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ノウハウ 取締役会とは?会社法に沿って開催頻度・議題・議事録作成など解説

更新日:2024年10月17日

投稿日:2024年01月22日

取締役会とは?会社法に沿って開催頻度・議題・議事録作成など解説

取締役会とは?会社法に沿って開催頻度・議題・議事録作成など解説

取締役会は、株式会社によっては設置が義務付けられていることもある機関です。

しかし取締役会の運営方法については会社法で定められており、正しく運営しなければ大きなデメリットが生じます。

 

そこで今回は取締役会に関する開催頻度・開催方法・開催の流れといった基礎知識について、会社法の内容に沿って解説します。

 

 

取締役とは?

取締役会の前に知っておきたいポイントが、「そもそも取締役とはどんな役職なのか」です。

 

取締役は会社法で1名以上置くことを義務付けられている役職で、業務執行の意思決定を行う役職を指します。(会社法348条)

 

なお、2名以上の取締役がいる場合は取締役の過半数をもって意思決定を行います。

会社法上の取締役会とは?

取締役会とはすべての取締役で構成されている機関のことで、以下に該当する会社に設置が義務付けられています。

 

・公開会社

・監査役会設置会社

・監査等委員会設置会社

・指名委員会等設置会社

 

取締役会を設置する場合、会社法の取り決めにより3名以上の取締役で構成する必要があります。

取締役と取締役会の違い

会社としての業務執行は取締役の意思決定を通した場合のみ叶うため、取締役はすべての株式会社に置くべき役職です。

一方で取締役会は、先述した設置義務がある会社に該当しなければ設置が任意とされています。

 

また、どちらも「会社の業務執行の意思決定を行う」という役割は共通していますが、取締役会では取締役の監督・監視や代表取締役の選任・解任も行います。

取締役会の役割

取締役会が行う職務は、業務執行の決定・取締役の職務執行の監督・代表取締役の選任と解任です。

なお、重要な業務執行の決定を除いて、個々の取締役に業務執行の決定を委任することもできます。

 

重要な業務執行の項目については、「決議事項」として会社法で決まっています。

決議事項の内容は後ほど詳しくご紹介します。

取締役会の開催頻度は3ヵ月に1回

取締役会を設置した場合、最低でも3ヵ月に1回は開催して議事録を作成しなければなりません。

会社法363条2項では、代表取締役および取締役は自己の職務執行状況について3ヵ月に1回以上報告することが義務付けられているからです。

 

3ヵ月に1回以上の頻度であれば、どの時期に開催しても問題ありません。

取締役会の開催方法はオンラインもあり?

取締役会の開催にあたって、議決に加わることができる取締役が過半数出席している必要があります。(会社法369条)

 

ただし取締役がどのように出席するかは取り決めがないため、オンラインで開催しても問題はありません。

取締役会をオンラインで開催する方法

取締役会の開催方法に関する法務省の見解(平成8年4月19日付「規制緩和等に関する意見・要望のうち、現行制度・運用を維持するものの理由等の公表について」)は、以下の通りとされています。

 

“取締役間の協議と意見交換が自由にでき、相手方の反応がよく分かるようになっている場合、すなわち各取締役の音声と画像が即時に他の取締役に伝わり、適時的確な意見表明が互いにできる仕組みであればテレビ会議システムによる取締役会も認められる”

参考:補足説明 – 会社法制の現代化に関する要綱試案 

 

つまり、上記の見解で重要なポイントは、「即時性」と「双方向性」を満たせばオンラインでの取締役会も認められるという点です。

そのためオンラインで取締役会を開催するなら、テレビ会議システムやzoomなどのWEB会議システムなどを利用する方法が望ましいと言えます。

取締役会を開催する流れ

実際に取締役会を開催する場合の基本的な流れは、以下の通りです。

 

1 取締役会の招集

2 取締役会で議事進行と決議を行う

3 取締役会議事録の作成と保存

 

