ノウハウ マイルストーンとは?意味・使い方・書き方などわかりやすく解説
更新日:2024年10月17日
投稿日:2023年10月18日
マイルストーンとは?意味・使い方・書き方などわかりやすく解説
ビジネスシーンで使われることが多い「マイルストーン」という用語。
プロジェクトの管理ではマイルストーンの設定が重要となりますが、その意味について深く理解できていない方も多いことでしょう。
また、タスクやスケジュールなどとの区別がつかず、マイルストーンの使い方について困った経験がある方もいるはずです。
そこで今回は、ビジネス用語としてのマイルストーンの意味や各類語との違いをわかりやすく解説します。
マイルストーンの使い方や作成方法もご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
ビジネス用語としての「マイルストーン」とは
ビジネスのシーンでの「マイルストーン」は、プロジェクトや作業における中間の目標地点を指す言葉として使われています。
中間の目標地点の具体例を挙げると、「企画案決定」「要件定義」「設計」「製造」などです。
長期的・複雑な工程を伴うプロジェクトや作業の途中に存在する、重要な工程をマイルストーンとして設定します。
マイルストーンを設定する目的
マイルストーンは、プロジェクトや作業工程の中で重要なポイント、遅延により大きな影響が及ぶポイントを把握するために設定します。
特に数ヵ月単位や年単位の長期的なプロジェクトに取り組む場合、「今行っている工程が何につながるのか」「何を目的とした工程をしているのか」などと、各工程の意義やゴールを見失うメンバーが現れかねないことが懸念点です。
マイルストーンを設定すれば、常に何らかの目標を見据えながらプロジェクトを進められるため、ゴールを見失いにくくなります。
また、小さな目標を1つ1つ達成するという成功体験の積み重ねで、メンバーのモチベーションも維持できるという効果も見込めます。
クラウドソーシングの支払い方法に活用されることも
近年はクラウドソーシングを活用し、プロジェクトの工程ごとに分業のうえ外部へ依頼をするケースも増えています。
クラウドソーシングによっては、依頼したい業務についてマイルストーンを設定しながら複数の工程で区切っておき、各工程が完了するごとに報酬を支払うことも可能です。
設定したマイルストーンごとに報酬を支払う契約のことは、「マイルストーン払い」と呼ばれています。
このように、マイルストーンは社内で進行するプロジェクトや作業だけでなく、クラウドソーシングでも使われることがあります。
マイルストーンの本来の意味
マイルストーン(milestone)は、距離を表す単位の「マイル(mile)」と石という意味を持つ「ストーン(stone)」を組み合わせた英単語です。
ローマ帝国の主要な鉄道にて、現在の距離を把握するために出発地から一定の距離ごとに設置されていた石が語源となっています。
マイルストーンと混同されがちな用語と違い
マイルストーンは、以下のように意味合いが似た用語と混同されることも多いです。
・スケジュール
・フェーズ
・ロードマップ
・タスク
・ガントチャート
・クリティカル・パス
・メルクマール
それぞれプロジェクトや作業の工程を管理するうえで重要な存在ではありますが、マイルストーンとは異なる意味を持ちます。
以下より、各用語とマイルストーンの違いについて詳しく解説します。
スケジュールとマイルストーンの違い
スケジュールとは、プロジェクトにおける「全体」の予定を指す言葉です。
一方でマイルストーンは、スケジュールの中で複数設置された重要な「中間目標地点」のことを指します。
この2つはどちらも全く異なる意味を持ち、どちらもプロジェクトの円滑な進行に欠かせません。
一般的には、あらかじめ作成したスケジュールを元に重要な節目や区切りをマイルストーンとして設定するという方法で活用されます。
フェーズとマイルストーンの違い
フェーズとはプロジェクトを進めるうえでの「段階」を指す言葉で、マイルストーンと意味合いが似ているため混同されることが多いです。
フェーズに含まれるのは、立案・計画・実行・コントロール・終結といった大まかな段階です。
上記はマイルストーンとして設定されることもありますが、マイルストーンはそれに加えて各段階に至るための中間目標も設定されるという点が大きな違いです。
具体的には中間発表・テスト・リリースなどフェーズという括りの中に存在する節目もマイルストーンになるため、必ずしも内容がフェーズと完全に一致するとは限りません。
ロードマップとマイルストーンの違い
