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ノウハウ 合意書とは?記載項目・書き方・注意点を解説

更新日:2024年10月17日

投稿日:2024年02月1日

合意書とは?記載項目・書き方・注意点を解説

合意書とは?記載項目・書き方・注意点を解説

合意書とはどのような目的のために用いる書類でしょう。
有効な書類と見なされるためには、いくつかポイントがあります。

 

本記事では、合意書の記載項目と書き方のポイント・注意事項について解説します。
同意書など他の似た書類との違いも知っておくと、合意書をどのような時に交わすべきか分かりやすいので、4つの書類との違いについても紹介しています。

 

 

合意書とは

当事者間が合意した内容を書面にまとめたものです。

一方の行為に対して他方が支払う金額や期限などを記載し、双方が署名・捺印をして作成します。

 

契約の締結前に取引の前提条件を確認したり、トラブル解決のための和解に至る時などに用いられます。

 

後に問題が大きくなることをあらかじめ防ぐために、現時点での法律関係を明らかにするものと言えます。

合意書と似た書類の違い

当事者間で交わされる書類は、合意書だけではありません。

書類に記載の内容に了承した旨を示す書類もいくつかあります。

以下に記載したものは一般的に言われているもので、あくまで参考で、法律上の定義があるものではありません。合意書や覚書としながらも実質は普通の契約書と何ら変わらないようなこともあります。

契約書との違い

合意書も契約書も、双方が記載事項に合意していることを示す書類である点は共通します。

違いは、当事者が取引関係にない時にも使われる書類か否かです。

 

契約書は業務委託契約や賃貸借契約など、取引関係がある時に用いられます。

合意書は取引を約束する際に交わすこともありますが、離婚合意書(離婚協議書)など、取引関係にない人たちの法律が関わる問題を解決するために使用されることもあります。

覚書との違い

覚書もまた、双方が書面の内容に合意していることを示す書類である点で合意書と共通します。

 

覚書は、契約内容を補足したり、締結後に契約内容に不備があった時に修正する意味合いで作成されます。

ただし、同じような場面で合意書として書類を作成することがあります。覚書も、取引関係に限らず用いられることもあります。

故に、覚書と合意書には大きな違いはないと考えて良いでしょう。

同意書との違い

同意書は、一方が他方に同意する時に用意する書類です。当事者双方の署名・捺印は不要で、一方の署名・捺印があれば法的に有効な書類となる点が合意書と異なります。

 

例えば、個人情報の提供・保管に同意する個人情報取り扱い同意書などがあります。

誓約書との違い

誓約書は、一方の意思表示を示すための文書です。双方の署名・捺印が不要という点が合意書と異なり、同意書と似ています。

一例として、企業の内部情報を流出させないことを約束するための秘密保持誓約書などが挙げられます。

合意書の法的効力

双方の署名・捺印のある書類であれば、法律上有効な書類として扱われます。

訴訟の際には証拠として提出できます。故に、双方とも合意書の記載事項を守らなければなりません。合意書の内容に反すると、債務不履行責任などを負うことになります。

 

ただし、強制執行などを行えるほどの強制力はありません。

例えば支払いが滞った時。ただちに財産が差し押さえられるわけではなく、裁判を経て、合意書に基づく支払いを命じる判決が出てから強制執行という手順を踏みます。

 

合意書の内容が社会の秩序や道徳的観念に反するものであれば、民法第90条に則って、法律上無効となります。

合意書の書き方

合意書は法的効力を有するものの、不備があれば証拠として無効となる恐れがあります。

何を合意するかによって文言は変わってきますが、どの性質の合意書でも押さえるべき事項はあります。

 

合意書を書く際の大まかな流れが分かると、状況に応じてアレンジできます。

記載項目の例の前に、テンプレートとしても使える合意書の基本的な書き方を紹介します。

 

○○に関する合意書

株式会社△△(以下「甲」という)と▲▲(以下「乙」という)は、下記の通り○○について以下の通り合意する。

【合意内容】

  1.  
  2.  
  3.  

本合意の成立を証するため、本書を2通作成し、甲乙共に署名捺印の上、各1通保管する。

20●●年●月●日

甲 住所

  株式会社△△

  代表取締役 (氏名) 印

乙 住所

  ▲▲ 印

 

「○○について合意する」や【合意内容】中の同意した内容について、「誰が」「どのような行為を」「いつまでに」行うのか分かる書き方を意識しましょう。

ただし、どれほど具体的に書いたとしても、違法行為に合意する旨の文書であれば無効となるリスクが高いです。

合意書の記載項目

  • 表題(○○契約に関する合意書、離婚合意書など)
  • 前文
  • 合意内容
  • 合意書を作成した日付
  • 署名
  • 合意書の作成通数・保管者・締結方式

上記のうち、いくつかの項目について補足します。

表題

表題をつけることで、何に合意した文書かひと目で分かります。合意内容などを読めば、合意書の目的が分かるのではと思ってしまうかもしれません。しかし、表題に目を通しただけで何のための合意書か分かる方が、文書の管理や、合意書を確認したい時に探しやすいことなど、受け取った相手のことを考えると、表題は大切です。

 

