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ノウハウ SDGs(持続可能な開発目標)とは? 日本の取組事例も紹介!

更新日:2024年10月17日

投稿日:2021年10月22日

SDGs(持続可能な開発目標)とは? 日本の取組事例も紹介!

SDGs(持続可能な開発目標)とは? 日本の取組事例も紹介!

近年しきりに耳にする「SDGs」は、ビジネスにおいても世界的なキーワードとなっています。しかし、SDGsの重要性は理解していても、その内容について、詳細を知らない方は少なくないでしょう。

本記事ではそのような方に向け、SDGsの概要、17のゴールと169のターゲットの詳細、日本企業における取り組みなどをご説明します。

 

 

持続可能な開発目標『SDGs』


それでは、SDGs(持続可能な開発目標)について、詳しく見ていきましょう。

SDGs(持続可能な開発目標)とは?


Sustainable Development Goals:SDGs(持続可能な開発目標)とは、2030年までに達成するべき国際社会の共通目標です。2015年9月にニューヨークの国連本部における国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」の中核を成す、「誰ひとりとして置き去りにしない(leave no one behind)世界」を実現するために設定されました。

SDGsの中には気候変動への具体的な対策、あらゆる貧困の撲滅、全ての人権の実現、ジェンダーの平等の達成など、さまざまな達成目標があり、経済・社会・環境という3つの側面から、17のゴールと達成するための169のターゲットが定められているのが特徴です。

なぜSDGsはなぜ誕生したのか


SDGsが誕生したのは、貧困、紛争、気候変動、感染症、不平等などを撲滅し、人類が将来も安定して暮らし続けられる「持続可能な世界」を達成するためです。

極度の貧困と飢餓の撲滅のため採択された「MDGs(Millennium Development Goals:ミレニアム開発目標)」をさらに一歩進めるための後継として誕生しました。

SDGsの前身となる「MDGs」とは?


MDGs(Millennium Development Goals:ミレニアム開発目標)とは、2000年9月に国連ミレニアム・サミットで採択された、2015年が達成期限の国際目標です。

極度の貧困と飢餓の撲滅、ジェンダー平等の推進、乳幼児死亡率の削減、HIV/エイズ、マラリアなどのまん延防止など8つのゴールが掲げられていました。

達成期限の2015年では1990年代と比較して、極度の貧困(1日1.25米ドル未満で生活する人 ※2015年当時)の人数が約19億人から8億3,600万人に半減し、HIVの新規感染者が約40%減少するなど、多くの目標が達成されたと評価されています。

その一方で、極度の貧困にいる人々の約80%が、サハラ以南のアフリカと南アジアに集中しており、新しくHIVに感染した15~19歳の3分の2が女性であるなど、地域・性別・年齢によって格差が生じ「取り残された人々」がいることがわかりました。

その人々への重点的な対策が、次のSDGsに引き継がれていきます。

SDGsとMDGsの違いとは?


MDGsは開発途上国に向けた対策でしたが、MDGsを土台としたSDGsは先進国を含めた全ての国に適用されるグローバル目標です。

MDGsでは完全に達成できなかった目標、MDGsが成果を上げる中で浮き彫りになった「取り残された人々」に重点を置いた支援目標が、SDGsだと言えるでしょう。

また、MDGsが8の目標・21のターゲットであるのに対して、SDGsでは17の目標・169ものターゲットを定めているのも大きな相違です。数の多さだけを見ても、SDGsがいかに平和と正義・経済・社会・環境などあらゆる分野の課題をカバーし、より深掘りしている目標であるのかがわかるでしょう。

さらに、SDGsは達成のための手段にも重点が置かれており、各国の政府はもちろん、民間企業、ひいては一人ひとりが主体的に問題解決に取り組むことが求められています。

17の目標と169のターゲットとは?


