誤った場所に保管した場合、契約書へのアクセスが非常に非効率になるため、契約書管理業務だけでなく、他の業務の効率性も低下するリスクがあります。この点には十分な注意が必要です。
特に、誤った場所に格納してしまった場合、実質的に紛失したのと同様の状態になります。契約書の内容が確認できなくなると、業務自体の遂行が困難になるため、これでは非効率を超えて業務が遂行できなくなります。
そのため、担当者を複数人配置し、相互にチェックしあう環境を整えることや、これまで締結した紙の契約書も含めて電子データ化できる環境を作ることが非常に重要です。
システムの導入前に互換性の有無を確認する
電子契約システムと契約書管理システムとの間に互換性がない場合、そのままでは保管ができないといった事態に陥ることがあります。このようなケースは、問題が発生してからでは対応が難しいため、システムの導入前に互換性の有無を十分に確認しておく必要があります。
互換性のないシステム同士を組み合わせて業務を行うと、効率が悪くなってしまうからです。
システムの導入前は分かりにくい部分もあるかもしれませんが、営業担当者に確認するなどして、既存のシステムとの互換性についてしっかりと確認しておきましょう。
マニュアルが守られない場合の統制方法Contract Automation
『Contract Automation』は、各社のマニュアルに沿った契約フローをシステムに取り込みガイドとして次のステップを表示する仕組みです。
人の手では難しいマニュアㇽに沿った業務進行もガイドが誘導するので記憶に自信がなくとも問題ありません。
契約業務に普段から馴れていない方でも、ガイドを見ればマニュアルに沿って業務をすすめることができ差し戻しやフォロー、問い合わせ対応を減らし内部統制とガバナンスの強化に役立ちます。
また、API連携で周辺システムとの連携をすることで二重入力や転記作業の排除も可能です。
まとめ
契約書の格納先の問題は、単なるヒューマンエラーで済まされる問題ではなく、最悪の場合契約書を紛失してしまうといった事態にもつながりかねない深刻な問題です。
契約書を電子データ化すれば足りると考えがちですが、多くの企業ではそれまで紙で締結していた契約書が存在するため、膨大な数の紙の契約書を抱えており、これらも含めて電子化の対応をすることは負担が予想されます。自社に合った最適な方法で段階的に進めることが重要です。