ノウハウ ビジネスにおけるデータ活用とは?メリット・手順・事例など解説
更新日:2024年10月17日
投稿日:2024年07月22日
ビジネスにおけるデータ活用とは?メリット・手順・事例など解説
急速にIT化が進む現代社会で企業としての成長を絶やさないためには、「データ活用」が重要です。
しかしデータ活用とは具体的に何をするのか、何から着手すべきなのか分からず対応に困る担当者の方もいるのではないでしょうか。
そこで今回は、ビジネスにおけるデータ活用の定義からデータ活用のポイント、事例まで詳しく解説します。
データ活用を行うにあたって必要な基礎知識を記載しているので、ぜひ最後までご覧ください。
ビジネスにおけるデータ活用とは
ビジネスにおけるデータ活用とは、業務や営業活動などの中で蓄積されたデータを収集・分析し、自社の事業拡大や課題解決に利用することを指します。
近年は業務データや顧客データだけでなく、様々な公的機関が発信した情報や不特定多数のユーザーによるSNS上の情報など、膨大なデータが日々更新され続けています。
それらのデータを継続的に集めて自社に蓄積させることで、常に業務状況の現状を明確に把握したり、今後の予測の精度を高めたりできます。
活用するデータの量が多いほど高い効果に期待できますが、十分な効果を得るには適切なやり方やポイントを理解しておくことが大切です。
データ活用とデータ分析の違い
データ活用と似た言葉として、データ分析もあります。
データ分析とは、「収集したデータの中から新たな知見を得ること」が目的の取り組みです。
一方でデータ活用は、「自社をより良くするためにデータから得た知見を活かすこと」を指します。
つまり、データ分析とはデータ活用のために必要なプロセスのひとつです。
データ活用ではデータから得た知見を業務に活かすための実務経験、データ分析では情報の背景を読み解くスキルなどが求められます。
データ活用の重要性
データ活用はどんな企業にも重要度の高い取り組みです。
理由としては、IT技術の発展に伴い消費者自身が自分で情報にアクセスのうえ取捨選択できるようになった、現代社会の傾向が挙げられます。
そのような中で、個人の経験・スキルだけでは消費者のニーズに最大限マッチするマーケティング施策を行うことは難しいものです。
また、データ活用はすでに国内企業の間で広く浸透している取り組みです。
時代に合わせてデータ活用を継続しなければ競合他社との差が大きくなり、自社の競争力が失われる事態にもなりかねません。
データ活用がビジネスにもたらすメリット
データ活用は、主に以下のようなメリットをもたらします。
利益アップ
自社が収集・蓄積したデータを活用することで、顧客ニーズに沿った提案や新製品・サービスの開発ができるようになります。
さらにリアルタイムでデータ集計をすれば、ビジネスチャンスを見逃さずに効果的なアプローチを行うことも可能です。
さらにデータ活用を通して業務上の工程・コストなどにおける無駄も把握しやすくなります。
売上の向上と業務コストの削減により、自社の利益をさらに高めることができます。
事業拡大チャンスの創出
データ活用では高精度な市場動向の現状把握に加え、過去に培われたデータとリアルタイムで収集したデータを合わせて、将来予測も可能となります。
市場の現状と予測した将来から、従来では気付き得なかったビジネスチャンスを見つけられる場合もあります。
新たな製品・サービス開発や事業拡大のタイミングを掴めずにいる企業にとっては、大きなメリットです。
ビジネスで活用できるデータの例
データは実に様々な種類がありますが、その中でもビジネスに活用できるものとしては以下の5つが挙げられます。
顧客データ | 顧客の個人情報、問い合わせ内容、アンケート結果など |
取引データ | 売上・資産状況に関する情報など |
購買データ | 顧客の購入履歴や売上データなど |
ユーザーの行動ログ | サイトのアクセスログ、WEBサイトやSNSの記事データ、動画の視聴ログなど |
IoTデータ | GPSで取得した位置情報、速度や温度などのセンサーデータなど |
