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ノウハウ 業務効率化を促進する『契約DX推進』は難しい?推進のコツとは

更新日:2024年10月17日

投稿日:2024年05月31日

業務効率化を促進する『契約DX推進』は難しい?推進のコツとは

業務効率化を促進する『契約DX推進』は難しい?推進のコツとは

契約のデジタルトランスフォーメーションである契約DXは、電子契約の導入といった部分的なデジタル化だけではなく、デジタル技術を活用し業務の統合、自動化、データの利活用までを実現する考え方です。

 

グローバル化された現代社会において市場競争力を保つため、多くの企業が業務効率化や更なる業務の成長を目指してDX推進を行っています。

 

しかし、「DX化を進めたいのになかなか周りを納得させられない」「どう進めればよいのか分からない」といった悩みを抱える方も多いでしょう。

 

本記事では、DX推進に成功した方たちの実例を元に、壁を乗り越える方法を探ります。

 

 

DXの重要性

グローバル化が進んだ現代では、消費者は自国の製品だけでなく海外の製品とも比較して購買を決めるようになりました。国際的に自社の商品やサービスが優れていることは、ビジネスの成功を決める重要な要素の一つとなっています。

 

また、少子高齢化が進む日本においては、限られた人員の中でより良い製品を生み出すこと、売り上げの水準を保つことが重要であり、効率化が多くの企業で重要課題となっています。

 

しかし、実際には国際的に比較しても日本の労働生産性は高いとは言えず、多くの企業が効率の悪いままビジネスを運営しています。公益財団法人日本生産性本部による労働生産性の国際比較レポートによると、日本の時間あたり労働生産性はOECD加盟38ヵ国のうち30位と低い位置にあり、就業1時間あたりの付加価値が国際的に低いとの結果が出ています。

 

さらに、国際経営開発研究所(IMD)の発表する「世界デジタル競争力ランキング2023」において、日本は32位と前年から3つ順位を落とすなど、国際的に見てもDXが遅れており、デジタルスキルの習得、企業の機会と脅威に対する対応の速さ、企業の俊敏性、ビッグデータや分析の活用といった項目で低い評価を得ています。これらのデータを見ると、日本はデジタル技術やデータをビジネスに活用することが苦手であり、それが国際競争力にも影響しうることが予想できます。

 

自社のビジネスの優位性を保つためには、デジタル技術を活用して効率を高め、DXによるデータ分析と活用を行い、製品開発や事業の成長につなげることが現代のビジネス環境において重要です。

 

参考:JETRO 世界デジタル競争力ランキング、スイス5位、日本は32位へ後退

契約DXの定義

あらゆるデジタルトランスフォーメーションの中で、注目される分野の一つに契約DXがあります。

契約DXは、契約業務のプロセスをデジタル技術を活用し効率化・最適化しするためのDX(デジタルトランスフォーメーション)で、具体的には、契約相談、契約書作成、ワークフロー(申請/承認)、締結、契約管理など契約にまつわるライフサイクル全体を自社開発またはSaaS導入などでデジタル化し、効率化を目指します。

 

本質的な意義として、デジタル化による効率化にとどまらずビジネスプロセスの革新と効果的なリスク管理を目指します。部門単位の実践にとどまらず全社的に取り組むことで全社的な効率化とリスク管理が可能になります。

 

では、契約業務のDXにはどのようなメリットがあるのでしょうか。

契約DXの意義

契約は、売り上げ、交渉といった企業間の取引の根幹をなすもので、どのビジネス、部署に所属していても関わってくるものです。契約には契約期間、成約金額、交渉の手法、為替情報といったビジネスに重要なデータの集合でもあります。

 

このデータを活用することで、最適な時期に取引を行い、有利な為替レートで契約を締結することができるほか、優秀な営業マンの交渉履歴を分析することで営業技術を共有し、ビジネスの成果に貢献することが期待できます。

 

また、紙で行う契約業務の回覧、締結、チェック、差分の確認、台帳の手入力といったアナログな手法を続けている企業も多く、デジタル化が進まずに非効率な業務の一つとなっています。

 

という背景で、契約業務のDX化は、業務自体の効率化のみならずビジネスの成長へとつなげられる可能性を秘めています。

 

【関連記事】法務DX、契約DXとは?契約DXで生まれる価値と進め方を解説

一部業務のデジタル化は課題解決にならない?

