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ノウハウ 支店間、グループ間の統制のきいた契約業務を構築する方法について解説

更新日:2024年08月20日

投稿日:2024年07月22日

支店間、グループ間の統制のきいた契約業務を構築する方法について解説

支店間、グループ間の統制のきいた契約業務を構築する方法について解説

法務部門の業務のあり方として、1つの会社や組織で発生する法律問題や契約書審査などを行うというあり方がある一方で、離れた場所にある支店や関連会社も含めて法務業務を行うというあり方も考えられます。

 

しかし、1つの会社のみの法務業務を担当する場合と比較して複数の会社や組織の法務業務を行うに当たってはグループ間の統制を意識する必要があります。そこで本記事では、支店間グループ間の統制のとれた契約業務を構築する方法について解説します。

 

 

業務の全体像

グループ会社や支店などの法務業務を行うケースでは以下の2通りの業務のパターンが考えられます。

契約書審査のみを行う場合

グループ会社や支店が締結する契約書の内容の審査のみを行ない、管理等はそれぞれの会社や支店に任せる方法です。

 

契約書審査のみを親会社や本店で一括して行うため、後述する方法よりも親会社等の法務部の負担が軽い点がメリットと言えるでしょう。他方で、契約書の管理等はそれぞれのグループ各社や支店に任せることになるため統制が取りづらく、バラツキが出てくる点がデメリットです。

契約業務全体を受け持つ場合

2つ目のパターンは契約書審査だけでなく、契約書管理等の業務も親会社等の法務部門が一括して行うパターンです。

 

この方法は親会社等の法務部門が全てを管理するためガバナンスの観点からは望ましいと言えますが、その分業務量が多く管理の負担が大きくなる点がデメリットと言えるでしょう。

統制が効いていない状態とは

では、契約書の審査や管理をグループ会社などの各社に委ねた結果、グループ間の統制が取れていない状態になるとどのような状況が生じるでしょうか。

 

ここからは、統制が効いていない状態について解説します。

台帳管理の運用方法、台帳の作り方が部署ごとにバラバラ

契約書の手軽な管理方法として契約書管理台帳による契約書管理が考えられますが、グループ会社や支店など各社に管理を委ねた場合、契約書管理台帳による契約書管理の運用方法や台帳の作り方などがバラバラのルールで運用されるケースが想定されます。

 

その結果、必要な契約書にアクセスしようとした際に、特定の会社や部署では契約書管理台帳に記載がされておらず、どこにあるのか分らないといった状態になってしまうケースが想定されます。

 

また、台帳の内容もバラバラになるため、必要な情報が記載されておらず契約書の特定に時間がかかってしまい、業務の効率性が落ちるといった状態も想定されます。

契約書の管理方法や管理期間など各会社・支店間でバラバラ

契約書は締結した場合には保管し、期限管理や更新時期の管理等をする必要があります。

 

しかし、グループ会社などの各社にこうした管理を委ねると管理方法もバラバラになるうえに、契約書の保管期間も適切な期間保管されない状態になってしまうケースが考えられます。

 

また、契約書の保管期間ですが、契約書の有効期間中はもちろんのこと、契約不適合責任など事後的な責任追及の可能性や残存義務の追求の可能性を考慮して保管期間を設定するようにする必要があります。

契約書の審査基準や審査を行うか否かの基準が各会社・支店間でバラバラ

契約書の審査と一口にいっても契約書にも様々なものがあり、法的リスクが低い定型的なものからリスクの高いものまで様々なものがあります。

 

こうした契約書をどういったものを契約書審査の対象にするかについては、各社によって対応は様々です。グループ会社などの各社に判断を委ねた場合には、契約書の審査対象とすべきリスクの高いものについても審査対象から外れる可能性が出てきます。

 

また、審査を行なった場合でもレビューの精度が各社で異なるといった事態になる可能性もあり、一部の会社は特に不利な契約を締結してしまったといった事態に陥る可能性もあります。

