ノウハウ society 5.0の定義と基本!企業での仕事はどう変わる?
更新日:2024年10月17日
投稿日:2022年01月7日
society 5.0の定義と基本!企業での仕事はどう変わる?
Society 5.0は、内閣府が提唱した新しい社会のありかたです。「超スマート社会」を実現するためには、どのような取り組みが必要になってくるのでしょうか。
ここでは、Society 5.0の定義や基本的な情報、各企業において仕事にどのような変化が起こるのかなどについて解説します。
「Society 5.0」を1分で説明すると
Society 5.0とは、IT技術を駆使した「超スマート社会」の実現を目指す取り組みです。
もう少し詳しく!Society 5.0の定義と基本
『サイバー空間とフィジカル空間が高度に融合した「超スマート社会」を未来の姿として共有し、その実現に向けた一連の取り組みを「Society 5.0」』と定義されています。
また、Society 5.0には先見性と戦略性、多様性と柔軟性を重視するという基本方針があります。
Society 5.0の定義
文部科学省や内閣府などの政府広報は、女優の上白石萌音さんをキャストにした動画などを使って、Society 5.0のもたらす未来像や定義などについて一般向けに解説しています。
2016年に閣議決定された内閣府の科学技術基本計画において、「狩猟社会(Society1.0)」、「農耕社会(Society2.0)」、「工業社会(Society3.0)」、「情報社会(Society4.0)」に続く社会として提唱されました。
Society 5.0 そもそも読み方は?
Society 5.0は、ソサエティゴーテンゼロという読み方をします。英語で社会を意味する「Society」に、第5の新たな世界という意味で5.0と表記されました。
なぜ5.0?Society○○の歴史
Society 5.0は、「狩猟社会(Society1.0)」、「農耕社会(Society2.0)」、「工業社会(Society3.0)」、「情報社会(Society4.0)」に続く「新たな社会(Society 5.0)」という意味で政府が提唱した考え方です。
このSociety 5.0を理解するために、まずはそれぞれのSociety1.0~4.0の歴史について、一つひとつ振り返ってみましょう。
狩猟社会(Society1.0)
石器時代において、人は原始的な生活をして過ごしていました。空腹になると果物や木の実などを採集し、満腹になると寝るような暮らしです。その後、動物を狩猟するために木槍、石器、投槍器や弓矢などが使われるようになりました。そのようにして、獲物から安全な距離を保ったまま、組織的に効率よく狩猟する技術により生活する社会が生まれたのです。
農耕社会(Society2.0)
時代を経て、世界の一部の地域では、移動しながら狩猟をする生活から、定住して農作物を栽培して生活する社会に移行しました。それが農耕社会です。
たとえば、身近な例として歴史上の日本で起きたケースを見てみましょう。
縄文時代に中国からわが国へと稲作技術が伝来し、弥生時代になると木クワ、木スキなどの道具を使って田を耕すようになりました。
稲が実ると石包丁を使って刈り取り、脱穀のために木臼と竪杵といった道具が使われました。
収穫したお米を蓄えるための高床式倉庫ができ、お米を作るための共同作業を効率的に行える村社会が形成されるようになります。
さらに村が集まり国となるなど大規模化し、農耕をきっかけに社会がそれ以前の狩猟社会よりも複雑・高度化したのです。
工業社会(Society3.0)
18世紀後半にイギリスを発端として起こった産業革命により、さまざまな機械が使われるようになりました。それまでは手作業で行っていた生産業も、機械化により工場で製品を大量生産するようになったのです。
身近にあるさまざまなものが工場で生産され、工業の発展に伴って経済成長する社会が到来しました。
情報社会(Society4.0)
1990年代から携帯電話の普及やインターネットの発展などが進み、情報技術の高度化に伴って個人が情報を入手しやすくなりました。
情報が大きな価値をもつようになり、情報量が爆発的に増大し、情報の伝達や処理の重要性も大きくなったのです。
しかしこの社会でも、以下のような問題点は解決できずにいます。
1.大量の情報から必要な情報を発見・分析する作業が人にとって負担である
2.知識や情報の共有がされずに連携が不十分
3.年齢や障害などが理由で労働や行動範囲に制約がある
4.少子高齢化で地方の過疎化などの課題に制約があり、十分な対応が困難である
こうした問題点を解決するために、Society 5.0が求められています。
新たな社会(Society 5.0)
Society 5.0で新たに実現する社会では、IoTによってすべての人とモノがつながります。そのため、知識や情報の共有により、今までにはなかった新たな価値が生み出されます。
Society4.0にあった問題点を克服するのです。たとえば、以下のような社会です。
1.人工知能により、必要な情報が必要なときに提供される社会
2.全ての人とモノが繋がり、新たな価値が生まれる社会
3.ロボットや自動走行車などの技術で人の可能性がひろがる社会
4.イノベーションによりさまざまなニーズに対応できる社会
Society 5.0はこのような社会を目標としているのです。
いつからSociety 5.0?
