ノウハウ 業務プロセスの整理とは?整理のメリットも解説
更新日:2024年10月31日
投稿日:2024年05月20日
業務プロセスの整理とは?整理のメリットも解説
法務の業務効率改善のために各種リーガルテックを導入することを検討し始めた際には、自社の課題を分析することとなります。業務プロセスの整理は自社の業務における課題を分析する上で非常に重要です。
しかし、どのように業務プロセスを整理すれば良いのか分らないという方もいらっしゃるでしょう。そこで本記事では、業務プロセスの整理について解説します。
業務プロセス、業務整理、ビジネスプロセス整理とは?
冒頭で少し触れた通り、リーガルテック導入に当たっては業務プロセスの整理が必要です。しかし、そもそも業務プロセスとは何なのかや、業務整理、ビジネスプロセス整理とは違うのかといった疑問を持たれる方もいらっしゃるでしょう。
そこで、業務プロセスの意義や業務整理等との違いについて解説します。
業務プロセスとは
業務プロセスとは特定の業務の開始から終了までの一連の業務の流れのことをいいます。各業務にはそれぞれタスクがあり、それぞれのタスクがスムーズにつながることで業務プロセスの流れが生まれます。
業務整理とは
業務整理とは各業務におけるタスクの整理のことをいいます。業務プロセスを構成するタスクを整理するという点で業務プロセスや業務プロセスの整理とは異なります。
ビジネスプロセス整理とは
企業が顧客に商品やサービスを提供するために必要な工程における各工程の整理のことをいいます。
各業務や業務プロセスは最終的には企業が顧客へ商品やサービスを提供するために行われていますが、ビジネスプロセスはそれら全てを包含するより大きな目でビジネスを捉えたプロセスを整理することを意味します、
業務プロセス整理のメリット
では、業務プロセス整理にはどのようなメリットがあるでしょうか。ここからは業務プロセス整理のメリットについて解説します、
業務効率化・生産性の向上
業務プロセスの整理は業務の効率化や生産性の向上につながります。
例えば従来紙で保管していた契約書を業務プロセスを整理した結果、契約書管理ツールを導入し、電子ファイルで管理するようにした場合、契約の更新など手作業で行っていた部分をツールで管理することにより作業効率が上がり、それまで契約書の期限管理に使っていた時間をコア業務へ使うことができるため生産性の向上にも繋がります。
このように業務プロセスを整理し対応を行うことは業務効率化や生産性向上につなげることができます。
DXの促進
DX化は現在各企業の課題とされていますが、DX化を進めるためには既存の業務プロセスや企業文化を維持したままでは、DX化には対応できないと考えられています。そこで、業務プロセス整理を行い、まずは業務における課題を抽出する必要があります。
例えば法務部員をよりコア業務へ集中させたいという課題があるのに対して、システムやツールの導入といったDX化で対応しようとした場合、既存の業務プロセスに問題がある場合には、ツールの導入だけでは問題を解決することはできません。
したがって、DX化を推進する前段階として業務プロセス整理を行う事で適切なDXの促進を行う事ができるという点は業務プロセス整理のメリットと言えるでしょう。
【関連記事】法務DX、契約DXとは?契約DXで生まれる価値と進め方を解説
業務の属人化の防止
業務プロセス整理は業務の属人化を防ぐ上でも重要です。業務プロセスの整理を行い、業務の内容や各タスクなどが明らかになることで、マニュアル化による対応など属人化を防ぐ上で重要な対策を取ることができます。
また属人化を防ぎ、業務プロセスの内容が明らかになることで担当者の異動・退職の際に引き継ぎがしやすくなるといったメリットもあります。
【関連記事】契約マネジメントが日本企業の「部署間連携」「管理体制」「属人化」の課題を解決する
業務プロセスの改善方法は?
