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ノウハウ 文書管理規程とは?重要な理由から作成の流れ・注意点まで解説

更新日:2024年07月11日

投稿日:2024年05月21日

文書管理規程とは?重要な理由から作成の流れ・注意点まで解説

文書管理規程とは?重要な理由から作成の流れ・注意点まで解説

文書管理規程とはどのようなルールで、何のために作成するものなのでしょう。
文書管理規程は、不正防止や内部統制の強化に欠かせないものです。
文書管理に関するルールの重要性と作り方が分かれば、自社に必要な規程が見えてくるかと思います。

 

本記事では、文書管理規程の目的から作り方のポイントまで解説しています。作成を担当するのに慣れていない方は特に、参考になるはずです。

 

 

文書管理規程とは

企業が文書を管理する際に、あらゆる文書を一律に管理できるために設ける統一したルールや基準です。

文書の保存や廃棄といった管理工程の基準の他、重要文書の閲覧や取り扱いが適切に行われるためのルールなどが定められます。

文書管理規程作成の目的

必要なタイミングで必要な文書にすぐにアクセスできるようにするためです。

文書の保管期限や場所が統一されていないと、部署によって保管体制が異なり、混乱を招く恐れがあります。全従業員が正しい保管方法を分かるようにすることで、必要な文書をすぐに見つけられるようになります。

 

さらに、業務マニュアルなどを閲覧できるようにすることで、内部統制の強化も図ります。

文書管理規程作成の必要性

  • 利害関係者への説明責任を果たすため
  • 不正防止
  • 社内の情報共有をスムーズにするため
  • 不要な文書を増やさないため

 

文書管理に関するルールが存在しないことで起こり得る問題を防ぐためには、文書管理規程が役立ちます。

利害関係者への説明責任を果たす

企業が取り扱う文書の中には、事業活動に関するものも含まれます。企業の活動や経営状況などを証明する文書の提示は、利害関係者への説明責任の根拠となります。

文書管理規程に基づく的確な文書管理・扱いによって、企業の信用低下のリスクを小さくします。

不正防止

情報漏えいや文書の改ざんなどの不正防止に、文書管理規程は役立ちます。

文書の重要度に応じたアクセスの制限、作成者を明らかにするなどで、不正が起きるリスク軽減が期待されます。

セキュリティ対策の強化という役割を担うとも言えるでしょう。

社内の情報共有をスムーズにする

文書管理は、社内で共有される書類にも関わります。

適切に管理されないと、正しい情報が迅速に周知されません。文書管理の不備による業務効率や生産性の低下を避けるには、管理のルールが必要です。

不要な文書を増やさない

文書管理規程では、文書の保存に加えて廃棄に関するルールも定められることが一般的です。

保管期限の過ぎた文書を残し続ければ、管理コストがかかります。古い文書は、最新の情報が反映されていない可能性もあります。

不要な文書の管理にかかる業務をなくすことで、人材や資金を有効活用できます。

文書管理規程のメリット

文書の適切な管理は、業務効率化や企業の信頼獲得など、いくつものメリットをもたらします。

内部統制上の利点

内部統制は、法令遵守、業務効率化、財務報告の信頼性向上、資産の保全を目的に掲げます。文書管理規程の導入で、4つの目的達成に近づきます。

 

企業活動には、あらゆる法令が関わります。故意でないとしても法令違反を犯してしまうと、組織の信用が損なわれます。業績に悪影響を及ぼすだけにとどまらず、企業の存続も危ぶまれる可能性があります。

文書管理規程を用いて文書の改ざんなどが起こりにくい体制を整えることで、不正の起こりにくい環境が築かれます。結果、従業員には法令を守る意識づけがされるはずです。

 

企業活動において、人材や資金を有効活用することは重要です。情報もまた、有効活用されるべき大切な資源です。

文書管理規程によって、文書の保管や検索などがスムーズに行えるため、迅速な情報共有が可能となります。必要な情報に必要なタイミングでアクセスできることも相まって、業務効率化を期待できます。

 

文書管理規程のおかげで、財務報告に関連する文書のような重要な文書も、適切な管理が可能です。虚偽記載や粉飾決算などが起こりにくい体制であれば、財務報告の透明性が増します。企業の信頼にもつながります。

