ノウハウ 申込書など一般書類を電子化するには?メリットとデメリットは?
投稿日:2024年06月25日
申込書など一般書類を電子化するには?メリットとデメリットは?
契約業務の電子化に取り組み、大きなメリットを感じていると、申込書など一般書類も電子化したいと思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。
申込書も契約書同様、電子化できる書類です。契約書の電子化を検討する際にメリットとデメリットはチェックしたかと思いますが、申込書の電子化にもメリットとデメリットがあります。
本記事では、紙で受領した申込書を電子化する方法・手順を紹介します。電子的保存のメリットとデメリット、法的要件についても解説しています。
申込書の電子化とは
従来紙で保管されていた申込書を、電子データ化して保存することです。
電子帳簿保存法では、3パターンの保存方法を認めています。紙で作成・受領した申込書を電子化したら、スキャナ保存することになります。
申込書の保存期間
申込書は、種類によって保存期間が、7年か10年と定められています。
申込書が契約書に該当するか取引記録に関するものは7年間保存しなければなりません。
対して、事業に関する重要な資料に該当する場合は、会社法432条で10年間保存することと定められています。
申込書は電子保存が可能?
申込書は、電子帳簿保存法のスキャナ保存による保存の対象です。要するに、電子帳簿保存法に基づく電子化が認められているということです。
電子帳簿保存法とは、原則、紙での保管を義務づける書類について、一定の要件を満たす場合、電子データによる保存を認める法律です。
申込書電子化のメリット
紙の申込書と比較した時、電子化した申込書はどのようなメリットがあるのでしょう。コスト削減など4つのメリットを紹介します。
コスト削減
書類が紙のままだと、印刷や郵送にコストがかかります。電子化すれば、印刷などのコストが不要になります。
紙書類は増える度、保管場所を広げなければなりません。対する電子書類は、物理的なスペースを拡大しなくて済みます。社内で保管しきれないために社外に保管スペースを確保する必要がなくなることで、レンタル費用も抑えられます。
効率化
電子化によって書類の検索性が向上するためです。紙のまま保管しておくと、書類を確認しながら必要なものを見つけなければなりません。電子化すれば、キーワードや作成日などから検索でき、必要書類を探す手間が省けます。
受領までスピーディー
電子データは、メールやチャットツールで送受信したり、クラウドでの共有が可能です。郵送にかかっていた時間を削減できる分、申込書の受け取りまでの期間が短縮されます。
劣化や紛失防止
紙の申込書は、経年劣化のおそれがあります。一方、電子データで保管すれば、経年劣化の心配はありません。
バックアップを簡単にとれて紛失に備えられるのも、電子書類の特徴です。
デメリット
電子化に向けていくつか備えが必要な点で、煩わしく感じる方もいるかもしれません。システム障害が起きたら書類を確認できないのは、電子書類ならではのデメリットです。
4つのデメリットを紹介します。
導入コストがかかる
電子化のためのスキャナの導入コストなどの初期費用がかかります。
また、導入にあたって関係者への説明コスト、質問対応コストもかかります。
適切な対策がされないと情報漏えいなどのリスクが高まる
電子化された書類は紙の書類と異なり、劣化や紛失のリスクは低いです。一方、不正アクセスによる情報漏えいなどが懸念されます。
適切なセキュリティ対策をしないと、情報漏えいといった問題が発生するおそれがあります。
業務フローに変更が生じる可能性
申込書の郵送の有無の違い1つとっても、紙と電子データの場合で受領や管理までのフローが異なります。
同じように、急にこれまでとやり方が変わると、スムーズにいかないこともあります。そこで、新しいフローで問題なく進められるよう、ルールやマニュアルの整備が求められます。
システム障害時にアクセスできない
電子データを保管・閲覧するためのクラウドサービスをどのように利用できるかは、サービス側次第です。サービスにトラブルが発生した場合、企業は復旧を待つ必要があります。
申込書電子化の方法
紙で受け取った申込書は、スキャナーを用いてPDFなどに変換し、スキャンした紙書類は櫃王に応じて破棄します。
検索性を上げるには、OCR処理を行いスキャンした画像ファイルから文字情報を抽出し、テキストデータとして保存します。
申込書電子化の手順
申し込み書を電子化するには一般的に、以下の手順をたどります。
- 電子化したい申込書の枚数を把握
- スキャナの選定、導入
- PDF化やOCR処理
- クラウドなど電子データの保管場所として定められた所へ保存
申込書電子化の注意点
契約の申込書(定型的約款あり)は、スキャナ保存が可能です。
参考:国税庁「電子帳簿保存法一問一答【スキャナ保存関係】/国税関係帳簿書類のスキャナ保存の区分」問2
スキャナ保存を行うにあたり電子帳簿保存法では、文書の真実性と可視性を確保するための要件が定められています。要件を満たす方法で行いましょう。
特に重要なのが、文書の真実性と可視性を確保するための要件を満たすことです。
【真実性を確保する要件】
- 速やかに(業務サイクル後速やかに)入力
- 電子署名、タイムスタンプ
- バージョン管理
可視性を確保する要件
- カラーディスプレイ、カラープリンタなどの備え付け
- 検索機能の確保
上記に加え、書類の小さな文字や色まで再現できる200dpi以上の解析度、または、カラー画像によるスキャンも定められています。
くわしくは、下記記事で解説しています。
電子帳簿保存法のスキャナ保存要件とは?スマホ保存についても解説
よくある質問
最後に、申込書の電子化で良くある質問にお答えします。
電子帳簿保存法で申込書は対象ですか?
タイムスタンプの付与など、要件を満たした方法で電子化と保存を行えば認められています。
参考:国税庁「電子帳簿保存法一問一答【スキャナ保存関係】/国税関係帳簿書類のスキャナ保存の区分」問2
電子帳簿保存法以外に電子化で確認すべき法律はありますか?
e-文書法です。
e-文書法とは、文書の保存、作成、閲覧などを電磁的記録で行うことを可能とする法律です。
下記いずれかのファイルでの文書の保存・作成を求めます。
- 企業が使用している電子計算機に備えられたもの
- 磁気ディスクなどで作成したもの
まとめ
申込書の電子化は、コスト削減や業務効率化など、企業に多くのメリットをもたらします。
しかし、初期費用や業務フローの変更、システム障害時のリスクなど、デメリットも考慮して検討する必要があります。セキュリティ対策を講じたり、関連する法律を理解したりも欠かせません。
デメリットに納得した上で法令に則った方法で取り組めば、メリットの大きさを感じられるでしょう。