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ノウハウ 法律、法令、規則、条例の違いは?意味や違いを基礎から解説。

更新日:2024年10月17日

投稿日:2021年10月15日

法律、法令、規則、条例の違いは?意味や違いを基礎から解説。

法律、法令、規則、条例の違いは?意味や違いを基礎から解説。

ビジネスにおいて、法律に違反していないかをチェックする場面などは多いと思います。しかし、調べてみると、〇〇法、△△規則、□□条例・・・といった具合に様々な「法律のようなもの」に出会すと思います。

さらに「法令」といった言葉も使われますが、一体「法律」とは何が違うのか、同じ意味なのか、といった疑問に一度はぶつかることでしょう。

 

そこで今回は、「法律」「法令」「条例」「規則」「命令」の意味や違いについて詳しく解説していきます。

 

 

法令(国が制定するもの)

「法令」とは、「法律と命令」を合わせた呼称です。

 

「法律」は以下で説明するように、国会の議決によって制定されるものを指します。一方、「命令」は行政機関の定める行政立法を意味し、具体的には、「政令」や「省令」、「規則」などがこれにあたります。

 

つまり「法令」とは、「法律」や「政令」、「省令」などの総称で、「法律」と「法令」の違いといえば、「法令」の一部に「法律」が含まれるということになります。

法律

辞書的な説明は、「国会の議決を経て制定される国法の一つ」です。

 

もう少し砕けて言うと、国会議員たちが衆議院・参議院といった国会の場で議論を重ね、国会の名のもとに制定されるのが法律です。

 

そして、法律は、憲法の次に形式的効力を有しており、国民はそれらに拘束されます。なぜなら、国民が選挙によって選んだ国会議員が作ったルールであるから、間接的に国民が作ったといえ、国民は自分等の作ったルールには従わなければならないわけです。

具体的には、民法・刑法・会社法などが代表的ですが、2021年現在で、およそ1900件の法律があります。国民はそれらの法律に従わなければなりません。

命令

「命令」は、「行政機関の定める、法律の委任を受けた法規(行政立法)」を意味します。

 

具体的には、内閣の定める「政令」や、各省大臣の定める「省令」、委員長または省の長が定める「規則」などが「命令」にあたります。

政令(施行令)

政令は、内閣が制定するもので、憲法・法律を実施するために制定されるルール(憲法73条6号)です。

 

命令のなかで最上位に位置づけられます。 法律から委任された事項について、委任の範囲において定めます。政令には、法律の委任がない限り、罰則や、国民の権利を制限し、又は国民の義務を課するルールを定めることはできません(同号、内閣法11条)。

 

具体的には、「〇〇法施行令」という名称が付された、〇〇法から委任された事項について規定されているものが「政令」にあたります。

例えば、以下の会社法76条1項(委任元)は、「発起人の承諾」の方法について、政令に委任しており、政令である会社法施行令1条1項3号(委任先)が承諾方法について規定しています。

会社法
(電磁的方法による議決権の行使)
第七十六条 電磁的方法による議決権の行使は、政令で定めるところにより、発起人の承諾を得て、法務省令で定める時までに議決権行使書面に記載すべき事項を、電磁的方法により当該発起人に提供して行う。
2〜5 略

会社法施行令
(書面に記載すべき事項等の電磁的方法による提供の承諾等)
第一条 次に掲げる規定に規定する事項を電磁的方法(会社法(以下「法」という。)第二条第三十四号に規定する電磁的方法をいう。以下同じ。)により提供しようとする者(次項において「提供者」という。)は、法務省令で定めるところにより、あらかじめ、当該事項の提供の相手方に対し、その用いる電磁的方法の種類及び内容を示し、書面又は電磁的方法による承諾を得なければならない。
一 法第五十九条第四項
二 法第七十四条第三項(法第八十六条において準用する場合を含む。)
三 法第七十六条第一項(法第八十六条において準用する場合を含む。)
以下略

 

省令(施行規則)

各省大臣が担当する行政事務について、法律・命令を施行するため、又は法律・政令の委任に基づいて定めるルール(国家行政組織法12条)をいいます。政令と同じく、法律の委任がない限り、罰則や、国民の権利を制限し、又は国民の義務を課するルールを定めることはできません。

 

具体的には、「〇〇法施行規則」という名称が付された、〇〇法や〇〇法施行令から委任された事項について規定されているものが「省令」にあたります。

 

例えば、上と同じ会社法76条1項(委任元)は、「議決権の行使」の時期について、法務省令に委任しており、法務省令である会社法施行規則14条(委任先)が当該時期について規定しています。

会社法
(電磁的方法による議決権の行使)
第七十六条 電磁的方法による議決権の行使は、政令で定めるところにより、発起人の承諾を得て、法務省令で定める時までに議決権行使書面に記載すべき事項を、電磁的方法により当該発起人に提供して行う。
2〜5 略

会社法施行規則
(電磁的方法による議決権行使の期限)
第十四条 法第七十六条第一項に規定する法務省令で定める時は、第九条第一号ハの行使の期限とする。

 

 

なお、「〇〇省令」という部分は、委任元の法律をどの省庁が所管しているかで変わってきます。例えば、宅建業法など国土交通省が所管する法律の施行規則に委任する場合は、上記の「法務省令」のところは「国土交通省」となっています。

規則

規則は、府省の外局である庁の長、同じく府省の外局である行政委員会、人事院、会計検査院が定める命令をいいます。「規則」の効力は、一般的には「法律」や「政令」の下に位置します。

 

具体例としては、国家公安委員会規則、人事院規則、会計検査院規則などがあります。

 

なお、「議員規則」や「最高裁判所規則」は憲法上認められている議員自律権や司法の自律権に関わるため、ほかの「規則」とは違い、政令の下に位置付けられるものではありません。

地方公共団体が制定するもの

地方公共団体が制定するもので代表的なものとしては、「条例」があります。

 

そしてその下位に「規則」があります。国が制定するものとして紹介した規則の他に地方公共団体の長が制定する規則もあります。それぞれについて以下説明していきます。

条例

「条例」は、普通地方公共団体が制定する自治立法です。地方公共団体の議会の議決によって制定します。法律は国会の議決によるのと同様に、民主的に選定された地方議会議員による議会での議決によって制定されるため、条例は地方の事務に関しては住民に対する拘束力を持ちます。住民が選んだ議員の作ったルールであるから住民は従う、というわけです。

 

とはいえ、上位法規である法律(国会が作る国民の総意のルール)の範囲内のものであること、憲法の規定に抵触しないものであることが要求され、「法律の範囲内」というのは、法令と条例の対象事項と規定文言を対比するのみではなく、それぞれの趣旨、目的、内容、効果を比較し、両者の間に矛盾抵触があるかどうかによって決定すべきとされています(徳島市公安条例事件)。

規則

ここでの「規則」は、地方公共団体の長が発する命令を指します。

条例と異なり、規則は議会の議決を経ずに制定することができ、条例より下位の法形式です。

まとめ

ここまで、それぞれの言葉の意味についてまとめてきました。
同じ命令であっても、有効となる範囲や対象が異なります。

今後法律を見る機会があった際は、ぜひこの内容を思い出しながらご覧ください。

 

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