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ノウハウ 印紙税調査とは?納付漏れのリスク・対策は?

更新日:2024年10月31日

投稿日:2024年06月4日

印紙税調査とは?納付漏れのリスク・対策は?

印紙税調査とは?納付漏れのリスク・対策は?

印紙税調査は、印紙税が正しく納められているか確認することを目的に、国税庁や税務署が担当します。印紙税の対象となる文書に印紙が貼られていないと納付漏れを疑われるため、貼り忘れには十分な注意が必要です。

 

本記事では、印紙税を払い忘れると企業にはどのような影響が及ぶのか、印紙税にまつわるリスクを下げるためにできることを解説します。

 

 

印紙税税務調査とは?

そもそも税務調査とは、対象となる個人・法人が正しく納税していることを確認するために行われる調査で所得税や法人税とあわせて、印紙税も調査対象となります。

 

印紙税は契約書や領収書などに課税される税金で、税額は、文書の種類に応じて定められ、納付漏れには注意が必要です。

印紙とは

租税(国や地方公共団体が経費に充てるために一方的・強制的に徴収する金銭)や手数料を徴収するために政府が発行する紙片です。

印紙税の支払いは印紙の貼り付けによって実施されることが原則のため、対象文書への貼り付けが求められます。

印紙とあわせて消印も必要です。

 

印紙は「収入印紙」とも言います。収入印紙は「収入証紙」とは異なるものです。

収入印紙は国税の支払いに、収入証紙は地方税の支払いに使われます。

 

【関連記事】収入印紙とは?収入印紙が必要・不必要な契約書や条件・理由を紹介!

印紙税の時効は5年

国税の徴収権(国や地方公共団体が税金を徴収できる権利)の時効は5年と決められています。印紙税は国税である故、印紙税の時効も同様です。

 

国税を徴収できる日から数えて5年以上経過した間に作成された文書については、税務調査の対象外です。納付や遅延に伴う追加の税金の支払いが原則課されないということです。

印紙税の対象書類

 

文書

印紙税額(1通または1冊につき)

  • 不動産、鉱業権、無体財産権、船舶・航空機、営業の譲渡に関する契約書
  • 地上権・土地の借地権の設定と譲渡に関する契約書
  • 消費賃借に関する契約書
  • 運送に関する契約書

10万円以下:200円

10万を超え50万円以下:400円

50万を超え100万円以下:1,000円

100万を超え500万円以下:2,000円

500万を超え1,000万円以下:1万円

1,000万を超え5,000万円以下:2万円

5,000万を超え1億円以下:6万円

1億を超え5億円以下:10万円

5億を超え10億円以下:20万円

10億を超え50億円以下:40万円

50億円を超える:60万円


契約金額の記載のないもの:200円

不動産の譲渡に関する契約書のうち、平成9年4月1日~令和6年3月31日までに作成されるもの

50万円以下:200円

50万を超え100万円以下:500円

100万を超え500万円以下:1,000円

500万を超え1,000万円以下:5,000円

1,000万を超え5,000万円以下:1万円

5,000万を超え1億円以下:3万円

1億を超え5億円以下:6万円

5億を超え10億円以下:16万円

10億を超え50億円以下:32万円

50億円を超える:48万円


契約金額の記載のないもの:200円

請負契約書

100万円以下:200円

100万を超え200万円以下:400円

200万を超え300万円以下:1,000円

300万を超え500万円以下:2,000円

500万を超え1,000万円以下:1万円

1,000万を超え5,000万円以下:2万円

5,000万を超え1億円以下:6万円

1億を超え5億円以下:10万円

5億を超え10億円以下:20万円

10億を超え50億円以下:40万円

50億円を超える:60万円


契約金額の記載のないもの:200円

請負契約書のうち、建設業法第2条第1項に規定する建設工事の請負に関する契約に基づき作成されたもののうち、平成9年4月1日~令和6年3月31日までに作成された契約書

