ノウハウ 誓約書を電子化する4つのメリット。作成時の注意点もご紹介
更新日:2024年10月17日
投稿日:2024年04月19日
誓約書を電子化する4つのメリット。作成時の注意点もご紹介
誓約書とは、署名捺印した人が負う責任についてまとめた書類です。
書類の作成から受領に至るまで電子化できると、業務効率化やコスト削減などを期待できます。
ただし、誓約書を交わす相手が電子化に対応していなければ従来のやりとりが発生したり、これまでの業務工程に変更が生じる可能性があります。
誓約書を電子化するメリット・デメリット、電子的に作成する際のポイントを本記事でまとめました。
誓約書とは?
当事者が守るべきことをまとめた書類です。
署名捺印が必要になるのは提出する人のみで、受領者の署名捺印はなくても完結します。
誓約書で違約金などを定めることもできます。誓約書の内容を守らなかった場合、損害賠償請求されることもあります。裁判では証拠と認められることから、法的効力を持つ書類ということです。
ビジネスシーンでは、秘密保持や会社規則の遵守を約束するための社内文書に多く用いられます。
また、個人間の金銭の貸し借り、財産分与といった離婚時の合意事項を明らかにするためなど、ビジネス以外でも活用されます。
ところで、契約書とは何が違うのでしょう。
どちらも約束事や義務をまとめた書類ですが、契約書は双方の当事者が責任を負います。
対して誓約書は、責任を伴うのは一方の当事者のみです。受領者に署名捺印が求められないことからも推測できるかと思います。
誓約書の電子化とは?
書類の電子化は、近年ますます普及しています。従来、書類の電子化は法的な制約がありましたが、技術の進歩と感染症流行に伴う電子帳簿保存法などの整備の後押しもあり、多くの企業で電子化が進みました。誓約書も電子化可能な書類の一つとして検討されています。
電子化をすると、紙で作成していた誓約書に代わり、メールやクラウドストレージなどに添付可能な電子データを用います。これにより、従来の紙文書を郵送する手間や時間を省くことができます。さらに、電子署名や電子印鑑を付与することで、オンライン上で合意まで完了できるようになります。これによって、当事者間の取引や合意形成が迅速かつ効率的に行われることが期待されます。
電子化が認められた書類は多く、誓約書も電子化可能な書類のひとつです。
電子化をすると、紙で作成していた誓約書に代わり、メールなどに添付可能な電子データを用います。電子署名や電子印鑑を付与することで、オンライン上で合意まで完了できるようになります。
【関連記事】紙媒体の電子化とは?メリット・デメリット、進め方の流れと注意点
誓約書を電子化するメリット
- コスト削減
- 業務効率化
- セキュリティや管理体制の強化
- リモートワークへの対応
コスト削減
誓約書の電子化には、多くの利点があります。まず、コスト削減が挙げられます。従来の紙の誓約書を作成するとなると、印刷代や郵送代などの経費がかかります。
しかし、電子文書であれば印刷や郵送が不要となり、これによって印刷や郵送にかかっていたコストや人手を大幅に削減することができます。さらに、電子化によって書類の保管スペースも不要になり、オフィスのスペース効率化にもつながります。
業務効率化
電子化によって効率性も向上します。署名捺印や書類の送信がオンラインで完結するため、誓約書の作成から受領にかかる業務がスピーディーになります。
電子誓約書は、メールなどの電子メディアを介して瞬時に送受信することができます。これにより、従来の郵送に比べて時間を大幅に短縮することができます。また、受領や署名の確認も簡単に行うことができ、スムーズなプロセスを実現します。
さらに、電子契約サービスといった文書の電子化をサポートするサービスは、必要な書類をすぐに検索できる仕組みが含まれています。書類を探す時間短縮も可能です。
セキュリティや管理体制の強化
文書の電子化システムは、アクセスできる人を制限できる機能が搭載されているものが多いです。この機能を活用することで、誓約書へのアクセスを必要な人に限定することができます。つまり、機密性の高い情報を含む誓約書を適切な人々だけが閲覧できるようにすることで、改ざんや流出のリスクを大幅に抑えることができます。
さらに、紙での保管が不要となるおかげで、紛失のリスクも減らせます。紙の文書は物理的な保存場所を必要とし、保管中に紛失や破損する可能性があります。しかし、電子化された誓約書はデータベースやクラウド上に保存されるため、物理的な保管場所を必要とせず、紛失や破損のリスクを大幅に軽減することができます。