ロードマップは、目標までの道のり・道筋をまとめたものです。
スタートからゴールまでのスケジュール・フェーズを表などでまとめ、長期的なプロジェクトでも全体像を見失うことを防止できます。
ロードマップはプロジェクト全体を俯瞰して見るためのもので、どちらかといえばスケジュールと意味合いが近い用語です。
マイルストーンはその全体の中に複数設置する中間目標地点なので、ロードマップと併せて活用する場合もあります。
タスクとマイルストーンの違い
タスクは、仕事の中に存在する業務の単位を指します。
プロジェクトを構成する数々のフェーズは各担当者が行う細かな業務(タスク)の集合体であり、全体の中ではマイルストーンよりも数多く存在します。
プロジェクトをスムーズに進めるには、まず必要なフェーズとタスクを洗い出す必要があります。
その中でも特に重要なタスクをマイルストーンとして設定し、スケジュール管理がしやすくするというのがタスクとマイルストーンの主な活用方法です。
つまり、マイルストーンはタスクを積み重ねる中で達成するべき目標地点の役割を持ちます。
ガントチャートとマイルストーンの違い
ガントチャートは、プロジェクトのスケジュールをタスク単位で管理するための表です。
タスクの作業内容・担当者・開始日・終了日・期日などの欄を設け、その都度記入することでタスクごとの進捗管理や着手漏れ防止に役立ちます。
マイルストーンは、そのガントチャート上に設置する中間目標地点です。
重要な節目をマイルストーンとしてガントチャートに設定すれば、タスクの遅延・着手漏れがないかどうかを確認できます。
ガントチャートがスケジュールを管理するための「全体像」であるのに対し、マイルストーンはスケジュール管理を楽にするための「手段」ということです。
クリティカル・パスとマイルストーンの違い
クリティカル・パスとは、プロジェクト完了のために実行するべきタスクを特定する手法のことで、主に大規模なプロジェクトで活用されています。
直訳すると「重大な経路」で、その言葉の通りプロジェクトの全工程を迅速に完了させるために重要な作業経路、つまり完了までの最短距離がクリティカル・パスです。
その作業経路に設置する、プロジェクトの進行ペースを把握するための目印がマイルストーンとなります。
メルクマールとマイルストーンの違い
メルクマールは「中間目標」「ゴール」などの意味を持つドイツ語で、マイルストーンと特に混同されやすい用語です。
メルクマールとマイルストーンはどちらも重要な節目に設置されますが、設置の目的がやや異なります。
マイルストーンはプロジェクトが期日通りに進んでいるかを確認するため、メルクマールはその時点で目標を達成できているのか確認するために設置します。
とはいえ、マイルストーンもメルクマールと同様に目標の達成率を確認する際に有効な手段であるため、両者は同義語として扱われています。
【利用シーン】マイルストーンの使い方
マイルストーンが使われるシーンは様々ですが、その中でも代表的な例が以下の通りです。
・ソフトウェア開発
・WEB記事制作
・新商品開発
・新規プロジェクトの進行
どのような工程がマイルストーンと設定されるのかは、活用シーンごとに異なります。
以下より、代表的な4つのシーンにおけるマイルストーンの使い方をご紹介します。
ソフトウェア開発の場合
IT業界におけるソフトウェア開発では、主に以下のような工程にマイルストーンが設置されます。
・要件定義
・内部設計
・外部設計
・各種テスト(単体テスト・結合テスト・総合テスト)
・受入テスト
・リリース
また、ソフトウェア開発ではマイルストーンと併せてガントチャートも用いられることが多いです。
WEB記事制作の場合
WEBサイトに掲載する記事制作の場合、以下のような工程にマイルストーンが設置されます。
・リサーチ
・構成案の作成
・記事執筆
・校正
・修正
・コーディング
・公開
記事の公開日を最終的な期限として、コーディングから校正、記事作成…と後から順に工程を遡りながらそれぞれの期日を定めてスケジュールを確定させます。
新商品開発の場合
新商品開発の場合、マイルストーンとして設定される工程は以下の通りです。
・企画立案
・商品設計
・量産設計
・試作
・評価
・パッケージデザイン完成
・量産
新商品開発においては全工程というよりも、期日が明確に決まっている工程や後戻りができない重要な節目にマイルストーンを設置することが望ましいです。
新規プロジェクトを行う場合
内容にもよりますが、新規でプロジェクトを立ち上げる場合にマイルストーンが設置される基本的な工程は以下の通りです。
・企画立案
・プロジェクトの細分化(タスクの洗い出し)
