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ノウハウ iPaaSとは?機能から代表的な製品までわかりやすく解説

更新日:2024年10月17日

投稿日:2024年05月20日

iPaaSとは?機能から代表的な製品までわかりやすく解説

iPaaSとは?機能から代表的な製品までわかりやすく解説

国内企業におけるDX推進の必要性に注目が集まっている近年、複数のITシステムを併用している企業も多いことでしょう。

 

システムごとにデータが孤立し、それぞれで必要な操作を行ったり異なる方法で運用したりして、かえって業務の手間が増えたというケースも珍しくありません。

 

そんなお悩みの解決に有効なのが、「iPaaS(アイパース)」です。

今回はiPaaSとは何か、主要な機能やメリット・デメリットなどのポイントから分かりやすく解説します。

 

 

iPaaS(アイパース)とは

iPaaSは「Integration Platform as a Service」の略で、サービスとしての統合プラットフォームを意味します。

複数のアプリケーションやシステムを連携させ、それぞれで管理されているデータをひとつのプラットフォームに統合できるクラウドサービスです。

また、サービスによってはビジネスモデル設計支援・プロセス自動化・イベント駆動といった機能も備えています。

 

使用に際しては基本的に高度なプログラミングスキルを習得する必要はなく、シンプルな操作で誰でも使えるという利点があります。

iPaaSとRPAの違い

プロセス自動化といえば、「RPA(Robotic Process Automation)」が連想されがちです。

RPAとはバックオフィスなどで生じる、決まったパターンで繰り返される単純作業を自動化できるツールを指します。

 

異なるアプリケーションやシステムを連携させてビジネスプロセスの効率化につなげるiPaaSに対し、RPAは定型業務を自動化するという、異なる性質を持つツールです。

iPaaSの主な機能

iPaaSで活用できる主要な機能は、大きく分けて以下の3つがあります。

 

・APIを利用した複数のアプリケーションの安全な連携

・リアルタイムで複数のアプリケーションのデータを同期・高速処理

・異なるサービスをまたぐビジネスフローの設計・運用

 

APIとはソフトウェア・プログラム・Webサービスなどを連携させるインターフェースのことで、製品の機能を外部から実行できるように提供者側から用意されています。

 

そのAPIを利用しているiPaaSを使えば、SFAに取り込んだ顧客情報を連絡先などのデータに自動転記したり、チャットツールを通して社内システムへの情報を登録・検索をしたりといったことも可能です。

iPaaSのメリット

iPaaSを導入すれば、以下の効果が期待できます。

既存システムとの連携で業務を円滑化できる

複数のアプリケーションを利用していると、各アプリケーションで管理されたデータが孤立化します。

これにより重複作業や人的ミスが発生しやすくなり、業務の効率や質が下がる場合もあります。

 

従来もクラウドサービスを連携させる手段はありましたが、開発に少なくない時間とコストがかかるため、IT人材が不足している企業では実現できませんでした。

 

APIを用いるiPaaSならアプリケーションごとに管理されたデータを簡単に一元化でき、複数の認証が発生するようなサービスでも1度の認証で使えるようになります。

シームレスなデータ連携に加え、複数の部門が簡単にデータへアクセスできるため、情報の共有・更新がスムーズとなり業務の円滑化につながります。

プログラミングの知識がなくても導入できる

基本的にiPaaSを利用するにはプラットフォームの構築が必要ですが、近年はノーコード・ローコードで利用可能なサービスも増えています。

 

