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ノウハウ DX推進指標とは?評価方法・仕組みと結果の活用方法は?

更新日:2024年10月31日

投稿日:2024年07月22日

DX推進指標とは?評価方法・仕組みと結果の活用方法は?

DX推進指標とは?評価方法・仕組みと結果の活用方法は?

自社のDXの現状を評価できる仕組みに、DX推進指標があります。

デジタルツールを導入したもののDXが進んでいる気がしないなどのケースでは、推進指標の活用をおすすめします。

ただし、他社より良い指標を得ることができたからと言って、DX推進が成功するとは限りません。では、何に注意して活用すれば良いのでしょう。

 

本記事はDX推進指標の仕組みと活かすメリット、うまく活用するポイントを紹介しています。

 

 

DX推進指標とは

経営者や社内の関係者が、DX推進にあたって現状や課題を把握し、共有するために活用されるものです。

企業で自己診断可能です。

DX推進指標の記載内容

以下のように構成されます。それぞれ定性指標と定量指標に分けられます。

  • DX推進のための経営のあり方、仕組みに関する指標
    • DX推進の枠組み(定性指標)
    • DX推進の取組状況(定量指標)
  • DXを実現する上で基盤となるITシステムの構築に関する指標
    • ITシステム構築の枠組み(定性指標)
    • ITシステム構築の取組状況(定量指標)

 

下記の項目に分類される指標に答えていきます。一例を紹介します。

 

DX推進の枠組みに関する定性指標

項目

指標内容

ビジョン

社内外で共有できているか

経営トップのコミットメント

経営のリーダーシップの下、組織整備や人材・予算配分やプロジェクト管理などの仕組みが明確かつ実践されているか

(仕組み)マインドセット、企業文化

試行錯誤をスピーディーに行って継続できる仕組みができているか

(仕組み)推進・サポート体制

  • DX推進を担う部署・人材が明らかで、役割も明確になっている
  • 必要な権限が与えられている

(仕組み)人材育成・確保

DX推進を担う人材の育成・確保に取り組んでいる

事業への落とし込み

業務プロセスやビジネスモデルなどの改革に経営者が率先して取り組んでいる



ITシステム構築の枠組みに関する定性指標

項目

指標内容

ビジョン実現の基盤としてのITシステムの構築

既存のITシステムの改善点を認識し、対応策を講じている

ITシステムに求められる要素

  • データ活用しやすいか
  • スピーディーな対応可能か
  • 部門を超えてシステム連携できるなど組織全体で使いやすいシステムか

IT資産の分析・評価

IT資産の全体像を把握した上で分析・評価できている

IT資産の仕分けとプランニング

  • 自社に合わなくなっているシステムを廃棄できている
  • システム刷新の計画を立てている

ガバナンス・体制

IT投資について価値を創出できる領域に資金や人材が分配されているか



DX推進、ITシステム構築の取組状況に関する定量指標

DX推進の取組状況

ITシステム構築の取組状況

項目
指標内容

項目指標
指標内容

研究開発
製品開発スピード

人材

  • DX人材の人数
  • DX人材育成のための研修予算

マーケティング
新規顧客獲得割合

データ
データ鮮度

会計・経理
決算処理スピード

スピード
サービス改善の頻度

デジタルサービス

  • デジタルサービス全体の利益
  • デジタルサービスへの投資額
 

デジタル化
業務プロセスでデジタル化の進んだ割合

 

 

評価の仕組み

定量指標であれば、スピードや売上など数値を参考に評価できます。

では、定性指標はどのように評価するのでしょう。定性指標は、DXをどこまで進めたか6段階で評価します。

 

  • レベル0:未着手…経営者は無関心か、関心があっても具体的な取り組みを実行していない
  • レベル1:一部での散発的実施…戦略が明確にされていない中、部門単位での実施にとどまっている
  • レベル2:一部での戦略的実施…戦略に基づく一部の部門での実施
  • レベル3:全社戦略に基づく部門横断的推進…戦略に基づいて部門をまたいだ実施
  • レベル4:全社戦略に基づく持続的実施…組織内で同じやり方を定着させ、改良を続けながら継続している
  • レベル5:グローバル市場におけるデジタル企業…レベル4を満たした上で、デジタル企業として世界で戦える

DX推進の目的

そもそもDXとは、デジタル技術やデータを活用して、顧客のために新しい価値を生み出すことです。

新しい価値を創造し続けることで企業の競争力を強化することが、DX推進の目的と言えます。

 

ところが、DX推進の目的が新たな価値を生むことではなく、デジタル技術を導入することになっている企業が少なくありません。

新たなものを生み出すにあたり、ビジネスモデルが変わることは多いです。例えば、紙で管理していた書類を電子化するとなったら、業務工程が変わるなど。

 

DXで何を生み出したいか明確でないと、DXに向けた改善点が分からず、実現のための仕組みもつくれません。

そこで、DX推進指標が有効となります。

DX推進指標活用のメリット

DXがどこまで進んでいて、何のために推進するのかを明らかにします。

共通認識ができる

経営層と現場、IT部門とその他の部署のように、置かれている立場や担当業務によって、DXを進める目的や重要性の理解に違いがあることもあります。

DX推進指標を用いることで、組織の全ての人が、企業として進める目的やDX化に向けた課題などを同じように認識できます。DX化に向けた取り組みを協力しながら円滑に実行しやすいです。

