ノウハウ モチベーションリソースとは?測定方法から活用の仕方・注意点まで解説します
更新日:2024年10月17日
投稿日:2023年10月20日
モチベーションリソースとは?測定方法から活用の仕方・注意点まで解説します
モチベーションを高く維持できることは働く上で良い影響を及ぼします。
何が仕事の原動力となるかは人それぞれです。様々なやりがいの源をいくつかに分類したものがモチベーションリソースです。
モチベーションリソースとはいくつ存在し、モチベーションアップするポイントにどのような違いがあるのでしょう。
モチベーションリソースの種類ごとの特徴をひと目で分かるよう本記事でまとめました。測り方から活用方法、用いる際の注意点についても解説しています。
モチベーションリソースとは?
モチベーションリソースとは、個人を動かす活力となるものです。
モチベーションリソースはひとりひとり異なります。どのような仕事・働き方でやる気が出たりやりがいを感じるか人によって違うことを考えると予想できるのではないでしょうか。
例えば、フットワークの軽さを活かして全国を飛び回る仕事をしたい人もいれば、趣味の時間と両立して自分の好きなことに関連する仕事をしたい人もいます。
適性検査でも、知的能力とパーソナリティに加えて測定されるようになっています。従業員に適切な業務・職種の割り当て、人事評価の基準の作成やモチベーション管理などに活かせます。
従業員が活き活きと働ける環境を整えるには、モチベーション管理は欠かせません。従業員の求めることを把握することがモチベーション管理で重要です。
ひとりひとりのモチベーションアップ・ダウンの要因を知ることで、適した仕事を任せたり役職に付かせたりできます。
従業員が自身に向いていると感じる仕事ができ、業務を通じてポジティブな気持ちになれると、ますますやりがいを覚えるでしょう。そして、仕事に前向きに取り組んだ結果、企業の売上アップへの貢献を期待できます。
モチベーションリソースの種類
モチベーションリソースは、5つの要素に分けられます。
【モチベーションリソースの種類】
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さらに各要素は2つずつに分類できます。要するに、合計10種類のモチベーションリソースがあるということです。
働く上でどのようなことに価値観を置いているかまとめました。
モチベーションリソース | 仕事に求めること | |
リードする | 統率 |
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挑戦 |
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探求する | 専門性 |
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創造 |
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人とつながる | 新和 |
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貢献 |
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環境や基盤を整える | 安定 |
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金銭 |
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評価される | 承認 |
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注目 |
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社員のモチベーションリソースを測る方法
他者のモチベーションリソースを決めつけることはできません。従業員自身が自分が仕事で重視していることを分析し、開示しない限り、上司は知ることができないということです。
では、どのように従業員のモチベーションリソースを測定するのでしょう。
検査・ツールの活用
モチベーションリソースを測定できる適性検査を受検してもらいます。
回答を通じ、従業員は自分の価値観やどのような仕事・働き方を望んでいるか自分で気づくきっかけを得られます。
ツールはさまざまな企業が提供しています。料金、試験時間が従業員の負担とならないか、検査後にどのようなアフターフォローを受けられるかなどを比較検討してみてください。
1on1ミーティング
検査結果は必ず従業員にフィードバックしましょう。
フィードバックすることで、上司は部下のモチベーションリソースを深く理解でき、今後の人事戦略に活かせます。
フィードバックの場におすすめなのが1on1ミーティングです。1on1ミーティングとは、上司と部下が1対1で対話する場を設けることを目的としたミーティングです。
従業員はフィードバックしてもらうことで、自身が興味・関心のあること、モチベーションの上がることなどを再認識できます。
どのような仕事をしていきたいか、どのような仕事にやりがいを感じるかなど、モチベーションアップの要因を踏まえた今後のキャリアプランを話し合えるはずです。
モチベーションリソース活用方法
モチベーションリソースが分かると、何がモチベーションを高め、高いまま維持できるようになるか予想できるようになるため、部下のモチベーション管理に活用できます。
採用段階でも活かせます。
業務の割り当てや目標設定
やりがいを感じる仕事を任せることで、「長く今の仕事を続けたい・今の会社で働き続けたい」と思ってもらいやすくなります。質の高い仕事を積極的にこなすことによる業績アップへの貢献も期待できます。
既に紹介したように、どのようなことでモチベーションが上がるかは人それぞれです。そこで、やる気の出る仕事を割り当てるための指標となるのがモチベーションリソースです。
例えば、モチベーションリソースが「リードする」ことの従業員を、新しいプロジェクトのリーダーに任命するなどです。
「探求する」なら高度なスキルが求められる仕事や新製品の開発などに向いていそうです。
「人とつながる」がモチベーションリソースの従業員は、外部とのやりとりの多い業務にやりがいを感じるのではないでしょうか。個人プレーよりチームプレーが重視される環境だと力を発揮しやすいでしょう。