続いて、SDGsの17の目標(ゴール)と、169のターゲットについて詳しくご説明していきます。

17の目標


SDGsの17の目標(ゴール)は以下の通りです。

1.あらゆる場所のあらゆる形態の貧困を終わらせる
2.飢餓を終わらせ、⾷料安全保障及び栄養改善を実現し、持続可能な農業を促進する
3.あらゆる年齢のすべての⼈々の健康的な⽣活を確保し、福祉を促進する
4.すべての人々への、包摂的かつ公正な質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進する
5.ジェンダー平等を達成し、すべての女性及び女児の能力強化を行う
6.すべての人々の水と衛生の利用可能性と持続可能な管理を確保する
7.すべての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な近代的エネルギーへのアクセスを確保する
8.包摂的かつ持続可能な経済成長及びすべての人々の完全かつ生産的な雇用と働き
がいのある人間らしい雇用(ディーセント・ワーク)を促進する
9.強靱(レジリエント)なインフラ構築、包摂的かつ持続可能な産業化の促進及びイノベーションの推進を図る
10.各国内及び各国間の不平等を是正する
11.包摂的で安全かつ強靱(レジリエント)で持続可能な都市及び人間居住を実現する
12.持続可能な生産消費形態を確保する
13.気候変動及びその影響を軽減するための緊急対策を講じる
14.持続可能な開発のために海洋・海洋資源を保全し、持続可能な形で利用する
15.陸域生態系の保護、回復、持続可能な利用の推進、持続可能な森林の経営、砂漠化への対処、ならびに土地の劣化の阻止・回復及び生物多様性の損失を阻止する
16.持続可能な開発のための平和で包摂的な社会を促進し、すべての人々に司法へのアクセスを提供し、あらゆるレベルにおいて効果的で説明責任のある包摂的な制度を構築する
17.持続可能な開発のための実施手段を強化し、グローバル・パートナーシップを活性化する

これらの目標は、それぞれが独立しているわけではありません。お互いが密接に関わっており、普遍的に適用される1つのグローバル目標です。

そのため、17の目標はいろいろな分類ができます。ひとつの例に、「環境」を土台にして、その上に「社会」に関係する目標、「経済」に関する目標、そして「平和」が成り立つという「SDGsウェディングケーキモデル」が挙げられるでしょう。

ほかにも、1~6の目標は「社会的包摂(Social Inclusion)」、7~12の目標は「持続可能な経済成長」、13~15の目標は「環境保全」、16・17は全て基盤となる「平和」「国際協調」というように、大きなテーマでの分類も可能です。

「社会的包摂(Social Inclusion=ソーシャル・インクルージョン)」という言葉はまだあまり浸透していませんが、社会的包摂は社会的排除の対義語にあたり、社会的に弱い立場にある人々も社会の一員として支え合う考え方です。

誰もが一緒に遊べる「インクルーシブ公園」や、障害のある子どもも一緒に学ぶ「インクルーシブ教育」、ホームレスの状況にある人を拒絶する「排除アート」なども近年しばしば議論の的になりますが、それは社会的包摂が着目を浴びつつある証拠とも言えるでしょう。

169のターゲット


169のターゲットは、前述した17の目標を実現するための方法です。17の目標にそれぞれ約10のターゲットが設定されています。

例えば、MDGsから引き継がれた「貧困」に対する目標「あらゆる場所のあらゆる形態の貧困を終わらせる」では、ターゲットとして「2030年までに、各国定義によるあらゆる次元の貧困状態にある、すべての年齢の男性、女性、子どもの割合を半減させる」「各国において最低限の基準を含む適切な社会保護制度及び対策を実施し、2030年までに貧困層及び脆弱層に対し十分な保護を達成する」などが設定されています。

2021年現在、1日あたり1.90米ドル未満での暮らしが「極度の貧困」の国際的な基準となっており、今の日本に該当する人は多くありません。しかし、「あらゆる次元の貧困」は日本でも身近に迫っています。

2020年に厚労省が発表した日本の相対的貧困率では、全人口の6人に1人が貧困にあたり、G7で下から2番目という結果です。20代前半までの若い人、高齢者、ひとり親世帯(特にシングルマザー)ではその率が高くなり、18歳未満の子どもの貧困率は、2019年国民生活基礎調査によると18年時点では13.5%で、実に7人に1人の子どもが貧困状態だとされています。実質賃金も、1997年をピークに下がる一方です。

G7では1割も実質賃金が下がっているのは日本だけで、他国は全て1割以上上昇しています。「生理の貧困」というワードもSNSを中心に広がり、日本において貧困はごくありふれたものになっているのです。

このように、17の目標を自分ごと捉えるためにも、これら169のターゲットは機能しています。

なぜ今SDGsが注目されているのか


続いて、なぜ今SDGsが注目されているのかをご説明します。

国際問題への危機意識が高まったから


まず国際的に、SDGsで取り上げられた問題への危機意識が高まったことが挙げられます。特に、気候変動に対するインパクトは大きなものでした。

現在進行形で気候変動が世界中で起こっており、産業革命前から世界の気温は約1度上昇しました。温室効果をもたらす二酸化炭素(CO2)の排出量は、世界規模で急激に増加しています。