契約書に関する業務フローがバラバラ

各社に契約書に関する業務を任せる場合、契約書に関する業務フローがグループ会社各社によって異なることがあります。

 

こうした場合、適切に契約書が管理されなくなったり、契約の承認ルートが適切で無いため必要な関係者が閲覧できず不適切な契約書を締結してしまうリスクがあります。

統制が効いていない場合に起きる課題

では、統制が効いていない場合にはどのような課題が生じるでしょうか。ここでは統制が効いていない場合の契約業務における課題について解説します。

必要な契約書へなかなかアクセスできず業務効率が低下する

契約管理台帳がバラバラだったり運用にバラツキがあると契約書の管理状態について適切に把握することができなくなってしまいます。

 

その結果、契約書の原本がどこでどのような状態で保管されているのか分らなくなったり、なかなか契約書を発見できないといった事態に陥る可能性があります。

 

このような状態になると、契約書を確認した上で進める業務について必要な契約書になかなかアクセスできず業務効率が低下してしまうといった課題が生じることになります。

必要な契約書が保管されておらず確認できない

契約書の保管ルールや保管期限がグループ会社などの各社によってバラバラである場合、必要な契約書が必要な期間保管されていないケースが想定されます。

 

その結果、契約書の内容を確認する必要がある場合に確認できないといった課題が生じることになります。

会社毎に契約の有利不利が大きく異なる

グループ会社各社で契約書審査の審査基準が異なる場合、契約書の有利不利が適切に判断できておらず、その結果グループ間で契約の有利不利が大きく異なるといった事態が生じる可能性が考えられます。

 

グループ会社の規模や立ち位置によってはやむ得ない場合もありますが、グループの統一性を考えた場合、グループ各社によって契約書におけるパワーバランスが大きく異なるというのは望ましい状態ではありません。

不適切なフローで業務を行い、リスクの高い契約となってしまう

契約書に関する業務フローが不適切な場合に生じる弊害はいくつか考えられます。

 

承認ルートが適切に設定されていない場合には、本来その契約を回覧し内容について検討を行うべき人物が閲覧できないといった事態に陥る可能性があります。

 

こうした場合、内容が不適切な契約を締結することになったり、場合によっては違法性のある契約を締結してしまったといった事態になりかねません。

 

このように不適切なフローで業務を行なった場合には、h適切な契約を締結してしまうリスクが生じるという課題が生まれることになります。

 

【関連記事】契約業務で発生する具体的なリスク、課題とその解決方法

解決方法

では、こうした課題はどのように解決が可能でしょうか。ここからは課題の解決方法について解説します。

契約書台帳の内容や運用ルールを統一化する

契約書の管理を契約書管理台帳などで行う場合には、契約書管理台帳の内容や運用ルールを統一化することで契約書管理に関するバラツキを回避することができます。

 

ただ、書式が同じでも実際の運用が適切になされているか本社や親会社が逐一チェックすることができるわけではないため、運用にバラツキが出てしまうリスクはどうしても残ってしまいます。

 

【関連記事】契約管理台帳とは?作り方や書くべき項目について解説

契約書の保管に関するルール作りと統一化を行う

契約書の保管期限や保管対象についてバラツキがあるといった課題がある場合には、契約書の保管に関するルール作りと統一化を行う方法で解決を図ることが考えられます。

 

親会社等がルールの統一化を行うことで必要な契約書が保管されていなかったといった事態や一部のグループ各社における管理がずさんだった場合にはルールの統一化とその運用を徹底することで契約書の保管に関する問題を解決することができるでしょう。

 

ただし、これもルールを統一化してもルールに沿った運用が実際になされて初めて課題の解決を図ることができるため、運用にバラツキがあると課題が解決できないといったリスクが残ってしまいます。

 

【関連記事】内部統制を強化するための契約業務改善

契約書の審査は親会社(本社)が集中的に行う

契約書の審査基準がグループ各社で異なる場合の解決方法としては、契約書の審査については親会社(本社)が集中的に行うといった解決方法が考えられます。

 