200万円以下:200円

200万を超え300万円以下:500円

300万を超え500万円以下:1,000円

500万を超え1,000万円以下:5,000円

1,000万を超え5,000万円以下:1万円

5,000万を超え1億円以下:3万円

1億を超え5億円以下:6万円

5億を超え10億円以下:16万円

10億を超え50億円以下:32万円

50億円を超える:48万円


契約金額の記載のないもの:200円

約束手形、為替手形

10万以上100万円以下:200円

100万を超え200万円以下:400円

200万を超え300万円以下:600円

300万を超え500万円以下:1,000円

500万を超え1,000万円以下:2,000円

1,000万を超え2,000万円以下:4,000円

2,000万を超え3,000万円以下:6,000円

3,000万を超え5,000万円以下:1万円

5,000万を超え1億円以下:2万円

1億を超え2億円以下:4万円

2億を超え3億円以下:6万円

3億を超え5億円以下:10万円

5億を超え10億円以下:15万円

10億を超える:20万円


※下記の手形は200円

  • 一覧払のもの
  • 金融機関相互間のもの
  • 外国通貨で金額を示したもの
  • 非居住者円表示のもの
  • 円建銀行引受手形

株券、出資証券・社債券、投資信託、貸付信託、特定目的信託・受益証券発行信託の受益証券

500万円以下:200円

500万を超え1,000万円以下:1,000円

1,000万を超え5,000万円以下:2,000円

5,000万を超え1億円以下:1万円

1億円を超える:2万円

合併契約書、吸収分割契約書、新設分割計画書

4万円

定款

4万円

継続的取引の基本となる契約書

4,000円

預金証書、貯金証書

200円

倉荷証券、船荷証券、複合運送証券

200円

保険証券

200円

信用状

200円

信託行為に関する契約書

200円

債務の保証に関する契約書

200円

金銭・有価証券の寄託に関する契約書

200円

債権譲渡・債務引受に関する契約書

200円

配当金領収証、配当金振込通知書

200円

売上代金に関する金銭・有価証券の受取書

100万円以下:200円

100万を超え200万円以下:400円

200万を超え300万円以下:600円

300万を超え500万円以下:1,000円

500万を超え1,000万円以下:2,000円

1,000万を超え2,000万円以下:4,000円

2,000万を超え3,000万円以下:6,000円

3,000万を超え5,000万円以下:1万円

5,000万を超え1億円以下:2万円

1億を超え2億円以下:4万円

2億を超え3億円以下:6万円

3億を超え5億円以下:10万円

5億を超え10億円以下:15万円

10億円を超える:20万円


契約金額の記載のないもの:200円


※売上代金以外の金銭・有価証券の受取書:200円

預金通帳、貯金通帳、信託通帳、掛金通帳、保険料通帳

1年ごとに200円

上記以外の通帳

  • 消費貸借通帳
  • 請負通帳
  • 有価証券の預り通帳
  • 金銭の受取通帳

など

1年ごとに400円

判取帳

1年ごとに4,000円

 

金額などによって、印紙税の支払いが義務とされる書類であっても非課税となります。例えば約束手形・為替手形の場合、記載された手形金額が10万円未満であれば非課税です。

 

詳しくは国税庁の資料もご参照ください。

https://www.nta.go.jp/publication/pamph/inshi/tebiki/pdf/08.pdf

管轄庁、署は?

国税庁や納税地の税務署が調査を行います。

調査は2種類

印紙税の税務調査は、同時調査と単独調査いずれかで行われます。

同時調査

法人税や所得税などと一緒に行われる調査です。他の税調査の際に契約書などを確認され、印紙税の対象文書にもかかわらず印紙が貼られていなければ、印紙税を納付するよう勧告を受けます。

単独調査

印紙税に特化した調査です。

印紙が正しく貼られているか、収入印紙の管理方法は適切かなどもチェックされます。

納付漏れが発覚したら、同時調査の場合より厳しいペナルティが課される傾向です。

調査の流れ

同時調査も単独調査も、抜き打ちでは行われません。

いずれの場合も国税庁か税務署から連絡が来るため、日程調整後、税務調査が行われます。

 

同時調査の場合、通常の税務調査の中で実施されます。

単独調査は、日程調整後、以下のように進められます。

 

  1. 調査日までに収入証紙が貼り付けられた文書や説明資料などを用意
  2. 担当者が来たら対象文書や会社の状況が分かる資料(決算書)などの確認。ヒアリングも実施される
  3. 1~2日ほどで終了

印紙税の納付漏れの影響

過怠税を支払わなければなりません。

また、企業のイメージダウンも招きます。

過怠税の徴収

通常の印紙税の3倍相当の過怠税を支払わなければなりません。印紙を貼り付けたものの消印がないケースでも、同様の扱いです。

 

ただし、下記どちらも満たすケースでは、過怠税は本来の印紙税の1.1倍に減額されることもあります。

  • 文書の作成者が税務署長に「印紙税不納付事実申出書」を提出
  • 税務調査が印紙税の納付漏れを想定できない、つまり同時調査の場合

信用棄損

印紙税に限らず税金の納付漏れは、企業イメージを損ねる要因のひとつです。

業界内はもちろんのこと、インターネット社会では、消費者にも悪評はすぐに広まります。

 

信用問題が業績に与える影響は大きいです。一度失われた信頼を取り戻すのは容易でなく、信頼回復には時間がかかります。長期にわたる損害を被ることにもなりかねません。

印紙税に関連したリスクを下げる手段

印紙を貼り忘れしないだけで、印紙税に関するあらゆるリスクを避けられます。

印紙が不要の電子契約の利用もおすすめです。

印紙の貼り忘れをしない

印紙の貼り忘れによって、納付していないと判断される恐れがあります。

貼り付けが甘くて剥がれてしまうこともあれば、業務フローに問題があって貼り忘れが生じることもあるでしょう。ヒューマンエラーのようなら、業務工程の見直しなどが求められます。

 

税務調査前には必ず、課税文書に印紙が貼られていることを入念に確認しましょう。

電子契約は印紙が不要

電子文書は課税対象外です。

印紙の貼り忘れに伴うリスクをなくす手段として、電子契約サービスを用いた文書作成が挙げられます。

印紙を貼り付ける手間や経費削減も見込めます。

 

【関連記事】なぜ電子契約では印紙が不要なのか?理由と根拠を分かりやすく解説

まとめ

印紙税調査は国税庁や税務署によって行われます。課税対象の書類や文書に印紙が貼られているかチェックすることで、印紙税が支払われているか確かめます。

印紙税の税務調査は、同時調査と単独調査いずれかで実施されますが、どちらも抜き打ちでは行われません。

 

納付漏れで過怠税を支払わなければならなくなるばかりか、会社の信用が失われる恐れもあります。印紙が貼られていないと納付漏れを疑われるため、調査日までには印紙が正しく貼り付けられているか必ずご確認ください。

 

電子文書は課税対象外です。印紙税にまつわるリスクを減らすためには、電子契約の利用がおすすめです。

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