ノウハウ 企業の成長にクラウドサービスは必要か?メリット・デメリットを比較
更新日:2025年04月1日
投稿日:2024年05月21日
企業の成長にクラウドサービスは必要か?メリット・デメリットを比較

クラウドサービスは、セキュリティリスクやサービス停止の可能性、カスタマイズ性に限りがあるといったデメリットの一方で、利便性の高さが特徴です。導入のハードルが低いことも、多くの企業にとって大きなメリットと言えます。
自社に適したクラウドサービスを選ぶためには、オンプレミスとの違いや選定ポイントも理解しておくことが重要です。
本記事では、クラウドサービスのデメリットとメリットを中心に、選び方のポイントと具体例を交えながら、わかりやすく解説します。
クラウドサービスのデメリット
クラウドサービスは、ユーザーが開発や保守を行わずに利用できる点が大きなメリットです。しかし、利用可能な機能はクラウドサービスに依存するため、注意が必要です。
セキュリティの安全性と対策は提供元次第
セキュリティレベルや対策は、事業者によって異なります。どの程度のセキュリティ対策を講じるか、情報漏えいなどのトラブルが発生した際の対応は、選択したクラウドサービスに左右されます。よって、信頼できるサービスを選ぶことが重要です。
サービス終了や変更リスク
クラウドサービスの仕様や提供内容の変更は、企業側でコントロールできません。企業の経営状態の悪化により、サービスが終了する可能性もあります。
自社で同様のサービスを開発できなければ、代替となるクラウドサービスを検討し、導入し直す必要があります。また、新しいクラウドサービスへのデータ移行には手間がかかります。
カスタマイズ性に限りがある
クラウドサービスは多くのユーザーが利用することを前提としているため、カスタマイズの自由度はオンプレミスに比べて低くなります。拡張機能にも制約があるため、既存のシステムとの相性が悪い場合、使い勝手や業務効率に影響を及ぼす可能性があります。
クラウドサービスのメリット
クラウドサービスは、保守の手間がかからず、導入のハードルが低いこと以外にも、さまざまなメリットがあります。本記事では5つのメリットを紹介します。
費用がオンプレミスより安価
オンプレミス型のサービスでは、サーバーやネットワーク機器の購入・設置が必要ですが、クラウドサービスではサーバーや機器の購入・設置は不要です。ネットワーク環境とデバイスさえあればすぐに利用できるため、初期費用を抑えられます。
また、運用・保守にかかるコストを削減できる点も特徴です。オンプレミスの場合、自社でメンテナンスを行う必要がありますが、クラウドサービスではサービスの提供元が障害対応を実施するため、利用者は月額料金を支払うだけで済みます。結果、自社の運用負担を軽減できます。
導入のハードルが低い
クラウドサービスはオンプレミスのように自社でサーバーやソフトウェアを用意する必要がないため、導入のハードルが低くなります。開発や設備の導入費、保守費用も不要なため、コストを抑えながら導入・運用できます。
時間・場所を問わずアクセスできる
クラウドサービスはインターネットを経由して利用できるため、時間や場所に縛られずにアクセス可能です。リモートワークの推進にも役立ちます。
サーバーの保守・運用の手間がかからない
クラウドサービスの保守・運用は提供事業者が行うため、利用者はメンテナンスを意識せずに必要な機能を利用できます。
これにより、これまで保守や開発に充てていた人材やコストを、他の業務に活用できるようになります。結果、業務効率化や新規事業の推進が期待できます。
BCP対策になる
BCP(Business Continuity Planning)とは、災害や障害が発生した際に、事業の早期復旧および継続を可能にするための計画を指します。
クラウドサービスでは、データが自社とは別のサーバーに保管されており、複数のエリアで管理・バックアップされるため、災害時でも情報が失われるリスクが低くなります。故に、クラウドサービスの活用は、万が一の事態への備えとして有効です。
オンプレミスとは
自社内でサーバーやソフトウェアなどを保有・管理するシステム形態です。
クラウドサービスでは、基本的にサービス利用料のみが発生します。一方、オンプレミスでは、サービス利用料に加えて開発費も必要となり、導入までに時間がかかる点が特徴です。
しかし、オンプレミスは自由度が高いため、既存のシステムと連携を考慮した導入が可能です。また、自社専用のインフラを構築するため、外部からのアクセス制限をしやすいという利点もあります。
オンプレミスの主な特徴をまとめました。
- 自社の要件に合わせたシステム構築が可能(高いカスタマイズ性)
- セキュリティを自社で管理しやすい
- 他システムとの連携が容易
- クラウドサービスに比べて初期費用が高い
- 運用開始までに時間がかかる傾向がある
- 保守運用の負担が大きい
オンプレミスのメリット
オンプレミスは構築から運用まで自社で対応するからこそ、高いカスタマイズ性やセキュリティ性といったメリットを得られます。
3つのメリットを詳しく解説します。
カスタマイズの自由度が高い
