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ノウハウ 契約の経緯・履歴情報がないことのリスクとその解決方法

更新日:2024年10月17日

投稿日:2024年04月26日

契約の経緯・履歴情報がないことのリスクとその解決方法

契約の経緯・履歴情報がないことのリスクとその解決方法

契約業務を進めるにあたって、依頼側の事業部と受け側の法務にそれぞれの課題があります。法務が特に気づきやすいのは、契約の経緯が残らずに課題感を感じる場合です。

 

契約の経緯が残らないと、リスク管理や契約更新・終了の業務に問題が生じます。本記事では、契約の経緯情報が残らない原因とリスク、システムを使った解決方法についてご紹介します。

 

 

契約業務における経緯・履歴情報とは

経緯・履歴情報とは、契約業務において条文の調整や締結に至るまでのやり取り、申請者や承認者の情報など、契約書には直接記載されないが契約に関わる重要な情報のことを指します。

 

なぜ相手からある条文の調整が求められたのか、なぜ自社内である条文を追加することが必要となったのかといった背景情報から、社内での承認プロセスまで、さまざまな情報が含まれます。

経緯・履歴情報が残っていないことのリスク

経緯・履歴情報が残っていない場合、契約更新・終了や契約トラブルの対応などの契約管理の場面でさまざまなビジネスリスクが高まります。

 

経緯・履歴情報に関連する問題としては以下のようなものが挙げられます

 

  • 契約トラブルが発生した際、その原因が明確に分からない。
  • 契約トラブルに関する裁判で必要な情報を提供できない。
  • 契約更新時に、当時の経緯を振り返ることができず、最適な条件で更新できない。
  • 社内の人事異動や退職により、契約情報が不透明になる。
  • 契約が個人に依存し、その個人の記憶に頼ることで正確な情報を得られない可能性がある。

 

【関連記事】契約業務で発生する具体的なリスク、課題とその解決方法

経緯が残らないプロセス

前述のように経緯・履歴情報は契約締結後に必要となるため、契約書の作成、レビューといった締結前の段階では重要性に気が付きにくく、何らかの問題が発生してから対策を講じることが多くあります。

 

しかし、問題が発生した段階では既に担当者が退職し情報がブラックボックス化、対処ができない状態になっていたり、メールボックスの容量の関係でやり取りの情報が消失していたり対策の取りようがない場合があります。

 

そうならないためには、契約相談・契約書作成依頼といったスタート時点から経緯を残しておくプロセス構築が必要です。

 

経緯が残らない状態になるプロセスはいくつか考えられます。

 

  1. 口頭契約のみの場合:契約内容が口頭で合意され、書面に残らない場合、後で問題が発生した際には証拠がなくなります。特に重要な条件や約束事が口頭でやり取りされていた場合、それらの経緯を把握するのは困難です。

  2. メールやチャットなど非公式なやり取りでの契約交渉:ビジネス上のやり取りは主に電子メールやチャットで行われることが多いですが、これらのコミュニケーションチャネルでは契約交渉が行われることもあります。しかし、これらのやり取りは削除されたり整理されたりするため、契約の経緯が記録されず消失してしまうことがあります。

  3. 個人の記憶に依存した契約管理:特定の担当者が契約交渉や管理を担当し、その人の記憶に依存している場合、その担当者が退職や異動した際に情報が失われる可能性があります。特に、経験や知識が必要な複雑な契約の場合、このリスクが顕著です。

他社の例から見る経緯・履歴情報が残らない具体的なプロセス

では、具体的にどのようなプロセスだと経緯が残らない状態になるのでしょうか。他社の例を見てみましょう。

D社の場合

D社では、作成・レビュー依頼、契約に関わる社内コミュニケーションをメールで行い、申請はワークフローシステム、締結は電子契約システム、締結後の保管は共有フォルダに格納。とそれぞれを分けて契約業務を遂行しています。

 

経緯・履歴情報は主にメールやワークフローシステムに分散して残っており、この会社では配置転換が頻繁に行われるため、契約に関わった担当者が異なる部署に異動することがあります。