・プロジェクトの実行
・監視とコントロール
・振り返り
また、社内に新システムを導入するプロジェクトであれば上記に加えてシステム環境の構築や担当者への研修、業務シミュレーションとそのデータ検証も重要なため、マイルストーンを設置すると良いでしょう。
「マイルストーン」に関する会話例文
現場によっては、仕事上の会話で頻繁に「マイルストーン」という言葉が飛び交うこともあります。
いざという時に混乱しないためにも、以下の例文を参考に会話の中におけるマイルストーンの使い方を理解しておきましょう。
・このプロジェクトのマイルストーンは、時系列順に並べると以下のようになります ・次のマイルストーンに影響が出ないように作業を進めましょう ・次のマイルストーンは記事執筆です ・現在は〇つ目のマイルストーンに到達しています |
マイルストーンを設定する際の書き方
マイルストーンを設定するにあたって、いつでも進捗管理ができるように表として書き出しておく必要があります。
しかし、初めてマイルストーンを設定する場合は何から着手すれば良いか分からず作成が滞ってしまいがちです。
マイルストーン作成の手順は、大きく2つのステップに分けられます。
以下のステップを参考にしながら、マイルストーンを設定してみてください。
ガントチャートを作成する
マイルストーンの設定でまず必要となるのが、ガントチャートの作成です。
ガントチャートとは、いくつかの項目に分けてプロジェクトの作業内容を表形式にまとめる手法をいいます。
担当者や作業内容の欄を縦軸、日にちを横軸に設置したガントチャートにその都度進捗を書き込んでおくことで、プロジェクト全体の進捗状況を一目で把握できます。
また、作業工程の中で日数的に実現不可能な部分がないか、1つの作業に複数の担当者が配置されていないかなど、プロジェクトにおける綻びをいち早く見つけてトラブルの発展を防止できる点もメリットです。
ガントチャートにマイルストーンを書き込む
ガントチャートを作成したら、マイルストーンとなる工程を設定のうえ書き込みましょう。
【例】
タスク | 担当者 | 2023年10月 | |||||||||||
1 | 2 | 3 | … | 15 | 16 | 17 | … | 29 | 30 | 31 | |||
マイルストーン | ★ | ★ | ★ | ||||||||||
タスク1 | 田中 | ||||||||||||
タスク2 | 鈴木 | ||||||||||||
タスク3 | 高橋 |
マイルストーン配置のポイントとしては、上長やプロジェクト関係者への進捗報告を想定のうえ、重要なポイントをマイルストーンとすることです。
過剰に細かく設定すると分かりにくくなるため、各タスクの詳細なスケジュール管理は担当者に一任すると良いでしょう。
マイルストーンを設定する際の注意点
プロジェクト進行の円滑化に効果的なマイルストーンを設定するためにも、以下3つのポイントに注意が必要です。
ステークホルダーを明確にすること
工程ごとに誰とやり取りするべきかを把握するため、ステークホルダーを洗い出しましょう。
あらかじめステークホルダーを明確にすれば、「この工程で遅延が生じたとき誰に影響が出るのか」を予測できます。
特に、他部署や外部企業などとのやり取りが発生するプロジェクトならステークホルダーの洗い出しは必須です。
現実的なスケジュールを組むこと
作業担当者にタスクの量や各タスクの期日について確認し、無理のないスケジュールを組んでマイルストーンを設定することも大切です。
期間に余裕を持たせたマイルストーンを設定すれば、途中で予期せぬタスクが増えても柔軟に対応できます。
タスク漏れがないかよく確認すること
マイルストーンの設定後は、メンバーへ共有する前に必ずタスク漏れがないかどうかを確認しましょう。
タスク漏れがあるとプロジェクトの遅滞につながり、スケジュール通りにマイルストーンへ到達できない可能性があります。
マイルストーンを正しく活用してプロジェクトの円滑化を!
マイルストーンは、プロジェクトにおける中間目標地点を指すビジネス用語です。
あらかじめプロジェクトのスケジュールやタスク、担当者を記した「ガントチャート」にマイルストーンを設定することで、プロジェクトを円滑に進めることができます。
大規模・長期的なプロジェクトはもちろん、日常的な業務にもマイルストーンの活用はおすすめです。
本記事を参考にマイルストーンを上手に使い、チーム全体の業務効率・タスク管理スキルを向上させましょう。
【システム導入プロジェクトをスムーズに進めたい方へ】プロジェクト管理とは?基本的な流れや管理手法など徹底解説