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ノウハウ 【民法改正】契約不適合責任とは?改正のポイントをわかりやすく解説。

更新日:2024年10月17日

投稿日:2021年12月9日

【民法改正】契約不適合責任とは?改正のポイントをわかりやすく解説。

【民法改正】契約不適合責任とは?改正のポイントをわかりやすく解説。

2020年の民法改正により新たに定められた「契約不適合責任」。

今回はその制度の概要と実務における注意点をわかりやすく説明します。ぜひご覧ください。

 

 

 

契約不適合責任とは

 

ここでは、契約不適合責任の制度概要について説明します。

まず「契約不適合責任」について詳しく解説します。

 

契約不適合責任とは

 

「契約不適合責任」が問題になるのは、売買契約の場面です。

民法では「引き渡された目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないものであるときは、買主は、売主に対し、目的物の修補、代替物の引渡し又は不足分の引渡しによる履行の追完を請求することができる。ただし、売主は、買主に不相当な負担を課するものでないときは、買主が請求した方法と異なる方法による履行の追完をすることができる。」(562条1項)と規定されています。

 

簡単に言うと、売主が買主に売った商品が契約の内容とずれていた場合に、売主が買主に対して負う責任のことです。

例えば、「ノートを100冊、10,000円で売る」という売買契約を結んでいた。しかし売主が引き渡したノートが95冊しかなかった場合、契約の内容とずれがありますね。この時、売主は残りの5冊について買主に責任を負います。(数量のずれ)

 

出典:民法



民法改正のポイント

 

「契約不適合責任」は民法改正により、新しく作られた制度です。

ここでは、民法改正のポイントとともに、「契約不適合責任」についてより詳しく見ていきましょう。

 

瑕疵担保から契約不適合へ

 

「契約不適合責任」ができる前には、「瑕疵担保責任」というものがありました。

これはどのような制度だったのでしょうか?

 

瑕疵担保責任とは

 

改正前民法では、売主には「隠れた瑕疵」についての責任が規定されていました。民法上、「瑕疵」の定義は明記されていませんでしたが、「瑕疵」とは「個々の契約の趣旨に照らせば目的物が通常有すべき性質・性能を欠いている」ことであると解されていました。

買主としては、通常人ならば買主の立場におかれたときに容易に発見できなかったことがいえれば、売主の責任を追及することができました。

 

例えば、不動産の売買契約において、購入した建物が雨漏りをしたとしましょう。

 

この場合、「雨漏りをしない」というのは、建物が「通常」有する性能であると考えられます。従って、建物が雨漏りした場合は「瑕疵」があると言えます。

よって買主は損害賠償請求などで、売主の責任を追求することができそうです。

 

しかし、実際には買主が瑕疵があることについて、善意無過失であることが必要です。

つまり、その建物が雨漏りをすることを買主が知っていた場合、もしくは少し注意すれば気づけた場合は売主に責任追求できません。

 

これが瑕疵担保責任の概要です。

それでは「瑕疵担保責任」から「契約不適合責任」に変わったことで、どのような点がポイントになるのでしょうか。

 

出典:民法改正による新制度(第3回)- 契約不適合責任 | J-Net21[中小企業ビジネス支援サイト]

 

法定責任から契約責任へ

 

一つ目のポイントは、法定責任から契約責任に変わったことです。

 

「瑕疵担保責任」は法定責任であると考えられていました。

 

つまり、瑕疵担保責任では売買契約の目的物の引渡しは行われています。そのため、一応契約は履行されたと考えます。すると契約が履行されない場合に問題となる債務不履行責任は問題になりません。

しかし、それでは「瑕疵」のある目的物を引き渡された買主が可哀想なので、特別に「瑕疵担保責任」というものを法律で認めました。

 

例えば、建物の売買契約を結んだのに、建物が引き渡されない場合は債務不履行です。

建物は引き渡されたが、その建物が雨漏りをした場合は瑕疵担保責任になります。

 

この考えでは、瑕疵担保責任において買主が売主に請求できることが限られます。

具体的には、債務不履行責任で認められる「追完請求権」と「代金減額請求権」を使うことができません。

 

