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ノウハウ 企業法務における法務相談、契約相談とは?相談マネジメントのよくある課題についても解説

更新日:2024年10月17日

投稿日:2024年04月23日

企業法務における法務相談、契約相談とは?相談マネジメントのよくある課題についても解説

企業法務における法務相談、契約相談とは?相談マネジメントのよくある課題についても解説

企業法務における業務には様々なものがありますが、中心的な業務となるものの1つに法務相談業務があります。こうした法務相談は会社の事業の方向性を決める上で非常に重要な役割を果たす一方で様々な課題があります。

 

そこで本記事では、法務相談とその業務の課題について解説します。

 

 

企業法務における法務相談とは

企業法務における法務相談とは、企業が事業を行う上で発生する法的な問題やトラブルについて事業部門や経営層から相談を受ける業務です。

 

ただし、必ずしも法律的な相談に限られず、下記のように必ずしも法律的な問題とは言いがたい相談も持ち込まれることが少なくありません。

 

・取引先とのトラブル

・社内規程や社内決裁フローの内容・あり方

・書面に押す印鑑の種類や書類作成日付

・文書の管理方法や保存期間

・挨拶状や詫び状等の顧客や取引先への書面の書き方

・会社案内やコーポレートサイトの記載内容

 

こういった相談は法律が関係ないといって切ってしまうのも1つのスタンスですが、法務も会社の一組織であることから、可能な限り対応することが他部門との円滑な関係を築くのに役立つため良いでしょう。

法務相談で求められる法務の役割

法務相談において法務にはどのような役割が求められるでしょうか。

 

これについては、法令やガイドライン、判例等に照らして法的リスクが無いか確認し回答することが法務の役割になります。

 

また、法的なリスクがある場合には端的に法的リスクがあるという事だけを伝えるのではなく、回避策や次善の策を伝えるようにしましょう。事業部門が求めているのは違法か合法かという結論だけではなく、どのようにすればビジネスを進めることができるのかという理論であるという点には注意が必要です。

 

もう一つ注意が必要なのは、法務部門はあくまでも法的リスクを指摘し提言するのが役割であり、最終的にリスクを許容した上でビジネスを進めるかどうかは事業部門や経営層が決めることであるという点です。

 

法務はそのビジネスを進めるかどうかについての決定権限を有するものでは無い点は事業部門と共有しておくようにしましょう。

法務相談の対応手順:外部弁護士を利用する場合

法務相談の対応手順は以下の通りです。

①相談を受ける

まずは事業部門等から相談を受けます。

 

相談の受付方法はメール、チャット、口頭など様々な方法があります。相談を受けるときはいつまでに回答が必要なのかという納期を必ず確認しておくようにしましょう。

 

また、いつどのような内容で誰から受けたのかといった内容は記録として残しておくようにしましょう。

②調査を行う

外部の弁護士へ相談する場合でも、社内での調査をしておくことが重要です。というのも弁護士に丸投げしてしまい内部で一切調査を行わないと、いざ弁護士から回答が来た際に弁護士からの回答に対する理解度が大きく下がってしまう可能性があります。

 

事業部門へ説明する際のクオリティにも大きく影響しますので、外部弁護士へ依頼する場合でも必ず調査は行うようにしましょう。

③外部弁護士への相談

ある程度調査が完了したら、いよいよ外部弁護士へ相談を行います。

 

外部弁護士へ依頼する際には案件によって、弁護士を変えるのが理想的です。そのため、相談先の弁護士は何人か確保しておくほうが良いといえるでしょう。案件に応じて相談する弁護士を選択するのは法務の腕の見せ所の1つと言えます。

 

自社が相談する分野について得意とする弁護士とのコネクションは大事にしておくようにしましょう。

④外部弁護士からの回答

外部弁護士からの回答は必ず保管しておくようにしましょう。

⑤弁護士からの回答の確認

外部弁護士から回答が来たら内容を確認し、必要に応じて弁護士へ質疑などを行い理解を深めていきましょう。

 

そして次のステップとして外部弁護士からの回答を事業部門等へ展開しやすいように資料にまとめていきましょう。こうしたとりまとめ資料の作成は、後から見たときにこういった事案でどのような弁護士からの回答が得られたのかといった点が明らかになるため重要なノウハウとして部内で蓄積されていくことができます。