近年では、法律の整備も後押しとなり、企業でリーガルテックが浸透し、限られた法務人員で対応するために多くの企業が部分最適のシステム導入に取り組んでいます。

 

例えば、契約業務のデジタル化の手始めとして、感染症の流行以降に急激に進んだのが電子契約の導入です。

 

締結業務がデジタル化することで、遠隔地での押印、印刷が不要、印紙の貼付も不要なため、経費削減といった効果があり、一見DXが進んだように感じますが単一業務のデジタル化を検討する場合、締結の業務のみ手作業からデジタルに手法が変わったのみで導入後に更なる課題が生じやすいようです。

 

2023年に実施したニューノーマル時代の契約業務デジタル化調査レポートによると、システム導入後に、「情報の一元化」、「システム間の情報分断」、「紙と電子データの適切な処理」といった課題を抱えやすいことが分かります。

 

システムの導入後に発生した課題は何かのアンケート結果

 

一部の業務を部分最適でデジタル化した場合、作成、レビュー、締結、管理といった一連の流れがつながっている契約業務では、情報連携やデータの統合といった課題が発生することが見て取れます。

契約業務の本質的な業務効率化を目指すには、業務全体の流れの中でデータ統合、自動化、検索できる状態を作るなどのデータ利活用といったDXの観点が重要です。

 

【関連記事】サイニングシステム導入後によくある困りごととその解決法

DX推進はなぜ難しい?

とはいえ、全社的に多くの人員が関わる契約業務の効率化を図るDX推進は、多くの人が関与するため、進行が難しい業務の一つです。

 

DX推進が難しい主な理由は3つあります。

1、認識の壁

まず、経営陣がアナログな業務の進め方を好み、デジタル化に抵抗のある場合です。伝統的な商習慣を重んじることで、デジタル化によるメリットよりデメリットの方に目が向きやすい場合もあるでしょう。

 

これは、最終決済者が経営陣の場合、十分に練り上げた企画書でも稟議にあげた先で拒否されてしまいデジタル化が進まないといったこともありえます。

 

また、現場の抵抗感が強い場合もあります。

デジタル化を進めると、現在の業務のやり方を変え、新しいフローを覚えなければなりません。業務フローが変わることで自分にメリットがあると感じられない場合、例えば「一部の部署のためになぜ私たちが?」と抵抗感を持つこともあります。

 

現場の理解が得られない場合、そのシステムを使ってもらえないこととなり使用を取りやめることになるケースもあります。

2、技術の壁

社内にITに明るい人材がいない場合、技術の壁に直面することがあります。

 

DX推進にあたっては、周辺システムとの統合や利用方法、どのように連携して効率化を図るかといった計画や要件定義に一定のITリテラシーが重要です。

 

また、自社の求めるレベルのセキュリティ要件を満たすか、データ利用に監視やプライバシーの懸念がないかなどの確認も必要です。

そうした人材がいない場合上手く業務を統合できず、できるDXに限界が生じるため、DXが進まない理由となります。

3、運用の壁

3つ目が運用の壁です。導入にあたっては、マニュアルの更新だけでなく、利用者の質問対応、レクチャーや説明会が必要になります。

 

一度のレクチャーで全員が使えるようになるのは難しく、ある程度の期間、レクチャーに工数がかかることとなります。この期間をいかに短くし、質問の数を減らして使えるようになるかが、運用の壁を乗り越える鍵となります。

 

社内トレーニングやサポートなしで全員が使えるようにするのは大変厳しいため、一部の対応をベンダーに任せたり、自社内でもサポートできる人材を設定して工数を見込んでおく必要があります。

4、効果検証の壁

最後に、効果検証の壁です。

例えば、電子サインであれば、実際に使って「簡単だ」と実感できれば効果を感じやすいものですが、契約業務全体を見込んだ業務改革の効果は短期的には実感しづらいです。

 

そのため、数字で示し、効果が見えるように振り返る必要があります。

また、データが蓄積されて数値として出せるようになるまでには時間がかかります。長期的な目線で効果検証を行い、その成果をアピールすることで、効果を認められやすくなります。

