ノウハウ Google formで法務相談受付を行う方法。案件受付の効率化それぞれのメリットデメリット
更新日:2024年10月17日
投稿日:2024年05月13日
Google formで法務相談受付を行う方法。案件受付の効率化それぞれのメリットデメリット
法務部のコア業務の1つに法務相談業務があります。こうした法務相談業務では、相談を受付するチャンネルが複数あると管理しきれなくなってしまうなど様々な課題があります。そこで、こうした課題を解決するためにGoogleフォームを使って法務相談を受け付けるといった方法が考えられます。
本記事では、Googleフォームを活用して法務相談、案件受付を行う方法、法務相談の効率化の手段とそれぞれのメリットデメリットについて解説します。
契約業務の法務相談で起きやすい課題とその原因
相談を受け付けるチャンネルが複数あると管理が困難に
後述するように、メールや口頭、チャットツールなど、法務相談の受付チャネルが複数ある場合、現在どのような相談が法務に寄せられているのかを確認することが困難になります。
また、それがどのような案件なのかといった内容も確認しにくいため、どの担当者にどのような案件がどれくらい来ているのかを管理することも難しくなります。その結果、業務の分担といったマネジメントが難しくなるという課題が生じます。
ナレッジの共有が難しく、特定の担当者に業務が集中しやすい
メール等で法務相談の受付と回答を行った場合、担当者と依頼者には情報が残りますが、それ以外の法務メンバーには共有されません。
そのため、その案件で得られたナレッジが他のメンバーと共有されず、特定のメンバーに知識が集中してしまうことになります。その結果、ナレッジが集中したメンバーに業務が集中しやすくなるという課題が生じます。
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業務の属人化が起こりやすい
前述の通り、メール等で法務相談の受付や回答を行った場合、特定のメンバーのみに情報が集まるため、その案件については担当者しか分からないという状態に陥りやすくなります。
その結果、業務の属人化が起きやすくなるという問題が生じます。担当者が退職や異動した場合に、情報をさかのぼる手段がなくなり、ブラックボックス化する要因にもなります。
Googleを使った法務相談受付の方法
Googleフォームを利用した法務相談受付の方法としては以下の手順が考えられます。
①Googleフォームを作成し、相談に必要な項目を作成する
②相談者に必要事項を入力してもらう
③相談内容を確認し、メールなどで回答を行う
Googleフォームを使った法務相談受付のメリット
Googleフォームを使った法務相談受付を行うメリットには以下のようなものが挙げられます。
フォーマットの作成が容易で始めやすい
Googleフォームを使用するメリットの一つ目は、Googleフォーム自体が使い慣れたフォーマットであるため、法務相談受付フォーマットの作成が容易で取りかかりやすい点です。
また、相談する側にとっても、使い慣れたツールであるため、利用しやすいというメリットがあります。
相談窓口を集約化できる
Googleフォームを使用するメリットには、相談窓口をGoogleフォームに一本化することで、相談の受付窓口を集約できる点が挙げられます。
その結果、法務が現在どれくらいの案件を受けているのかを把握できるというメリットがあります。
Googleフォームを使った法務相談受付のデメリット
では、Googleフォームを使った法務相談受付にはどのようなデメリットがあるでしょうか。ここからはデメリットについて解説します。
タスクの状態や回答内容の管理ができない
Googleフォームを用いた法務相談受付では受け付けた数などは分かりますが、その相談に対して現在どのような状態にあるのかや回答した内容について把握はできません。
そのため、タスクの状態や回答内容の管理ができないといったデメリットがあります。
契約書との紐づけなどが手動であること
Googleフォームの機能として契約書ファイルと受け付けた相談とを紐付ける機能はありません。
そのため契約書と相談とを紐付ける作業は手動で行う必要があります。こうした手動での紐付け作業は、作業忘れなどのヒューマンエラーが起きるリスクをはらみます。
