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ノウハウ 紙で締結した契約書の理想の管理方法、作業フローを解説

更新日:2024年10月17日

投稿日:2024年05月16日

紙で締結した契約書の理想の管理方法、作業フローを解説

紙で締結した契約書の理想の管理方法、作業フローを解説

紙で契約書を締結する場合、印紙、保管スペース、作業の複雑さ、検索性など様々な課題を抱えることがあります。電子契約に切り替えるとした場合にも、先方の受入れ状況により紙締結をしなければならなくなったり、紙と電子の共存が必要不可欠です。

 

では、紙で締結した契約書の理想の管理方法、作業フローはどのようなものが良いのでしょうか。

 

 

紙締結の課題

契約書を紙で締結し、管理する場合の課題には以下のようなものが挙げられます。

収入印紙の値段が分からない

紙で締結する契約書には、収入印紙の貼付が必要です。

しかし、収入印紙の貼付ルールは複雑で契約書の中でも用途によって貼付する金額が異なることで混乱が生じます。

 

収入印紙の値段を問い合わせる、問い合わせに対応する時間と手間の無駄など電子締結では必要のない業務が発生します。

 

また、貼付する収入印紙に誤りがあった場合、既定の金額より多く納税しなければいけないといったリスクも負っています。

ファイリング、保管スペースの確保

契約書締結後は、自社キャビネットで保管するか、外部の会社へ保管を委託するのが一般的です。

 

自社で行う場合、他社に委託する場合に限らずラベルを貼付したり、インデックスを整理したりとファイリングのルールを定める必要があります。自社でファイリングを行う場合には分類、ラベリングの作業も必要です。

 

また、契約書は重要な書類であり、長期間保管する必要があります。そのため、多くの契約書を保管するためには大量の物理的なスペースが必要です。契約数が増えると必要な保管スペースは拡大し保管スペースのために経費を割かなければなりません。

検索、閲覧の手間

必要な契約書を探す際に、ファイルキャビネットやファイルボックスの中から手作業で検索するのは時間と労力がかかります。デジタル化されていれば検索が可能ですが、紙の状態ではそのような迅速な検索は難しいです。

紛失・破損のリスク

紙の契約書は紛失しやすく、また火災、水害、物理的な劣化などによって破損するリスクも高く、契約の詳細が分からないといったことも起きることがあります。

複製・共有の難しさ

紙の契約書を複製するにはコピー機を使用する必要がありますが、品質が劣化したり、作業コストがかかることがあります。

 

また、物理的な郵送や手渡しが必要なため、契約書を他の人と共有するのにも時間がかかります。

電子と紙でフローが変わるので複雑になる

電子締結と紙締結で契約フローを変える運用を行っている会社もあるでしょう。

 

この場合、締結の形でフローが代わり、各種申請先、作業内容が変わるため複雑になりがちです。契約を結ぶ頻度の低い担当者にとって手順ミスのリスクが高まり、作業負荷も高まります。

 

フローが変わる原因の一つに、システムやツールが紙電子両方の締結方式でまとめることができないことが挙げられます。

 

紙と電子である程度共通したフローを組み立てることができればこの状態は防ぐことができます。

版管理が大変

同じ契約書の複数のバージョンが存在する場合、誤って古いバージョンを使用しないようにする必要があります。この作業は多くの場合手作業で、手間と注意力を要します。

 

また、紙の契約書は、保管場所やファイル内での順序が重要です。誤って古いバージョンを参照したり、最新のバージョンが見つからなかったりといったリスクが高くなります。

 

契約書を複数の部門や部署で共有する場合、各部署で異なるバージョンが存在することがあり、最新のバージョンを全員が確実に把握しているとは限りません。これにより、意思決定や業務に混乱が生じることがあります。

2重管理になる

契約管理台帳を法務部と事業部でそれぞれ持っていて、事業部と法務で2拠点管理が起きるといった課題です。

 

また、同じ契約書のデジタル版と紙版の両方を保管するケースでは、データの重複が発生します。

 

これにより、どちらが正しいバージョンかを確認する手間が増え、整合性の問題が生じやすくなります。契約書に変更があった場合、紙版とデジタル版の両方にその変更を反映させる必要があります。このプロセスが煩雑であるため、どちらか一方に変更が反映されていないという事態が生じやすくなります。

 

これは、すぐに契約書の内容を参照できない、情報を知るために問い合わせる必要がある場合に起きやすい課題です。

前者は一つの箇所でデータ検索できるようになれば2拠点で管理する必要はなくなります。

解決方法

紙締結による8つの課題を例示しました。では、これらの課題はどのように解決できるでしょうか。

電子契約を利用する

電子署名を利用することで、物理的な署名と同等の法的効力を持つ契約をオンラインで締結できます。

 

契約管理システムを導入することで、差分比較機能により物理的な版管理がボタン一つで可能になります。

検索機能により情報も探しやすくなり、法務だけではなく事業部も情報にアクセスできるような環境を整えることで複数拠点での管理も不要になり問い合わせ、対応の手間がなくなります。

 

また、紙、電子と締結方法に関わらず1つのシステムで管理できるものは、契約書の作成、送信、署名、保管を一元管理できるシステムを導入することで、契約プロセスを統一し全体を効率化します。

 

【関連記事】電子契約の導入メリットとは?手順やおすすめクラウド型システムも紹介

紙の契約書をデータ化して扱いやすくする

既存の紙の契約書をスキャンし、デジタルデータとして保管することで、検索や閲覧が容易になり、保管スペースの節約にもなります。

 

