ノウハウ 初めてでも失敗しない!システム導入のフローを分かりやすく解説
更新日:2024年10月31日
投稿日:2024年04月17日
初めてでも失敗しない!システム導入のフローを分かりやすく解説
DX推進の重要性が説かれている近年、業務改善システムを導入する企業は増えています。
しかし「何となく」でシステム導入を進めても自社の業務にうまく組み込むことができず、失敗に終わる可能性があるため注意が必要です。
今回は準備段階から導入後の保守まで、システム導入に必要な基本フローを分かりやすく解説します。
初めてのシステム導入に必要な知識を簡単に理解できる記事となっていますので、ぜひ最後までご覧ください。
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システム導入の基本的なフロー
システム導入はただサービスを選んで契約するだけではありません。
選定前の準備から、導入後の保守・検証までに含まれる様々なフェーズを経て運用サイクルを回すことが大切です。
ここでは、システムを導入するまでの基本的なフローと各フェーズのポイントを解説します。
システム導入の目的を決める
最初に、システム導入の目的を明確化しておきましょう。
システム導入はあくまで業務改善の手段であり、何の業務をどのように改善したいのかによって導入すべきシステムが変わるからです。
また、活用できる業務としては同様のシステムでも、サービスによって搭載されている機能は異なります。
あらかじめ目的を明確化しておくことで、どんな機能を搭載したシステムが自社に適しているのかも把握しやすく、システム選びで迷いにくくなります。
課題の洗い出し・整理
システム導入の目的と併せて、自社が現在抱えている課題の洗い出しと整理もしておきましょう。
業務の全体像を俯瞰して課題を的確に見つけ出せるように、まずは業務のフローチャートを作成します。
そのうえで業務の各フェーズを1つずつ見直し、どこにどんな課題や無駄があるのかをタスク単位で見える化していくと整理しやすいです。
フローチャート作成に加えて、システムで解決したい課題を抱えている業務の担当部署にヒアリングすると現場の中でしか見えない課題も見つけやすくなります。
要件定義
目的の達成・課題の解決につなげるために導入したいシステムの要件も定めます。
システム要件はベンダー(システムの開発・販売事業者)選定をスムーズに進めるためにも重要なポイントなので、明確に定める必要があります。
ただし多くの場合、すべての要件や機能を満たすシステムを導入することは難しいものです。
そのためいくつか要件を挙げたら、その中でも必須な要件を定めたり優先順位をつけたりしておきましょう。
システムベンダーの選定・ヒアリング
上記で定めた要件を満たすシステムを提供してもらうため、システムベンダーの選定を行います。
選定の際は、複数のベンダーを候補に挙げて問い合わせるというやり方が一般的です。
その後はベンダーによるヒアリングが行われるので、自社の目的・解決したい課題・希望するシステム要件を正確に伝えて的確な提案を引き出せるようにしましょう。
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見積り依頼
自社の現状や要望をもとにベンダーへ見積もりを依頼して、各社が示す提案内容を確認します。
提供してくれるシステムの機能に加え、料金体系・システムの提供方法・カスタマイズ性など多角的な視点で比較検討しましょう。
トライアル利用
業務改善システムは、一定期間無料でトライアル利用できるサービスも多いです。
ベンダーから詳細に提案をしてくれても実際の使用感までは完全に把握できないため、トライアル利用で既存の業務と使用感を確かめましょう。
稟議書の作成
見積もりでの提案内容やトライアルで把握した使用感などを通じて導入したいシステムが定まったら、権限のある上長から承認を得るための稟議書を作成します。
稟議書には、そのシステムの導入により見込まれるメリットや費用対効果などを明示しましょう。
システム導入に限らず、稟議書においてはまず結論・理由・詳細の順で記載する形が望ましいです。
伝えたい内容が分かりにくい構成や理由説明が不足した稟議書は差し戻されやすく、プロジェクトの遅滞につながります。
システムベンダーの決定
稟議書の提出後に承認を得られたら、そのシステムを提供してくれるベンダーと契約を締結します。
その際、具体的なシステム要件や導入までのスケジュール、予算などについて話し合います。
話し合いの場にはシステムを導入する部署の従業員も同席し、現場の状況を考慮しながらベンダーからの提案内容をシステムの設計へ組み込むかどうかを検討しましょう。
開発(オンプレミスの場合)
オンプレミス型のシステムを導入する場合は、ベンダーによる開発が始まります。
契約時に定めた要件・スケジュールの通りに開発が進んでいきますが、ベンダーに丸投げするのではなく自社も積極的に関わっていくことが大切です。