働く上で環境や基盤を整えることをないがしろにする人はいないと思います。
仕事ぶりへの反響がないとやりがいを感じにくいことから、評価されることも重要なポイントです。
長時間労働が起こりにくい仕組みづくりや業務の割り当て、仕事に集中できる環境づくりなどは社内全体で心がけましょう。
検査で分かったモチベーションリソースの結果だけではなく、従業員の業績・仕事ぶりを高く評価していることのフィードバックも大切です。給与や報酬に反映することで、スキルアップしていて評価してもらっていると気づきやすいです。
賞賛される仕事に関心のある従業員にSNSを運用させるのも面白いかもしれません。話題になれば従業員がすぐに気づき、自分の仕事が評価されたと実感できるでしょう。
組織のミッションを達成するためには、小さな目標をひとつひとつクリアしていくと上手くいきます。
組織の発展につながるのが、従業員が個人の目標を立てて達成することです。従業員のモチベーションアップにつながる目標を設定するためにも、モチベーションリソースは参考になります。
目標達成までの難易度が高過ぎる場合、リードする、中でも困難に立ち向かうことに関心のあるタイプであれば、やり遂げようと頑張れるかもしれません。
一方、無理せず働けることを重視する安定を求めるタイプだと、ゴールが見えないことに不安を感じてモチベーションが下がる可能性もあります。
最初から難しいことにチャレンジしなくても、自分も他のメンバーも働きやすい仕組みや環境を整えた結果、挑戦できる機会やゆとりが生まれるものです。「○○の効率アップを図る(そのためにひとめで使いやすい雛型を作成する)」などの目標を立てる方が良い結果につながる人もいることを念頭に置きましょう。
採用面接
応募者のモチベーションリソースは、自社にマッチする人材か否かの判断材料に使えます。
企業理念や成長率(ベンチャー企業であれば急拡大をしている)、仕事の裁量が大きい点などに惹かれて入社したい人は、幹部候補になりそうです。
自分の得意なことを活かしたい、適性に合った仕事をしたい人は、特定のスキルを使った仕事やこれまでの経歴を踏まえたキャリアアップを目的に転職を検討しているかもしれません。他の職種では入社しない可能性を考慮し、一緒に仕事をする部署・チームのトップと面談機会を設けたり、選考の一環として体験入社を導入すると良いのでは、といった採用戦略を立てられます。
注意点
モチベーションリソースを上手く活用するためには、一度の検査結果だけを参照すれば良いというものではありません。
モチベーションリソースによってモチベーションを上げるのに有効なことが違う点にも注意が必要です。
モチベーションリソースは変わらないものではない
モチベーションリソースは一生変わらないものではありません。プライベートの環境の変化や仕事・働き方に関するセミナーの受講などで変化することは十分あり得えます。
若い時は給与よりも自分の好きなことを仕事にしたいと思っていた人が、結婚を機に安定を求めたり、ライフワークバランスを大事にする会社で働きたいと思うようになった話を聞いたことのある方は少なくないと思います。
これまでバリバリ働いていた人が、定年退職を前に興味のあったことにチャレンジできる仕事に興味を持つようになったといった事例もあることを考えると、モチベーションリソースの変わる可能性に納得できるのではないでしょうか。
職場の人たちの「今」のモチベーションリソースを測定するには、定期的な検査が重要です。
モチベーションアップに有効なことはモチベーションリソースで異なる
働く上で重要なことは安定や金銭という人もいることから、基本給をアップしたり賞与が貰いやすい仕組みにすればモチベーションアップを図れると考えるかもしれません。
生活の不安を少なくするため、また、気分転換にお金を使えるためには、手取りは少ないよりは多いに越したことはありません。
ただし、モチベーションリソースには5つの要素があることを忘れてはなりません。要するに、収入が増えることがモチベーションアップにつながるとは限らない人がいることも想定されるということです。
例えば、専門性の高い業務に携わりたい人と世間からの反応を直に感じられる仕事をしたい人では、スキルアップ・キャリアアップの考え方もやりがいを感じることも違うでしょう。
仕事に対して給料以上に求めることがある場合、やりたいことや自身のスキルを活かせる仕事に積極的に取り組めることを優先でき、スキルアップの結果、収入アップにつなげたい人もいます。
テレワークやフレックスタイム制の導入など、ひとりひとりがパフォーマンスを発揮しやすい環境を整えるといった、働きやすさへの配慮も重要になります。
効率が上がって残業が減れば、プライベートを大事にしたい従業員にも魅力的です。ワークライフバランスがとれることで仕事へのやる気も高まると思われるためです。
多様な働き方が幅広い従業員のモチベーションアップに貢献する可能性を秘めています。
まとめ
モチベーションリソースとは、モチベーションが上がる要因となるものです。
何でやる気が出るかは人それぞれで、5つの要素に分けられます。各要素は2つずつあるので、合計10のモチベーションリソースがあるということです。モチベーションアップのきっかけがどれほど多いか想像できたのではないでしょうか。
従業員のモチベーションリソースを把握するためには、モチベーションリソースを測定できる適性検査が有効です。多様なサービスが提供されているので、従業員とのミーティングを通じてキャリアプランがクリアになるのに活かせるようなツールを選定しましょう。
求職者が転職する理由と自社で採用したい人材像がマッチするか判断するのにもモチベーションリソースは役立ちます。ただし、仕事やプライベートでのあらゆる経験によって変わる可能性のあるものなので、入社後も定期的に検査することが大切です。
給与が高い方が働くモチベーションも上がるというのは一理あります。
生活や心のゆとりを持つためにもお金は多い方が良いことを理解していても、金銭以上に仕事に求めるもの、例えば自分にしかできない仕事を任せてもらえることなどにやりがいを見いだす人もいます。
従業員のモチベーションを上げるためには、収入アップ以外にも取り組むべきことがあるかもしれません。
検査結果、従業員とのミーティングを活用しながら、組織に属する全ての人が前向きに働ける仕組み・環境を整えていきましょう。