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ノウハウ 株主総会はいつまでに招集する?招集権者や招集通知方法は?

更新日:2024年10月17日

投稿日:2023年12月29日

株主総会はいつまでに招集する?招集権者や招集通知方法は?

株主総会はいつまでに招集する?招集権者や招集通知方法は?

株主総会は、期限内に招集通知が必要です。
では、いつまでにどのような方法で、そして何を通知すれば良いのでしょう。また、誰が招集できるのでしょう。


本記事では、株主総会の招集に関する内容をまとめています。
電子提供制度によって招集方法が変わったのかなども解説します。

 

 

株主総会の招集権者

株主総会を招集するのは、基本的には取締役です。ただし、会社法では株主が招集できるケースについても定めています。

取締役

会社法第298条第4項より、取締役会設置会社の場合、取締役会による株主総会招集の決議を経て、代表取締役が招集します。

 

取締役会非設置会社の場合、取締役が複数いる場合、取締役の過半数以上の決定により、株主総会を招集します。会社法第348条第2項で、取締役が2人以上いる場合は、取締役の過半数をもって決定すると定められているためです。

招集は取締役が行います。

 

取締役会設置会社で取締役会の決議を経ずに代表取締役以外の者が株主総会の招集を行った場合、決議を無効とする理由にはなり得ます。ただし、必ず無効になるとは言い切れません。

取締役会の決議によらず、かつ、取締役以外の者が招集している点で、当該招集により開催された株主総会は法律上の意義におけるものではない点で、不存在となります。

株主

株主総会を招集するのは、取締役が原則です。しかし、会社法の定めに則っていれば、例外的に株主が招集できます。例えば、取締役を解任させなければならないにもかかわらず、取締役が当該取締役に忖度して招集しない時などです。

 

会社法第297条第1項では、総株主の議決権の100分の3(これを下回る定款の定めがある場合は定款に規定の割合)以上の議決権を6ヶ月(定款がこれを下回る期間を定めていれば定款の期間に従い、非公開会社の場合はこの期間制限はない。)前から引き続き持つ株主は、取締役に株主総会の目的である事項(株主が議決権を行使できる事項に限る)と招集の理由を示すことで、招集を請求できることになっています。

会社法第297条第4項1号・2号より、以下の場合は、裁判所の許可を得て株主総会を招集できます。

  • 請求の後、遅滞なく招集の手続きが行われない
  • 請求があった日から8週間(定款が8週間を下回る期間を定めていれば定款の期間)以内の日を株主総会の開催日とする通知がない

株主総会の開催時期

株主総会には定時株主総会と臨時株主総会があり、臨時株主総会は必要な時にいつでも開催できます。

定時株主総会は、毎事業年度終了から一定の時期に開催しなければならないことが、会社法第296条第1項で定められています。

株主総会の招集通知 期間・期限

会社法第299条で定められています。

取締役が株主総会の日の2週間前までに、招集通知をしなければなりません。

 

非公開会社で株主が書面・電磁的方法いずれでも議決権を行使しない場合は、1週間前までに通知します。

取締役会を設置していない会社が定款で1週間より短い期間を定めていれば、期限は定款に従います。

株主総会招集通知の方法

会社法第299条第2項2号で、取締役会設置会社は書面で招集通知をしなければならないと定めています。

株主の承諾があれば、メールなど電磁的方法による通知も、会社法第299条第3項で認められています。

 

取締役会非設置会社で書面や電磁的方法による議決権の行使を認めない場合は、口頭や電話での通知も可能です。

株主総会の目的事項の記載

会社法第299条第4項で、招集通知の記載事項を定めています。そのうちの1つが、株主総会を開催する目的です。例えば、取締役の解任などを指します。

 

決議されることが事前に分かると、議決権を持つ株主は、賛成か反対か考えるなど総会に備えることができます。

通知を読めば決議事項の概要が分かる書き方がポイントです。詳細までは書かなくても問題ありません。

株主総会招集の記載事項

会社法第299条第4項を読むと、株主総会を開催する目的以外にも、通知に記載しなければならない事項があると分かります。

 

下記が記載の必要な事項です。

  • 株主総会の日時と場所
  • 目的事項
  • 出席しない株主が書面か電磁的方法で議決権を行使できる時は行使できる旨

招集の手続

株主総会当日までにやらなければならないことを流れにしてまとめました。

 

  1. 議決権を行使できる株主の確定
  2. 株主総会の日時・場所・目的の決定
  3. 株主総会の招集通知
  4. 株主総会の開催

 

株主は株式の譲渡で変わる可能性があります。議決権を行使できる株主を明らかにする、招集通知を行うなどは、株主を把握していないとできません。

会社法第124条第1項は、一定の日(基準日)に株主名簿に記載・記録されている株主が権利を行使できる者と定めることができるとしています。

 

会社法第124条第2項により、基準日を決める場合、基準日と行使できる権利の内容について定めなければなりません。行使できる権利については、基準日から3ヶ月以内に行使できるものに限られます。

基準日を決定したら、会社法第124条第3項に従って、基準日の2週間前までに告知するか、事前に定款で定める必要があります。

 

会社法第300条で、株主全員の同意があれば招集手続を省略できるとしています。ただし、書面か電磁的方法で議決権を認める場合は、省略できません。

 

招集手続の不備、例えば一部の株主に通知が行き届いていない、招集に関する取締役の決定または取締役会の決議がないなどがあれば、株主総会決議の日から3ヶ月以内に決議の取り消し請求を訴えられることを、会社法第831条第1項1号で定めています。