例えば顧客データなら製造業や情報通信業、取引データなら物流業や金融業、IoTデータならインフラ業で使われることが多いです。
データ活用に着手する際は、業種によってデータの適性が異なる点を踏まえて収集するデータを決める必要があります。
データ活用の手順
どんな形でデータを活用するにも、準備の段階から着実にステップを踏んで取り掛かることが大切です。
データ活用は、基本的に以下の手順で進めます。
1 データ活用の目的・目標を明確にする 2 目的・目標達成のために解決すべき課題や分析するデータを決める 3 2で決定した内容に基づき社内外でデータを収集する 4 必要に応じてデータの訂正や整理を行う 5 誰が見てもデータを把握しやすいように数値・表・グラフなどで可視化する 6 可視化したデータを分析して活用できる要素を探る 7 データ分析の結果をもとに施策を講じる 8 施策の実行後に目標・目的の達成率を確認してPDCAを回す |
企業のデータ活用の課題
データ活用は思い立ったらすぐに着手できるものではなく、取り組む中でどんな企業にも陥りがちないくつかの課題をクリアする必要があります。
その中でも特に対策が重要な課題は、「データ分析の手法の確立」と「人材の確保」です。
現状のデータ分析手法で主流とされているのが「Excelなどの計算システムの利用」であり、非効率な分析によりデータを最大限活用できない企業も珍しくありません。
効率的かつ効果的にデータを活用するなら、ITシステムの利用が適しています。
また、効果的なデータ活用を行うにはデータ分析のスキルを持つ人材も必要です。
しかしIT人材そのものの不足が問題視されている現在、データ分析を専門としない人材を担当者に据えていることが多く、特に中小企業ではその傾向が顕著に現れています。
上記2点の課題については、総務省が公開している「5Gが促すデジタル変革と新たな日常の構築」内の第3章第2節でも言及されています。
データ活用のポイント
データ活用の成果を高めるためにも、以下3つのポイントを意識しながら取り組みましょう。
自社が活用できるデータを知る
先述したように、ビジネスで活用されるデータには様々な種類があります。
その中から、自社のビジネスにはどのようなデータが活かせるのかを理解することが大切です。
合わせて、活用するデータの信頼性にも注意のうえ取捨選択することをおすすめします。
具体的には、数値や単位に誤りがないか、事実が正確にあらわされているかといったポイントに注目する必要があります。
不適切なデータを取り入れると正しいデータ分析ができなくなり、データ活用という取り組みそのものの瓦解につながります。
業界・分野とデータ活用の相性を理解する
データ活用は幅広い業種・分野の企業にとって重要な取り組みですが、すべての業種・分野と相性が良いわけではありません。
例えば経営企画・業務改善・製品やサービスの企画・マーケティングといった分野に関わる目標なら、データ活用は有効です。
その一方で、保守・メンテナンスやリスク管理といった分野はデータ活用に期待できる効果は薄いです。
自社とデータ活用の相性も考えながら、実行に移すかどうかを検討しましょう。
データ分析を担う部門を設置する
データ活用に必要なデータ分析では専門性の高い知識が必要となるため、いち従業員にコア業務の片手間に取り組ませることは望ましくありません。
とはいえ、多くの国内企業には「IT人材の不足」という壁が立ちはだかります。
その問題を克服し、いかにしてデータ分析専門の部門を設置するかが重要です。
データ分析部門を作るためには、まずデータ活用で達成したい目標を明確に定めてから、全社規模でデータ分析リテラシーの向上に取り組みます。
これによりデータ分析手法を合理的に決定できる他、データ分析への理解向上でデータ活用の文化を根付かせやすくなるからです。
そのうえでデータ分析の必要性を社内へ浸透させるために役員・執行役員などが主責任者となり、データ分析の推進部門を作ります。
IT部門と連携しながら、デバイスやシステム導入などデータ分析に必要な整備を進めていきましょう。
データ活用に最適な企業
データ活用は、以下のような目標・課題がある企業に最適な取り組みです。