リモートワークへの対応
誓約書の電子化は、オンラインで完結できるため、従来のように誓約書の作成や郵送・受け取りのために出社する必要がなくなります。リモートワークを導入している企業や、リモートワークの導入を検討している企業は特にこのメリットを感じやすいでしょう。
従来は社内での作業や会議のために出社する必要があった場合でも、誓約書が電子化されていれば、オンライン上で完結させることが可能です。
これにより、従業員は自宅やリモートワーク先からでも、必要な誓約書の作成や対応を行うことができます。
そのため、交通時間や移動費の節約に加えて、労働時間や効率も向上するでしょう。また、誓約書の電子化によって、社内の業務プロセスのデジタル化が促進され、企業全体の生産性や柔軟性も向上することが期待されます。
誓約書を電子化するデメリット
- 業務フローに変更が生じる可能性
- 締結相手の協力が不可欠
- システムトラブルが発生すると進められない
業務フローに変更が生じる可能性
新しいシステムを導入することで、従来の紙での誓約書の作成や受領に関わる業務フローが変化することが予想されます。これにより、従業員や関係者が行う業務の手順や役割分担が変わる可能性があります。従って、システム導入の際には、既存の業務フローを見直し、新しいシステムに適したプロセスを確立する必要があります。これによって、システムを効果的に活用し、業務の効率化や品質向上を図ることができます。
さらに、システム導入の成功には、利用部署や関係者への理解と浸透が不可欠です。したがって、導入前には利用部署への説明会やトレーニングを行うなど、システムの導入に向けた準備が重要です。これによって、利用者がシステムの目的や利点を理解し、円滑な導入と運用が実現されます。また、関係者のフィードバックや要望を収集し、フローの改善やカスタマイズに活かすことも重要です。
締結相手の協力が不可欠
誓約書を交わす相手が電子化に対応していなければ、電子的な方法での作成・送付・受領は難しいでしょう。電子化を利用する取引先が増えていることから、このようなニーズに応えるために、始める企業も増えています。しかし、電子化に慣れていない相手にとっては、新しいシステムやプロセスへの適応に時間がかかることもあります。
電子化に慣れていなくてもスムーズに対応できるよう、資料を用意するなどサポート体制を整えると良いでしょう。
システムトラブルが発生すると進められない
システムトラブルが生じると、誓約書や他の文書にアクセスできなくなる可能性があります。特に復旧に時間がかかるようなトラブルが発生すると、合意までの期間も延長されることがあります。このようなリスクを踏まえると、システムトラブル時の対応が非常に重要です。
システムトラブルに対処するためのサポート体制が整っているかどうかは、導入するシステムを選定する際の重要なチェックポイントの一つです。適切なサポート体制が整っていると、トラブルが発生した際に迅速な対応が期待できます。
誓約書を作成するときのコツ
誓約書の書き方に厳密な決まりがあるわけではありませんが、3つのポイントを押さえることで有効な書類となります。
法令に則っているか
誓約書はトラブル防止を期待できます。
そのため、当事者間で合意した内容に相違が生じないよう、分かりやすくまとめることが求められます。
具体的な行動や責任を明確に定めることで、誤解や紛争の発生を防ぐことができます。また、誓約書で取り決めされた内容が法令に違反していると、誓約書が無効となる可能性があります。そのため、誓約書にまとめようとしている内容は法的に問題ないか検証し、必要があれば修正することが重要です。法的なアドバイスや専門家の助言を求めることも有益です。これによって、誓約書が有効かつ信頼性の高い文書となり、当事者間の関係を円滑に保つことができます。
記載すべき事項の漏れがないか
誓約書は法律で書き方が定められているわけではありません。ただし、下記の事項については最低限記載が必要です。
- 誓約者の氏名と住所
- 誓約した日付
- 誓約内容
どこまで義務を負うのか、違反時の対応など、誓約内容について具体的にまとめましょう。
まとめ
誓約書は、守るべきルールや義務を定めた書類です。ビジネスでは、主に秘密保持や就業規則の遵守を約束する際に使われます。
誓約書の電子化は、コスト削減や業務効率の向上に役立ちますが、相手の協力が必要です。
電子化を進める際には、業務フローに変更が生じる場合もありますが、紙の誓約書と同様に、法令に準拠した内容や署名・捺印の必要性を確認することが重要です。