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ノウハウ 契約業務とは?全体像やポイント、効率化の方法を解説

更新日:2024年10月17日

投稿日:2024年06月14日

契約業務とは?全体像やポイント、効率化の方法を解説

契約業務とは?全体像やポイント、効率化の方法を解説

契約業務とは、企業が取引先や顧客と交わす契約に関するすべての業務を指します。

企業のトラブル防止のためにも重要な業務であり、契約業務を効率化することで企業活動を円滑に進められるといっても過言ではありません。

 

この記事では、契約業務について解説します。

契約業務の全体像やポイント、効率化を実現するための方法などを詳しく解説するのでぜひ参考にしてください。

 

 

 

契約業務とは

契約業務とは、契約書の作成、審査、交渉、契約締結、契約管理にいたるまでの一連の業務を指します。

 

主に契約業務を担うのは企業の法務部門です。

法務部門のない企業は、総務部門が担当したり、外部の弁護士に依頼したりします。

契約業務が重要視される理由

契約業務が重要視される理由は、契約業務が予防的な側面戦略的な側面を兼ね備えているためです。

 

まず、契約業務は自社を契約トラブルから守る役割を果たします。

前提として、契約書を締結すると、契約当事者に権利と義務の法的効力が発生し契約内容に拘束されます。

 

例えば、契約内容に「自社都合で勝手に解約できない」、「解約する際は違約金を支払う」などの条項があれば、その内容に従う必要があるのです。

 

仮に取引先から提示された契約書の内容を確認せず締結した場合は、自社に不利な条項が含まれていることに気付かず、後に損害を被る可能性があるでしょう。

このような事態を避けるためにも、契約締結前に内容を十分に審査・交渉し、自社のリスクを最小化することが重要です。

 

また契約業務には、トラブル予防だけでなく、企業活動を促進する戦略的な側面もあります。

例えば、企業が新規事業に取り組むための契約書を作成する際、自社が実現したい取引内容や条件、取引を円滑に進めるために必要な条項を契約書に落とし込むことで、積極的に新規事業に取り組めるでしょう。

 

契約業務を通じて、事業部門が安心して企業活動に取り組める環境をつくることも重要な役割です。

契約業務の全体像とポイント、流れ

契約業務は、主に以下の流れで進めます。

 

①事業担当者から法務相談、契約書作成(審査)の依頼を受ける

②契約書を作成(審査)する

③取引先と契約内容の交渉を行う

④契約を締結する

⑤契約書を保管・管理する

 

契約の種類には、電子契約と紙の契約の2つがあり、手順や締結方法などそれぞれ異なります。

 

【関連記事】契約の発生から締結、管理までの流れとツールを解説

電子契約の場合

電子契約とは、紙を使用せずインターネット上ですべての契約業務を行う方法を指します。

契約書への署名・押印も電子署名という仕組みを使って行い、紙の契約と同等の法的効力を持ちます。

 

電子契約の場合は、契約業務の一連の流れがクラウド上で完結できるように形成された電子契約サービスを利用することがほとんどです。

そのため、契約書の作成・審査から保管・管理までをクラウド上で行います。

 

なお、電子契約で締結する際の流れは以下のとおりです。

 

①契約書をサービス上で作成又は、アップロードする

②電子契約システム上で双方が電子署名を行う

③契約書の電子データをシステム上で保管・管理する

 

電子契約には、契約書を郵送する手間やコストが省けたり印紙代を節約できたり、ペーパーレス化できたりといったメリットがあります。

 

一方で、サービス利用料金などのコストがかかる、契約締結日のバックデートが難しいといったデメリットもあるため、導入時はよく検討することをおすすめします。

紙締結の場合

紙締結の場合は、契約書に当事者の自署と押印を行うことで契約が成立します。

従来の一般的な締結方法であり、電子化が進んだ今でも紙の契約書を使用している企業は多く存在します。

 

紙で契約締結する際の流れは以下のとおりです。

 

①当事者の一方が双方合意済みの契約書を2通印刷する

②契約書が複数枚にわたる場合は製本する

③2通ともに署名欄に記名・押印する

④相手方に2通とも郵送する

⑤相手方も契約書2通に記名・押印し1通を返送する

⑥当事者が1通ずつ契約書を保管する

 

紙締結の場合、契約内容が印紙税の課税対象となる場合は印紙を貼り付ける必要があります。

 

また、印紙を貼った際は消印が必要であったり、契約書が複数枚にわたる場合は割り印が必要となるなどのルールがあるので注意しましょう。

理想の契約管理の姿とは

契約管理においては、契約ステータスが可視化されていること、契約期限や更新期限がアラートされることなどが重要です。

 