ノーコードは文字通り、プログラミングの知識がなくても視覚的なUIで簡単に構築できます。

連携したいサービス・機能を、ドラッグ&ドロップの操作で組み立てながら必要なシステムを構築するというものです。

ローコードのiPaaSはコードの改変・修正で、自社の業務に合わせたカスタマイズの余地があるタイプです。

しかし、作成方法はノーコードと大きく変わらないため、高度な開発スキルを持たなくても複雑なシステム連携が実現できます。

もちろん、専門知識を持つエンジニアならさらに細かなカスタマイズも可能です。

自社サーバーの負担を軽減できる

iPaaSはクラウドベースのサービスであり、従来は自社サーバーを使っていた業務運用をクラウド上に移すことが可能です。

これにより自社サーバーへの負担が軽減され、自社の成長・変化に併せて簡単にスケールアップできるようになります。

自社サーバーやインフラが整っていない場合でも、ベンダーへ構築を依頼せずとも導入が可能です。

 

セキュリティ維持に関してはiPaaSの提供会社が行うため、保守にリソースが割かれる心配もありません。

多角的な分析もできる

データを用いる場合、通常それぞれのシステムに蓄積された情報を集約のうえ分析する必要があります。

その際、必要なデータを管理部門へ確認して取得しなければならず手間がかかります。

データの取得にかけられる時間が限られている場合、やむを得ず表面的な数字のみを用いて分析する結果にもなり得ます。

 

しかし、iPaaSによるシステム連携でデータを一元化すれば、各部門に点在する情報をすぐに確認できるため取得に手間がかかりません。

さらに業務の過程から結果に至るまでに発生した情報も取得でき、多角的な視点で分析、レポーティングが行えます。

 

さらに、製品によっては統合されたデータに存在する不正確な情報を正す「データクレンジング」、断片的な情報を集約してデータを補完する「エンリッチング」の自動化が可能な機能が備わっていることもあります。

これらを活用すれば、データの正確性をさらに強化できます。

iPaaSのデメリット

業務効率化や導入のしやすさなどのメリットがあるiPaaSですが、以下のようなデメリットもあります。

連携できるシステムが限られている

iPaaSが連携できるシステムやアプリケーションは、APIが公開されているものに限られます。

多くはないですがAPIが公開されていないシステムやアプリケーションもあるため、誰でも必ず導入できるわけではありません。

 

より効果的に運用するなら知識が必要

iPaaSは高度なプログラミングがなくても導入できますが、より効果的な運用を目指すならある程度の知識は必要です。

例えば、高度なデータマッピングやセキュリティ設定には専門知識が欠かせません。

 

導入したいiPaaSによっては専門知識を持つ人員を確保したり、より扱いやすい製品を探したりといった工夫が重要です。

iPaaSの種類ごとの特徴

iPaaSは大きく分けて4種類があり、それぞれどんな活用方法に特化しているのかが異なります。

 

種類

特徴

レシピ型

あらかじめレシピ(テンプレート)が用意されているタイプのiPaaS。

カスタマイズ性が低い一方で、レシピにより専門知識がなくても簡単にデータを統合できる。

ETL/ELT型

データを「抽出・変換・格納」の順で処理するタイプのiPaaS。

大量のデータや複数の場所に点在するデータの統合に適しており、主にデータ分析に使用される。

EAI型

企業間の異なるシステムを連携できるタイプのiPaaS。

共通する機能があるためELT型と混同されがちだが、より多機能なことが特徴。

リアルタイムでデータを統合して整合性を保つ際にも使われる。

ESB型

SOA(独立したアプリケーションを連携させて大規模なシステムを構築する手法)を使用し、データを連携するタイプのiPaaS。

異なるアプリケーションを統合し、ひとつのシステムとして利用できる。

 

要約すると、レシピ型・EAI型・ESB型はデータの統合、ETL/ELT型はデータ分析が主な使用目的といえます。

導入の際はなぜiPaaSを使うのかという目的を明確にし、それに最適なタイプの製品を選ぶ必要があります。

有名なiPaaSの例

数あるiPaaSの中でも、有名な5つの製品をご紹介します。

workato

workatoはドラッグ&ドロップの簡単な入力操作で、400以上のアプリケーションを統合してワークフローを自動化できるiPaaSです。

ノーコード・ローコードでワークフローの自動化設定が可能なため、高度なITスキルを持たない担当者も、必要なときに自分で実施できます。

 

