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ノウハウ グレーゾーン解消制度とは?電子署名サービスなどの事例に注目し紹介します

更新日:2024年10月17日

投稿日:2024年03月21日

グレーゾーン解消制度とは?電子署名サービスなどの事例に注目し紹介します

グレーゾーン解消制度とは?電子署名サービスなどの事例に注目し紹介します

電子契約・電子署名といった新しいツールを導入したいといった場合、グレーゾーン解消制度の確認が選定ポイントになる場合があります。

 

制度の目的は何なのか、どのようなメリットがあるのか、本記事で解説します。

 

 

グレーゾーン解消制度とは

グレーゾーン解消制度とは、新たな事業活動を行おうとする事業者が、法令の適用範囲が不明な場合、事業開始前に事業計画と照らし合わせることで、規制の有無を確認できる制度です。

 

経済産業省:「グレーゾーン解消制度」及び「新事業特例制度」の概要

グレーゾーン解消制度の目的

グレーゾーン解消制度の目的は、新事業を始めた後に法規制に該当すると指摘され、新しい事業ができなくなる事態を防ぐためです。

 

新事業を始める前段階では、法規制がどこまで及ぶか分かりにくいです。解釈を誤ったまま事業を開始した結果、規制所管省庁から規制対象と判断される懸念があります。

新事業を安心して始められることをサポートすることが、制度の目的です。

グレーゾーン解消制度の影響

照会できる法令に制限はありません。幅広い分野で新事業を始める際、不安なことや疑問は専門家の意見を聞いてクリアにできます。

法令違反でないという回答を得られれば、安心して事業の安全性を表示できます。

グレーゾーン解消制度の申請方法

グレーゾーン解消制度の申請方法は以下の通りです。

  1. 事業所管省庁に事前相談
    事業内容、確認したい事項をあらかじめ整理しておくことをおすすめします。
  2. 新事業活動に関する規制について規定する法律及び法律に基づく命令の規定に係る照会書を事業所管大臣及び規制所管大臣(主務大臣)に提出
  3. 主務大臣による確認
  4. 結果の通知と内容の公表

 

上記の流れで確認されるのは、照会書が提出された法令に関してのみです。他の法令についても確認したい場合は、別に照会書を提出するか、改めて申請が必要です。

 

 

照会書には以下について記載が必要です。

  • 新事業と新事業に関連する事業の目標
  • 新事業と関連事業で生産性向上や新たな需要が見込まれる理由
  • 事業内容
    • 事業概要
    • 事業の実施主体
    • 事業の提供場所
  • 開始時期
  • 照会したい法令※法令の名称、条文の引用など具体的な記載が必要です。
  • 照会する法令の解釈や規制の適用有無についての見解

グレーゾーン解消制度の事例

経済産業省、厚生労働省、デジタルのホームページで公表されている照会結果をまとめました。

医療系コンサルティングサービスの事例

睡眠環境のコンサルティングサービスが医師法で定める医師のみに認められる医業に該当するか照会しました。

医業に該当しないとの回答から、コンサルティングサービスが実施されています。

 

経済産業省:産業競争力強化法に基づく事業者単位の規制改革制度について

宿泊施設の管理会社の事例

顔認証システムを活用した無人チェックインサービスを運営する事業者は、チェックイン業務を備える機能に該当するか照会しました。

 

旅館業における衛生等管理要領の玄関帳場又はフロントに代わる機能を持つ設備を備えていると見なす特定要件を満たしているとの回答が得られました。

衛生等管理要領では、宿泊者名簿の正確な記載のために本人確認を求めています。本人確認は対面か対面同等の方法で行うこととしていますが、顔認証システムを用いた手段も、対面同等の手段と見なされるとのことです。

宿泊施設のある自治体の条例で規制される場合を除いて、顔認証システムによるチェックインサービスが活用できるようになっています。

 

https://www.mhlw.go.jp/content/000654354.pdf

電子契約/電子署名での利用事例

電子契約サービスに関する照会は多く寄せられています。

 

ここでは、多くの企業になじみの深いアドビ株式会社の照会内容と結果について紹介します。

自社の電子契約サービス内の「クラウドデジタル署名」が電子署名法で定める電子署名に該当し、契約書にも利用できることを照会しました。

電子署名に該当すること、契約書にも利用可能なことが確認できました。

 

以下の仕組みが、契約事務取扱規則で定められた方法による電磁的記録の作成に該当するかも照会を行っています。

  1. 契約当事者が契約書などに代わる文書データをアップロードした上で必要情報を入力
  2. サービス事業者を介して電子署名を付与

 

上記の仕組みは電磁的記録の作成に該当すると回答を得ています。

 

https://www.digital.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/123754d1-4537-42cd-8dc4-2c283f034f12/20211008_policies_posts_digitalsign_grayzone_02.pdf

当社「ContractS CLM」における回答

弊社システムでご利用いただける「ContractS SIGN」でも電子締結契約サービスを電子署名に該当する仕様への変更に伴い、同様の照会を行いました。電子署名の要件を満たすとの回答を得ていいます。

 

新事業活動に関する確認の求めに対する回答の内容の公表

建設業法における適法性を確認:ContractS CLM

建設業界の工事請負契約で電子契約を利用するには、建設業法施行規則第13条の2第2項の「技術的基準」を満たさなければなりません。

 

ContractS CLMで利用できる電子契約機能「ContractS SIGN」は、建設業界の工事請負でも利用できるのか国土交通省に照会いたしました。

照会したところ、ContractS SIGNは基準を満たした機能と認められました。

 

「ContractS SIGN」が建設業法における適法性を確認。グレーゾーン解消制度を利用

国・地方公共団体とも締結可能に

国が当事者となって電子契約を行う場合、会社法の下位法令である契約事務取扱規則で定められた電磁的記録の作成に関する要件と、電子署名法の要件を満たさなければなりません。

 

照会したところ、下記のように確認できました。

 

  • ファイルの非改ざん性を担保する仕組みなどから電磁的記録の作成と認められる
  • PDFかWordファイルをアップロードして締結する電子契約は電子署名法上の電子署名に該当する

 

国・地方公共団体とも締結可能に グレーゾーン解消制度による電子署名法の適法性確認 | ContractS CLM(コントラクツ CLM)| 契約ライフサイクル管理システム

まとめ

グレーゾーン解消制度は、新規事業が法令の規制を受けるか否か関係省庁に確認できる制度です。

法令の認識誤りによって新しいビジネスチャンスを逃すことを懸念せずに済みます。照会から1ヶ月ほどで回答をもらえることから、事業準備への影響も少ないでしょう。

 

ただし、適法か否か回答を得られるのは、照会した法令の分のみです。事業内容で法令の影響がありそうな箇所は丁寧に精査し、漏れなく確認を行いましょう。

デジタル庁はグレーゾーン解消制度により、電子署名法で定める電子署名に該当し、契約書にも利用できることが確認された電子契約・電子署名サービスを提供する事業者の照会結果を公開しています。ツールの選定段階であれば、本記事とあわせて確認してみてください。