では、業務プロセスの改善に当たってはどのような行動を取れば良いでしょうか。
ここからは業務プロセスの改善方法について解説します。
①業務を図解して可視化する
まずは従来の業務プロセスとフローを可視化し、各業務について誰が何をやっているのか分るように図解するのが良いでしょう。
例えば、契約書に関連する業務であれば、依頼部門からの受付がどのように行われており、受け付けた契約書をどういった形式で受け取るのか、受けた依頼にどのように対応するのか、契約締結の押印手続はどのようになっているのか、契約締結後はどのように契約を保管しているのか、更新時期の管理はどうしているのかといった様に細かく契約書の作成から締結後の流れまでどのようになっているのか流れが分かるように図解して可視化するようにしましょう。
②課題の整理・分析
可視化した業務を業務プロセスと業務フローに分けて整理しましょう。業務プロセスと業務フローに分類することで、どこの段階にどのような課題があるか明確になります。
また、ここまで整理すると非効率的になっている部分や箇所が明らかになるため、どこを改善すべきかも明らかになります。
③実行計画の策定
先ほどの過程で分析した結果、改善の方針を作成する事ができます。この方針に基づいて実行計画を作成します。
注意が必要なのは1つのプロセスやフローの改善を行った場合、他のフローやプロセスに影響するケースが少なくありません。改善を計画するときはタスクを洗い出した上で行う事が重要です。
④計画の実行
実行計画に従って業務プロセスの改善を行いましょう。また実行したら実行しっぱなしにするのではなく、効果がどのくらいあったのかといった効果の測定を行うようにしましょう。
一般的な契約業務プロセスの例
一般的な契約業務は以下の様な業務プロセスに分解できるでしょう。
①契約書作成依頼受け付け
②契約書案の作成
③契約書案の内容の審査・交渉
④契約書内容の確定
⑤押印のための郵送
⑥押印
⑦一部返送
⑧両者保管
⑨契約書の期限管理
【関連記事】契約の発生から締結、管理までの流れとツールを解説
自社の契約業務プロセスの棚卸方法
では自社の契約業務プロセスの棚卸しはどのようにすれば良いでしょうか。ここからは棚卸方法について解説します。
①各工程でどのような業務があるか書き出す
棚卸しに際してはどのような業務があるのかまずは書き出すところから始めましょう。単に業務を書き出すだけでなく、それぞれの業務やタスクにどのくらいの工数や時間がかかるのかといった点も明らかにしておくようにしましょう。
②業務棚卸表に記入する
各担当者が書き出した業務を元に業務棚卸表へ記入していきましょう。①で報告された業務の漏れが無い様に記入していきましょう。
③業務量調査を実施する
業務棚卸表から各業務にかかっている時間や工数を集計します。どの業務や作業にどれだけの時間がかかっているか細かく分類に分けて記入しましょう。
④対策を検討・実施する
業務量棚卸調査の結果、特定の人員に業務が偏っていないか、逆に余裕のある人員がいないかといった点や業務内容が属人化していないかといった点を検討しましょう。
こうした問題点や課題点を抽出できたら、優先度の高いものや対応しやすいものから対策を検討・実施していきましょう。
\ もっと詳しい資料はこちら /
契約管理システムの導入方法が分かる資料を
無料でダウンロード >
業務プロセス図の作り方
作成目的の明確化
最初に業務プロセス図を作成する目的を明確化しましょう。業務プロセス図は作成が目的では無く、業務プロセスの可視化をする手段であるという点を押さえておきましょう。
図形を用いて各タスクの流れを可視化する。
業務プロセスの各過程が一目で分るように図形は作業内容によって区別するなどし、視覚的に分かりやすく作成するようにしましょう。
会社によってはイラストや写真を用いるケースもありますが、資料としての統一性が崩れるためあまりおすすめできません。
業務プロセスの関係者の洗い出し
業務プロセス図の作成対象となった業務にどの部門の誰が関わっているのか洗い出していきましょう。担当者個人まで明らかになるように洗い出しを行うのが重要です。
作業の洗い出し