さらにworkatoのコミュニティではユーザーが構築した22万種類以上ものレシピが公開されており、多種多様な選択肢が広がっていることも特徴です。

 

ダッシュボード画面では使用中のレシピがどれくらいのタスクを処理しているのか、エラーは発生していないかといった情報をリアルタイムで把握のうえ管理できます。

Anyflow

Anyflowは国産のレシピ型iPaaSで、SaaS(ソフトウェアサービス)を選択するだけでプログラミングをせずとも簡単に連携できます。

連携の際はSaaSを選び、条件設定やアクションについて画面上で操作するだけで完結する使いやすい製品です。

急に業務プロセスに変更が生じても、クリックと簡単な入力作業だけで変更に対応できます。

 

1対1の連携はもちろん、3つ以上のSaaS連携も簡単に実行できるため、組み合わせしだいで他のシステムにはできない形での業務効率化も実現可能です。

 

分かりやすいUIや日本語サポートを受けられることも、国産の製品ならではの嬉しいポイントです。

Zapier

世界でトップクラスのシェア率を誇るZapierは、複数のアプリケーションを統合してワークフローの構築や自動化による業務効率化を支援するiPaaSです。

Googleやマイクロソフトの各種サービスに加え、Slack・Discord・ChatWorkなど数千種類におよぶサービス・アプリケーションに対応しています。

 

一連のワークフローは「Zap」という単位で表現されており、ノーコードで簡単に自動化できます。

UIやサポートドキュメントは英語が主体であり日本語には対応していませんが、基本的な操作や仕組みは画面の表示に従えば問題なく実施可能です。

 

さらにアカウント登録のうえで導入すれば14日間の無料トライアルを利用できるため、操作性の良し悪しや自社の業務効率化に期待できる効果などを自分で判断したい場合にもおすすめです。

 

ActRecipe

ActRecipeはノーコードでSaaS間のデータ連携と業務の自動化を即時実現できる、レシピ型のiPaaSです。

特にバックオフィス業務の自動化を得意としており、「経費精算ツールと会計ソフトを連携させたい」など各企業のニーズや条件を的確に満たす多種多様なレシピを提供しています。

 

また、サポートサービスではActRecipeそのものだけでなく、連携しているSaaSに起因するトラブルも調査・対応してくれます。

複数のサービスを利用している際に陥りがちな、「何が原因か分からない」「誰に聞くべきか判断できない」といった事態を回避できる、手厚いサポート体制です。

Yoom

Yoomは国内企業であるYoom株式会社が提供しているiPaaSです。

120を超える国内外のSaaSと連携が可能で、ノーコードかつ直感的な操作で連携を実現できます。

AI・API・RPA・OCRなど多彩な技術を組み合わせたハイパーオートメーションにより、データ入力・書類発行・メール対応・営業事務などあらゆる業務に使われるツールの連携と作業の自動化が可能です。

 

ユーザーの約8割が非エンジニアであり、IT知識がないユーザーにも扱いやすい操作性であることが伺えます。

 

タスク実行回数・利用ユーザー・利用できるフローボットの数などの制約はありますが、無期限で利用できる無料プランが用意されており、初期費用を抑えられる点もメリットです。

 

iPaaSを使えば複数のシステムを連携させてデータを一元管理できる!

技術の進歩と共に便利なシステムやアプリケーションが続々と生まれる現代ですが、あれもこれもとサービスを導入すると、かえってデータが孤立化・煩雑化して業務効率の低下を招きます。

 

クラウド上で複数のシステムやアプリケーションのデータを一元管理できるiPaaSなら、そのようなリスクも回避してさらなる業務効率化を目指せます。

 

非エンジニアでも簡単にプラットフォームを構築できるiPaaSは多いため、自社に最適な機能の有無を確認のうえ活用をおすすめします。