こまめな進捗確認に加え、定期的なミーティングも実施して当初定めた要件・スケジュール通りに開発が進んでいるかどうかを確認しましょう。
これにより、自社が想定したものとは異なるシステムが提供されるリスクを抑えられます。
【参考】オンプレミスとクラウド
企業におけるIT環境の構築方法は、大きく分けて「オンプレミス」と「クラウド」の2種類があります。
オンプレミスとは、サーバー・IT機器・ソフトウェアなどを1から構築のうえ管理する形態です。
カスタマイズ性が高いため自社の業務にフィットしたシステムを導入しやすくなりますが、導入までの時間・コストが増幅します。
一方でクラウドは、事業者がインターネット上で提供しているサービスを利用する形態です。
カスタマイズ性はオンプレミス型よりも低いですが、すでに開発されたシステムを事業者が管理するネットワークで利用できるため、導入や運用に伴うコストは少額で済みます。
契約もオンラインで済む場合が多く、初めてのシステム導入にもおすすめな手段です。
先行運用
いきなりシステムを導入して本運用を開始すると、不具合や改善すべき点が一気に出てきて対応が困難となる恐れがあります。
そのため、まずは先行運用として一部の部署で使用を開始し、その中で出たフィードバックを着実に対応していくことをおすすめします。
また、改善点だけでなくシステムの使用を通じて感じたメリットや良かった点を振り返り全社に共有することで、理解を得やすくなります。
データ移行
先行運用を経て、既存のデータを新しいシステムに移行するための作業を行います。
具体的には既存データに表記ゆれ・破損・欠けなどがないか確認のうえ適正化し、移行計画を立ててから移行作業を実施します。
本運用
データ移行が完了したら、いよいよシステムの本運用が開始となります。
現場の従業員がスムーズにシステムを効果的に使えるように、あらかじめシステムの操作方法・活用方法を記したマニュアルの作成や研修の機会を設けておくことをおすすめします。
また、本運用の開始後はシステムの動作やパフォーマンスを常時監視し、ベンダーと連携しながらフィードバックの対応を続けましょう。
運用保守と効果検証
システムは導入したら終わりではなく、パフォーマンスを維持するための運用保守が必要です。
システムにおける運用とは正常な状態を保ちながら必要に応じて仕様変更や拡張をすること、保守は不具合が生じた際に対応することを指します。
また、一定期間運用を続けたら効果測定も行います。
当初定めた目的に対してどれくらい達成できているか、運用する中で改善の余地はないかなどを確認のうえ、定期的なアップデートで最適化を続けていきましょう。
業務改善に有効なシステムの種類
業務改善に有効なシステムは様々な種類があり、どんな業務に活用したいのかによって選ぶべきものが変わります。
主な業務改善システムの例とそれぞれの特徴を、以下よりご紹介します。
顧客管理システム:CRM
顧客管理システム(CRM)とは、顧客情報の保管やマーケティングに役立つ機能を活用できるシステムのことです。
ただ担当者名や連絡先などの情報を管理するだけでなく、データをもとに購買傾向などの分析機能を活かして高精度なアプローチがしやすくなります。
営業管理システム:SFA
営業管理システム(SFA)は、受注・売上管理の他に営業プロセス・案件の進捗・商談内容なども可視化できるシステムです。
活用することで営業の業務効率化につながる他、従来の営業活動をプロセスごとに見直してさらに売上を向上させやすくなります。
生産管理システム
生産管理システムは、計画・生産・販売・原価計算など製造業に伴う業務を総合的に管理できます。
生産に関わるデータを可視化し、需要の予測や在庫・製造スケジュールの最適化につながる点がメリットです。
製造業には電子機器・金属・食料品・印刷など多様な分野がありますが、分野・事業規模を問わず幅広く導入されています。
販売管理システム
販売管理システムとは、自社商品・サービスの情報・顧客情報・取引実績といった情報の他、見積もりから請求までの販売プロセスを管理できるシステムです。
モノやお金の動きに関する情報を正確に把握できるため、納品漏れ・重複や請求漏れなどのトラブルの防止につながる他、商品や顧客ごとの売上データを分析して経営の意思決定がスムーズになります。
ERPシステム
ERPシステムは、人事・生産・物流・販売・会計など企業にとっての基幹となる業務を統合的に管理することが可能です。
従来は各部門のデータベースで管理していた情報の管理処理を統合し、部門間の情報共有や業務プロセスの自動化が容易になります。
また、リアルタイムに取得したデータを分析し、その結果に基づく経営の意思決定ができるという点もメリットです。
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システム導入でよくある失敗例
漠然とシステム導入に向けてプロジェクトを進めるだけでは、失敗する可能性があります。