必要な文書をすぐに探し出せることで、申告漏れ防止にも役立つでしょう。

 

企業経営に資産は欠かせません。削減できるコストが多いほど、残せる資金が増えます。

文書管理規程があれば、不要な文書管理にかかるコストを削減できます。

人材も、企業にとって貴重な資産です。故に、人材の適材適所な配置が求められます。文書管理に関する業務に携わる人材に、より重要な任務を任せられるようになることも期待されます。

セキュリティ対策

企業の文書には、個人情報や機密情報が含まれるものが多いです。文書管理のルールがないと、不正な持ち出しや内容変更などが懸念されます。情報流出や改ざんのリスクが高い状態ということです。

文書管理に関するルールがあれば、文書の厳重な管理につながります。

透明性のある事業活動

文書管理規程を設けることで、どのような文書を保管しているかすぐに分かります。

組織の情報開示などを求められた時には、必要な文書を迅速に用意できます。説明責任を果たせることはもちろん、訴訟などの時にもスムーズに対応できます。

文書管理規程の作り方

文書の作成からルールの運用、保管から廃棄に至る各工程の決まりを作成する必要があります。

どのような項目を設定すると良いかは次の段落で詳しく解説しますが、大まかには以下の流れで作成すると良いでしょう。

 

  1. 文書管理規程を作成する担当者の任命・チーム結成
  2. 組織の課題や業務工程の分析
  3. 法令確認

文書管理規程に記載される項目

  • 文書の定義
  • 適用範囲
  • 責任者・責任部署
  • 保管・保存ルール
  • 保存期間
  • アクセス権
  • 廃棄方法
  • 禁止事項
  • 規程に反した場合の罰則

文書の定義

紙で作成された文書もあれば、電子データ化された文書もあります。何を文書と見なすか明確にすることが求められます。

適用範囲

企業内の全ての文書か、機密性の高い文書に限られるかなど、規程が適用される範囲を定めます。

責任者・責任部署

ルールに則った保存や廃棄を受け持つ担当者・担当部署を選定することで、適切な文書管理が実現されます。総務部が担うことが多いです。

保管・保存ルール

紙文書と電子文書では保管方法が異なることは想像できるかと思います。

文書の種類ごとに、どこにどのように保管するのかあらかじめ決めておきましょう。

保存期間

法令で保存期間が定められている文書もあるため、保存期間を分かるようにする必要があります。

アクセス権

個人情報や機密情報が含まれる文書について、閲覧する権利を持つ人と、アクセス方法や保管方法を定めます。

廃棄方法

保存期間を過ぎた文書の廃棄方法をまとめます。適切な廃棄は、情報漏えい防止につながります。

紙文書と電子文書では、廃棄方法も異なります。溶解処理を依頼する業者、データを完全に削除する手順などを明確にしましょう。

禁止事項

無許可での文書の持ち出しやコピー、改ざんなどが該当します。セキュリティ対策のためにも、明記することは欠かせません。

規程に反した場合の罰則

禁止事項で定めた行為を抑止するため、罰則は定めた方が良いです。罰則を定めることで、万が一不正があっても、適切に対処できます。

 

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文書管理規程整備にあたってのポイント・注意点

法律に則ることはもちろん、文書の特徴に合った保管方法やセキュリティ対策を講じ、従業員が正しく運用できるようにすることが大切です。

電子帳簿保存法対応の規程となっていること

電子帳簿保存法で、税務関係帳簿書類を電子化して保存することが可能になりました。

保存期間や方法が定められているため、法律に則った保管方法と期間を定める必要があります。

法律の改正があれば更新する

法令は、いつか変わる可能性があります。文書に関わる法律も、例外ではありません。

法律の改正があれば、変更された情報に基づいて文書管理規程の更新も必要です。ルール変更の際には、全ての従業員への周知も忘れずに行いましょう。

紙文書と電子文書それぞれに対し記載する

企業では、紙文書も電子文書も扱うことは珍しくありません。

両者の保管方法が異なることを考えると、紙文書と電子文書それぞれのルールを設定し、誰もが分かる形でまとめることが求められます。

 