特定の担当者への案件の集中の可能性
Googleフォームを利用した相談受付は、受付窓口を一本化できるという点ではメリットがありますが、案件の配分や管理はできません。
そのため、ノウハウや知見を持った一部の担当者に相談が集中してしまう可能性があります。企業によっては、役職者が毎朝、案件の配分を手作業で行っているケースもあり、手作業の削減効果はあまり期待できません。
Googleフォームを使った法務相談受付構築の手順
Googleフォームを使った法務相談受付を構築する手順は以下の方法で行います。
①資料や契約書案をグーグルドライブ等で共有するルール作りをする
法律相談には資料や契約書案といった書類がある場合が少なくありません。
こうした書類は担当者に直接手渡しするのではなく、グーグルドライブなどで共有できるようにルール作りしておくと、後から相談内容や書類を確認する際に有用です。
②Googleフォームで必要事項の回答フォームを作成する
次にGoogleフォームで必要事項の回答フォームを作成しましょう。
必要事項としては部署名や氏名だけでなく、質問の概要、資料の有無といった点に回答してもらうことが考えられます。
③グーグルスプレッドシートにて相談受付台帳を作成し、記入する
最後に法律相談を受け付けたことを記録として残すために、グーグルスプレッドシートにて相談受付台帳を作成し、記録するようにしましょう。
相談受付台帳には相談を受けた日付、相談部署、相談概要、回答内容、関係書類の有無などを記載するようにすると良いでしょう。
法務相談の効率化ツールの例
ご紹介したように、Google Workspaceを活用して法務相談受付を構築することは、手軽で取りかかりやすい反面、複数のツールを組み合わせて運用するため、人的な手間がかかり、変更後に再度手順を見直す必要が生じるリスクがあります。
そのようなリスクを避けるため、他の手段も検討してみましょう。法務相談受付を効率化するためのツールとしては、以下のものが考えられます。
①メール
②チャット
③プロジェクト管理ツール
④ワークフローツール
⑤社内システム
法務相談の効率化ツールそれぞれのメリットデメリット
①メールのメリット・デメリット
OutlookやGmailといったメールで法務相談を受け付ける方法も考えられます。比較的多くの会社で取られている方法では無いでしょうか。
しかし、こうした方法には以下のようなメリットとデメリットがあります。
メリット
メールというツールは既に利用している会社がほとんどですから新たなツールを導入する必要が無いというのはこの方法の大きなメリットです。
また、依頼者も法務部門も双方が使い慣れたツールであるという点もメリットの1つであるといえるでしょう。
デメリット
デメリットとして、1つの案件でメールが分散してしまい、後から履歴を追うのが困難になることや、契約書の途中経過を発見するのが難しくなるリスクが挙げられます。
また、Excelの契約管理台帳などで管理している場合、その転記にミスが発生する可能性があります。
さらに、既に回答済みなのか、検討段階なのかといったステータスや納期が不明確になりがちで、全体として作業効率が落ちる可能性もデメリットの1つとして挙げられるでしょう。
②チャットのメリット・デメリット
チャットワークやslackといったチャットツールを利用する方法も考えられる方法の1つです。
メリット
チャットツールもメールと同様に依頼者も法務部門も使い慣れたものが利用されるため導入しやすいという点は大きなメリットといえるでしょう。
また、全部門や全社員が利用可能なため広く相談を受けることができ、ガバナンス体制作りの一環としても望ましいと言えるでしょう。
さらに情報の共有も容易になる点もメリットの1つとしてあげられるでしょう。
デメリット
チャットツールは基本的に全ての情報を全てのメンバーに公開してしまうため、案件によって秘匿したい情報がある場合に不適当なケースがある点はデメリットとして挙げられるでしょう。
また、ツールによっては過去の担当者同士のやりとりを発見するのが難しい場合もあるため、情報の一元管理が難しいという点もデメリットとして挙げられます。
③プロジェクト管理ツールのメリット・デメリット
