ノウハウ 紙媒体の電子化を解説。メリット・デメリットと進め方のポイント、注意点まとめ
更新日:2024年10月17日
投稿日:2024年06月25日
紙媒体の電子化を解説。メリット・デメリットと進め方のポイント、注意点まとめ
紙媒体の作成や印刷、検索の無駄を無くすために電子化を導入しませんか?
紙の書類を電子化できると、コスト削減や検索性の向上以外のメリットも受けられます。ただし、移行に時間がかかることや、電子化後のルールを事前に考える必要があることも忘れてはいけません。
本記事では、紙媒体の電子化とはどのような工程を指すのか、電子化のメリットとデメリット、やり方と注意点をまとめました。あわせて、電子化と相性の良いシステムについても紹介しています。
紙媒体の電子化とは
紙媒体の電子化とは、紙の書類をPDFなどの電子データに変換し、デジタルデバイス上で閲覧・保存・共有できるようにすることです。
電子化と聞き、デジタル化を思い浮かべる方もいるかもしれません。電子化とデジタル化は異なるもので、何を変換するか、何のために行うかに違いがあります。
電子化は紙媒体を、デジタル化はアナログ的に管理されたデータを電子機器で活用できるようにします。紙媒体を電子データに変換すること、デジタル化はデジタルデータを業務効率化などに活用することが目的です。
電子化したデータをデジタル化によって活かされる、という関係性です。
紙媒体の書類を電子化するメリット
紙の書類を電子化するメリットが分かると、電子化に取り組むと良い理由も分かります。
紙媒体の書類を電子化するメリットをご紹介いたします。
コストの削減
電子化で、印刷代や郵送にかかる費用が不要になります。
紙媒体が増えれば、社内で保管しきれず社外に保管スペースを借りなければならないこともあります。ところが電子データは物理的なスペースが必要ないため、倉庫代を節約できます。
検索性の向上
電子データをOCRなどで文字化し検索できる状態にすることで、キーワードや作成日などから該当の資料を素早く見つけ出すことができるようになります。
業務効率化
電子データであれば、思い立った時にいつでも情報共有できます。また、デバイスから送信できるため、郵送のためにオフィスに赴く必要もありません。リモートワークと相性が良いと言えます。
必要な書類がすぐに見つかることも、スムーズな業務進行に役立ちます。
保管スペース削減
紙媒体は増える度に保管スペースが必要になりますが、電子データであれば物理的なスペースを拡張せずに済みます。
例えば、倉庫量が経営を圧迫しているといった場合には、電子化により費用圧縮効果が見込めるでしょう。
紛失防止
電子データは、アクセス制限をかけるなどで、不要な持ち出しを防止できます。容易に文書の持ち出しができないことで、情報流出のリスクが下がります。
経年劣化の心配がないことも、紙の書類との違いです。可読性に問題が発生することなく、初期の状態を保って長期間保存できます。
紙媒体の書類を電子化するデメリット
いざ、電子化するとなった場合、電子化にあたってのルールがなければ、なかなか上手く運用できないものです。というのも、セキュリティ対策が必要となることや、システム障害時に閲覧できないなど、電子化ならではのデメリットがあるためです。
紙媒体の書類を電子化するデメリットについて紹介いたします。
電子化完了までに時間・コストがかかる
紙の書類をPDFなどデータにし、検索しやすいように整理しながら保存、という流れで電子化していきます。
電子化の必要な書類が数十枚、数百枚に及べば、1日で終えるのは難しいです。通常業務に支障をきたさない計画を立てて実行することが求められます。
また、スキャナを購入する必要がある場合、導入コストもかかります。
新たなセキュリティ対策・バックアップが必要
紙媒体と比較すると、電子書類は紛失や劣化の心配はありません。ただし、ウイルス感染や不正アクセスによる情報漏えいは懸念されます。データを守るためのセキュリティ対策が欠かせないということです。
万が一情報が流出しても、データを暗号化して保存するサービスを利用すれば、被害を最小限に食い止められます。
アクセス制限をかける、データの持ち出しや共有する際のルールを設けて周知することも大切です。
また、適宜バックアップをとらないと、データが消えてしまう点にも注意が必要です。
システム障害時には閲覧できない
電子化された書類は、クラウドなどに保存することが一般的です。しかし、システム障害が発生した場合、クラウドは開けないため、電子データにアクセスできず業務が停止する原因となり得ます。
書類を保存する時のルールがないと整理が大変
保存場所やファイル名の付け方といったルールが統一されないと、電子化したファイルをどのように保存すれば良いか分からず、スムーズにいきません。