契約ステータスが可視化されていることで、契約業務が現在どの段階にあるのか、法務部門の誰が担当しているのか、誰がボールを持っているのかなどを把握でき、業務効率が向上します。

 

また、締結済みの契約の終了日や更新の有無なども可視化・共有され、契約期限や更新期限が近づいたタイミングでアラートされれば、期限の見逃しを防ぐことができます。

 

アラート機能があることで、「気付かぬ間に契約が終わっていた」、「次の更新時期に解約したかったのに自動更新された」などのトラブルを避けられるでしょう。

 

【関連記事】契約のステータスとは?契約の管理方法、おすすめの管理ツールを紹介

それぞれの契約書業務における課題

ここからは、契約業務で課題となりやすいものを、契約業務の各段階ごとに紹介します。

法務相談・作成

法務相談・契約書作成は、契約締結が必要となった部門から契約書作成の依頼を受け付ける段階を言います。

 

この段階で生じる課題は、法務部門と事業部門の知識のばらつきです。

 

契約業務では、法律知識だけでなくビジネスや自社の方針について、法務部門の深い理解が求められます。法務相談を受けた際に、これらの情報や知識が欠けていると事業部門からの相談に対して的外れな回答をしたり、事業部門の求める契約書を作成できなかったりということが起こります。

 

【関連記事】契約業務における事業部目線の課題を可視化!業務改善の棚卸に

審査

取引先から契約書を提示されたり、自社のひな形を修正された場合、法務部門で内容のレビューを行います。

 

この段階で生じる課題は、法務部門が契約書の審査を依頼したものの、レビューのスピードが遅い、法務部門と事業部門間のやり取りの工数が多く効率が悪い、などです。

 

法務部門が、ミスなく丁寧に契約書レビューを行っているつもりでも、1日でも早く契約を交わしたい担当者は「もっとスピード感をもってレビューしてほしい」と感じるでしょう。

 

また、法務部門からの理由のわからない指摘や確認事項が多い場合、事業部門や取引先の担当者はそれに回答するための時間をとられ、非効率になります。




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契約管理

契約管理を行う際に課題となりやすいのが、契約期日をどのように管理するかです。

 

一般的に契約書には有効期間が設けられますが、期間は取引先や契約内容によって異なります。そのため、契約書の量が多いと1つ1つ管理するのが非常に大変です。

 

先述したとおり、契約期日の管理ができていないと、契約期日や更新のタイミングを見逃してしまい企業が損害を被る可能性があります。

 

例えば、定期建物賃貸借契約を終了させるためには、終了期日の1年前から6カ月前までに賃貸人から賃借人に対して終了通知を行う必要があります。この通知を怠ると賃貸人から契約終了を主張できず、改めて通知し6カ月後に終了することとなります。

 

仮に賃借人から契約終了を拒否された場合、賃貸人は無駄に6カ月間建物を貸す必要が生じるのです。




【関連記事】契約の期限管理の課題と解決方法とは?

その他管理の課題 

その他にも契約管理において、締結済みの紙の契約書と電子契約の散乱契約のアクセス制御などの課題が生じます。

 

企業に紙の契約書と電子契約の両方がある場合は、契約書が散乱する場合があります。

紙の契約書が書棚に入っている場合もあれば、データで契約管理ツールに保管されている場合もあり管理できていないケースです。

この場合、契約内容を確認する際、どこに何の契約書があるのかを探す手間が発生し、非常に非効率です。

 

また、契約管理においては、契約書のアクセス制限の課題もあります。

適切なアクセス制限ができていないと、契約書が関係者以外に漏れる可能性があり、情報漏洩のリスクが高まります。特に、近年テレワークが増えているため、外部への情報漏洩にも注意が必要です。

それぞれの課題を解決する方法

ここまで、契約業務における課題を紹介しましたが、これらを解決するにはどうすればよいのでしょうか。ここからは、それぞれの課題の解決方法を紹介します。

法務相談・作成

法務相談を受けた際、知識のばらつきがあると感じた際は、法務部門と事業部門で互いに足りない知識や情報を補い合うことが重要です。

 

互いに都度補い合い、正しく理解できているか慎重に確認しながら、共通認識を持つことで円滑に契約業務を進められます。

各部門が互いの専門知識を深めて、共有することで効率的な契約業務が可能となります。

 

ナレッジを共有できるシステムを導入し、相互の部署が必要な時に必要な情報を取り出せる状態を作り上げるのも一つの手段です。

 

【関連記事】企業法務におけるナレッジマネジメントの手法とは?