BacklogやKintoneといったプロジェクト管理ツールを法務相談の受付に利用するのも1つの方法です。
メリット
プロジェクト管理ツールには情報を集約できるため、情報の集約性が高く、後から見たときに案件の内容が把握しやすいという点が大きなメリットです。
また、アカウントを保有している全員が情報を閲覧できるため、情報の偏在やそれに伴う業務の属人化を防ぐことができる点もメリットと言えるでしょう。
デメリット
プロジェクト管理ツールはあくまでも一般的なプロジェクトの遂行を念頭に置いたツールです。
そのため法務相談業務特有の性質に対応しきれないといった点はデメリットです。例えば、相手方とのやりとりの中で契約書の修正を重ねた場合、契約書のバージョンがどんどん増えていきますが、こうした履歴を後から追うのが困難であったり、やりとりの履歴を追うのが困難なケースが少なくありません。
例えば、スレッドのようにつながりで進捗を更新できず最新の情報がどれなのか分からなくなるなどが起きえます。このような点はプロジェクト管理ツールの大きなデメリットです。
また、プロジェクト管理ツールに残された情報は全てメンバーに公開されるため、案件によっては全員への公開が望ましくない場合もあります。このため、こうした案件での使用には不向きです。
④ワークフローツールのメリット・デメリット
契約書審査依頼をワークフローで行う例は多いと思いますが、法務相談についても同様にワークフローで処理る方法が考えられます。
メリット
ワークフローで法務相談を行うメリットは、依頼時からワークフローシステム上に情報を集約することができるため、後から案件を追いかける必要性が出た際にはある程度情報を収集することが可能となる点が挙げられます。
また、ワークフローシステムであれば事業部門も利用しているため、使い慣れたシステムで相談が可能という点もメリットと言えるでしょう。
デメリット
ワークフローシステムは基本的に申請と承認という仕組みになっているため、相談のやりとりや契約書のやりとりといった連絡は結局別のチャットやメールを利用する事になるため情報を一元化することができません。
運用方法によっては承認と差し戻しを繰り返すことになり非効率的な運用になるおそれもあります。
⑤社内システムのメリット・デメリット
社内システムを法務相談業務に用いる方法も1つの選択肢です。
メリット
全社的に導入されている場合には、依頼部門が利用しやすく、活発な法律相談の利用が期待できます。
社内システムで全社員が情報にアクセスできるため情報の透明性が高く、ナレッジの共有が可能になる点もメリットと言えるでしょう。
デメリット
システムにもよりますが、やはり法律相談や法務の業務に特化したものではないため、契約書のバージョン違いを検索するのが困難であったり、相談のやりとりの過程を検索するのが困難であったりするケースが少なくありません。
こうした検索性の低さはデメリットと言えるでしょう。
法務相談受付、案件管理の効率化が可能な「ContractS CLM」
ContractS CLMは、案件受付、相談受付、契約書作成、申請、承認、ステータス管理、契約管理、締結、期限更新管理といった契約業務の全体を管理することのできる契約ライフサイクル管理システムです。
ContractS CLMは、カバー範囲の広さから契約業務に関するあらゆる機能を持ち合わせています。特に、法務相談受付、案件受付では以下のように業務構築ができます。
法務相談管理
事業部からの依頼、相談をまとめて1つの場所で受け付けることが出来ます。
「依頼・相談」で受け付けたあとに契約書の作成となった場合には、相談内容と契約書の内容を紐づけて管理することができ、コミュニケーション、変更履歴をすべて1か所で確認することが出来ます。
また、Slackに依頼相談フォームを設定し事業部の依頼しやすい環境を整えたりといったことも可能です。
まとめ
既存のツールにはそれぞれメリットとデメリットがあり、課題を解決するには自社に合った最適な方法を選択することが重要です。
また、検討の際には作業がかえって増加しないか、将来的に課題が出ないかといった長期的な目線を取り入れることで抜本的な解決につながります。
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