また、ルールがないと、電子化した書類が必要になった時、検索に時間がかかります。電子化に取り組む前に、管理まで考えたルールづくりが必要です。
【関連記事】大量の社内文書をスキャン&電子化する方法5つ。それぞれのメリットとデメリット
電子化の方法
電子化の方法には、以下の3つの方法があります。それぞれ紹介いたします。
- 複合機・スキャナ・スキャンサービスでスキャン
- 外部委託
- OCR
複合機・スキャナ・スキャンサービスでスキャン
手軽に始められるのは、自社の複合機やスキャナを用いてPDF化する方法です。社内にある機器を使うため、好きなタイミングで取りかかれます。
スキャン対応の機器はないものの自社で完結したい場合、スキャンサービスという手段もあります。
店舗のスキャナを借り、自分たちでスキャンしていく方法です。自社の従業員が作業を行うことから、機密性の高い書類の取り扱いも安心です。
外部委託
スキャンは、外部の業者に電子化を委託することもできます。
電子化の必要な書類が多い場合や、自社の機器で対応できないサイズの書類がある場合に検討されることが多いです。
費用はかかりますが、電子化のために本業の時間を犠牲にすることがないため業務が忙しいけれど電子化を進めたい場合に有効です。
OCR
OCRとは、画像ファイルからテキストデータを抽出する技術です。
文字情報を抽出できるため、書類内で必要な箇所をすぐに検索できます。システムにより、抽出した文字情報は編集が可能なものもあります。
【関連記事】書類の電子化に役立つOCRとは?できることや活用方法など解説
電子化する際のポイント・注意点
電子化する際には、法的要件を満たす方法で保存する必要があります。
また、電子化にあたって見やすさや機密性などへの配慮が求められます。
電子化する際のポイント、注意点についてご紹介いたします。
法的要件の確認
電子帳簿保存法では、スキャナ保存の要件が定められています。例えば、スキャナ保存を行う場合、真実性と可視性の確保が求められます。
電子化対象の書類が電子帳簿保存法の規制対象にあたるかどうか確認しましょう。
例えば、下記のような要件が記載されています。
【真実性の確保】
【可視性の確保】
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電子帳簿保存法のスキャナ保存要件とは?スマホ保存についても解説
見やすさ
電子化の際、閲覧する機器によって見えやすさに違いが生じます。故に、解析度などの設定に注意が必要です。
検索性の確保
電子化した書類の保存方法に決まりがないと、必要な時にすぐに見つかりません。
対策として、ファイル名やフォルダ名のルールを整備したり、タグを付けて整理したりすることをおすすめします。電子化した書類の管理や検索を効率的に行えること、そして電子化を順調に行うためにも、電子化した後を見据えたルールは重要です。
文書管理のできるシステムを導入すると、管理が容易になります。
セキュリティ対策
電子化の際には、情報漏えいや文書の改ざん防止のためセキュリティ対策を施しましょう。
ファイルの暗号化やアクセス制限、書類の変更履歴をチェックできるようにするなど自社のセキュリティ基準に合った対策を考えます。
危機管理意識の醸成のために、情報やセキュリティに関する研修の実施もおすすめです。
【関連記事】契約書の電子化で注意すべきポイントは? メリットやデメリット、やり方、注意点を解説
電子化の手順
電子化は、一般的に以下の手順で進めます。
- 電子化を進める媒体の優先順位をつける
- 保管形式・場所を決める
- 電子化する際のファイル名の付け方などをまとめたマニュアルを作成する
- スキャナを用いるなど自社で定めた方法で電子化を進める
- セキュリティ対策
- 保管・管理
契約書はじめ紙媒体の電子化にはContractS CLM
ContractS CLMは、契約書の作成から管理まで一元管理できるクラウドサービスです。
契約書のひな形管理をしたい場合には、自社のフォーマットの読み込みも可能なため、使い慣れたテンプレートを使い続けられます。
また、複数書類をまとめて管理したいといった場合に、申込書など契約書以外にも利用可能です。
さらに、ContractS SCANというスキャン作業を外部委託できるサービスもございますので大量の書類のスキャンや一元管理にお困りの方におすすめです。
まとめ
紙媒体の電子化は、業務効率化やコスト削減、書類の紛失防止などに一役買います。
ただし、電子化への移行までにやることが多く、システム障害時には閲覧できないといったことは念頭に置いておきましょう。また、法的要件を満たすなど、注意事項も複数あります。
電子化には複数の手段があるため、自社の状況に適した方法を選びましょう。