Society 5.0はいつから行われるのでしょうか。政府としては2050年頃の社会にとってあるべき姿とされ、2030年頃をメドに具体化するのが目標となっています。
データ主導社会へ
Society 5.0が実現すると、社会環境、生活、仕事(各個人の業務)も変わります。最も大きな変化は、データ主導社会へ移行することによる変化だといわれています。サイバー(仮想)空間とフィジカル(現実)空間の融合が可能になり、社会に大きく影響を与えるでしょう。
以下では、データ主導社会実現に寄与する技術について説明します。これらを組み合わせて活用にすることによって、Society 5.0が形作られていくのです。
IoT(Internet of Things)
「モノのインターネット」とも呼ばれます。多様な役割を担うさまざまな設備・装置をネットワークに接続して相互通信により連携させる環境のことです。リアルタイムに計測したデータを、サーバー上で処理・変換・分析・連携などを行うことで、遠隔地域の監視・管理や離れた場所にあるモノ同士のデータ送受信などを可能とします。
活用例としては、自動運転、遠隔制御などが挙げられます。
ビッグデータ
種類や量が膨大で、更新頻度が高い巨大なデータのことです。ビッグデータの活用により、今までは管理・把握できていなかった巨大な情報を記録・保管・解析できるようになります。
それにより新たなシステムや価値が生み出されると、ビジネスや社会にとって役立つ知見が得られるかもしれません。
新たな仕組みやシステムの構築、産業の効率化などに活用できます。
AI(Artificial Intelligence、人工知能)
コンピュータに学習・教育させることで、高度な情報処理の実現と求められる情報提供をすることです。ビッグデータの解析などを行い、必要な情報を導き出すという役割があります。
活用例としては、自動運転、医療における画像診断、いまだ解明されていないアルゴリズムや数学などでの研究が挙げられます。
5G(第5世代移動通信システム)
高速で大容量のデータ通信ができる技術のことです。遠くの場所でもタイムラグなく安定した高速なデータ通信できるようになります。
一度に複数のデバイスと接続できるようになり、あらゆる端末がシステムと連携できるようになると考えられています。
活用例としては、コロナ禍におけるリモートワーク、VR技術への活用、ライブストリーミング配信や大きなサイズの動画ダウンロードなどが挙げられます。
▶関連記事:デジタル手続法施行で電子申告義務化?企業に必要な対応とは
Society 5.0企業での仕事は?事例を挙げる
Society 5.0を目指すうえで、企業での仕事や働き方はどのように変化するのでしょうか。
具体的な内容について確認しましょう。
企業での仕事はどう変わる?
政府は、2020年12月にSociety 5.0 for SDGsの実現に向けたアクションプランを公表しました。
ここでは、持続可能な開発のための教育(ESD)の推進によって次世代へのSDGs浸透を図ることを重点事項として取り組むよう求めています。
また、経団連は、SDGs達成に向けたSociety 5.0の活用を提案しています。
近年ではSociety 5.0とともに、DX(デジタルトランスインフォメーション)化によるデータやデジタル技術の活用も大切になってきています。セイコーソリューションズ株式会社では2021年11月に「Society 5.0 for SDGs week/COMPUS 2021 Online」を開催しました。
このように、ESD、SDGs、Society 5.0は異なる取り組みであるように思われがちですが、密接に関連があるのです。
Society 5.0の時代を迎えると、各企業分野において以下のような業務が行われるようになると予測されています。
医療、ヘルスケア
この分野では、Society 5.0に向けたICTの活用が期待されています。具体的には、ネットワークを活用したオンライン診療、無人自動車などを利用した薬の配布、介護サービスのスマートホーム化、要介護者に排泄センサーを利用した尿量確認などです。
地域による医療格差問題を解消するためにも、これらの実用化が待ち望まれています。
ものづくり
この分野では、AIやロボットなどの利用が期待されています。具体的には、作業効率化の向上
人件費の削減、在庫管理の負担軽減などです。
作業可能な範囲をロボットが行うことにより、少子高齢化による生産年齢人口の減少にも対応できるはずです。
農業
この分野では、人手不足が深刻です。マンパワーに依存しない解決策が期待されています。
具体的には、自動走行トラクターの活用、AIを活用した全自動収穫技術の導入、センサーによるハウス栽培管理などが挙げられます。