 

その結果、関連情報が担当者のメールボックスに残り、他の人が背景情報を検索するのが困難になります。また、情報を検索するために多くの時間が費やされることもあります。

 

▼背景情報

作成・レビュー依頼メール
条文調整時の社内コミュニケーションメール
稟議、押印申請ワークフローシステム(内製)
相手方との締結電子契約(紙の方がまだ多い)
締結後の保管共有フォルダに保存
全社単位での契約書全容は分からない
進捗管理Excel管理だが、パッと分かりにくい状態

 

▼課題

・担当者レベルで1年~2年で異動が起きるため、履歴が追えない

・契約更新の際、「前回の覚書ってどうなってたっけ?」といったコミュニケーションが発生している

・メールだと過去の経緯を追いにくい、新入社員は追えない



【関連記事】メールやチャットで契約関連のやりとり(社内)を行う際の課題と解決方法

O社の場合

O社では、内製したワークフローシステムをカスタマイズして契約審査や法務相談を受けていますが、使い勝手が良くないと感じています。

 

また、依頼時に伝達される内容は依頼要件のみで、ワークフローシステムには依頼要件のみが残っている状態です。このため、背景情報が欠けていることが多く、依頼に対応するために追加のコミュニケーションが必要になっています。

 

契約書は各部署で管理されており、法務部門では最終版の管理のみを行っています。その結果、証跡や経緯が明確でない状態になっています。



▼背景情報

作成・レビュー依頼

ワークフローシステムをカスタマイズして利用

条文調整時の社内コミュニケーション

メール、電話など

稟議

ワークフローシステムをカスタマイズして利用

押印申請

紙回覧

相手方との締結

紙締結のみ

締結後の保管

各部署ごとでサーバー管理(最終版を管理)

PDF化はしていない

台帳はワークフローシステムをカスタマイズして利用

更新期限管理

整備できていない



▼課題

・契約書はPDF化しておらず各事業部ごとの管理。法務は最終版しか管理できていないため、証跡と経緯が不明

・ワークフロー上に最終版のデータがあるのみで更新期限管理は行えていない

・紙で押印申請のやり取りを実施、誰が承認したかどうか紙で確認する必要がある

A社の場合

作成・レビュー依頼、条文調整時の社内コミュニケーションにはSlackまたはJiraが利用されており、特にJiraでは毎回新規に起票をするため会話のキャッチボールがしづらいと感じています。稟議・押印申請にはワークフローシステムが採用されています。それぞれのシステムは連携されていません。

 

契約相手との締結には電子契約システムが用いられ、締結後の契約書は各事業部ごとにフォルダ管理されています。ただし、契約書の更新期限管理に関しては十分に整備されていない状況です。



▼背景情報

作成・レビュー依頼

Slack か Jira

条文調整時の社内コミュニケーション

Slack か Jira

稟議・押印申請

ワークフローシステム

相手方との締結

電子契約システム

締結後の保管

各事業部毎にフォルダ管理

更新期限管理

整備できていない



▼課題

・毎回正しいファイルがどれかわからなくなる

・契約業務用のシステムではないものを使っているため、毎回の依頼で新規に起票する必要がありコミュニケーションのキャッチボールがしづらく経緯も追いづらい

・経緯は残るが情報が分断される、情報に一貫性がないためどれが正の情報か分からない



上記の例から、ツール・システム間の情報の分断により経緯情報が追えない状態になることが分かります。

 

契約情報が残っていたとしても、その情報がそれぞれのシステム、ツールに分散し情報が連携されていない場合、それぞれのシステムで検索をかけるなどして情報の調査に手間と時間がかかることになります。

 

さらに、経緯情報を残すためにExcelで案件管理を行うこととなると表に一つ一つ情報を転記していくといった属人的で手間がかかり、ヒューマンエラーが避けられない状態を作ることとなり、この作業自体に課題が発生することとなります。