紙の文書は電子文書と比較すると、文書の状態が最新のバージョンであるか確認する手間がかかります。また、紛失のリスクが高いです。

電子データ化には、関係者の協力が不可欠です。そこで、紙文書のリスクを減らすためにも、まずは社内でのみ使用する文書の電子化から始めることをおすすめします。

担当部署を定め保守運用する

文書管理規程を作成するだけで活用されない事態を避けるためには、運用担当者の存在が必要です。

文書管理規程の責任部署を置くことで、文書管理の一連の工程が適切に行われることを期待できます。

文書の重要度に応じたセキュリティ対策を講じる

機密情報や個人情報の含まれる文書については、厳重な管理が求められます。

社内規定やマニュアルも、重要事項は含まれているかもしれません。しかし、機密性の特に高い文書と同じ管理体制にしてしまうと、閲覧までに時間がかかり、業務効率への影響が懸念されます。

文書の重要度に見合ったレベルのセキュリティ対策も、文書管理には必要です。

文書の管理工程に沿った規程の作成

文書管理は、作成から廃棄という工程で成り立っています。段階に応じたルールが必要ということです。

文書を廃棄するタイミングや廃棄方法を明記することは、管理工程を踏まえたルールと言えます。

従業員への周知

従業員が文書管理規程を知っている状態でないと、ルールは機能しません。文書管理規程が活用されるようにするには、全従業員が存在を認知していて、文書管理のルールを理解している必要があります。

 

確実に周知するため、文書管理の方法や流れが分かるマニュアルを作成したり、研修を実施したりすることをおすすめします。

適宜運用状況をチェックする

ルールが守られているか定期的にチェックすることで、規程に沿った文書管理が実施されやすくなります。

文書管理規程について従業員から意見を聞くことも大切です。法令に従うことが前提ですが、従業員の意見を基に修正や内容追加を行うことで、運用しやすいルールとなります。

文書管理規程サンプル例

第1条 目的

この文書管理規程(以下「規程」という。)は、企業内の文書管理に関する基本方針および手順を定めるものである。

 

第2条 文書の定義

「文書」とは、紙の文書、電子メール、電子ファイル、画像ファイルなどの形式で作成された情報のことを指す。

本規程において「文書」は、上記全ての形式の情報を含むものとする。

 

第3条 適用範囲

この規程は、企業内の全ての文書および記録に適用される。

 

第4条 責任者

文書管理責任者は○○部とする。

○○部は文書管理の責任者として、文書管理の適切な実施を監督し、必要に応じて規程の改訂を行う。

 

第5条 保管・保存ルール

紙文書は、専用の書庫に保管され、アクセス制限されたエリアに置かれる。

電子文書は、適切なデータベースやフォルダに保存され、バックアップが定期的に行われる。

 

第6条 保存期間

各文書の保存期間は、法的要件に従って設定される。

保存期間が終了した文書は、適切な手続きに従って廃棄される。

 

第7条 アクセス権

文書へのアクセス権は、職務上必要な者にのみ与えられる。

機密情報や個人情報などへのアクセスは、必要最小限に制限される。

 

第8条 廃棄方法

廃棄される文書は、シュレッダーなどを使用して完全に破棄される。

電子文書の廃棄は、データの完全な削除が行われる。

 

第9条 禁止事項

許可なく文書を持ち出すことを禁ずる。

文書の改ざんや不正なアクセスも禁止される。

 

第10条 規程に反した場合の罰則

本規程に違反した場合、適切な処分が行われる。

違反者には法的措置が取られる場合がある。



「文書管理規程 サンプル」と検索すると、あらゆる組織・自治体の文書が見つかります。

例えば国民生活センターは、〇独立行政法人国民生活センター文書管理規程という文書を公開しています。

 

本記事で紹介した例とあわせて参考にしながら、自社の状況に応じてアレンジすれば、一から作成するより負担が小さいでしょう。

まとめ

文書管理規程は、必要なタイミングで必要な文書にスムーズにアクセスできるようにするための文書管理のルールです。ルールを作ることで、内部統制の強化や透明性のある事業活動の実現を支えることを期待できます。

 

本記事では、文書管理規程に記載する内容、作り方の流れやポイントを紹介しました。サンプル例も参考にしながら、従業員の意見や運用状況も考慮して、企業内外から信頼され続ける組織の基礎となるルールを整備しましょう。

 

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