ノウハウ 文書管理台帳とは?作成する目的・メリットと作り方を解説します
更新日:2024年10月17日
投稿日:2024年05月20日
文書管理台帳とは?作成する目的・メリットと作り方を解説します
文書管理台帳を用意・活用できていますか?
適切なものを作成できれば、組織内の文書を一元管理し、管理状況や変更履歴も記録されることで必要な書類はすぐに探せるはずです。
文書管理台帳があるにもかかわらず、見つけるのに時間がかかっている、セキュリティ対策などあらゆるリスク管理に不安がある、法的に問題なく保管されているか分からないなどの場合、作り方を見直しましょう。
本記事では、文書管理台帳作成の流れとポイントを解説しています。文書管理台帳の目的とメリットも紹介しています。自社に最適な台帳を作成する重要性を再認識できるかと思います。
文書管理台帳とは
企業が所有する書類や情報が一元管理されたものです。管理状況や変更履歴の記録が残されるため、必要な時に必要な書類・情報がすぐに取り出せます。
従来、文書は紙のままファイリングして保管することが多いものでした。ところが、文書の電子化と並行し、管理の電子化も進んでいます。
電子的な管理をはじめ、適切な文書管理は、情報にまつわる業務効率化に欠かせません。
ISO9001と文書管理
ISO9001は、組織の品質マネジメントシステムに関する国際規格です。高い品質の保たれた製品・サービスの提供と、顧客満足度の向上を目指します。
取得することで、業務効率の改善、法令順守、信用度のアップなどが期待されます。
ISO9001は、必要な時に必要な場所で利用できる文書管理を要求します。変更履歴の保存、情報の不正な変更防止なども求められます。
文書管理台帳は、ISO9001の要件を満たす文書管理の手段のひとつです。
文書管理台帳作成の目的
業務効率化の他、法令に則った保管や危機管理、情報のアクセス性を高めることが挙げられます。
SSOT:情報へのアクセス性を高める
SSOTとはSingle Source of Truthを略したもので、日本語にすると「信頼できる唯一の情報源」。
情報の一貫性と正確性を担保するための概念です。
SSOTの考え方は、組織の意思決定に欠かせません。
組織内の人間が同じデータにアクセスしたり共有したりできると、統一された情報を基に、スピーディーかつ正確な意思決定が可能となります。
データの誤りや矛盾を無くすためには、情報の集約が重要です。文書管理台帳によって、データが集約されます。文書管理台帳が、信頼できる唯一の情報源の役割を果たすということです。
情報の一元管理を行うことで、必要なデータにすぐにアクセスできます。
法定順守:法定保存に沿って保存する
企業で扱う文書は、法令で保存期間が定められているものが多いです。
1年・3年・5年・7年・10年と、法定期間は文書によって異なります。そこで、文書管理台帳に保存期間を記載することで、保存期間の管理も容易になります。
業務改善:業務の無駄を減らす
文書管理台帳があれば、探している文書にすぐにアクセスできます。文書を探す時間の削減によって、業務の効率化が図られます。
古い情報を誤って取り出す、同じデータを再度集計してしまうなどを避けられることも、無駄な業務を省きます。
これまで文書の検索などに費やしていた時間を、他の業務に充てられるというメリットも得られます。
危機管理:不測の事態や税務調査に備える
文書管理台帳は、必要な情報を迅速に取得し、適切に対応するためにも重要なものです。
災害や事件といった予測できないトラブルが発生した際、スムーズな解決のために書類が必要になることもあります。想定していない状況下で、書類をゆっくり探す時間的余裕がなくても、必要書類がすぐに見つかるようにするために、複数の文書がまとまった台帳は大切です。
税務調査もまた、いつ行われるか分からない出来事と言えます。
税務調査では、台帳などいくつもの書類をチェックされます。文書管理台帳で複数の文書が適切に管理されていれば、調査までに必要な書類を漏れなく用意できるはずです。
突発的な事態や税務調査など、予期せぬ状況に備えるためにも、文書管理台帳のような適切な文書管理は欠かせません。
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文書管理台帳作成のメリット
情報アクセスの向上や業務効率化なども、メリットと言えますが、その他に以下もメリットと言えるでしょう。
- リスク・危機管理につながる
- セキュリティ・コンプライアンスの強化
- コスト削減
リスク・危機管理につながる
不測の事態の対応に必要な書類がある、裁判所から書類の提出が求められた時など、すぐに文書を用意しなければならないケースがあります。
文書管理台帳で適切に管理されていれば、素早く文書を見つけられ、スムーズに対応できるはずです。
セキュリティ・コンプライアンスの強化
企業で扱う書類は、機密情報が含まれるものも少なくありません。
取り扱いに特に注意が必要な書類が、他の書類と混在して保管されると、重要書類が不適切な形(例えばシュレッダーにかけずに文書の内容が分かる状態など)で処分される恐れがあります。書類の紛失だけではなく、情報漏えいも懸念されます。
文書管理台帳を用いることで、セキュリティ対策の強化や、コンプライアンスへの取り組みにつながります。
コスト削減
文書管理台帳によって、書類の保管期間も管理できます。
また、不要な文書を保管したり、重複した書類を作成したりといった業務に費やしていたコストをかけずに済みます。
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文書管理台帳の作り方
- 文書の分類と項目の定義