これに対し、「契約不適合責任」では契約責任であると考えられました。

 

つまり、瑕疵がある目的物の引き渡しは債務不履行であると考えられたのです。

よって買主は新たに「追完請求権」と「代金減額請求権」を使えるようになりました。

 

特定物に限るか

 

二つ目のポイントは特定物か不特定物かという点についてです。

 

「特定物」とは簡単にいうと取り替えられない物です。

「不特定物」とは取り替えられる物です。

 

例えば、ある野球選手がホームランの記録を達成したときのボールを、ファンがオークションで競り落とした場合、そのボールは特定物です。

おそらく、同じメーカーの同じ型のボールは他にいくらでもあるでしょう。でも、だからといって、同じ型のボールならどれでもよいかといえば、そんなことはありません。その人にとっては、そのとき打たれたそのボールでなければ買う意味がないのです。

 

一方、プロの使っているボールで野球をしたいと思っていた人が、ボールを注文した場合、そのボールは不特定物です。この人にとっては、プロが使っているのと同じ型のボールなら別にどれでもよいわけです。

 

瑕疵担保責任ではその対象は特定物に限られていました。

つまり、特定物についての売買契約でなければ、瑕疵担保責任を問うことはできませんでした。

 

しかし、契約不適合責任では不特定物についても責任を問うことができるようになりました。

 

出典:特定物と不特定物 | 法律事務所・弁護士への相談ならLegalus

 

原始的瑕疵に限るか

 

最後のポイントは目的物に瑕疵ができたタイミングについてです。

 

瑕疵担保責任では売主に責任が生じるのは、「原始的瑕疵」の場合でした。

つまり、契約を締結するときにすでに瑕疵が生じていなければ、責任は生じませんでした。

 

しかし、契約不適合責任では契約の履行時までに生じた瑕疵であれば、責任を問えることになりました。

 

例えば2021年4月1日に不動産Aについての売買契約を締結したとします。そして2021年5月1日に売主から買主の不動産Aが引き渡されました。

しかし、不動産Aは経年劣化により、2021年4月15日から雨漏りがするようになりました。

 

この場合、契約締結後に瑕疵が生じているため、瑕疵担保責任では責任は生じません。

しかし、契約の履行前に瑕疵が生じているため、契約不適合責任では売主に責任が生じるのです。

 

以上3点が、民法改正により大きく変化したポイントになります。

一貫して言えることは、契約不適合責任では売主の責任が問われる範囲が拡大したということです。

 

契約不適合責任の制度概要

 

ここまで瑕疵担保責任と契約不適合責任を比較しながら、民法改正で変わった点について説明してきました。

 

次に契約不適合責任によって買主は具体的に何ができるのかなど、制度の概要について説明します。

 

買主の権利

 

まず、売主に契約不適合責任を追求する場合に、買主が取りうる権利について説明します。

買主の権利としては

 

①追完請求権

②代金減額請求権

③催告解除

④無催告解除

⑤損害賠償請求権

 

の5つがあります。

それでは一つずつ見ていきましょう。

 

追完請求権

 

第五百六十二条 引き渡された目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないものであるときは、買主は、売主に対し、目的物の修補、代替物の引渡し又は不足分の引渡しによる履行の追完を請求することができる。ただし、売主は、買主に不相当な負担を課するものでないときは、買主が請求した方法と異なる方法による履行の追完をすることができる。

 前項の不適合が買主の責めに帰すべき事由によるものであるときは、買主は、同項の規定による履行の追完の請求をすることができない。

 

「追完」とは、瑕疵のある目的物の代わりに、後から契約の内容に合致したものを引き渡すことです。

民法562条の規定によると、追完には「目的物の修補」、「代替物の引渡し」、「不足分の引渡し」の3種類があります。

 

「目的物の修補」とは目的物を修理することです。

 

例えば、買った建物が雨漏りする場合に、雨漏りを防ぐために工事をするよう、売り手に請求することができます。

 

「代替物の引渡し」とは代わりに別のものを引渡すことです。

 

例えば、スーパーで買った果物が悪くなっていた場合に、新鮮な果物と取り替えることができますよね。

 