ただし、どの範囲までの契約書を親会社が確認・審査を行うかについては検討しておく必要があります。というのも、グループ会社は親子関係があるとはいえ、親会社と子会社は異なる法人格を持つ他人に当たるため、親会社がグループ会社各社の法律事務を対価を受けて行うことは弁護士法72条に違反するのではないかといった問題があるためです。

この点については、法務省は以下の様に述べています。

 

”弁護士法第72条は罰則の構成要件を定めた規定であるから,もとより,その解釈・適用は捜査機関,最終的には裁判所の判断に委ねられるものである。 そのことを前提に,あくまで一般論としてではあるが,株式会社である親子会社 間の法律事務の取扱いに関し,例えば,以下の例に挙げるような親会社の子会社に 対する行為については,それが反復的かつ対価を伴うものであったとしても,他に 同条の趣旨(最高裁判所昭和46年7月14日大法廷判決・刑集25巻5号690 頁参照)に反する事情(紛争介入目的で親子会社関係を作出した等)がない限り, 同条に違反するものではないとされる場合が多いと考えられる。もっとも,同条に 違反するかどうかは,以下の例に挙げるような行為の内容や態様だけではなく,親 会社・子会社の目的やその実体,両会社の関係,当該行為を親会社がする必要性・ 合理性その他の個別の事案ごとの具体的事情を踏まえ,同条の趣旨に照らして判断されるべきものである。 

〔例〕 ・ 子会社の通常の業務に伴う契約について,法的問題点を調査検討の上,契約書や約款のひな形を提供し,子会社が作成したものをチェックし,契約条項や 約款の一般的な解釈等,一般的な法的意見を述べること

・ 子会社の通常の業務に関連する法令やその改正について,情報提供をし,そ れに伴う実務上の対応につき一般的な法的意見を述べること

(以下略)”

引用元:https://www.moj.go.jp/content/001400727.pdf

 

かかる法務省の見解を前提にすると子会社の契約書を審査し一般的な法的意見を述べることは問題が無いとされていますが、法務省も個別の事案ごとの具体的事情を踏まえて判断するべきとしていることから各会社でどこまで子会社の契約書審査を行うべきかは検討する必要があるでしょう。

 

また、有償で行うのか無償で行うのかといった点は税務面からも検討すべき課題となり得るため併せて社内での整理が必要となります。

契約書業務フローを作成しルールの統一化を図る

契約書の業務フローが不適切な場合には本社または親会社が契約書業務フローを作成しルールの統一化を図ることで契約書のフローのバラツキを改善し、不適切な契約を締結してしまうリスクを抑えることができるでしょう。

 

【関連記事】文書管理規程とは?重要な理由から作成の流れ・注意点まで解説

契約管理システムを導入する

契約書の管理については前述の通りルールを統一化しても運用面でバラツキが出てしまうと結局課題が解決できないといった問題が生じてしまいます。そこで、こういった課題を解決するために有用なのが契約書管理システムを導入することです。

 

契約書管理システムを導入すればグループ全社で同じシステムを用いることで同じデータベースを使い契約書の管理ができるため、バラつきの問題を解決できます。

 

また、契約書のデータベース化ができるため、必要な契約書に効率よくアクセスすることができ業務効率の低下を避ける事もできます。

 

システムによっては、内部統制を強化するための機能が開発されているため特にグループ会社、複数支店をまとめて管理することとなった場合そのような特徴に目を向けるとより多くの課題解決が望める場合があります。

まとめ

グループ各社や支店間で契約書業務に関する統制を効かせるためには、それぞれがバラバラで管理や業務を行うのではなく、契約書管理システムを導入して統一的に業務を行うことが重要です。

 

人の手を使わず、人的ミスを最小限に抑える方法として、システムの利用が挙げられます。

グループ間の統制にお悩みの方は、ぜひ契約書管理システムの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

 

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