システム導入で起こりがちな失敗例も知っておき、それらの予防策を意識しながらプロジェクトを進めることが、成功に近づくための重要なポイントです。
以下より、システム導入でよくある失敗例をご紹介します。
システム導入に係る膨大な作業で疲弊する
先述した基本的なフローからも分かる通り、システム導入には想像以上に多くの業務を伴います。
そのため、1人の担当者にすべてを任せると非常に大きな負担がかかりプロジェクトが遅延する恐れがあります。
システム導入の目的を見失う
プロジェクトの進行中に試行錯誤を繰り返した結果、そもそもなぜシステムを導入するのかという目的や導入後のビジョンを見失うケースも少なくありません。
結果としてシステム導入そのものが目的となったり、自社にマッチしたシステムを導入できず業務改善の効果が得られなかったりといった事態に陥ります。
要件を満たすシステムが見つからない
自社で定めた要件を満たすシステムがなかなか見つからず、導入までに時間がかかってしまうケースです。
また、要件をほぼ網羅するシステムがあったとしても、導入費用が高く予算の調整を要する事態になる場合があります。
マニュアル作成が困難
ITツールの扱いに慣れていない従業員にとっては、「使いこなせるか分からない」という不安からハードルが高いと思われます。
そのため、誰でもシステムを使いこなせるようにするためのマニュアル作成も欠かせないプロセスの1つです。
しかしシステム導入に必要な業務の数々をこなす中で、利用者に向けたマニュアル作成が追い付かないケースは珍しくありません。
課題に対する改善策がわからない
自社が現状として抱えている課題は見えても、それをどのように解決すべきか分からずシステム導入まで踏み込めないケースもあります。
複数人の意見を出し合っても改善策が明確に見えてこない場合、自社だけでなく外部の力を借りることも大切です。
システム導入を成功させるポイント
システム導入で失敗を避けるには、起こり得る失敗例を想定のうえ事前に対策を講じておく必要があります。
例えば上述した失敗例については、以下の対策を講じることでそれらのリスクを回避しやすくなります。
失敗例 | 対策 |
システム導入に係る膨大な作業で疲弊する | 担当者を2人以上配置のうえ業務分担する |
システム導入の目的を見失う | ・事前に設定した目的やをメリットと併せて明文化のうえ複数人で共有する ・「業務の棚卸し」で改善すべき業務と改善方法を細かく明文化する |
要件を満たすシステムが見つからない | ・要件に優先順位をつけて整理する ・整理が難しい場合はオンプレミスで自社に特化したシステム開発の視野に入れる |
マニュアル作成が困難 | ・マニュアル作成を外部委託する ・マニュアルが不要なガイド付きのプロダクトを選ぶ |
課題に対する改善策がわからない | システムベンダーに自社の課題を共有して提案を仰ぐ |
システム導入に必要なスキル
システム導入のプロジェクトを円滑に進められるかどうかは、人材選びに左右されます。
特に、以下のようなスキルを持つ人材はシステム導入のプロジェクトに必要です。
全体の業務・人員を俯瞰して管理できるスキル
全体の業務や人員を俯瞰して現状を把握・管理できる、プロジェクトマネジメントスキルはシステム導入の成功に大きく変わる要素です。
要件の適切な優先順位付け・スケジュールの立案・リスク管理などに必要となります。
システムベンダーと交渉・対等に会話できるスキル
システム導入の際に必ず発生するベンダー側とのやり取りですが、話し合いがまとまらず要件をうまく伝えられない場合があります。
結果的に自社が求めるシステムを導入できず、プロジェクトが失敗に終わる可能性に注意が必要です。
そのリスクを避けるには、自社で定めた要件をシステムベンダーにわかりやすく伝えつつ、自社の希望通りにプロジェクトを進めるための条件を交渉できるスキルを持った人材が望ましいです。
現場経験からニーズを理解するスキル
現場を経験しなければ分からない実情を知ったうえで、的確にニーズを理解するスキルも求められます。
自身の経験と現場へのヒアリングを通して、導入予定の業務や従業員にとってどんな機能を搭載した機能が良いのかを考慮できる人材がいれば、既存の業務になじむシステムを見つけやすくなります。
システム導入成功のカギは自社の目的に沿ったプロジェクト進行と適切な人材選定
システム導入では、予算やシステムベンダーの選定に意識が向きがちです。
しかしプロジェクトを成功に導くためには、目的の設定から保守運用・効果測定のプロセスまで着実に踏んでいくこと、必要なスキルをもった人材を選定することが重要になります。
すべてのプロセスを自社で対応するのが難しければ、多様な業種で豊富な導入実績を持つシステムベンダーに協力を仰ぎ、ノウハウに基づく提案をしてもらうという手もあります。
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