「不足分の引渡し」とは不足している分を渡すことです。

 

例えば、100冊のノートを買ったのに、95冊しか引渡されない場合、残りの5冊の引渡しを求めることができます。

 

この3つの選択肢のうち、売主にどれを請求するかは、基本的には買主が選びます。

しかし、「売主は、買主に不相当な負担を課するものでないときは、買主が請求した方法と異なる方法による履行の追完をすることができる。」とされます。

 

例えば、建物が雨漏りした場合に、買主が「代替物の引渡し」を請求したとします。つまり、別の建物の引渡しを請求しました。

この時に、買主に「不相当な負担」をかけないならば、売主は「代替物の引渡し」ではなく、「目的物の修補」をすることもできます。

 

出典:民法

 

代金減額請求権

 

第五百六十三条 前条第一項本文に規定する場合において、買主が相当の期間を定めて履行の追完の催告をし、その期間内に履行の追完がないときは、買主は、その不適合の程度に応じて代金の減額を請求することができる。

 前項の規定にかかわらず、次に掲げる場合には、買主は、同項の催告をすることなく、直ちに代金の減額を請求することができる。

 履行の追完が不能であるとき。

 売主が履行の追完を拒絶する意思を明確に表示したとき。

 契約の性質又は当事者の意思表示により、特定の日時又は一定の期間内に履行をしなければ契約をした目的を達することができない場合において、売主が履行の追完をしないでその時期を経過したとき。

 前三号に掲げる場合のほか、買主が前項の催告をしても履行の追完を受ける見込みがないことが明らかであるとき。

 第一項の不適合が買主の責めに帰すべき事由によるものであるときは、買主は、前二項の規定による代金の減額の請求をすることができない。

 

次に代金減額請求についてです。

買主が追完の請求をしたのに、売主がそれに応じてくれない時に、代金減額請求をすることができます。

 

例えば、「ノートを100冊、10,000円で売る」という売買契約を結んでいた。しかし売主が引き渡したノートが95冊しかなかった。

そこで買主は1ヶ月以内に「不足分の引渡し」を請求した。

ところが1ヶ月経っても、ノート5冊の追完がされない。そこで、10,000×5÷100=500円分の代金減額請求をすることなどが考えられます。

 

また、代金減額請求は、基本的に追完請求と相当期間の経過が必要なので、注意してください。

 

出典:民法

 

解除

 

次に催告解除・無催告解除について説明していきます。

 

第五百四十一条 当事者の一方がその債務を履行しない場合において、相手方が相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、相手方は、契約の解除をすることができる。ただし、その期間を経過した時における債務の不履行がその契約及び取引上の社会通念に照らして軽微であるときは、この限りでない。

 

契約不適合責任は法定責任ではなく、契約責任と考えられていました。

そのため、債務不履行責任の規定を契約不適合責任でも使うことができます。

 

「解除」とは、有効に成立した契約に解除原因がある場合に、解除権を持っている当事者が契約を解除することによって契約を解消できる制度です。

 

解除された契約は最初からその効力がなかったことになります。

従って、買主がすでに売買契約の代金を支払っていた場合は、売主はその代金を返還しなければいけません。買主がまだ支払っていなかった場合、契約の解除により、代金支払い義務は消滅します。

 

そして、売主の契約不適合(=債務不履行の一種)を理由に契約を解除する場合は、その前に「履行の催告」が必要です。

 

つまり、「契約を履行してください」と「履行の催告」をしたのに、相当期間が経過しても契約が履行されない場合に、契約を解除することができます。

これを催告解除といいます。

 

これに対し、「履行の催告」をしても契約が履行される見込みがない場合があります。その場合には「履行の催告」をせずに、契約を解除することができます。

これを無催告解除といいます。

 

出典:民法

   契約をやめる

 

損害賠償請求権

 

第四百十五条 債務者がその債務の本旨に従った履行をしないとき又は債務の履行が不能であるときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。ただし、その債務の不履行が契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして債務者の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。

 

最後に損害賠償請求権について説明します。

 

相手が契約を履行しないことが原因で、自分に損害が生じた場合、その損害について金銭による支払いを請求することができます。

 

