ノウハウ 契約業務における事業部目線の課題を可視化!業務改善の棚卸に
更新日:2024年10月17日
投稿日:2024年05月9日
契約業務における事業部目線の課題を可視化!業務改善の棚卸に
契約関連のシステム導入を検討する際には、自部署の業務効率化のみならず契約に関わる複数部署の便益を想像することで予算規模が拡大したり、より多くの効率向上を生み出すことができる場合があります。
また、より多くの部署の利便性を向上するプロジェクトであることが周知されれば、システム選定後の導入において協力を仰ぎやすいといったメリットもあります。
しかし、事業部経験がない場合、なかなか事業部目線でどのように契約業務が行われているものか想像しづらいものです。
本記事では、契約業務を事業部の目線から見た場合にどのような課題を抱えているのかをご紹介します。業務改善の際の現状の棚卸しやヒアリングのヒントにご覧ください。
契約業務における事業部の管轄範囲
まず、契約業務において事業部が担うカバー範囲を見てみましょう。
お客様との商談、見積、受注を経て契約書作成が行われます。
企業により運用は異なりますが、上記の図のレビュー以外に事業部が関わり得ます。
契約相談
契約書作成前に、法務へ雛型や契約上の相談などを行うことがあります。
例えば、契約書を作成したいがどの雛型が適切か問い合わせるといった運用上の質問が想定されます。
契約書作成
雛型があれば最適なものを選び、契約開始日、当時者情報、金額、自動更新の有無など商談や見積り提示の際に分かる情報を入力します。
企業によっては、フォームを準備し入力をすることで法務へ契約書に必要な情報を伝達し書面の作成自体は法務が行うといった場合もあります。
交渉
契約書のドラフトを相手方へ提示し、条件交渉を行います。
レビュー
法務部へ契約書ドラフトを共有し、内容の精査を行います。相手方ひな形を使用する場合、契約相手より提示されたドラフトを確認し条件交渉を行うこととなります。
交渉の結果合意が取れれば次のステップへと進みます。
承認
契約書に押印するための社内申請を行います。契約類型や金額によって申請ルートを分けるケースもあります。
締結
押印の承認が取れると締結を行います。電子契約であれば相手側へ締結のためのURLを共有するなどして締結手段の案内を行います。
紙締結の場合、印刷、最終版確認、押印箇所の指定、印紙の貼付、郵送手続きなどを経て相手先へ送付されます。
この手続きを法務部が行う場合、事業部が行う場合があります。
更新・変更・管理
契約満了を迎える前に、契約更新、終了の判断を行います。ここでは、管理範囲内の契約書の中から契約満了を迎えるものがないかのモニタリング、更新であれば更新の手続き、終了であれば解約の手続きといったように適切な対応を行います。
契約管理では、管理台帳をもとに契約満了の期限管理を行っていきます。この管理も、法務部が一括して行う場合と、事業部が行う場合があります。
企業によりどの程度事業部が契約に関わるかは差がありますが、契約の多くの場面で法務だけではなく事業部が重要な役割を担っていることが分かります。
では、契約業務を行うにあたって事業部はどのような困りごとを抱えることがあるのでしょうか。
契約業務における事業部の課題
事業部は下記のような課題を感じています。
【依頼・作成】
- どう依頼すれば分からない 何を伝えれば良いのか分からない
- どのように契約を進めればよいか分からない、複雑だ。他の人の依頼方法を知りたい(ナレッジの課題)
- ひな形がたくさんあってどれを使えばよいかわからない
- 差し戻しが多く依頼自体に時間がかかっている
- 入力に手間がかかっている。確認書を添付したり、見積もりシステムから転記したりするのが煩雑で、手作業のミスも起こりやすい。
- CRMから契約書作成システムへの転記作業など、システム間で同じ情報を何度も入力する必要がある。
【レビュー】
- 契約審査の際にどこをチェックされているのか分からない
【交渉】
- 交渉の際に、内容の解読がむずかしい
- 相手方との交渉が難しい。文面の最適なものが見つからない。長引く
- 取引先から無茶な要求が来る
【承認・申請】
- 承認や申請で何を確認すればよいか明確ではない
【締結前】
- いつ契約書を郵送できるか目安が分からない。ステータスが分からない
- 急いでいるのに、承認や契約手続きがスムーズに進まない
- 滞留している担当者が誰なのかわからず、対応できない
- やり取りが多く時間がかかる
【管理】
- 今、何件の契約が存続しているか分からない
- 期限管理が上手くできず、更新を忘れてしまうことがある
- 更新の際に何をどうすれば良いか分からない
- 契約書の原本を法務に提出することを忘れることがある