また、スキャンした契約書をテキストデータに変換することで、契約書の内容から情報を見つけ出すことが容易になり、契約書名が思い出せない場合といった記憶に限りがある場合に内容の検索や編集が可能になります。

 

【関連記事】契約書データベース化のメリットとデメリット。手順と解決できること

全て電子締結にすることは難しい

紙締結の課題と解決法をご紹介し電子締結の導入で解決できる課題であることをご紹介しましたが、実際には全ての契約書を電子締結へ切り替えることは難しいです。

 

2023年に過去6か月以内に契約業務を経験した男女1,066名に契約業務の現状について実施した「ニューノーマル時代の契約業務に関する調査」によると、紙ハンコで行っていると回答した割合が6.4%とあり、紙締結しか受け付けない体制の企業は一定数存在することが分かります。


契約業務はどの程度デジタル化されているかのアンケート結果

 

このように電子締結ができるかどうかは相手方企業の状況や、取引の力関係によるところがあり、自社の契約書が電子化できるか否かに関わらず一定数紙締結は発生し続けることが想像できます。

 

そのため、紙締結の課題を解消するために紙締結を完全に排除するといった方法よりも電子締結と紙締結両方が共存できる契約フロー、仕組みを作り上げることの方が重要です。

紙締結の理想の管理方法

紙の契約書を効果的に管理するための理想的な方法は、デジタルツールを活用しながら、紙の契約書の保管やアクセス、更新を効率化することです。

 

以下に、理想的な管理方法をステップごとに説明します。

1,統合的に契約書を管理できるシステムの導入

ここで言うシステムとは、契約書を一元管理できるシステムのことを指します。

1つのシステム内で紙契約書も電子契約書も、作成、申請承認、コミュニケーションを行うことで、最新情報での進捗管理、経緯の保存等の契約に関する主要なデータの保存ができます。

 

印刷、製本、到着は非同期で確認し、例えば、印刷製本郵送が完了すればシステムのステータスを更新します。

 

締結後は、契約書をスキャンしデータ保存、検索性を担保します。契約台帳は、作成、申請承認、等の情報をもとに自動で生成される形が簡便です。

 

原本は保管期間、契約期間の終了まで保管します。

2, スキャニングとOCR

過去の契約書は、スキャンしOCR機能を使用し重要データ(契約日、関係者、期限など)を保存し過去の契約書も検索できるようにしておきます。紙の契約書を高解像度でスキャンし、OCR(光学文字認識)技術を使ってテキストデータに変換します。これにより、デジタル化された契約書の検索性と編集性が向上します。

 

これで紙電子の検索性が向上し、1つのシステムにデータが集合することで部署単位での2重管理が不要になります。

事業部側も必要な時に必要な情報を簡単に引き出せます。

 

注意したいのが、システム選びです。

例えば電子契約システムに保管機能が備わっているものもありますが検索機能に限りがあったり、検索結果の表示形式がバラバラであったりと機能に限りがある場合があります。

 

自社に必要な機能をしっかりと把握しシステム選定をすることで課題の解決になるシステムが選べるでしょう。

 

【関連記事】書類の電子化に役立つOCRとは?できることや活用方法など解説

ContractS CLMを使った理想の紙締結管理の姿

契約ライフサイクル管理システム「ContractS CLM」は、法務相談、契約書作成、申請、承認、差分比較、管理、期限管理アラート、検索など契約業務に関するあらゆる機能を持つシステムです。

 

契約業務の標準的なフロー図

 

ContractS CLMでは、締結以外のフローは電子契約の場合と同様に、ステータス管理、経緯を残しながら、バージョン管理を画面表示で一目でわかる状態を作ることができます。

 

「版管理が大変」という課題には、自動で版情報が表示され、差分比較機能を使うことで解決します。

 

「検索、閲覧の手間」「2重管理になる」といった課題には、全文検索機能ができ、カスタム検索機能で自社独自の文字列を引き出すことができるため、1つのシステムにデータを保存することで解決します。



全ての機能を見るにはこちら

 

「電子と紙でフローが変わるので複雑になる」という課題には、下記のような作りにより電子契約、紙契約のどちらの場合でも共通のフローが構築できます。

 

具体的には、作成、承認といった作業は電子締結と同様に行い、紙締結の依頼の場面のみ作業工程が分かれます。締結以降をお見せし、作業工程が分かれる部分がどこなのかお見せします。



締結ボタンより紙締結を選択、


紙の締結の場合の操作イメージ

 

ダウンロードボタンからシステム上で作成した文章をダウンロード印刷を行います。

 

紙締結を選択している操作画面

 

郵送手続き後、「締結依頼を完了」をクリックし、契約書ステータスを変更し、最新にします。

契約に関わる人へステータスを共有するためにこの作業を行います。

 

ステータスを変更している操作イメージ

 

締結完了後、ファイルをアップロードし、締結後ファイルをシステムにデータとして格納します。

 

締結後ファイルを格納しているイメージ図

 

また、ContractS CLMは、スキャナ保存のための要件を満たしたシステムであるため、スキャナの解像度などお客様環境と格納期限など運用設定の準備がされていれば要件を見たし保存をすることが可能です。

 

ただアップロードするだけではなく契約の主要情報も保管するので、電子契約システムの各機能で満たせない検索性、期限管理等の課題を解決するアップロード以上の契約管理が可能です。