経緯・履歴情報を残す方法

経緯、証跡の情報蓄積の課題を解決する方法として、3つ方法があります。

 

一つは、Excelに管理表を作り、証跡を転記していく方法です。契約件数が少ない場合に有効です。手作業になるため、件数が多い場合、契約更新が発生するライフサイクルの長い契約の場合煩雑になってしまう点に注意が必要です。

 

 

二つ目は、相談、契約書作成、レビュー、申請、承認などのワークフロー管理や契約のライフサイクル全体の管理が可能で、経緯や証跡の残るシステム(CLM)を利用することです。

 

リーガルテックには、電子契約システム、案件管理システム、契約管理システム、AIレビューツール、締結機能に特化したシステム、契約業務の全てをカバーするCLMなど、様々なシステムがありますが、それぞれのシステムに搭載された機能や提供する価値が異なります。

 

特化型のシステムでは、課題をピンポイントで解決でき、導入にかかる手間も少ない一方で、複数のシステムを導入することにより、情報の所在や内容に一貫性が欠けるといった課題があります。

 

一気通貫のシステムで契約業務を行うことで経緯・履歴情報を記録しながら契約管理で活用することが出来ます。



【関連記事】CLM(契約ライフサイクルマネジメント)とは?システムや概念を徹底解説

 

三つ目は、経緯、証跡の残るシステムを導入し現在利用しているシステムと連携させることです。

 

例えば、現在利用しているワークフローシステムをリプレイスすることができない場合でも、経緯の残るシステムと連携をすることによって承認フローのステータスなどシステム間で分断されていた情報がつながり、それぞれのシステム、ツールで検索せずとも1か所で履歴情報を確認することができるようになります。

 

ただし、APIで連携できるかどうかはシステムにより機能が異なるため確認が必要です。

経緯・証跡も残る契約ライフサイクル管理システム「ContractS CLM」

ContractS CLMは、契約相談、作成、レビュー、管理まで行うことのできる契約ライフサイクル管理システム(CLM)です。

 

ContractS CLMの業務カバー範囲は契約業務のすべて

 

ContractS CLMを利用することで、経緯や証跡が残るという体験を以下のように実現できます。

 

①依頼時に入力した情報が依頼後の管理まで残る

契約管理の改善を考える際に、多くの方が契約書管理システムを検討しますが、契約管理システムは契約締結後の契約書管理に特化しています。そのため、契約書の電子ファイルを保管できたり、契約管理台帳の自動作成が可能といった価値を提供するものです。

 

一方、契約ライフサイクル管理システムCLMは、契約締結前から契約締結までの情報や業務プロセス全体を対象とし、経緯・履歴情報を締結前に蓄積し、締結後にも活用できるため、より包括的な契約管理が可能です。

 

システム導入前後をCLMと契約書管理システムで比較した図

 

②一つの画面上で経緯・履歴情報が分かる

経緯・履歴情報を一つの画面で表示することで、情報を簡単に調査することができます。コメント機能を活用してコミュニケーションを蓄積し、関連情報も格納できます。

 

また、ワークフロー機能を有しているため、承認者情報も紐づけることができます。

 


ログ、依頼内容、コミュニケーション履歴などが保存可能

また、利用履歴のログが確認できるためシステム上の操作も追跡できます。

 

③API連携によりリプレイスの難しい既存システム残したまま契約プロセスを構築できる

ContractS APIを利用することで、ご利用中の各種システムとContractS CLM のデータ連携が可能です。

 

どのような情報を連携したいかは各社ごとのプロセスによって様々ですが、例えば下記のような情報の連携が可能です。

 


周辺システムとの連携が可能

まとめ

契約業務置ける経緯・履歴情報とは、「条文の調整、締結に至るまでのやりとり、申請者の情報、承認者の情報といった契約書には記載されない契約に関わる情報」のことをいい、締結後の管理で重要です。

 

経緯・履歴情報を残すには、履歴が残るような仕組み作りが重要です。

ContractSの概要が分かる資料は下記フォームよりダウンロード可能です。