不備が重大なものではなくて、決議に影響を及ぼさないと判断されれば、取り消しはされないこともあります。ですが、株主総会を適法に開催するため、そして、株主に不信感を抱かれないためにも、期限内に必須事項が記載された通知を株主に漏れなく行いましょう。

株主総会の開催場所

株主総会はホテルやイベントホール、貸会議室など様々な会場で開催されます。新型コロナをきっかけに、オンラインでの開催も増えてきました。

 

会場の多様さから分かる通り、法令で開催場所が決められているわけではありません。ただし、会社法施行規則第63条第2項に則り、以下のケースを除き、過去の開催場所から大きく離れた場所で開催する時には、決定理由を招集通知に記載しなければなりません。

 

  • 定款で定められた場所
  • 開催場所について株主総会に参加しない株主全員が同意している

 

▶関連記事:バーチャル株主総会とは?形式や開催方法を解説

株主総会書類の電子提供制度

会社法の改正で、2023年3月1日以降に開催の株主総会から、株主総会資料の電子提供制度が始まりました。

概要

電子提供制度とは、株主総会資料がウェブサイトなどへの掲示によって提供される制度です。株主にURLなどを書面で通知する必要はあります。

対象となる資料は、株主総会参考書類、事業報告、監査報告、計算書類、連結計算書類です。

 

上場会社などで振替株式を発行する会社は、2023年3月1日以降の株主総会からは、制度を利用しなければならなくなっています。振替株式を発行しない非上場企業は、定款の変更で利用できるようになっています。

 

株主総会の日の3週間前までか招集の通知を発した日の早い日までには、ウェブサイトに掲載していることが求められます。URLを記載した招集通知は、2週間前までに行います。

 

従来通り書面の資料を受け取りたい株主の方は、書面交付請求が必要です。株式会社は請求があったら、資料に記載すべき事項を記載した書類交付を行います。

電子提供の実施に必要なもの

上場会社か否かで手続きは異なります。

 

ただし、サーバーの問題などでオンライン上で資料を閲覧できない期間があった場合、会社法第325条の6により、電子提供されていないと見なされます。複数のサーバーにアップロードしておくと安心です。

 

下記全てを満たせば、電子提供されていなかったとは見なされません。

  • 中断に株式会社に重大な過失がない(正当な理由がある)
  • 中断期間が電子提供期間の10分の1を超えない
  • 中断開始から株主総会の日までに中断が発生した場合、10分の1を超えない
  • 株式会社が中断を知ってから速やかに中断時間・内容と同様の電子提供を行う

 

万が一の時には、上記を証明できるようにしておくことが大切です。

上場会社の場合

  • 電子提供制度を利用する旨の定款変更(みなし適用があるため必須ではありません。)

※ウェブ開示によるみなし提供制度を利用する旨を定款に定めていた場合は削除

  • 電子提供措置に関する登記
  • 株主への周知

 

なぜ、みなし提供制度に関する定款を削除する必要があるのか補足します。

みなし提供制度は、定時株主総会の招集通知の際に計算書類(株主資本等変動計算書・個別注記表)などを添付して株主に提供する制度です。全ての書類で利用できるわけではなく、例えば、計算書類のうち貸借対照表と損益計算書は対象外です。株主総会参考書類と事業報告も、一部対象外となります。

電子提供制度であれば、みなし提供制度を利用できなかった書類も網羅します。故に、みなし提供制度は不要となると思われることから、定款の記載も削除した方が良いということです。

 

登記を行うのは、みなし提供制度の削除だけではありません。

電子提供制度を利用する旨の定款変更と変更年月日についても、登記が必要です。振替株式を発行している会社であることを証明する書類も添付します。

1件につき3万円の登録免許税がかかります。

 

ウェブサイトでの閲覧が難しいなどの理由で、書面交付請求が必要な株主もいます。電子提供制度により資料の送付が不要となったこと、書面交付請求を行えば必要事項を記載した書面を送付することなどをお知らせすると親切です。

 

非上場企業の場合

  • 電子提供措置に関する事項を定める定款変更
  • 電子提供措置に関する登記

 

非上場企業の場合、電子提供措置の登記に際し、振替株式を発行している会社である証明の添付の代わりに、株主総会議事録と株主リストの添付が必要です。登録免許税3万円/件がかかるのは、上場企業と共通します。

 

非上場企業では、定款を変更しない限り、株主総会資料をオンラインで閲覧できることを想定していないと思います。電子提供制度を利用する場合は、ログインID・パスワードを設定するなどで株主のみが見られるようにしておくことをおすすめします。

 

メリット・デメリット

 

メリット

デメリット

  • 印刷・郵送にかかる費用と時間を抑えられる
  • 株主は従来より早く資料を確認できる
  • ウェブサイトの運営・保全が必要になる
  • 閲覧できない期間と対策によっては電子提供されていないと見なされる

 

書面交付請求されたら、必要事項が記載された書類の作成などに対応しなければならない点にも注意が必要です。

まとめ

株主総会を招集するのは、基本的には代表取締役です。取締役会のない会社であれば、取締役が招集します。株主が招集できるケースもあります。

 

原則として総会の2週間前までに、株主総会の日時・場所・目的を記載した招集通知をしなければなりません。

電子提供制度の開始によって、株主総会資料の送付が不要になりました。コストを抑えながら、株主に従来より早く資料を提供できるようになります。

オンライン上で閲覧できない期間が長引くと、電子提供されていないと看做されるなどの注意事項もあります。会社側の不具合で資料を確認できないことがないよう、ウェブサイトの運営・保全にも気をつけましょう。そして、資料を閲覧できるURLの記載と共に、期限に遅れずに招集通知を発することで、総会を適切に開催できます。