壁を乗り越える方法

では、どのようにすれば契約DXの壁を乗り越えられるのでしょうか。

経営陣を納得させる方法

経営陣を納得させるためには、DXによって現状と比較してどのような効果が得られるのか、ROIを明示する方法が一つの手段として有効です。


DXを実施することで経営にどれだけのインパクトがあるのか、どれだけの時間、コスト(人件費も含む)を削減できるのかという視点は、経営陣に響きやすい指標です。


各システムベンダーに導入後の効果を数値として例示してもらい、そのデータを活用して効果を示す企業もあります。成功事例や顧客事例を見せ、成功をイメージしてもらうことも良いでしょう。

現場の理解と協力を得る方法

導入にあたり、検討段階で現場の意見を聞き、取り入れながら共同して進めていくことで、協力を得られる可能性が高まります。また、DXによって現場が得られる効果について調べ、自分たちにもメリットがあることを感じてもらえるように伝えることも重要です。

 

特に、各部署の上長やリーダーがDXプロジェクトに参画することが重要です。また、プロジェクトに参画することの貢献が評価に結びつく仕組みを整備することも必要です。

 

さらに、最初からデータの利活用などの達成の難しい目標を置くのではなく、その前に達成できる規模の小さな目標を設定し、ステップごとに小規模な成功体験を積むことが大きな目標の達成につながります。

技術的課題の克服

社内にIT部門がある場合、システム間の連携やデータの統合などについて必要に応じてアドバイスをもらえるよう、DX推進の初期段階で協力体制を構築しておくと良いです。

 

例えば、Aシステムの仕組みを見たうえで出力できる〇〇データと、Bシステムから出力できるXXデータをCシステムと連携できるといった具体的なアドバイスにより、DXのレベルが向上する可能性があります。

 

また、社内基準でどのようなセキュリティ対策が必要かを判断するには一定のIT知識が必要です。リスク管理の観点からも、IT部門との連携が重要です。もし社内にIT部門がない場合は、専門家と連携し、必要な体制を整えましょう。

運用面でのサポート

導入後には、社内に浸透するまでに運用サポートが必要不可欠です。使い慣れるには、使用方法の説明会、継続的なトレーニング、質問対応がある程度の期間必要です。

 

対応できる人員に限りのある場合が大多数でしょう。その場合は、システムベンダーの提供するユーザーサポートが負担軽減のカギを握ります。

 

たとえば、チャットサポートを準備していたりと社内の問い合わせを巻き取り対応してもらえる体制があれば負荷を少しでも軽減できます。

契約DXの成功例

実際の例として、契約ライフサイクル管理システム『ContractS CLM』を活用し契約DXを推進する2社の例をご紹介します。

 

1、案件管理とステータスの可視化、作業時間の短縮に成功

株式会社レゾナック様は、DX推進を会社全体として進め継続的な業務改善を行う企業です。レゾナック様では、2社の会社統合をきっかけに契約業務の見直しをされました。

 

▼背景

新しい契約管理システム導入にあたり、①既存の社内ITインフラ基盤のテンプレートを利用する、②外部ベンダーが提供するシステムを活用する、③知的財産部の独自システムに新機能として開発して搭載する、の3パターンで検討。

 

統合新会社設立のタイミングに併せ、一部の部署を対象にスモールスタートで2023年1月に導入を開始、下記のような効果へつながっています。

 

▼結果と効果

・Excelやメモ帳で案件の進捗管理をしていたところを、全ての契約案件がひとつのシステムに集約されて可視化できることで効率アップ。メールで状況をさかのぼる地道な作業も減少
・メンバー間の情報共有が容易になり、かつ各担当者がどのくらいの案件を抱えているかが定量的に把握できるように
・ダッシュボードで進捗状況が一目瞭然に
・契約レビュー依頼から管理まで全て一つのサービスで行えることで契約の可視化が実現
・ひとつの契約完了までにかかっていた作業時間が短縮

 

 

▼株式会社レゾナック様の導入事例はこちらに詳しく記載しています

統合新会社の誕生を機に契約業務を「ContractS CLM」へ。 契約レビュープロセスの煩雑化と属人化を解消。

 