オンプレミスでは、自社でシステムやインフラを構築できるため、ハードウェアやソフトウェアの選定も自由に行えます。業務に最適化したシステムを構築できるため、独自性の高い業務を行う企業に適しています。
また、専属のシステムエンジニアがいれば、トラブル発生時の対応や仕様変更も迅速に行えます。
セキュリティ面での安心感がある
オンプレミスは、社内で完結するITインフラを構築するため、インターネットを介するクラウドサービスよりも高いセキュリティを実現しやすいです。
クラウドサービスのセキュリティは提供元に依存しますが、オンプレミスなら自社の要件に合わせた高度なセキュリティ対策が可能です。そのため、機密情報を取り扱う業種・業務では、オンプレミスの方が適している場合があります。
既存システムと連携しやすい
オンプレミスはカスタマイズ性が高いため、既存の基幹システムや業務システムと容易に連携できます。システム間のデータ入力作業が不要になり、業務効率化につながります。
オンプレミスのデメリット
オンプレミスの「自由なカスタマイズができる」という特徴は様々なメリットをもたらしますが、同時に初期コストが高いといったデメリットも生じるため注意が必要です。
初期コストはクラウドサービスよりも高い
オンプレミスでは、サーバーやネットワーク機器などを全て自社で調達する必要があるため、初期コストが高額になりがちです。また、機器の設置スペースやメンテナンス費用も発生する可能性があります。
さらに、事業規模の拡大に伴いシステムの再構築が必要になると、追加コストがかかる点にも注意が必要です。
運用開始までの期間が長くなりがち
オンプレミスの導入には、機器の調達・設置、システム開発・テストなど、多くの工程を経る必要があります。故に、運用開始までの期間が長くなりがちです。
保守やトラブル対応もすべて自社で行う必要がある
オンプレミスでは、システムの保守・運用をすべて自社で対応しなければなりません。ハードウェアの故障対応やソフトウェアのアップデート、セキュリティ対策など、多くの負担が発生します。そのため、専任のIT担当者が必要になります。
以上のように、クラウドサービスとオンプレミスにはそれぞれメリット・デメリットがあるため、自社の業務や目的に合わせて適切な選択をすることが重要です。
スケールアップ・スケールダウンのハードルが高い
オンプレミスでは、スケールアップの際に追加の設備を購入するなどの対応が必要になります。
また、スケールダウンについては、場合によってはシステムの再構築が求められることもあります。
オンプレミスは初期の構築時にカスタマイズの自由度が高い一方で、スケールアップ・スケールダウンの柔軟性が低い点に注意が必要です。
クラウドサービスとは
クラウドサービスとはインターネットを通じて提供されるサービスのことです。
クラウドサービスを活用しない場合、ハードウェアやソフトウェア、データを利用者自身で管理する必要があります。
しかし、クラウドサービスを利用すれば、ネットワークに接続するだけでインターネット上のサービスを活用できます。これにより、保守や運用の手間を軽減することが可能です。
クラウドサービスは、提供形態として「パブリッククラウド」と「プライベートクラウド」の2種類があり、さらに「SaaS」「PaaS」「IaaS」という3つのサービス形態に分類されます。
パブリッククラウド
パブリッククラウドとは、インターネットを通じて誰でも利用できるクラウドサービスです。複数の利用者でストレージやメモリを共有し、個人・法人を問わず、必要な時に必要な分だけ利用できます。
例えば、Googleドライブに資料を保存すれば、共有したい相手と簡単に情報をやり取りできます。また、必要なタイミングでアクセスすれば、いつでも内容を確認できます。
プライベートクラウド
プライベートクラウドとは、特定の企業や組織のみが利用できるクラウドサービスです。
外部の利用者とリソースを共有せず、自社に適した環境を構築できるため、セキュリティやカスタマイズ性の高い点が特徴です。
故に、医療機関や金融機関、政府機関、公共機関など、機密性の高い情報を扱い、データの安定性が求められる組織で導入されることが多いです。
SaaSとは
SaaSはSoftware as a Serviceの略で、「サース」または「サーズ」と読みます。
インターネットを経由して、電子メールや会計ソフト、顧客管理システムといったソフトウェアを提供するサービスです。
PaaSとは
PaaSはPlatform as a Serviceの略で、「パース」と読みます。
アプリケーションを動かすためのプラットフォームを、インターネットを経由して提供するサービスです。
IaaSとは
IaasSはInfrastructure as a Serviceの略で、「アイアース」または「イアース」と読みます。HaaS(Hardware as a Service:ハース)と呼ばれることもあります。
ハードウェアやインフラ機能を、インターネット経由で提供するサービスです。ユーザー自身でソフトウェアやプラットフォームを用意することで活用できます。
クラウドサービスの選び方。選定ポイントや注意点は?