例えば、購入した建物が雨漏りした場合、売主に契約不適合責任を問うことができました。

ここで、雨漏りが原因で床が腐ってしまったとしましょう。

すると契約不適合が原因で、買主に損害が生じたことになります。

そして、契約不適合は債務不履行の一種と考えられるので(契約責任)、腐った床についても損害賠償請求をすることができるかもしれません。

 

これら5つが買主が売主に対して行使できる権利です。

 

出典:民法

 

買主の権利行使の期間

 

ここまで、契約不適合責任の際に買主がもつ権利について説明してきました。

 

しかし、買主はいつまでもこの権利を持ち続けているわけではありません。権利を行使することができる期間が定められています。

 

旧民法では、瑕疵担保責任に基づく損害賠償・解除について、買主が瑕疵の存在を知った時から1年以内に権利行使をしなければならない、という期間制限が定められていました(旧民法564条、566条3項、570条)。

 

それでは、契約不適合責任では権利行使の期間はどのように定められているのでしょうか?

 

第五百六十六条 売主が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない目的物を買主に引き渡した場合において、買主がその不適合を知った時から一年以内にその旨を売主に通知しないときは、買主は、その不適合を理由として、履行の追完の請求、代金の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない。ただし、売主が引渡しの時にその不適合を知り、又は重大な過失によって知らなかったときは、この限りでない。

 

つまり、契約の内容により以下の二つのパターンに分かれています。

 

①目的物が種類・品質の観点で、契約の内容に適合しない時

 →買主がその不適合を知った時から一年以内に売主に通知しないと、権利行使不可

 

②目的物が種類・品質以外の観点で、契約の内容に適合しない時

 →買主は、期間の制限なく権利行使ができる



例えば、購入した建築物が雨漏りした場合を考えましょう。

これは、建築物は「雨漏りしない」という品質を問題にしています。よって目的物の品質について契約不適合があると言えます。

 

この場合に、例えば買主は2021年9月1日に建築物が雨漏りすることに気づきました。

そして、売主に建築物が雨漏りすることを2022年10月1日に伝えました。

 

しかし、買主が契約の不適合に気づいたのは2021年9月1日であり、売主に通知をしたのは2022年の10月1日です。従って買主は契約不適合責任に基づく権利行使をできなくなります。

 

これが、例えば数量についての不適合だった場合は、1年以内の通知をしていなくても、権利行使できます。



注意すべき点は、権利制限期間がある場合でも、1年以内に権利行使が求められるのではなく、単に売主に不適合を通知するだけで良いということです。

 

出典:民法

   【民法改正(2020年4月施行)に対応】 契約不適合責任のレビューポイントを解説! 



契約不適合責任の免責特約とは

 

今まで、瑕疵担保責任と契約不適合責任の違いや、買主の権利を見てきました。

そして、契約不適合責任においては、売主の責任がかなり重いことがわかると思います。

 

では、売主はこの契約不適合責任から免れることはできないのでしょうか?

 

そこで行われるのが「免責特約」というものです。

契約不適合における「免責特約」とは、当事者双方の合意によって、売主の責任を免除する特約です。

免責特約がある場合、基本的に買主は売主に対して、契約不適合による権利を行使することができません。

 

民法の規定によると

第五百七十二条 売主は、第五百六十二条第一項本文又は第五百六十五条に規定する場合における担保の責任を負わない旨の特約をしたときであっても、知りながら告げなかった事実及び自ら第三者のために設定し又は第三者に譲り渡した権利については、その責任を免れることができない。

 

つまり、基本的に契約不適合責任でも、免責特約は有効です。

なぜなら、契約不適合責任は任意規定だからです。当事者の意思によって契約不適合責任を適用するか、自由に選ぶことができます。

 

しかし、免責特約が無効になる場合もあります。

例えば、売主が契約不適合の事実について知っていたのに、買主にそのことを伝えずにした、免責特約は無効になります。

 

つまり、売買契約を締結する時点で、売主が建物が雨漏りすることを知っていたとします。

それなのに、雨漏りするという事実を買主に伝えませんでした。

この場合は、契約不適合責任の免責特約を結んでいたとしても、その特約は無効になります。

 