 

そのため、外部弁護士からの回答はそのまま事業部門へ展開するのではなく、資料としてとりまとめるようにしておきましょう。

⑥事業部門への回答の展開

資料の作成も完了したら弁護士からの回答を事業部門へ展開しましょう。

 

事業部門への回答に当たっては、結論を明確にし、専門用語を分りやすい言葉に置き換えるなど伝わりやすくなるように注意しましょう。

法務相談の対応手順:社内で対応する場合

①相談を受ける

この場合にもまずは相談を受けることから開始します。

 

社内で対応する場合、どういった内容でどういった回答を行ったのか記録として残りにくいことが多いため、案件にもよりますが、誰から受けたものでどういった内容の質問なのか、関連する分野は何なのかといった案件集を作っておくとナレッジ共有の役に立つでしょう。

②調査を行う

質問に対する回答を作成するために調査を行います。

 

調査の方法としては法律専門書などの文献を調査する方法や、官公庁が出しているガイドラインを対象とするほか、過去の判例なども調査の対象となります。

③調査結果・回答内容のとりまとめ

調査の結果結論が出たら調査結果や回答内容を取りまとめます。

 

このとりまとめも調査結果などが知識やノウハウとして蓄積可能なため、部門内でナレッジとして共有できるような形式にしておくことが望ましいと言えるでしょう。

④事業部門への回答の展開

事業部門へ回答を展開するに当たっては、前述の通り法務からの回答は法的な側面からの回答結果であることを強調しておくようにしましょう。

 

法的な側面からのリスクの指摘である点を明らかにしておき、ビジネス自体の決定をするものでは無い点は明確に共有できるようにしておきましょう。

法務相談受付上の課題

法務相談受付上の課題としては、受付チャンネルが複数あるため案件が埋もれてしまったり、担当者以外がどのような案件が分からないという状態になりがちという点が挙げられます。

 

具体的には受付の方法がメールやチャット、口頭等様々な方法での受付があり、受付方法が定まっていない場合等が挙げられます。

 

【関連記事】【第2回】法務相談を一元管理するための契約管理の方法

法務相談回答上の課題

回答にあたって、回答内容の資料が作成されていない場合等のように回答の記録が共有されていない場合、案件によって得られたノウハウや知識が担当者のみに帰属することになってしまいます。

 

そのため、その案件について担当者しか分からない状態となり業務の属人化を招くおそれがあります。

 

また、類似の案件で回答する際に前回の回答が参照できなかったために異なる回答をしてしまうリスクも生じうる点には注意が必要です。

法務相談運用の理想像

では、以上のような課題を踏まえた上で法務相談はどのように運用すべきでしょうか。

 

まず受付の際の課題としては、受付のチャンネルが定まっていないため、案件が埋もれてしまったり、担当者以外がどのような案件が分からないという状態になってしまう点が挙げられます。

 

理想としては、相談の受付は1つのシステムやツールで受け、部内全員が案件を共有できるようにしておける状態が望ましいと言えるでしょう。

 

また、受付後や回答に関しても案件の回答内容についても部内で共有できており、どのような案件に対してどのような回答をしたのかナレッジの共有ができている状態が望ましいと言えるでしょう。

法務相談受付上の課題解決方法

では法務相談受付に当たっての課題を解決する方法としてはどのような方法が考えられるでしょうか。以下では法務相談受付上の課題解決方法を解説します。

法務相談を受け付ける際のツールを一元化する

案件が埋もれてしまったり、担当者以外がどのような案件か分からないという状態を解消するためには法務相談を受け付ける際のツールを一元化することが考えられます。

 

そして一元化する際には、可能な限り部門内で法務相談依頼が来ていることを共有できる状態にできるツールを選択することが望ましいと言えるでしょう。

 

具体的な例としては、メールであれば法務相談受付用の共通メールアドレスを作成し、そこに依頼が来るようにする方法や、チャットであれば法務部員全員がメンバーとしているグループなどで受け付けると言った方法、案件の受付窓口を1つのシステムに統一しシステム上に相談内容、回答内容が溜まる運用などが考えられます。

 