- 引き継いだ過去の契約書が見つからない
- 部署ごとに期限管理しているが、時々契約書を紛失しており、所在が分からないことがある。
- 契約に関する情報を簡単に見ることができず、営業事務や法務に都度確認しないといけない。
- 契約内容を知るためには、チャットや管理ツールなど様々な場所から探さなければならない。
- 締結済みのPDFを格納するのを忘れることがある。
- 事業部がコピーで管理し、法務が原本を管理しているため、責任の所在が曖昧である。
- 契約書の作成方法が分からない。
解決方法
これらの課題を解決するにはいくつか方法があります。例として5つご紹介します。
システムの導入
システムを導入することで、契約の期限管理やステータスの追跡、案件管理などを効率的に行えます。
自社の課題解決に最適なシステムを比較検討することでより多くの課題を解決することが出来ます。
また、契約業務の課題解決に検討されるリーガルテックは様々な種類があり部分最適の電子契約、管理システム、AIレビューなどをはじめ、全体最適を目的とする契約ライフサイクル管理システム「CLM」があります。
契約書の標準化とテンプレート化
契約書の標準化とテンプレート化を行うことで、契約書の作成プロセスを効率化できます。
また、テンプレートからの作成により、作成手順や必要な情報を明確化し、作成ミスを減らすことができます。
トレーニングと手順の整備
契約管理に関するレクチャーを行い、関係者が契約管理システムや手順を適切に理解し、適切に利用できるようにします。また、契約手続きや更新手続きに関する手順書を整備し、遵守を促進します。
責任者の明確化とコミュニケーションの強化
契約管理の責任者を明確にし、役割と責任を明示します。さらに、関係部署間のコミュニケーションを強化し、契約の管理や更新に関する情報の共有を促進します。
しかし、コミュニケーションも人の手に頼る属人的なものになりがちなため、誰でも同じようにリマインドができるようにシステムを構築することも良いアイデアでしょう。
【関連記事】業務改善に有効なシステム導入の流れとは?注意点や準備のポイントも
法務、事業部契約に関わる部署の契約の課題を解決する『ContractS CLM』
契約ライフサイクル管理システム「ContractS CLM」は、法務だけではなく事業部側の契約課題を解決することが出来るシステムです。
相談・作成から管理まで契約業務の全般を管理する豊富な機能により、期限管理、ステータスの把握だけではなくナレッジの共有、リードタイムの短縮まで可能とします。
さらに、Contract Automationで自社のフローに沿ったガイドをシステムで出すことでマニュアルがなくとも統制の取れた手順の整備が可能で、事業部の分からない、間違えてしまうといった難題を解決します。
【ContractS CLM 機能の例】
-契約書管理、検索(カスタム検索、全文検索など)
– 契約書の作成、フォーム入力、項目入力
– ワークフロー機能(押印申請、承認)
– コメント機能、関連ファイルの紐づけ
– ステータス管理
– 締結
– 契約項目登録、API連携 など
API連携の実装による転記作業の削減や、部を超えた閲覧が可能でありながら、細かい権限設定が可能であるため機密文章の保護が実現するなど課題に合わせて機能を組合わせることで自社に合った契約フローを構築することが出来ます。
導入事例:情報の一元化で契約業務の効率化を実現 キユーソー流通システム 様
全国に拠点を持つ食品物流のリーディングカンパニーであるキユーソー流通システム様。
プロセスは半分電子化されてはいたものの、捺印・押印申請・承認フローが非常に煩雑でした。さらに法務課内のメンバー間含めての共有も難しく、使い勝手をよくするためにカスタマイズを繰り返すという悪循環…。オンプレミスでの運用だったこともあり、リリースアップするタイミングでクラウドサービスへの入れ替えを本格的に検討されました。
ContractS CLMの一気通貫型のシステム導入で契約業務(相談・承認・捺印・保管)の効率化が実現、扱う契約書の件数が増加しても、1件あたりの対応時間が短縮され同じチーム体制で対応ができています。
▶キユーソー流通システム様導入事例「全国拠点の契約を「ContractS CLM」へ集約。 物流ビジネスのリスクを防ぐ法務のインフラに」
まとめ
契約業務は、法務だけではなく案件を生み出す事業部も多くのフェーズで関わります。法務側の課題と事業部側の課題には違いがあり、意見の衝突が起こることもあるかと思います。
しかし、双方の課題を把握し業務効率を一つ一つ改善していくことでより早く、無駄なく契約業務を進めることができ両社にとって良き協力体制が構築できます。