クラウドサービスを選ぶ際は、機能やコストに加え、セキュリティ対策やサポート体制も比較検討することが重要です。そこで、クラウドサービスを検討する際に押さえておきたいポイントについて解説します。
機能
自社でクラウドサービスを導入する目的に合った機能が提供されていることは必ず確認しましょう。
また、契約後に利用プランの変更が可能か、他のサービスと連携できるかといった点も事前にチェックしておくと安心です。
コスト
予算内で自社に必要な機能を利用できなければ、クラウドサービスのコストパフォーマンスの良さを実感できません。
クラウドサービスのメリットのひとつに、コストを抑えられる点があります。しかし、導入や運用費用を抑えることばかりに意識を向けると、必要な機能が不足したサービスを選んでしまう可能性があります。
理想的なのは、必要な機能を全て備えたサービスを導入することですが、機能が充実するほど料金が高くなり、予算を超えることもあります。
そのため、必要な機能を「必須の機能」と「できれば備わっていてほしい機能」に分類し、コストとのバランスを考えて選定するとよいでしょう。
また、導入時に予算の都合で一部の機能を見送った場合でも、将来的に拡張できる可能性があります。導入後のスケールアップやダウンが可能か、追加費用がどの程度かかるのかも確認しておくと安心です。
さらに、料金形態がサブスクリプション型なのか、従量課金制なのかも確認しておくと、利用にかかるコストの見通しが立てやすくなります。
セキュリティ対策やサポート体制
クラウドサービスのセキュリティレベルは提供元に依存するため、セキュリティ対策が厳重な事業者のサービスを選ぶことで、万が一の際にも安心です。
また、トラブルが発生した際や操作方法が分からない場合に、どの程度のサポートを受けられるのかも確認しておきましょう。サポート体制が充実していれば、システムの不具合などにより業務が滞るリスクを軽減できます。
クラウドサービスの例
具体的なクラウドサービスを知ることで、利用のイメージが湧きやすくなります。ここでは、代表的な4つのクラウドサービスを紹介します。
Amazon Web Services(AWS)
Amazon Web Services(AWS)は、アマゾン・ドット・コムが提供するクラウドサービスです。ストレージやデータベース、AIやIoTなど、さまざまなサービスが提供されています。
Microsoft Azure
Microsoft Azureは、マイクロソフトが提供するクラウドサービスです。
データ保存用のストレージ、プロジェクトの開発・運用管理サービス、音声認識機能を追加するためのAI機能などを利用できます。
Zoom
ZoomはSaaSの一例で、オンラインミーティング、ウェビナーを実施できるプラットフォームです。会議中にリアルタイムで情報共有できる点も特徴です。
ContractS CLM
ContractS CLMは、契約書の作成から送受信、受領後の対応まで一元管理するクラウドサービスです。
契約書の期限管理、入力ミス、過去契約を生かした新規契約書の作成負担などにお困りの場合、契約書についての多くを1つのシステムに集約することでContractS CLMを見れば契約のすべてが分かる体制を構築することができます。
まとめ
クラウドサービスには多くのメリットがある一方で、セキュリティリスクやサービス停止のリスク、カスタマイズの制限といったデメリットも存在します。故に、オンプレミスとの違いの理解も含めて、自社のニーズに合ったサービスを選ぶことが重要です。
利便性、安全性、コストのバランスを考慮し、企業にとって最も適したサービスを選定しましょう。
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