このように受付方法を一元化することは案件の対応漏れを防ぐだけで無く、メンバー全員が対応可能となることで業務の属人化を防ぐ効果がある点もメリットの1つと言えるでしょう。

 

▶法務相談を一元管理するための契約管理の方法

システムを導入する

案件管理システムのできるシステムを導入し、そのシステムから法務相談を受け付ける仕組みにするのも1つの方法です。

 

案件管理のできるシステムでは相談者や相談内容等が一元管理されており、現在部門内にどのような相談が来ており、ステータスはどのような状態か部内で把握することができるものとなっています。

 

そのため、案件が埋もれてしまうといったことも無く、メンバー全員が案件について必要な情報にアクセスできるため部員の特定の人間でなければ対応できないといった事態に陥ることを防ぐことができます。

 

ただし、システムを業務ごとに設けることにより情報が分散しナレッジの課題、検索の課題が生じるリスクには注意が必要です。

 

【関連記事】契約関連システムを導入するには?種類や導入方法など徹底解説

法務相談回答上の課題解決方法

法務相談回答状の課題解決方法としてはどのような方法が考えられるでしょうか。解決策としては以下の方法が考えられます。

法律相談事例集等を作成する

法務部門に過去にどのような相談があり、どういった解決をしたのかというのは法務にとって非常に重要なノウハウの1つです。こういったノウハウを保管・共有するための手段の1つとして法律相談事例集を作成し、過去にどういった相談があり、法務がどういった対応を行ったのか記録を残しておく方法が考えられます。

 

このように法律相談事例集を作成する事は、ノウハウや知見を共有できるだけで無く、社内イントラなどで公開しておくことで、類似の質問が来ることを防いだり、過去の回答と異なる回答をしてしまうといったリスクを避ける効果もあります。

システムを導入する

法務相談運用上の課題を解決する上でも案件管理のできるシステムを導入することは有用です。

 

法務相談の実施に当たって、法律相談事例集等が作成されていない場合等のように回答の記録が共有されていない場合、案件によって得られたノウハウや知識が担当者のみに帰属することになってしまい、業務の属人化やブラックボックス化を招くおそれがあります。

 

この点について案件管理システムを導入すると、案件の受付から回答まで全ての情報が一元管理され、法務部員内や場合によっては関係者等と共有が可能となります。そのため、過去の法務相談で得られたノウハウや知見が共有可能となり、業務の属人化やブラックボックス化といった事態を防ぐことができます。

相談受付~管理まで一元管理が可能な「ContractS CLM」

契約ライフサイクル管理システム『ContractS CLM』は、法務相談、契約書作成、申請承認のワークフロー、締結、契約管理と契約が始まってから終了するまでのライフサイクルを管理することのできるシステムです。

 

契約ライフサイクル管理システムContractS CLMの業務カバー範囲を示す図

ContractS CLMでは、「依頼・相談」の導線があり受付をシステム上に統一する運用が可能です。さらに、受付内容、回答内容がシステム上に蓄積され、相談と契約情報がリンクする仕組みにより案件の受付から管理までの一連の流れの履歴を残しておくことができます。

 

依頼、相談もできます

 

また、事業部はSlackから簡便に依頼ができるようにしたいといったご要望にもSlack連携機能により実現可能です。依頼する側は、Slackに設置したフォームより必要事項の入力を行うことで依頼内容を受付側へ送信、その情報がシステム上に蓄積される仕組みになっています。

 

Slackの依頼相談フォームのイメージ

 

契約相談窓口の一本化、案件管理の円滑化、履歴の蓄積といった法務相談の課題をシステムとプロセス整備で解決します。

まとめ

法律相談は契約書審査業務と並んで法務の中心的な業務であり、コア業務の1つです。こうした法務相談は、担当者と相談者のみで進んでいくことが多いため、結果として業務の属人化やブラックボックス化しやすい点が難点として挙げられます。

 

本記事でご紹介したように案件の受付ツールを統一化したり、法律相談事例集を作成するといった方法も考えられますが、アナログな方法で全てを一元化するのは難しい部分があります。

 

システムで法務相談の受付を一元化することで、法務相談の案件に関わる情報が全て一元化できるためブラックボックス化や属人化を防ぐことができ、ノウハウなどのナレッジの共有にも役立ちます。