以下より、個々の手順について会社法に基づき解説します。

取締役会の招集

取締役会を開催するにあたって、まず取締役の招集が必要です。(会社法366条)

 

“第三百六十六条 取締役会は、各取締役が招集する。ただし、取締役会を招集する取締役を定款又は取締役会で定めたときは、その取締役が招集する。”

引用:会社法 | e-Gov法令検索 

 

上記の通り、特に決まりがない限り取締役会の招集権は各取締役にあります。

 

招集する方法としては、招集権を持つ者が以下の期間を守って各取締役や監査役に招集通知を発します。

 

・取締役会の開催日の1週間前

・1週間を下回る期間を定款で定めた場合は、その期間

参考:会社法 | e-Gov法令検索 

 

なお、取締役及び監査役全員の同意があれば手続きなしで開催が可能です。

ただし招集権を持たない者も招集を請求できる

招集権を持たない取締役でも、招集権を持つ取締役に対して招集を請求することはできます。(会社法367条2項)

その際、取締役会の目的事項を示す必要があります。

 

招集可能な取締役が定まっていたとしても、所定の手続きさえ踏めば実質すべての取締役が招集できるということです。

取締役会で議事進行と決議を行う

取締役会では、「決議事項」に関して議論や質疑などの末に決議を行ったり、「報告事項」を報告したりします。

その際の進行方法について、特に決まりはありません。

決議事項とは

先述したように、取締役会では「重要な業務執行」について過半数が意思決定をする必要があります。

この重要な業務執行に含まれる項目は以下の7つがあり、「決議事項」と呼ばれます。

 

・重要な財産の処分や譲受け

・多額の借財

・支配人やその他重要な使用人の選任と解任

・支店やその他の重要な組織の設置、変更、廃止

・社債の募集に関する重要な事項

・内部統制システムの整備に関する事項

・定款に基づく役員等(取締役、会計参与、監査役、執行役又は会計監査人)の責任の免除

参考:会社法 | e-Gov法令検索 

報告事項とは

報告事項とは、会社法で取締役会に報告が義務付けられている事項を指します。

具体的な内容としては、以下のようなものがあります。

 

・代表取締役および業務執行取締役による自己の職務の執行状況

・取締役の不正行為等(監査役が報告)

参考:会社法 | e-Gov法令検索 

取締役会における決議要件について

取締役会での決議に関する要件は、以下の通り決まっています。

 

・議決権を持つ取締役の過半数が出席すること

・出席した取締役の過半数が賛成すること

参考:会社法 | e-Gov法令検索 

 

ただし、「決議に特別の利害関係を有する取締役」は決議に加われません。

例えば取締役会で解職を求められている代表取締役などがこれに該当します。

 

なお、6名以上の取締役が参加しており、その中に社外取締役が1名以上いる取締役会は「重要な財産の処分や譲受け」と「多額の借財」について、「特別取締役」のみによる決議も可能とされています。(会社法373条1項)

特別取締役とは事前に3人以上選定した取締役のことで、選定した場合は過半数の特別取締役出席・賛成をもって決議が行われます。

取締役会での決議方法

取締役会での決議は、議決権を持つ取締役からの賛成を得る必要があります。

その際、書面や電磁的記録による同意で可決する旨の取締役会決議があったとみなすことも可能です。(会社法370条)

 

この書面決議を行うには、あらかじめ定款で書面決議が有効な旨を定めておく必要があります。

そのうえで決議事項について取締役全員が書面などで同意をすれば、取締役会での決議を省略できます。

ただし監査役が議題について異議を唱えた場合の省略は不可能です。

取締役会議事録の作成と保存

取締役会決議の後は、取締役会議事録を作成し本店に保管しなければなりません。

議事録には出席した取締役や監査役の署名、または記名押印も必要です。(会社法369条3項・4項)

 

さらに期間も決まっており、取締役会の日から10年間は会社の本店で保存することが義務付けられています。(会社法第371条)