産業革命前と比べて2度以上上昇すると、感染症の拡大、最大30%の種の絶滅の危機、気象災害、栄養失調者の増加など深刻な影響が起こると危惧されています。

すでにMDGsの取り組みが続けられていた1995~2015年でも、洪水、台風、ハリケーン、サイクロンの発生回数が増え続け、アジアを中心に23億人が被害を受けたとされたと発表されました。また、何も対策をしなかった場合は世界の気温が6.4度も上昇し、世界経済は世界大戦や世界恐慌に匹敵する損失が生まれるとも言われています。

2021年には世界気象機構も「2050年に水の確保が困難になる人が50億人を越える恐れがある」と警鐘を鳴らし、国際的な対策が急務となっています。

目標が分かりやすく、取り組みやすいから


SDGsは目標が分かりやすく、一人ひとりが取り組みやすいこともSDGsが注目されている理由でしょう。

社会貢献をしている企業のサービス・製品を選んで購入するなど、日常生活の中でもできる範囲でSDGsの達成に貢献できます。東京オリンピックでピクトグラムが話題になりましたが、同じようなテイストのシンプルかつわかりやすいロゴも、親近感を与えることに成功しています。

ビジネスチャンスとして注目されたから


ビジネスの世界では、今やSDGsは世界的なキーワードです。SDGsの達成には数兆ドルに及ぶ多額の資金が必要なため、世界の投資をSDGsの方向に誘導すべく、環境や社会に配慮した企業を評価する「ESG投資」も積極的に推奨されています。

また、SDGsの課題を解決するのは世界規模のニーズとなっているので、それを満たすサービス・製品の創造することも、特に企業に求められています。
2017年に開催された世界経済フォーラムでは、SDGsの達成へ向けた取り組みを通して、年間最大12兆ドルの事業機会と、3億8000万人の雇用を創出する可能性があると発表されました。企業が、積極的にSDGs達成に向けて取り組むことで、企業価値の向上にもつながるでしょう。

国連がESGに関する提言をしたから


ESGとは、「Environment(環境)」「Social(社会)」「Governance(ガバナンス)」の頭文字を取った投資方法です。

これまでは、企業のキャッシュフローや利益率などを主に評価して投資が行われてきました。それに対して、ESG投資では、環境、社会・人権、ガバナンス(企業の規範、管理体制など)も重視して投資を行います。

2006年に国連が機関投資家に「責任投資原則」を呼びかけたのがきっかけで始まり、SDGsの採択によって、その動きが世界的に加速しています。例を挙げると、世界最大級の投資運用機関「年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)」などがこの責任投資原則に署名しており、今や企業が環境や社会に対して適切な姿勢を取らないのであれば、大きな機会損失を招くことにもなるでしょう。

日本企業の取り組み


続いて、日本企業の取り組みについてご説明します。

株式会社レオパレス21での取り組み

株式会社レオパレス21ではCO2排出量の削減に取り組み、2030年度には2016年度比で26%の削減を計画しています。また、障がい者雇用を積極的に行い、外国人介護スタッフへの月1回の研修を行うことも発表しています。すでに一定数のある内部通報制度を活用することで、コンプライアンス強化にも努めているのも、大きな特徴として挙げられるでしょう。

パナソニック株式会社での取り組み

パナソニック株式会社では、計10万台の自社製ソーラーランタンを東南・南アジア、サブサハラ・アフリカなどの無電化地域で働くNPO/NGOに提供するプロジェクトを実施しました。それによって、インドの電気が通っていない農村でも、女性が刺しゅうなどの仕事を続けやすくなったなどの成果が出ています。カンボジアでの女性・子どもの識字率の向上などにも寄与しました。

日本郵政株式会社での取り組み

日本郵政株式会社では、このグループが掲げる「地域社会」「地球環境」「人」という3つのテーマに合ったSDGsの目標を選び、それと連動した活動を進めています。

日本における「人生100年時代」を支えるために、保育所、高齢者施設、文化施設といった多様な社会・暮らしに不可欠な基盤を提供していることも、大きな取り組みとして挙げられるでしょう。同時に、女性管理者比率の増加、時間外労働の削減、テレワークの推進、育児や介護をしながら働きやすい仕組みづくりなどにも力を注いでいます。

日水製薬株式会社での取り組み


漁業や水産資源の高度活用から事業が始まった日水製薬株式会社では、再生医療等製品(遺伝子治療を目的とした分野の製品など)の生産を通して人々を支えるだけでなく、深刻化する海洋プラスチックごみの問題の対策にも力を入れています。また、女性の活躍や働き方改革も推進し、誰もが働きがいのある環境づくりにも注力しています。