評価や進捗管理できる

推進指標で自社のDX状況をチェックすることで、順調な面と改善点が見えてきます。

指標がないと、あいまいな評価になりやすいです。課題が分からず、必要な対策をとれません。

対して指標があれば、どこまで達成できているか客観的に確認できます。毎年実施することで進み具合や変化も分かり、今後の施策に活かせます。

自社の状況を客観視できる

他社の進め方が参考になることもあります。ですが、会社によって事情は異なります。他社の成功例が自社に適切かは分かりません。

DX推進指標なら、自社の現状と課題を把握できます。結果に基づいて今後の戦略も立てられます。

DX推進指標の活用方法

DX推進指標は現状や今後の課題を把握する他、DX推進のためにやるべきことを議論する資料にもなります。

下記の手順を踏めば、活用できるまでになります。

 

  1. DX推進指標ガイダンスの確認
  2. 指標を基に自己診断
  3. DX推進指標自己診断フォーマットを記載、提出
  4. ベンチマークレポートと自己診断の比較
  5. 結果を参考に関係者で今後のDX推進についての議論
  6. DX推進のための体制や仕組みづくり

DX推進指標活用の失敗例

回答や一度の実施で終わらせてしまう、目的を適切に設定できていないなどが失敗の要因です。

自己診断だけで終わってしまう

DX推進指標に回答し、結果を見ただけで具体的な取り組みをしない事例です。

何から取りかかるべきか分からず、改善策に落とし込めないために進められない可能性があります。

ITベンダーからアドバイスを受ける、ベンチマークレポートの他社の事例を参照するなどで、自社にマッチしていて取りかかりやすい方法が見えてきます。\

DX推進指標で良い結果を得ることが目的となっている

推進指標は、DX化の自社の現状と課題を洗い出すものです。評価が高ければ良いというものではありません。

にもかかわらず、高い評価を得ることばかりに注力すると、より良い形でDXを定着させて、競争力を強化させるのに必要な取り組みができない恐れがあります。点数だけではなく、課題を認識し、改善に取り組むことがポイントです。

経営陣だけで進める

DX推進を実現したいのであれば、経営層が積極的に進めることが大切なのは事実です。しかし、全従業員に周知せず進めてしまうと、現場に混乱を招く可能性があります。

もちろん、経営陣が従業員に丸投げするのも好ましくありません。従業員の意見を聞いて体制づくりに活かすなど、部門を超えて取り組めるように引っ張ることが経営陣には求められます。

一部の担当者だけで回答してしまう

一部の回答者だけだと、広い視点で課題に気づくことが難しく、組織全体で取り組むことにつながりません。

経営層やIT部門のみに頼らないようにすることが大切です。

一度取り組んだだけで止めてしまう

評価の仕組みから分かるように、DX化には継続的な取り組みがポイントです。

部分的な取り組みで終わってしまうと、DXが中途半端になります。

DXは、一度の取り組みで上手くいくものではありません。試行錯誤と評価を繰り返すことが、DX化の道のりです。

DX推進自体が目的になっている

DX推進の目的は、デジタル技術を活用して、新しい価値の創出と企業の競争力を強化することです。

DX推進で何をしたいか具体的になっていないと、DXを進めること自体が目的になりがちです。例えば、新しいシステムを導入しただけで満足してしまうなどです。

推進指標の評価を見て、システムは導入したものの使い勝手に問題はないかなどを確かめ、システムを入れ替えるなど新しい施策に活かすことが求められます。

DX推進指標をうまく活用するポイント

DX推進指標の活用方法で紹介した手順で進めて体制や仕組みづくりに活用することもポイントですが、他にも意識すべきことがあります。

経営陣主体で現場と一体となって取り組む

経営陣だけ、現場の従業員だけの取り組みでは、DX推進は円滑に進みません。

経営陣には、従業員が自らの役割を分かるよう導くことが求められます。例えば、予算や人材の適切な割り当て、DX推進のための体制整備などです。

 

DX推進で目指すことを周知することも大切です。目標が分かれば、何をすべきか見えてきます。

指標を基にPDCAを回す

DX推進指標から現状と課題を知ることができます。指標から取り組みを考え、実行することで、DXは進むはずです。

しかし、施策が必ず上手くいくとは限りません。DX推進に向けた取り組みを評価し、改善策を打ち出す、ということを繰り返して定着していきます。

自社の状況にあわせてDX推進指標をカスタマイズする

定性指標において、全ての項目でレベル5を目指す必要はありません。企業によって成長させたい内容は異なるためです。

 

例えば、顧客満足度の向上を目指す企業と新製品の開発スピードのアップを叶えたい企業では、DXで改善したいことは異なるでしょう。企業の目標にあわせて指標を設定し、評価することが上手な使い方です。

 

短期的な目標と中長期的な目標を設定していると思うので、指標の優先度とレベルの目標も定めることで、DX推進の進捗管理もしやすくなるはずです。

 

【関連記事】法務DX、契約DXとは?契約DXで生まれる価値と進め方を解説

まとめ

DX推進指標を上手に活用することで、企業全体で共通認識を持ちながら、現状と課題の明確化を行い、DX推進のための戦略を立てられます。指標を使いながら試行錯誤を繰り返すことで、新しい価値の創出と競争力の強化が実現し、成長を止めない組織であり続けることができます。

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