作業プロセス図にまとめるために各作業やタスクを洗い出しリスト化しましょう。まずリスト化した後で業務プロセス図にまとめることで作業の抜け漏れなどを防ぐことができます。
業務プロセス図の作成
作業やタスクの洗い出しが完了したら業務の流れに従って時系列順に並べ、各業務やタスクを矢印でつなぎ、業務プロセス図を作成します。
業務プロセス整理のポイント・注意点
業務プロセスを整理するに当たってはどのような点に注意すれば良いでしょうか。
ここからはポイントや注意点について解説します。
現状の課題を部内で共有する
業務プロセス整理の目的は現状の業務の課題を明確にするために行なうものです。そのため業務プロセス整理を行うに当たっては現状の課題を部内で共有し、業務プロセス整理を行う必要性について認識することが重要です。
他部署からヒアリングする
契約業務は必ずしも法務部門だけで完結する業務ではありません。そのため、契約業務に関する業務プロセスを正しく作成するためには他部署から業務についてヒアリングをする必要がある点には注意しましょう。
【関連記事】契約業務における事業部目線の課題を可視化!業務改善の棚卸に
担当者からヒアリングを行い実務に沿った内容にする
業務プロセス整理を行うに当たっては、実際の業務にどのようなタスクがあり、どのように進められているのかヒアリングを行い、実務に沿ったプロセス図を作成した上で業務プロセス整理を行う必要があります。
他部署と協力して業務プロセスの整理を進める際にヒントとなること
他部署からのヒアリングが重要と言っても自部門の業務プロセス整理について、意見やヒアリングを行うのは難しいと感じる方も多いでしょう。
この点については、契約が他部門にも関わる業務である事を共有し、契約業務効率化システムを導入することで他部門の業務の効率化にもつながることをアピールすると良いでしょう。
例えば契約書締結後の保管や契約書の期限管理といった業務はそれぞれの部門で行っている会社も多いでしょうがこうした業務について手作業で行っている場合、思っている以上に工数がかかっていたり、ヒューマンエラーによるリスクの可能性などの課題を抱えています。こうした課題について解決するきっかけとして業務プロセス整理は活用が可能です。
このように法務部門だけでなく、自部門の業務の効率化や改善に役立つということを共有することが他部署と協力して業務プロセスの整理を進める上で重要となるでしょう。
契約業務効率化システムの導入手順
業務プロセス整理を行った結果、契約業務効率化システムを導入することになった場合、どのような手順で導入することになるでしょうか。
ここからは導入手順について解説します。
①自社内での課題抽出
契約業務効率化システムには様々な機能や特徴があるため、自社の課題を解決するシステムを導入する必要があります。
したがって、その前提として自社が抱える課題を把握し、業務プロセス整理や業務プロセス図の作成などを通じて明らかになった自社の課題をしっかりと共有・認識する必要があります。
②システムの比較・検討
自社の課題が明らかになったら、自社の課題の解決に資するシステムの候補を選定し、比較・検討を行いましょう。
③稟議・社内承認
導入するシステムが決まったら次は予算の確保です。多くの会社では稟議などによって車内承認を得ることになるでしょう。稟議ではどういった課題があり、そのシステムを導入することでどういった効果が得られるのか、これまで行った分析をもとに稟議書を作成するとより説得力が増すでしょう。
④システムの導入
車内承認が下りたらシステムの導入です。システムも一度導入したらそのままにするのではなく、効果や導入のメリットなどを定期的に振り返るようにしましょう。
まとめ
契約業務を効率化するためのシステムの導入に当たっては、その前提として自社の業務上の課題を抽出・整理する必要があります。こうした業務課題の抽出や整理のためには業務プロセス整理が非常に重要です。
契約管理システムの導入のポイントが分かる資料を
無料でダウンロード
この資料では、システム導入の手順、失敗につながるポイント、成功につながるポイントについて詳しく解説しています。 自社の契約管理プロセスを強化し、効率化を実現するための貴重な情報が満載です。