DXを推進したい企業
DXを推進するにあたって、データ活用は必要不可欠です。
そもそもDXの定義とは、「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して得た顧客や社会のニーズに基づき、業務やビジネスモデルを変革すること」とされています。
やみくもに既存業務をデジタル化するのではなく、業務改善や新たなビジネスモデルの創出につなげるため、データの収集・分析・活用するための環境を整えなくてはなりません。
ITツールを上手に生かしながらデータを分析し、業務の現状や消費者ニーズを見直すことで、効果的なDX施策を展開できます。
業務改善・効率アップを狙う企業
データ活用は事業活動という大規模な目的だけでなく、特定の業務改善・効率化にも有効です。
例えば自社やベテランの従業員が積み重ねてきたノウハウ・ナレッジを分析のうえ可視化することで、現場にそのノウハウ・ナレッジを共有できます。
その結果、幅広い社員が高いレベルで業務を遂行できるようになり、改善や効率アップにつながります。
新商品を開発する企業
自社に蓄積された販売データや顧客関係のデータを活用することで、現状の顧客ニーズや敷こう、行動の傾向などを高精度に把握できます。
これにより新しい製品・サービスの開発が進むうえに、ターゲットにマッチした商品販売が可能となるため、売上や自社ブランドの工場という効果にもつながります。
営業効率に悩む企業
市場や顧客行動の複雑化が進む現代では、個人の経験や想像だけを頼りに戦略の意思決定を行うことは困難です。
その結果、営業効率が低下する事態となります。
ITツールを使ったデータ活用を実施すれば、膨大で複雑なデータを簡単に収集・分析のうえ可視化できるため、ビジネスチャンスをいち早く見つけることが可能です。
スピード感のある意思決定とアプローチの効果アップにもつながり、効率的な営業活動で生産性も向上します。
【ビジネスモデル別】企業におけるデータ活用の事例
データ活用の事例として、データ活用から構築されたビジネスモデルの例をご紹介します。
ユーザーのデータに基づくサービスの開発
大手家電メーカーでは、スマートホームやIoT関連製品を展開しています。
これらの製品を通して収集したユーザーの生活パターンや行動履歴を分析し、活かしていることが特徴です。
よく使うメニューや興味のある情報を優先的に提示したり、ニーズの低いサービスの改善・廃止につなげたりして、自社サービスの開発を進めています。
データ分析ツールを活用した在庫管理の最適化
現場作業・工場作業向けウェアや関連用品を販売する企業では、操作が簡単なExcelを使ったデータ分析を全社規模で実施しています。
すべての社員がExcelの操作を恐れないように入念な研修を実施した結果、現自は店舗に配属された従業員自らがExcelで売上データなどの分析を行っています。
分析されたデータは、店舗在庫の最適化や品揃え・棚割の改善などに役立てられています。
SNSのデータを参考とした景況感指数調査
とある証券会社では、SNSユーザーの投稿内容を参考にして景況感指数調査を実施しています。
景況感指数とは、現在や今後の景気に対する消費者の感覚の指標です。
SNSからデータを収集し、AI技術で大量のテキストから必要なものだけを抽出したり、抽出されたテキストから景気感を評価したりしています。
データ活用は業務改善にも有効!ITツールによるデータ活用で自社の課題を解決しよう
顧客データ・取引データ・購買データ・IoTデータなどを活用することで、時代に合ったマーケティング戦略や業務改善などのメリットにつながります。
近年はデータ活用に取り組む国内企業が多いことも相まって、競争力を失わないためにも重要な取り組みといえます。
しかし、データ活用はただ適当と思わしきデータを収集すれば良いというわけではありません。
自社の目的・目標に必要なデータを設定し、専門部署の配置やITツールの導入といった準備を行ったうえで、データ収集・分析を行う必要があります。
必要に応じて、データ分析のために従業員へのITリテラシー教育に注力することも検討しましょう。