身近な取り組みのご紹介


SDGsの達成には民間企業の積極的な取り組みも求められているのは、前述した通りです。そこで、すぐに実行に移せる身近な取り組みの具体例をご説明します。

環境に配慮したものを使用する


まず、会社で使っている消耗品を環境に配慮したものに替えましょう。コピー用紙、名刺、パンフレットなどは、環境配慮型のものを使うのも有効です。

FSC認証の紙は、国際的な森林認証制度を運用する「Forest Stewardship Council(森林管理協議会)」によって、適正管理された森林からつくられたことを証明するマークなので、このFSC認証を基準に紙選びをするのも良いかもしれません。

再生紙を選ぶ際は、古紙パルプ配合率をあらわす「Rマーク」が付いているものを選ぶのも良いでしょう。R100、R80、R70があり、それぞれ古紙パルプ配合率が100%、80%以上、70%以上を示しています。

電気使用量を削減する


電気をつくるエネルギーは石油、石炭、天然ガスなどの化石燃料ですが、エネルギーに変換する際、地球温暖化の原因の1つとなるCO2を排出します。そのため、化石燃料の消費量の抑制が、地球規模での急務となっています。

そのため、電気の使用量を削減するために、オフィスにいないときは電気を消す、休憩中はパソコンをスリープモードにするといった省エネの習慣を社内で徹底するのは、地道ながら積み重なると有効です。社用車を電気自動車にするのも良いでしょう。

CO2などの排出を低減し、どうしても排出せざるを得なかった分は吸収・除去することで、トータルの排出量を実質的にゼロにする「カーボンニュートラル」の燃料による電力を選ぶのも有効です。

従業員の働き方を定期的に見直す


従業員の働き方を定期的に見直すことも、SDGsの達成に向けた取り組みの1つです。

残業時間の削減、テレワークの導入などと同時に、従業員それぞれの意向を汲みながら、最適な人員配置を行ってください。

特に日本は、2020年のジェンダー・ギャップ指数が121位でG7最下位となっているため、女性を積極的に管理職や経営層に抜擢するなどの対策が必要です。

女性には、育児・家事の負担が依然として多くのしかかっている現状があります。そのため、企業は女性が安心してキャリアを積めるように適切な配慮が求められます。

ただし、「産休明けだから時短勤務が良いだろう」「子どもがまだ低学年だから簡単な仕事を割り振った方が良いだろう」という決めつけは、いわゆる「マミートラック」や「ガラスの天井」の問題を誘発するため注意してください。

企業が働きやすい環境づくりに努めることで、優秀な人材がみずから自社にとどまり続けてくれるでしょう。自社へのエンゲージメントの向上にもつながります。

ペーパーレス化に取り組む


紙の消費量を抑えるだけでなく、DX(デジタルトランスフォーメーション)の一環としても有効なのが、業務のペーパーレス化です。

各種申請書、契約書、社内掲示、社内報にいたるまで、業務に関する情報をすべてオンラインに集約してクラウド化することで、業務の効率化にもつながるでしょう。

その中でも契約書のペーパーレス化(電子化)は、場所を問わずスムーズに契約を進められるだけでなく、契約プロセスの透明化を高め、自然と契約で定めた双方の権利・義務が実現されるといったメリットがあります。

こういったペーパーレス化を後押しするサービスを選ぶ際にも、企業のSDGs達成に向けた取り組みをチェックするのがおすすめです。例えば契約書作成~管理を一元管理するクラウド型サービス「ContractS CLM」を提供する「ContractS株式会社」では、SDGsとのつながりを明示しながら、「世の中から紛争裁判をなくす」という社会課題に真っ向から取り組んでいます。

まとめ

2030年を達成期限として国連サミットで採択された「SDGs」は、「誰一人取り残さない(Leave no one behind)」をスローガンとして掲げる、経済、社会、環境といった、あらゆる課題を網羅した国際目標です。


SDGsは政府レベルだけでなく、地方自治体、民間企業、一人ひとりに至るまで、達成に向けて取り組むことが求められているのが特徴です。

そのため、SDGsは国際的に共通するニーズも呼び起こし、大きなビジネスチャンスになる可能性も充分にあり得ます。自社の強みをSDGsと適切に関連づけながら、業務にSDGsを取り入れることで、企業の価値向上などが期待できるでしょう。

 

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