表題と合意内容に相違があるのではといった問い合わせが来たら、すぐに確認し、必要があれば修正します。

合意内容が端的に書かれておらず、表題も分かりにくいと、異なる解釈をされる恐れもあります。合意内容を丁寧に書くことは当然として、表題も簡潔なものを心がけましょう。

前文

合意書の概要がひと目で分かる前書きのことです。

当事者の氏名、合意書の目的などを書きます。氏名は、合意書内では「甲」「乙」とすることにも触れましょう。

 

内容の詳細は、合意内容として詳しく記載することになります。前文では、誰が何を合意するか分かれば問題ありません。

合意内容

「合意内容」の代わりに「条文」と記し、「第1条」「第2条」という書き方もあります。

 

合意内容に書くことは、何に合意するかで異なります。例えば、契約に関する合意書であれば、取引内容や契約期間、解約・解除する際の扱いなどを書面に残します。

離婚合意書であれば、財産分与や慰謝料、親権や養育費や面会についてなどをまとめます。

合意書を作成した日付

作成した日付は、いつから合意が成立しているか証明する役割をします。

合意書に記載の納期や期限が作成した日付より前になっていると、文書が矛盾していることになります。無効と見なされないためにも、日付は正確に記入しましょう。

署名

署名欄には甲乙それぞれの住所、氏名(法人の場合は会社名)の記入、そして、押印が必要です。

合意書の締結方式

下記3つのいずれかが用いられることが多いです。

  • 署名方式
  • 署名捺印方式
  • 記名押印方式

 

署名方式は、甲乙が氏名を手書きする方式です。押印が不要なことから、印鑑の文化がない海外の人や企業とのやりとりで選ばれることが多いです。

 

署名捺印方式は、甲乙が氏名を手書きして押印する方式です。当事者が個人の場合に選ばれることが多いです。

 

記名押印方式は、氏名(会社名)が事前に印字された書類に押印のみ行う方式です。法人間のやりとりで選ばれることが多いです。

 

合意する目的などで方式が指定されているわけではありません。双方でスムーズに契約を結べる方式を選びましょう。


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合意書作成の注意事項

当事者は、合意書の内容に責任を負わなければならなくなります。締結する前に内容を十分に確認し、後に不要なトラブルを避けましょう。

 

以下は最低限チェックが必要です。

  • 合意した取引内容が記載されているか
  • 一方に不利となる内容が含まれていないか
  • 解約・解除について

 

合意した取引内容と異なる内容で書類が作成されたり、ルールの抜け漏れがあると、実際に取引が始まってからトラブルが起こることが懸念されます。

合意書に記載の内容が事前に合意したものと相違ないことを確かめましょう。

 

合意書を提示される側は、提示する側より不利な条件で合意してしまうリスクが高いです。合意書を用意する側は、一方が不利益を被ることのないよう精査した上で相手に提示します。

しかし、問題が起きた時に責任を負わないとも捉えられる書き方になっているかもしれません。責任の所在などを明確にしないまま合意書を締結してしまうと、万が一トラブルが発生した時に多大な損害を受ける恐れがあります。

自社が不利になるような内容が含まれていると思われたら、締結前に内容の変更などを依頼してみてください。

 

取引の継続が難しい時には、解約や契約解除をすることになるかと思います。

合意書で解約などができるよう定めておかないと、解約・解除したい時にできずに大変です。

解約や解除はできるか必ずご確認ください。同時に、解約・解除にあたり条件はあるのか、違約金は発生するのかなども確かめます。

 

合意書を紙で締結する場合、収入印紙(印紙税)が必要なこともあることは覚えておいて損しません。

印紙税の対象となる可能性があるのは、契約内容の変更のために合意書を作成した時などです。例えば、支払い方法や納期を変更する時などが該当します。

課税文書に当てはまるか否かは、重要な事項の変更を含むか含まないかで分類されます。重要な事項は、印紙税法基本通達別表第2でまとめられています。

 

収入印紙を貼り付けるべき書類で貼り付けられていないと、本来の税額に加えて過怠税として税額の2倍、合計3倍の税を徴収されることが、印紙税法第20条第1項で定められています。

収入印紙が必要な合意書で貼り付け忘れないよう、印紙税のかかる書類か否か入念に確かめましょう。

 

合意書は、電子締結できます。印紙税がかからないことから、収入印紙の貼り忘れによる税金の支払いをしなくて済む点で安心です。

郵送や持参の時間・手間を省けるので、紙ベースでのやりとりより作成から締結までスムーズというメリットもあります。

 

ただし、電子署名で信頼性を担保しなければならないこともあるなど、双方が合意が確かに有効なものであるとするための対応が必要になることもあります。

まとめ

合意書とは、双方が合意した内容についてまとめた書類です。覚書のように似たような場面で用いられる書類もありますが、基本的には契約書や同意書などとは当事者の関係性や文書を締結する目的が異なります。

 

双方の署名・捺印をもって、法的に有効な書類と見なされます。署名・捺印以外にも、合意書には記載すべき事項がいくつもあります。ポイントや本記事で紹介したテンプレートを参考に、解釈を誤られない書き方を押さえましょう。