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ノウハウ デジタルガバナンスコードとは?2.0や実践の手引き2.0の内容を解説

更新日:2024年10月17日

投稿日:2023年09月25日

デジタルガバナンスコードとは?2.0や実践の手引き2.0の内容を解説

デジタルガバナンスコードとは?2.0や実践の手引き2.0の内容を解説

デジタルガバナンスコードは経済産業省が提唱しているもので、急激にデジタル化が拡大している社会に適応するために企業が行うべき事柄のことです。

 

この記事では、デジタルガバナンスコードの意義や目的、経済産業省が提唱している具体的な事柄について、分かりやすく解説します。

また、DX認定制度の概要や、認定を受けるメリット、実践方法についても詳しく解説します。

 

 

 

デジタルガバナンスコードとは?

まずはデジタルガバナンスコードの概要を解説します。

 

デジタルガバナンスコードが最初に策定されたのは2015年ですが、2018年と2021年にそれぞれ改訂されており、時代に応じた変化が求められています。

そのため、定期的に内容をチェックし、適宜情報をアップデートするようにしましょう。

企業がデジタル社会において実践すべき事柄のこと

デジタルガバナンスコードとは、経済産業省が企業に求めている取り組み・実践をまとめたもので、デジタル社会への変革を踏まえた経営ビジョンの策定や公表などが内容となっています。

 

また、経営者自身が明確案企業理念やビジョンをもつだけではなく、具体的な組織・仕組み

プロセスを確立し、常にその実態を把握することも求められています。

 

企業にとってデジタルガバナンスコードは、社会の変化や法令に対応するためだけではなく、市場でのプレゼンスを高めるためにも重要なものであるため、積極的に対応する必要があります。

デジタルガバナンスコードの目的

経済産業省によると、デジタルガバナンスコードの目的は次のように定められています。

 

あらゆる要素がデジタル化されていくSociety5.0に向けて、ビジネスモデルを抜本的に変革し、新たな成長を実現する企業が現れてきています。一方、グローバルな競争の中で、競合する新たなビジネスモデルにより既存ビジネスが破壊される事例(デジタルディスラプション)も現れています。こうした時代変化の中で、経済産業省では、企業のDXに関する自主的取組を促すため、デジタル技術による社会変革を踏まえた経営ビジョンの策定・公表といった経営者に求められる対応を「デジタルガバナンス・コード」として取りまとめました(令和2年11月9日)。

 同コードの策定から2年が経過したことを受け、経済産業省では、「コロナ禍を踏まえたデジタル・ガバナンス検討会」を開催し、同検討会の議論を踏まえて、必要な改訂を施した「デジタルガバナンス・コード2.0」を取りまとめました。

【引用:デジタルガバナンス・コード – 経済産業省】

 

すなわちデジタルガバナンスコードとは、デジタル社会のなかで国際競争力をもつために、日本企業に推奨されているDX(デジタルトランスフォーメーション)化の推進ということができます。

デジタルガバナンスコードに関する指針

デジタルガバナンスコードに関して、経済産業省では「デジタル・ガバナンスコード2.0」と「中堅・中小企業等向け『デジタルガバナンス・コード』実践の手引き2.0」を公表しています。

 

以下からは、それぞれの概要と具体的な内容を解説します。

デジタルガバナンスコード2.0

デジタル・ガバナンスコード2.0」は、新型コロナウイルス感染症の影響も踏まえ、2021年に改訂された最新版(本稿執筆時点)です。

 

今回の改訂では、デジタル人材の育成および確保が特に重要な経営課題であると明言されている点が特徴であり、DX認定(後述)の基準としてデジタル人材の育成・確保が追加されました。

 

またデジタル分野だけではなく、サステナビリティ・トランスフォーメーション(企業の成長と社会の持続可能性を両立させるための変革)、グリーントランスフォーメーション(カーボンニュートラルと産業競争力向上の両立を目指す変革)についても触れられており、企業が現代ビジネス環境で留意すべきポイントが網羅されています。

デジタルガバナンス・コードを活用するための実践の手引き

デジタル・ガバナンスコード2.0」が包括的・一般的な指針を示すものであるのに対し、「中堅・中小企業等向け『デジタルガバナンス・コード』実践の手引き2.0」にはより具体的な実践方法が記載されています。

 

他社の実例も豊富に掲載されているため、DX化のために何をすればいいのか分からない、具体的なイメージが湧かないという方は、まず最初にこちらに目を通すといいでしょう。

 

中小企業の場合、特にデジタル人材の確保・育成が難しいため、実践の手引きでは外部人材の活用が紹介されています。

 

DX推進は都心部の大企業が行うもの、ともイメージされがちですが、日本経済の根幹を支える中小企業こそ、積極的にDX化を行い、競争力の維持・強化を行うべきともいえます。

デジタルガバナンスコードの4つの柱

デジタルガバナンスコードは、ビジョン・ビジネスモデル、戦略、成果と重要な成果批評、ガバナンス・システムという4つの柱から構成されています。

(1)ビジョン・ビジネスモデル

デジタルガバナンスコードでは以下のように、まず顧客や取引先などのステークホルダーに対して価値創造のストーリーを示すべきだとされています。

 

企業は、ビジネスと IT システムを一体的に捉え、デジタル技術による社会及び競争環境の変化が自社にもたらす影響(リスク・機会)を踏まえた、経営ビジョンの策定及び経営ビジョンの実現に向けたビジネス モデルの設計を行い、価値創造ストーリーとして、ステークホルダーに示していくべきである。 

【引用:デジタルガバナンスコード2.0 – 経済産業省】

 