取締役会議事録の作成方法

会社法では取締役会議事録の記載事項に関して取り決めもあるため、あらかじめ確認しておきましょう。

取締役会議事録の記載事項

取締役会議事録の記載事項は、大きく分けて会社法施行規則101条3項で必須とされている事項と任意の記載事項があります。

必要な記載事項

会社法施行規則101条3項では、取締役会議事録について以下の記載が定められています。

 

・開催日時

・開催場所

・出席した取締役や監査役の氏名・総数

・出席した会計参与、執行役、会計監査人、株主の氏名

・議事の内容に利害関係を有する取締役の氏名(いる場合)

・議長の氏名

・特別取締役による取締役会の場合はその旨

・特別の招集にあたる取締役会の場合はその旨

・議事の要領と結果

 

オンライン開催の場合は、参加者の出席方法についても記載しましょう。

任意の記載事項

先述した事項の他、取締役会に関して必要と思われる事項についても任意で記載が可能です。

任意の記載事項としては、以下のような内容が挙げられます。

 

・表題

・決議に反対した取締役の意見  など

取締役会議事録の電子化は効率化につながる

取締役会議事録は、書面の他に電磁的記録でも認められています。

電子化すれば紙の管理によるコストやスペースの無駄遣いが解消され、リモートワークにも対応できるようになります。

 

しかし取締役会議事録の電子化するにあたって、従来は署名・記名押印に代わる手段として認証局から本人確認を取った電子証明書付きの電子署名しか利用できませんでした。

しかし「取締役会議事録に施す電子署名についての法務省見解」によると、リモート署名や事業者が利用者の指示を受けて電子署名をする形でも、その署名が出席者の意思に基づくものとして有効であることが明らかになっています。

 

つまり、より手軽に利用できるクラウド型電子署名サービスで取締役会議事録の電子化のハードルが下がったということです。

取締役会議事録を電子化するための要件

取締役会議事録を電子化するための要件については、特に取り決めはありません。

先述した必要事項さえ記載していれば、正しい取締役会議事録として認められます。

 

ただし電子化する前に、以下の準備が必要となる点に注意が必要です。

 

・押印の有効性に関する社内規程の変更

・商業登記電子証明書の取得

・閲覧や謄写に応じるための手段の用意

取締役会を設置するメリット

取締役会は該当する会社でなければ設置しなくても問題ありませんが、設置により以下のようなメリットを得られることは覚えておきましょう。

 

・株主総会での承認が必要な事項についてあらかじめ決定できる

・社会的な信用につながる

 

株主総会が1年に1回の開催であるのに対し、取締役会は1年に3回以上開催します。

そのため、株主総会の前に承認が必要とされる事項について取締役会で決定しておくことが可能です。

これにより経営がスムーズになるという点は大きなメリットです。

取締役会を設置するデメリット

取締役会の設置により、以下のようなデメリットも発生する可能性があります。

 

・法的に有効な取締役会とするための準備に手間がかかる

・役員報酬の負担が増える

 

取締役会には3人以上の取締役を選定し、監査役や会計参与も設置する必要があります。

さらに取締役会への出席が必要となる分、役員報酬の負担が増えることにもつながります。

取締役会の運営サポートは法務が担当する場合もある

取締役会は、法務部が運営サポートを担うケースも珍しくありません。

 

原則として取締役会の招集や議論を実際に行うのは取締役ですが、その他スケジュール調整や招集通知の作成・送付、取締役会議事録の作成・保存は取締役でなくとも可能です。

会社法の知識が求められる取締役会では、法務部が円滑な運営のために業務支援を行う場合もあります。

取締役会は会社法に関わる重要な機関!規定に沿って正しい運営を

取締役会を設置することで、経営に関わる意思決定を迅速化したり社会的信用を高めたりといったメリットにつながります。

ただし会社法では取締役会に関する取り決めがいくつかあり、意思決定を法的に有効なものとするには会社法の知識が必要です。

電子署名サービスを活用した議事録の電子化など、現代ならではのサービスも上手に取り入れながら取締役会を正しく運営しましょう。

 

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