審査

契約内容の審査においては、法務部門の不要な指摘や確認事項を減らすことが重要です。

そのためにも、先述したように法務部門が事業部門の専門知識や情報をよく把握しておくことで効率的に契約業務を進められます。

 

また、どのような理由での確認なのかをしっかり事業部門に説明することで、担当者も納得したうえでスムーズに回答できるでしょう。

契約管理

契約管理の課題を解決するには、契約ステータスの可視化が有効です。

契約ステージを可視化する方法としては、エクセルと契約管理ツールがあります。

 

エクセルを使う方法は、表に契約の一覧表を作成し、各契約ごとに契約期日や自動更新の有無などを記録しておくことで期限管理を行います。

 

マイクロオフィスのエクセルやスプレッドシートがあれば利用でき、コストもほとんどかからないため、導入しやすいメリットがあります。

 

また、契約管理ツールは、契約書の作成から締結までを一元管理でき、システム上で期限管理や更新管理を行えます。契約ステージを可視化するだけでなく、契約業務の無駄を省き、契約締結までのリードタイムを短くできます。

 

また、アラート機能の付いたシステムを利用すると、契約期限の近い契約をメールで知らせてくれます。

 

【関連記事】Excelでの契約書管理台帳の作り方について解説

その他管理の課題 

紙の契約書や電子契約の分散に関しては、一元管理できる契約管理ツールを利用することで解決できます。

紙をすべてPDFデータ化する手間がありますが、システム上で必要な契約を探し、すぐに閲覧することが可能です。代行依頼を行うなどして上手く工数を分散する方法もあります。

 

契約管理において情報漏洩を防ぐためには、アクセス制御を行うのが有効です。

例えば、契約書にアクセスできるユーザーを関係者のみに限定したり、アクセスするのにIDやパスワードを設けるなどです。

 

また、契約担当者に対して契約の取り扱いに関する周知・教育を行い、情報セキュリティの意識を高めることも重要です。


【関連記事】契約審査の受付を一本化する方法とは?効率化のポイントを解説

契約業務の改善や効率化を実現する方法

契約業務を改善し効率化する方法としては、契約業務のプロセスを整備することと契約を一元化・一本化することの2つが挙げられます。

プロセスを整備する

契約業務の改善・効率化するための1つ目の方法は、プロセスを整備することです。

契約書作成から契約締結・管理までの一連のフローを社内で作成・共有しておくことで、業務のばらつきなどが抑えられ、効率よく業務を進めることができます。

 

また、組織変更などによりプロセスの変更が必要なこともあるため、継続的な見直しと更新も必要となります。

一度プロセスを作ったら終わりでなく、常に最新の状態で整備していくことが、契約業務の改善・効率化に繋がるでしょう。

一元化・一本化する

2つ目は、契約の一元化・一本化です。

すべての契約業務を一元化できる契約管理ツールなどを利用することで、契約ステージを可視化でき、契約業務の効率化が期待できます。



また、近年電子契約が増えたため、紙の契約書と契約データが混在し、ファイリングされて

いるものもあれば、データ保管されているものもあるなど、統一した管理ができていないケースがあります。

 

紙の契約もデータ化し電子契約と一緒に一元管理することで、契約書の所在が明確になり、探す手間が省けるでしょう。




【関連記事】CLM(契約ライフサイクルマネジメント)とは?システムや概念を徹底解説

契約ライフサイクルマネジメントとは

契約ライフサイクルマネジメントとは、契約業務を最適化・効率化するための手法を言います。

 

具体的には、契約の発生・作成・審査・交渉・締結、また締結後の管理・期間満了・更新・解約の契約が消滅するまでをライフサイクルと捉え、それぞれの工程を標準化することで、契約業務を最適化します。

 

契約ライフサイクルマネジメントを実施することで、契約ステータスをリアルタイムで把握でき、各部門の役割分担を明確化できます。

さらに契約期限の見逃しリスクを低減し、契約業務を最適化できるといったメリットがあります。

まとめ

契約業務は、自社のリスクを最小化することでトラブルを予防する側面と、事業活動を促進する戦略的な側面があり、企業において非常に重要な役割を果たします。

 

そのため、法務部門において、契約業務を改善し効率化することは重要な課題と言えます。

最近はすべての契約業務をクラウド上で一元管理し、リアルタイムで契約ステージを把握できる契約管理ツールなどがあり、導入することで契約ライフサイクルマネジメントの実現を目指せるでしょう。