マンパワーに頼っていた業務にこれらの技術を活用することで、作業の効率化や生産性の向上といったメリットを実感できることでしょう。
金融
この分野では、AIやビッグデータの導入促進が期待されています。ビッグデータとAIを活用した会計システムの開発やAIに管理された投資運用が実現します。
エネルギー
この分野では、AI技術の導入が期待されています。具体的には、AIによる効率的な電力供給
や電力使用量の推定に利用されます。このような取り組みにより、温暖化対策などに貢献できるでしょう。
観光
この分野では、さまざまなシーンで各技術の利用が推進されています。具体的には、AIを活用した送迎ルートの割り出し、顔認証による支払いサービスなどに使われます。
これらにより、地域観光の活性化や観光客の利便性向上などが期待されています。
公共サービス
この分野では、AI技術の推進が期待されています。AIを活用した自動応答サービスや道路損傷の分析が可能になります。このような取り組みは、地域住民の満足度向上や快適な暮らしに欠かせないものとなっていくことでしょう。
防災
この分野では、AIを活用したシステムの導入が展開されています。災害発生時の被害予測、被害状況をリアルタイムに把握、災害発生時のデータ収集などに役立ちます。
教育
Society 5.0の教育については、文部科学省がSociety 5.0に向けた人材育成に係る大臣懇談会を開催するなど定期的に議論されています。教育に関する課題とSociety 5.0に向けた取り組みは、「これからの「教育」の話をしよう 5 教育改革 × Society 5.0」という書籍でも取り扱われている大きな議題です。
教育現場における課題解決をすることで、企業にとってSociety 5.0を実現するための人材を確保しやすくなります。来るべき時代に備えて、企業としても新人教育などを行える環境を整備するとよいかもしれません。
Society 5.0時代の仕事変化の例
新しい時代を迎えるためには、今から変化していかなければなりません。
サイバー空間とフィジカル空間を融合した、新たなサービスを生み出すことは、日本の国際競争力を高めることにもなります。
近年では、2019年に「デジタル手続き法」が成立しました。
これは、少子高齢化でも持続可能な経済成長を実現するために、社会全体のデジタル化をすすめて効率的な社会を実現するという考え方にもとづいています。
このような社会を目指すうえで欠かせないのは、本人確認や手数料納付などの行政サービスをオンラインで実施できるようにすることです。
デジタル情報を活用することで、行政のみならず一般企業においても業務効率の向上にもつながることでしょう。
とくに紙を使った契約の流れは、デジタル化に向けて変化していくべき課題であるといえます。
現状行っているような「他社との紙の契約書に押印・割り印し、自社と他社で1通ずつ保持する」という契約の流れは、どのように変わっていくべきなのでしょうか。
このような場合には、「電子文書」、「電子署名」、「電子認証」という方法でデジタル化が行えます。それぞれについて確認していきましょう。
電子文書
紙を使った書面の代わりになるものです。いつ、誰に作成されたのか、作成後の改善がないかを証明するためには、電子署名が必要となります。
電子署名
これまでは押印として使われていたものは、電子署名で代用できます。
電子署名では、その文書が改ざんされていないこと、署名者本人が本当に署名をしたかを確認できる仕組みです。
署名者(電子文書を作成・送信する者)は秘密鍵を使って署名することで情報を暗号化します。
その後、署名検証者(電子文書を受信・検証する者)は公開鍵を使って暗号化された情報を確認します。秘密鍵で作成した文書は公開鍵によってのみ閲覧可能です。
電子認証
今までは人間同士が対面で個人を識別していました。電子認証においては、組織に正式に所属している個人であると保証されることなどで、なりすましやデータ改ざんを防止します。
これらの技術を活用すると、紙代・印刷代・印紙代・郵送代などのコストを削減でき、誰がどこにいても承認・署名ができるため業務効率化にもつながるはずです。
セキュリティ・信頼性の担保できるため、デジタル化に向けて変化していくべき課題であるといえるでしょう。
まとめ
Society 5.0に向けたシステムの構築は企業にとって重大な課題です。このような社会を支えるためには、信頼性のあるセキュリティシステムが必要です。
「電子文書」、「電子署名」、「電子認証」という方法でデジタル化を推進するためには、電子契約システムの導入が求められます。
大切なデータを保護するために多重のセキュリティ対策を備えたContractS CLMのようなシステムを検討するとよいでしょう。
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