具体的には、経営者としてデジタル化が自社の事業にもたらす影響につき明確なシナリオを描き、経営方針や経営計画を設計・公表するような取り組みが挙げられます。

(2)戦略

次に、デジタル化に対応した戦略の立案と、組織づくり・人材・企業育成に関する方策の策定、IT システム・デジタル技術活⽤環境の整備に関する方策の策定が求められています。

 

  • 企業は、社会及び競争環境の変化を踏まえて目指すビジネスモデルを実現するための方策としてデジタル技術を活用する戦略を策定し、ス テークホルダーに示していくべきである。
  • 企業は、デジタル技術を活用する戦略の推進に必要な体制を構築するとともに、組織設計・運営の在り方について、ステークホルダーに示していくべきである。その際、人材の確保・育成や外部組織との関係構築・協業も、重要な要素として捉えるべきである。
  • 企業は、デジタル技術を活用する戦略の推進に必要な IT システム・デジタル技術活用環境の整備に向けたプロジェクトやマネジメント方策、利用する技術・標準・アーキテクチャ、運用、投資計画などを明確化し、ステークホルダーに示していくべきである。

【引用:デジタルガバナンスコード2.0 – 経済産業省】

 

具体的な施策としては、デジタル技術を活用した戦略の公表、社員全員のデジタルリテラシーの向上、先進テクノロジーの導入と検証などが挙げられます。

(3)成果と重要な成果批評

DX化に向けたビジョンを掲げ、具体的な戦略を実行したあとは、自主的にその成果を批評し、ステークホルダーに対して結果を公表することが求められています。

 

企業は、デジタル技術を活用する戦略の達成度を測る指標を定め、ステ ークホルダーに対し、指標に基づく成果についての自己評価を示すべきである。

【引用元:デジタルガバナンスコード2.0 – 経済産業省】 

 

例えばDX化に関する事業すべてに関して、KGI(財務目標)と連携させたKPIを設定し、定量的に評価を行ったうえで、ステークホルダーにその結果を開示するような施策が考えられます。

(4)ガバナンス・システム

最後に、経営者がリーダーシップをもってDX化を推進し、社内だけではなくステークホルダーに対しても情報発信を行うことや、取締役がガバナンス体制を構築することなどが求められています。

 

  • 経営者は、デジタル技術を活用する戦略の実施に当たり、ステークホルダーへの情報発信を含め、リーダーシップを発揮するべきである。 
  • 経営者は、事業部門(担当)や IT システム部門(担当)等とも協力し、 デジタル技術に係る動向や自社のIT システムの現状を踏まえた課題を 把握・分析し、戦略の見直しに反映していくべきである。
  • また、経営者は、事業実施の前提となるサイバーセキュリティリスク等に対しても適切に対応を行うべきである。 
  • 取締役会は、経営ビジョンやデジタル技術を活用する戦略の方向性等を示すにあたり、その役割・責務を適切に果たし、また、これらの実現に向けた経営者の取組を適切に監督するべきである。  

【引用元:デジタルガバナンスコード2.0 – 経済産業省】 

 

基本的にデジタルガバナンスコードは経営者や役員に向けられた指針ではありますが、DX化は企業全体での取り組みであるため、従業員やステークホルダーが自らDX化に参加できる仕組みをつくることも重要な業務といえるでしょう。

DX認定制度とは?

デジタルガバナンスコードに基づき、一定の基準を満たす企業は「DX認定」を受けることができます。

 

以下からは、DX認定制度の概要や、認定を受けるメリット、具体的な申請方法と審査基準について解説します。

DX認定制度の概要

DX認定制度とは、デジタルガバナンスコードの基本的事項に対応している企業を認定・公表する制度です。

 

DX認定は以下の4つの段階に分かれており、高い次元でのDX化を実現しているほど上のレベルに認定されます。

 

  1. DX-Excellent企業
  2. DX-Emerging企業
  3. DX認定事業者(DX-Ready)
  4. DX-Ready以前

DX認定を受けるメリット

DX認定を受けるとDX投資促進税制の税額控除の対象となり、DX推進に必要なソフトウェア導入などの投資額に3%~5%の控除または30%の特別償却が可能となるため、より積極的なDX推進が可能です。

 

さらに、DX認定を受けようとする過程において、当然DX化が推進されるため、事業の効率化やコストカットといったDX化のメリットを受けることにもつながります。

 

また、上場企業においては、DX認定を受けることで、東京証券取引所の「DX認定銘柄」にカテゴライズされ、企業のブランディングと企業価値向上につながります。

DX認定制度の申請方法と審査基準

DX認定は、独立行政法人情報処理推進機構(略称:IPA)が実施しており、1年を通していつでも申請でき、中小企業や個人事業主でも申請できます。

 

IPAのWebサイトから認定申請書と申請チェックシートをダウンロードし、必要に応じて資料を添付し提出すると、約60日ほどで認定取得の可否が通知されます。

 

認定基準は、申請企業が「デジタル・ガバナンスコード2.0」に記載されている基準を満たしているかどうかです(参照:DX認定制度 申請要項 (申請のガイダンス) – IPA)。

 

認定機関は2年間と短いため、認定を受けたあとも定期的に状況を整理してアップデートを続け、認定期間が切れる前に再度申請を行うようにしましょう。

まとめ

今回はデジタルガバナンスコードやDX認定に関する基本的な知識を紹介しました。

 

デジタルガバナンスコードは、国の施策として各企業に求めている指針ではありますが、各企業が生産性を高め、業務を効率化するためにも必要な内容となっています。

 

DX化は複雑で、なかなか実践が難しいものではありますが、デジタル化が進むにあたって予想される市場競争関係の変化に対応するには欠かせない施策といえます。

 

「DX認定」など、一定の控除を受けることのできる制度もございます。うまく制度を活用しデジタル化世界においても競争力を保てる効率化されたビジネス基盤を作ることが重要です。

 

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