- 管理形式を選び記載する
1.文書の分類と項目の定義
はじめに、文書を分類します。
最初に文書を分類しておくことで、組織内の文書を把握しながら、適切かつ効率的な管理を実現できるでしょう。
書類は、以下の3つに分類されることが多いです。
法定保存文書:法律で保存期間が定められている書類(税務書類など) 共有文書:社内外での共有を前提とした書類(業務マニュアルなど) 完了文書:最新の状態で更新された文書など、作成が完了済みの書類 |
部署で独自に保管している書類もあるかもしれません。組織内の文書を漏れなく洗い出して整理することで、適切な文書管理が可能となります。
書類を分類したら、重要度別に分けます。重要度の高い順に下記5段階で分けることが一般的です。
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最重要書類のバイタルレコードは、特に漏えいしないよう厳重なセキュリティ下での管理が求められます。
文書管理台帳は、必要な文書をすぐに見つけられるようにする必要があります。故に、どのような文書がまとめられているか分かるよう、文書管理台帳に以下のような項目を記載しておくと良いでしょう。
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上記の他に特記事項や補足することがあれば、「備考欄」を設けます。
どのような項目から文書を検索しやすいか考えながら、記載項目を決定しましょう。
2.管理形式を選び記載する
文書管理台帳の管理形式も、文書へのアクセスを高めるのに重要です。
以下の3種類の管理形式があります。
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Excelと外部システムを利用した管理形式については、本記事の最後で詳しく解説します。
ここでは、紙での管理形式について説明します。
紙での管理とは、紙に直接項目を記入してから文書を分類して管理する方法です。
紙に必要事項を記入するだけで管理できます。文書の量が少なければ、すぐに取り組めます。パソコンが苦手な従業員も扱いやすいというのもメリットです。
ただし、情報の更新や文書の検索に時間や手間がかかります。また、紛失のリスクに備えなければなりません。
文書の量など、組織の状況にあわせて管理形式をご検討ください。
最後に、文書の概要や閲覧権限といった決定した項目に従い、必要事項を記載の上、保管します。
文書管理台帳作成時のポイント
- 記載方法などを統一
- セキュリティと情報漏えいリスク対策
- 権限付与の検討とシステムの選定
基準を統一する:採番、記載方法
検索性を高めるため、また、残しておくべき文書を誤って処分しないよう、台帳への記載項目を統一します。採番をつけることも有効です。
「0001」のような通し番号を基本とし、必要があれば「A002」のように、管理部署や文書の種類を表すアルファベットも併記することをおすすめします。
採番や記載項目についてのマニュアルを用意・周知することで、担当者はミスなくスムーズに記載できます。
セキュリティ対策、情報漏えいリスクへの対策
企業で扱う文書は、機密情報を含むものが少なくありません。故に、文書の情報漏えいを防ぐための対策を講じながらの管理が求められます。
紙で文書を管理する場合、電子的な方法で管理する場合と比較すると、紛失のリスクが高いです。
文書の機密性の高さによっては、アクセス制限された場所での保管が求められます。そこで、持ち出しの履歴を残すようにすれば、不正な持ち出しを防げるでしょう。
電子的な方法で管理する場合、不正なコピーや不正アクセスによる情報流出が懸念されます。
閲覧範囲を最小限にする、文書を暗号化してから保存する、セキュリティレベルの高いツールを導入するなどが必要となります。
いずれの管理方法でも、従業員に適切な文書管理の重要性と正しい管理方法を周知することも大切です。
権限付与の検討とシステムの選定
文書管理台帳へのアクセス権限が適切に付与されると、情報の漏えいや不正アクセスのリスクを下げられます。書類の重要度に応じた権限の管理をしましょう。
適切なシステムの活用もまた、セキュリティ強化につながります。
電子契約サービスをはじめとしたITツールの導入は、文書ごとに権限を変えるといった柔軟な管理を、操作ひとつで簡単にします。
また、ITに詳しくない人でもすぐに使えるシステムを選ぶことがポイントです。
文書管理台帳の作成形式
Excelを使った作成方法と外部システムを用いた方法について解説します。
Excelを利用する
電子データで管理し、Excelで文書管理台帳を作成する方法です。
インターネットで検索すると、フォーマットが見つけられるため、手軽に始めることができます。
ただし、電子データの量が増えると、必要な文書の検索に時間がかかる、ファイルの起動に時間がかかるなどでメリットもあります。
外部システムを利用する
例えば、契約管理システムを活用して文書管理台帳を作成する方法です。
契約管理システムでは、契約管理台帳が自動生成されるものが多く記入の工数やミスのリスクを少なくすることができます。また、サービスを利用することで、あらゆる種類の文書を一元管理できます。
必要な文書を検索しやすく、カテゴリーやタグを設定することもできるので、効率的な整理も可能です。
保管する文書が多い場合は、外部システムの導入をおすすめします。
まとめ
文書管理台帳は、法令に則った手段をとりながら、業務の無駄をなくし、リスク管理を行うのに重要なものです。
適切な台帳を作成し、文書管理することは、リスク管理にもつながります。企業の規模や文書の量など組織の状況に適した方法を選ぶことで、文書管理に関する課題を解決できるでしょう。