契約不適合責任の注意点

 

ここまで、契約不適合責任の制度概要について説明してきました。

 

では、実際に買主が契約不適合の権利行使をするために、

売主が責任を問われないために、何を注意したらいいでしょうか。

 

買主が契約不適合責任の権利を行使するために

 

ここでは、買主が権利行使をするために注意すべきことについて説明します。

買主が注意すべきポイントは大きく分けて3つです。

 

責任追求が可能な期間

 

1つ目が責任追求が可能な期間についてです。

 

先ほど、買主の権利行使には期間の制限があるということを説明しました。

 

買主は、契約書を見るときに、自分の権利行使の期間が民法で規定されている1年よりも短くなっていないか、を確認することが大切です。

 

権利行使の期間内の通知

 

買主は契約不適合に気づいた時から1年以内に、売主に通知することが必要でした。

そこで権利行使の期間が超過しないように、契約不適合の事実に気づいたらすぐに売主に通知する方が良いでしょう。

また通知をしたとしても、権利には消滅時効というものがあります。

よって、権利行使も早めに行うことが大切です。

 

追完請求権の選択権



最後に、追完請求権の選択権が買主にあるのかというポイントです。

 

追完請求権は契約不適合の際に、買主が行使できる権利の一つでした。

しかし、「売主は、買主に不相当な負担を課するものでないときは、買主が請求した方法と異なる方法による履行の追完をすることができる。」とされていました。

 

そこで、追完の方法を選択する権利が買主側にあるのかを、契約書で確認することが大切です。

 

出典:民法

 

売主が契約不適合責任に問われないために

 

次に、売主が契約不適合責任を免れるために注意すべき点について説明します。

売主が注意すべきことは大きく分けて3つです。

 

免責特約を契約書に記載する

 

1つ目が免責特約を契約書に記載することです。

 

特に売買の目的物が中古の場合、経年劣化により、売主も把握できていない契約不適合が存在する場合があります。

懸案事項を一つ一つ契約書に記載し、買主に容認してもらったうえで、契約不適合責任を負わないことを明記すれば免責となります。

売買契約書の中で売主が負う責任の範囲や期間を取り決めていくことが大切です。

 

通知期間を設定する

 

2つ目が契約不適合責任の通知期間を設定することです。

 

契約不適合責任では、買主は契約不適合を知った時から1年以内に売主に通知すれば、時効で消滅するまでは権利行使ができました。

 

しかし、そのままでは、売主は売買契約締結後何年も契約不適合責任に問われる可能性があります。

 

そこで、通知期間を設定することによって、何年も前の売買契約について、契約不適合責任に問われる可能性をなくすことが大切です。

 

調査をする

最後に、売主は自分の商品について綿密な調査を行うことが大事です。

 

調査を行うことで、目的物の欠陥を詳細に把握することができます。

従って、契約締結時に、買主に目的物の正確な状態を伝えた上で、売買契約が成立します。

すると、契約不適合責任に問われる可能性も低くなります。

 

建築物が雨漏りした場合は、契約不適合であるという例を今まで挙げてきました。

 

では、ここで、売主が調査を行って、建築物が雨漏りすることを知っていたとしましょう。

売主は契約締結時に「雨漏りする」という事実を買主にしっかりと伝えました。

 

これらの前提を踏まえた上で、売買契約が締結されたとします。

すると、今回の売主と買主は当該建築物が雨漏りするという前提に基づいて、売買契約を締結したことになります。

つまり、「当該建築物が雨漏りすること」について、合意した上で契約が締結されているのです。

従って、売買契約締結後に当該建築物が雨漏りしたとしても、契約不適合責任に問われることはなくなります。

 

出典:契約不適合責任とは。特約による免責、売主と買主の注意点、瑕疵担保責任との違いについて解説 | 住まいのお役立ち記事

 

まとめ

 

この記事では契約不適合責任について説明してきました。

 

売買契約は日常の中で締結されることが多い契約です。

従って、契約不適合責任は売主にも買主にも身近な問題と言えるでしょう。

 

民法改正のポイントを理解した上で、注意すべきポイントを抑えることが大切です。