2、情報の統合、ミスのないフロー、プロセスの見直しによりタイムロスを削減

株式会社ネオキャリア様は、人材ビジネスを中心に事業を拡大されグループ法人を国内外で展開されている企業です。

ネオキャリア様は、契約書管理システムの導入のご検討にあたりこのような課題を抱えていらっしゃいました。

 

 ▼導入背景・課題

・契約書関連のコミュニケーション手段がメール、チャット、電話と多く、情報が散逸

・依頼等の連絡の見落としや期日管理の不備による機会損失

・紙の契約書が98%を占め、印刷・押印・受け渡しによる煩雑なプロセスに

・契約書管理システムの活用による案件の可視化と情報の一元化を図りたい

・作業のデジタル化でリードタイムの短縮&業務効率の向上を図りたい

 

経営陣へのコストメリットの訴求、パイロット運用によるスモールスタートといった工夫により、予算獲得や社内の承認プロセスがスムーズに進みました。

 

▼結果と効果

・契約審査1回当たりのリードタイムが2分の1に短縮

・ダッシュボードでのタスク管理による対応漏れや遅れの激減

・締結済み契約書の集約促進によるガバナンス強化

・電子契約率が2%→60%にアップ!紙契約の締結時に発生していたタイムロスが減少

 

 

▼株式会社ネオキャリア様の導入事例はこちらに詳しく記載しています

Contract CLMで業務の可視化・自動化を実現! 「迷わない」仕組みで契約リードタイムの短縮に成

契約DXで、業務効率化、データ集約、利活用を可能にする『ContractS CLM』

ContractS CLMは、ContractS CLMは、ContractS CLMは、契約業務における属人化解消、契約管理、契約ライフサイクルマネジメントをサポートするシステムです。 

 

ContractS CLMがご提供する価値

 

ContractS CLMを利用することで契約業務そのものの効率化をはじめ、周辺システムとの連携により、契約に関するデータを1か所に集め、データを活用したリスク管理、内部統制、パフォーマンス管理を可能とします。

 

機能の一例

機能の一例

 

また、カスタマイズが難しいといわれるクラウド型のシステムでありながら、契約業務は社ごとに形態、ルールが異なることを理解した開発を行っているため、個社に合った運用提案が可能です。

また、契約DXを目的とした高度なプロセス、管理の仕組化も可能でタスクという形で各フェーズの各業務を進めていき、契約に関するデータとステータスを適切に管理、周辺システムとの連携が可能です。

 

上記契約DXで実現できることを含め、マニュアルが不要ながらシステム上の統制により内部統制が測れるContract Automationや柔軟なアクセス制限、業務をタスクとして可視化し、ステータスを管理、進捗状況や期限管理を確実かつ容易にできる体制づくりはContractS CLMの得意とするところです。

 

また、独自の検索項目により必要な書類を必要な時にすぐ取り出せる状態で、文章ファイル、フォルダ、組織ごとにアクセス制限をコントロールできるため内部統制を強化したい、利便性を向上させたいと考えている企業にも適したシステムです。

 

ContractS CLMの資料は下記フォームより無料でダウンロードできます。

まとめ

従来より紙ベースで行っていた契約業務は、回覧、契約リードタイム、ワークフローといったアナログで非効率です。この非効率をデジタル化し効率化することで、1つの業務にかかる工数やミスの可能性、時間が減り、より短時間で多くの締結を可能とします。

 

また、契約はビジネスの基礎となる売り上げや交渉に関わり、契約DXによりアナログな業務の効率をあげるだけではなく、業務を行うと同時に集まる契約時期、期間、金額、交渉内容といったビジネスの進め方に関する改革も可能です。

これらの情報を有効に分析し改善に活かす契約DXは、ビジネスの直接的な成長につなげることができる方法です。

壁を乗り越えるには、認識の壁、技術の壁、運用の壁、効果検証の壁などの攻略がポイントで、初期導入では社内のステークホルダーの協力を得ることでスムーズに進めることができます。また、継続的な改善でよりDXを成長させ段階的に成長させることで最終的な大きな目標まで到達させることが可能です。